ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(104)

2008-02-05 12:10:14 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠   加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女。再び大阪で家族3人暮らし
雄一郎 村上弘明 :悠の夫。「吉野屋」の息子。毎朝新聞の記者に復帰
笹原  原 哲男 雄一郎の住む長屋の部屋の前住人。もと地主
良子  末広真季子 雄一郎の住む長屋の部屋の前住人(笹原の妻)

お民  町田米子 :「吉野屋」のもと仲居。戻って来た
秋子  酒井雅代 :喜一の浮気相手の連れ子、吉野家の養女。女将修行を決意
長屋の女  タイヘイ夢路  笹原の部屋から出て行かない老婆

      キャストプラン
      アクタープロ

喜一  桂 小文枝:雄一郎の父
お常  高森和子 :奈良の旅館「吉野屋」の女将、雄一郎の母

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すえひろまきこ って、議員さんの方 ^^;

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家族会議になってしまった

「無茶だよ、そんなこと。いくら家族で決めたからって俺が困るんだよ」
「悠が一緒に行ったらいけませんのんか?」とお常
「いや、ちゃんと働いてますよ。大阪は本格的な復興の活気で、町じゅう沸きかえっているんだ。
 社会情勢だって一日一日かわるし、事件だって毎日ある。
 女房・子どもを気にしながらやれる仕事じゃないんだよ」
「私のことやったら気にしていただかんでもいいんです」
「そんなこと言ったって、住むとこだってないんだぞ」
「あんた、今、どこにいますの」
「仮住まいとして、一時的に借りてる部屋はある。家といったってバラックみたいなもんで」
「どんなとこでも平気です」
「お、お前は平気でも、まだ1歳にもならない薫がかわいそうだよ」

「子どもっちゅうもんはな、母親さえしっかりついててたら、どんなどこでもちゃーんと育つもんです」
とお常
「ここでいっつもほったらかしにされてるより、お母ちゃんとずっと一緒にいられたほうが
 薫は幸せや」 秋子まで加勢する
「秋子、お前まで‥。 父さん、何とか言ってくれよ」
「わしはやな、どうしても行かんといてくれとは、悠さんに言うたんや」
「あんたさん」
「みんなでよってたかって、悠を俺と行かせるようにしむけたんやろ」
「いいえ。うちが行きたかったんです。我慢してたらみんなが応援してくれはったんです」
「もう勝手にしろ 俺は知らんぞ!」

「雄一郎、夫婦はな、一緒にいてなあきませんのや。
 どんな仲のええ夫婦でも、いっつも同じ船に乗ってんと、いつ嵐が来て別々の方向に行ってしまうか
 わからんもんです。
 悠のことはもう諦めました。
 吉野屋の女将になんかなってもらうよりな、息子のかわいい女房になってもらわんと困ると思いましてな」

「困るんだよな」
「雄一郎!」
「負けたよ、全く。 悠、そのかわり何があっても文句は言うなよ」
「はいっ 
「物価は高いし、月給は安いぞ」
「毎日お芋を食べて、闇市に立ったことを考えたら、何でもできます」
「そやそや。その調子!」お常も励ます
「いっつも雄一郎のそばにおってな、お尻をぶんぶんひっぱたいてやんなやれな」
「はいっ! 」

笑いあうお常と悠 「良かった、良かった~」


吉野屋の前に車

「おーい早くしろよ、時間がないんやから」
「はーい」と悠が薫をおぶって両手いっぱいの荷物で出てくる。

「何やまだあるのか?」
「薫のおむつ忘れてたんです」
「これ、全部おむつか?」
「ふん」
「全部持ってくことないやろ」
「薫のもんなんか買われへん思うし、たいした荷物にもならへんし、よろしやろ?」
と悠は車に、積め込んだ

