ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(105)

2008-02-06 12:10:38 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠   加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女。吉野屋に嫁ぐ
笹原  原 哲男 :雄一郎の住む長屋の部屋の前住人。もと地主
良子  末広真季子:雄一郎の住む長屋の部屋の前住人(笹原の妻)
坂井  河野 実 :「毎朝新聞」の記者、雄一郎の元同僚
長屋の女 タイヘイ夢路:笹原の部屋から出て行かない老婆

      アクタープロ
      キャストプラン

雄一郎 村上弘明 :悠の夫。「吉野屋」の息子。毎朝新聞の記者に復帰


・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

みんみん蝉の鳴く中、長屋の部屋で悠は引越しの荷物の片づけをしている。
笹原夫妻は、近所の住人たちを睨みつけながら、荷物を運ぶ手伝いをするのだった。

親子三人水いらずで住む夢を膨らませながら、大阪へ来た悠でしたが、
そこには既に先住者がいたのです。
街には引揚者や戦後も住むところを確保することの出来ない人々があふれていた時代です


「すんません、その隅でけっこうですし」と悠は声をかけた。
「これで全部ですか」と笹原

「どうもありがとうございました」とあたまを下げる悠
「何をおっしゃいますやら」笹原嫁の良子。

「まぁ~、立派な箪笥やこと~。私かて世が世ならこれぐらいのもん、持ってましたんやで~」
「戦争に負けたんが悪いんや」
「今さらそんなこと言ったら、笑われますわ  あんたが働けへんのが悪いんや
「今さらコツコツ働けるかい 

「あのー、すんません! ケンカはそれぐらいにしといて下さい。子どもが起きます」
「‥ あっ、すんません」と座る良子「お嬢ちゃんですか」
「はい」
「お名前、なんて言わはるんですか」
「薫ですー。 私は吉野悠です。あのー、失礼ですけど‥」
「あっ、せやせや。あんたご挨拶せんと」と夫を座らせる妻

手拭いハチマキを取って挨拶する夫
「笹原です、これは家内の良子(よしこ)、いいます」
よろしゅうに と頭を下げあう、女2人。

「あのー、ご主人、新聞社に勤めてはるんでっか」
「はい、新聞記者です」
「いやー、よろしいなぁ。ちゃんとしたお仕事あって」
「戦争さえなかったら、今ごろわしもこのあたりの地主や」
「何を言うてますねん。
 んなもん、あんた、家不足で家賃がばーっとあがってるだけでっしゃないかいな」
「わけもわからんのに一人前のこと言うな!」
「あのーすんません、狭い家ですし、喧嘩しはるんでしたら表でしてくれはりますか‥」

「すんません。おとなしうしてますさかい、置いとくなはれ」小さくなる良子
「戦争前までは請負師の笹原いうたら、この辺りでは羽振りをきかせておったもんですわ。
 それが大陸から引き上げてきたら、親も兄弟も家ものうなってしもうて。
 おまけに家まで使用人に取られてこのザマですわ」
「この人、三男坊で、私と駆け落ちして大陸行ったんです」
「みんな、お前が悪いんや」
「なーんで私のせいにすんの!」「お前が悪いんや」「なんで」

「あのー、ご飯ごしらえはここでしてはったんですか」
「いいえ。
 私は料理屋の仲居してますし、
 この人はいつもは日雇い行ってますさかい、外食なんです。何してるかわかりまへんけどなー」
「そうですか。
 ほなー、そしたら寝る部屋は私ら、この部屋使わしてもろてよろしいか」
「へっ。奈良に帰れってご主人言うてはったんと違うんですか」
「いいえ。どんなとこでも主人のそばにいたいんです」

「嫁はんというのはな、こうでないといかん。お前もちょっと見習え」
「あんたがちゃんと働いてくれたら、そら私かてそうしますー」
「いちいち大きな声を出すな! あほ! 

「すんません、そしたら、お掃除手伝うてくれはりますか」
「あっ、はいはい。 あんた」と笹原に促した良子だったが
笹原は、「仕事探してくる」と出かけてしまった。
「しょうがない人やなぁ、んもう!」


夜になり雄一郎が大また歩きで帰って来た。

「お帰りやす」と出迎える悠 「遅かったですね」
「薫は?」
「もう寝ました」と雄一郎の背広を受け取る悠
「それでどうした。出て行ってくれたのか?」
「いいえ。あの奥さん、お料理屋さんで働いてはるんです」
「亭主は」
「さぁ、出て行かはったまんま、まだ帰って来はりません」

「こんなことってないよなぁ。
 大家の方にかけあったら追い出してくれって言うばかりで、どうしようもない。
 向いの家だって一ヶ月前に出て行く約束をしてまだ居座っているそうだ。
 やっぱりお前、スッキリするまで奈良に帰ってろ」
「お腹、すかはったでしょ」 悠は卓袱台の上の旅理を見せた。