「悠ー」とお常とお民さんも、「うちの食器類や」とまた荷物を持って来る

「母さん、いらないよ、そんなもの」と雄一郎は言うが
「たいした月給もとってないのにえらそうなこと言いなさんな。
 所帯道具そろえるだけでも結構お金がかかります、なぁ」
お民に「はい、坊ちゃん」と渡され、しぶしぶ積める雄一郎。
喜一は畑で採れたスイカを持って来てくれた。
「お父さん、遊びに行くんじゃないんだよ」
「薫が好きなんやがなー。食べさしたってくれ」
「お姉ちゃん、これうちがこしらえたんや。持ってって」と秋子もお弁当を手渡す
「おおきに、あっこちゃん本気で女将さんの修行してや」
「うん」

「早くしてくれよ。午後一番に大事な会議があるんやから」
「ささ」

薫をおんぶして、深深と頭を下げる悠

「体にだけはな、気をつけますのやで。京都へはな、あたしからお電話入れときます」とお常
「落ち着いたらな、薫の元気な顔、京都のご両親に見せてあげるのやで」
薫の頭をなでながらお常は言った
喜一も「薫、おじいちゃんの顔忘れたらあかんで」と話しかけ、お民は鼻をすすっていた。

「さぁ、薫、ちゃんとおじいちゃんにお礼言おうな」 背中からおろして抱っこし
「さよなら」と手を握らせた

「悠!」 雄一郎が呼び、エンジンがかかった。
悠が乗り込み、喜一は車のドアを閉めてやった。

そして、車は動き出し、出発した。


昭和25年7月、悠は初めて親子三人で暮らすことになったのです 

車の中でお茶をいれて「こぼれるこぼれる」とさわぐ悠、薫もじっと見ている
ブレーキを踏む雄一郎だったが、「やっぱりこぼれてしもた」

「けど嬉しいわぁ、三人だけで暮らせるなんて。ホンマに夢やないんですね」
「夢を見てるのと違う。ホンマにひどいとこなんや」
「お父ちゃんと一緒やったら、なんにも怖いことあらへんなぁ」薫を見て言う悠
「いっつも一緒になんかおられへんぞ」
「はいっ! お父ちゃん、しっかりがんばってくださいよ」

急に肝っ玉母さん風になる悠。車は川の土手を走っていった。



大阪城が映る

長屋に車は到着した。車を降りる雄一郎と悠(と薫)

悠が雄一郎の後をついていくと、ある家から、ステテコに腹巻き姿の男が逃げて出てくる。
「堪忍してくれ!」
「うるさいなぁー、働きもせんで!」と箒を持った女が追いかけて出てきた。

「ちょっとあんたたち何ですか」と雄一郎
「見ればわかるでやろ、夫婦喧嘩やぼさっとせんで止めてくれ」

本気で泣く薫 

「いったいどういうことか説明してくださいよ!」
「なぁ、夫婦喧嘩はいいからはよ行きましょ」と、雄一郎の袖をひっぱる悠
「どこですか?」
「ここだよ」

それは、その夫婦喧嘩の夫婦が出てきた家で、そしてまたその夫婦は中に入って行ったのだった。

「いったいどうなってますの?」
「俺の方が聞きたいよ」

「堪忍してくれ、ワシが悪かったから堪忍してくれ」 男は座布団を被って叫んでいた。

(ああ、『ちりとてちん』の座布団はあんなに感動モノなのに ^^; )

「こら、なんぼおもろいからって家の中まで入ってきて見ることないやろ」
「いい加減にしろ! 警察を呼ぶぞ」
「ちょっとあんた。夫婦喧嘩をしたら警察を呼ばれるまんのか」
「それやったら、世の中の夫婦、全部つかまってしまうのとちゃうか」

妻は夫を羽交い絞めにして、ひっぱたいていた

「人の家に黙って入ったら、不法侵入だ」

力が抜ける夫婦喧嘩の夫婦。

「ここを一体誰の家だと思っているんだ!」
「あんた、ここの ‥」と男
「一体、誰の許しを得てここにいるんだ」
「‥‥ どうぞ」と喧嘩に使っていた座布団を渡す女
「これは俺の座布団だよ!」