「へぇ」
「うち。こうやってダンナさんのお帰りを待っていたかったんです 
悠は台所から切ったスイカも持ってきた
「お義母さんが荷物の中にお酒を入れといてくれはったんです。
 冷ですけど、よろしいか」
「うん」

悠は雄一郎にお酒を注ぎ、嬉しそう。

「けど、楽しいわぁ。
 今まで、一升より少ないお米炊いたことなかったのに、これからは何でも2人分でいいなんて
 ままごとみたいや」
「今日は無理をして帰って来たけれど、そう毎日帰れるとは限らない。
 楽しいなんて言ってられないぞ?」
「けど、宿直室で休まはるんやったら、近いんやし帰ってきてくださいね」
「はいはい」
「うふっ 


すると、「お~~~い、今帰ったぞぉ~~~」と酔っ払いの笹原が帰宅
「世の中、どうなってるんや~~~」

泣き出してしまう薫

「金持ちだけ儲けやがって! 何とか言うたらどうや!」と管を巻いて、玄関に転がる笹原

「ここは僕の家ですよ。そんなに大声出さないで下さい」
「あんた誰や」と言う笹原を外に担ぎ出す雄一郎
「何するんや~~。あほ~~」

「うちには赤ん坊がいるんですよ。そんな大声出すんなら出て行って下さい」
「なんじゃい! ここあたりはみんなワシの土地や。ワシの。
 文句があるんらったら、お前ら出て行かんかい  ワシは絶対、どこにも行かんぞ」

玄関先に座り込む笹原に
雄一郎は「悠、バケツもってこい。頭冷してやる」と水をかけようとするが
悠は、コップ一杯の水を持って来て、「飲んで」と渡すのだった。

「あんたは優しいなぁ」と悠の手を握ろうとする笹原の手を取り、雄一郎は立たせ、
「いい加減にしろ!」と突き飛ばす。

「こんなヤツ、ほっときなはれ」と向いの長屋のおばあちゃん
「早う家の中に入って、鍵かけてしまいなれ」

「何をすかすんや。お前が出て行かへんから悪いんやないかぃ」と悪態をつく笹原に
「へーへー、いいとこが決まったらさっさと出て行きますっさー、ふん」とこちらも悪態

べろべろの笹原は生垣に倒れこんでしまった。

「こんなとこにほっておくわけにもいかんし、家の中にいれてあげましょ」
「頭冷せばいいんだよ」という雄一郎だったが、悠は
「笹原さん、大丈夫ですか」と手を取るので雄一郎も手伝い、家に入れて寝かせた。

ぐおう~っといびきをかいて寝る笹原


「こんな酔っ払いと一緒になんか住めるか‥。
 暑いのに閉め切って、寝ることだってできやしない」
「毎晩あんなふうになるんやろか」
「はぁ。な、悠、頼む。奈良に帰ってくれ。
 あんな酔っ払いとお前がいるかと思うと、おちおち仕事なんかしてられないよ。
 お前だけならともかく、薫がいるんだから」
「な、雄一郎さん。
 今、奈良に帰ったら、すぐには出てこられへんような気がするんです。
 わけ、知らはったらお義母さんも来さしてくれはらへんような気もしますし」
「それでもいいじゃないか。世の中落ち着いてからでも遅くはない」
「うちの我儘やということはわかってます。
 けど何がなんでもあなたのそばにいたいと思って来たんですから、
 そんな帰れなんて言わんといて下さい」
「うーん」
「薫のために、ようないことはわかってます。 けど、薫は私の子どもです。
 この子が自分の意志で何かできるようになるまで、私と同じ気持ちやと思うことにしたんです。
 戦争中、吉野屋で疎開の子どもたち預かってる時に思うたんです。
 親御さんは子どもだけは安全なとこへと思うて疎開させはったんでしょうけど、
 子どもは、どんな時でもどんなとこでも、親と一緒にいたいと思うてるもんです。
 薫もきっと、あなたといたいと思うてるはずです‥」
「(うんうん)はーっ。 ‥お前には、いっつも負けるな。しかしなぁ、困ったもんやなぁ」


「ただいまー」とにぎやかな妻・良子が帰って来た。

「あんた~~!  また酔っぱらってる!」と金切り声で
「いい加減にして下さいよ!」と、バックを笹原の頭に落とした。

「な、な、何すんねん」
「んもー、ホンマにもう!」
「お前も酒飲んでるやないかい」
「あたしは仕事! 遊んでるのと違いますの!」
「やかましいわ。もう一杯酒、飲ませや」
「どこにそんな酒があんのんよ」
「酒屋に売ってる」
「働いてください。お酒ばっかり飲んでもう~! 酔っ払い!」

夫婦喧嘩の声を聞きながら、うんざりする二人だった (^_^;)



毎朝新聞社


「三ヶ月先? 三ヶ月も待てないんだよ」 電話を切る雄一郎

「家か」と、坂井が話し掛けてきた
「はい」
「悪戦苦闘しているようだな」
「今のとこ、同居人がいるんだよ。それも酒癖の悪いやつなんだ。
 広島へ出張しなきゃいけないのに、女房と子ども、そいつらと一緒に住まわしとくのは心配だ」
「広島は誰かにかわってもらうんだな」
「いや、そういうわけにはいかないよ。
 原爆の取材だけは俺がやる。どうしても俺がやらないといけないんだ‥」
「ま、だいじょぶだよ、お前の嫁さん、しっかりしてる」
「酔っ払いだからな、相手は」
「こういう時、女房がすんなり行ってくれるのは、実家だな。
 嫁さんにとって実家は、息抜きの場所だ」
「あ、そうか。その手があったな」
「どんなに優しくされても姑のところより、母親にところにはすんなり行ってくれるもんだよ」
「ありがと」
「うまく持っていけよ」


夕方。
悠は薫をだっこしてあやしていた。

「お帰りやすー。早かったんですね」
「ああ。薫  ただいまー」

「京都のお義母さんから電話があった」と雄一郎
「何かあったんですか?」
「いや。
 今年の祇園祭、葵さんが帰ってるから、僕さえ良ければ、悠を帰してやってくださいませんかって
 遠慮しながらおっしゃって」
「ホンマですか?」
「行ってこいよ。久しぶりに三姉妹に揃って欲しいんだろ」
「行ってもいいんですか」
「当たり前だ」
「すんません。一日だけ行かしてください」
「えっ、一日といわず、しばらくいてもいいぞ」
「そんなことできません。その間あなたはどうしてるんですか」
「広島に出張だ」
「どれぐらい?」
「わからん。できたら終戦記念日の取材もしたい」

「な、雄一郎さん。私がそばにいること、そんなに迷惑ですか?」
「何を言うんだ、ありがたいと思ってるよ」
「わかりました。 私のことは気にせんとゆっくり行ってきてください。
 その間私は、おとうなしぃに待ってます」
「そんな意味じゃないよ。ホントに電話がかかってきたんだって!」
「わかってますー。祇園さん言うたら、うち断らへんていろいろ考えてくれはったんですね。
 おおきに」
「はぁ」
「私がそばにいたら、あなたがホンマに困ること、ようわかりました」
「違うったら! わかってくれよ」
「はい、薫~」と薫の抱っこを雄一郎に交代して、悠は雄一郎のお弁当の包みを持って家に入った。

「はぁー。薫ぅ。何とかしてくれよ。
 お母ちゃん、何がなんでもお父ちゃんにくっついて離れてくれないんだ」
「ぅ」と薫 ( セリフかよ~ ォィォィ )

悠は雄一郎の優しさに感謝して、素直に従うことにしたのです

『ちりとてちん』(106)

2008-02-06 12:10:27 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒
演奏 フェイス?ミュージック

語り :上沼恵美子

  出 演

青木喜代美  貫地谷しほり
和田糸子   和久井映見 :喜代美の母   
徒然亭草々  青木崇高 :喜代美の夫。落語家、徒然亭草若の二番弟子
熊五郎    木村祐一 :酒場「寝床」の店主
磯七      松尾貴史 :散髪店(磯村屋)の店主。酒場「寝床」の常連
菊江      キムラ緑子:「菊江仏壇店」の女主人。酒場「寝床」の常連
徒然亭小草若 茂山宗彦 :タレント落語家、徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
徒然亭草原  桂 吉弥 :落語家、徒然亭草若の一番弟子
吉田志保(写真)  藤吉久美子:草若の亡くなった妻
徒然亭四草  加藤虎ノ介:落語家、徒然亭草若の四番弟子
咲       田実陽子 :酒場「寝床」の店主・熊五郎の妻

      劇団東俳
      キャストプラン

鞍馬太郎  竜 雷太 :天狗芸能の会長
和田小梅  江波杏子:喜代美の祖母、もと芸者、スペインを堪能し帰国
徒然亭草若 渡瀬恒彦 :天才落語家。 



゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜・。+☆+。・゜

喜代美(貫地谷しほり)ら徒然亭一門全員を前にして、草若(渡瀬恒彦)は「大阪に落語の常打ち小屋を作りたい」と話す。師匠のあまりに唐突な言葉に、四草(加藤虎ノ介)をはじめ弟子たち皆でいさめようとするが、草若の意志は固い。翌日、草若は天狗芸能の鞍馬会長(竜雷太)を訪ね、常打ち小屋作りへの協力を頼むが、鞍馬は条件として、喜代美と草若の師弟落語会を開くよう指示する。



寝床でのBGMは さだまさし 


そう言えば、まっさんも國學院大学の落研!