「えらいすんません、いろいろ事情がありまして」と頭を下げる夫婦。

「事情も何もあるか!」 まだ泣いている薫をあやす悠
「人の家に黙って住み込んでいたら、立派な犯罪だ。本当に警察を呼ぶ」
「おもろいやないか。呼んでもらおうやないか、警察でも何でも!」と切れる男

「え、言うておくけどな、戦争前まではこのあたりは全部うちの借家やったんじゃ」
「そんなことは関係ないよ。、うちの新聞社と大家が契約して、ちゃんと家賃も払ってるんだ」
「あの成金の大家め! もとうちの会社の使用人やったんや」

悠が扉を閉めると、覗いていた近所のおばちゃんたちが知らんぷりをして帰っていく。

「ワシが大陸から死ぬ思いで引き上げてきたら、あいつ何もかもあいつのもんになっとったんや。
 こんなことがあってええのか」
「とにかく、今はここは私の家だ。出てってくれ」

「お願いでございます」と、女がせり出てくる 
「私ら行くとこないんです。向いの家が開いたら、すぐに出ていくよってに、それまで置いとくんなはれ」
「冗談じゃない、女房と子どもが出てきたんだ。今日からここに住むんだよ。 
 さ、出てってくれ」
「玄関の隅っこでいいんです。引揚者の寮も追い出されてしもて、
 大屋に頭下げて頼んだら、向いの家があくまでまっとれ言われて、行くとこないし‥。
 表見たら表札かかってへんし、空家みたいやし。
 いいえ、最初は表で待ってたんです」

「向いの家はいつ空くんですか?」と悠が笑顔で聞いた
「悠、お前一体何を言い出すんだ」
「四~五日なら、ここにいて下さい。困った時はお互い様です」

「ありがとうございます」 平伏する妻

「勝手に上がりこんだだけでも許せないのに、お前なんてこと言い出すんだ」
「けど、行くとこがない 言うてはるんやし、しょうがないのと違いますか」

まだ泣く薫と、いっしょうけんまい頭をさげる夫婦

「じゃぁ、とにかく、荷物だけ置いて、お前はしばらく奈良にいなさい」
「いいえ、せっかく来たんやもん。うちもここにいます」
「そういうわけにはいかないよ」
「時間がないんでしょ、さ、はよ行ってください」

時計を見る雄一郎

「後は、私にまかせて」
「しまった」
「荷物だけ、おろしておいてくれ。 トラックを返しに行く時、お前も奈良に連れて帰る。
 わかったな」 もう一度言って、雄一郎はあわてて出社した。

「お気をつけて!」 さらに平伏する夫婦

「すんません、表にトラックの荷物があるんです。運ぶの手伝うてくれはりますか」
「はいっ! はよう、あんた!」
「表のトラックな」 小走りに行く夫婦。

一瞬泣き止んだ薫だが、また泣き出す

「せっかく親子三人で暮らせると思たのになー」


(つづく)



約束の旅




『ちりとてちん』(105)

2008-02-05 12:09:57 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒
演奏 フェイス・ミュージック

語り :上沼恵美子

  出 演

青木喜代美  貫地谷しほり
和田糸子   和久井映見 :喜代美の母
徒然亭草々  青木崇高 :喜代美の夫。落語家、徒然亭草若の二番弟子
徒然亭小草若  茂山宗彦 :タレント落語家、徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
徒然亭草原(幇間) 桂 吉弥 :落語家、徒然亭草若の一番弟子、「地獄八景亡者戯」の再現
徒然亭四草  加藤虎ノ介:落語家、徒然亭草若の四番弟子
若旦那     友井雄亮 :(野口友春)「地獄八景亡者戯」の再現

      茂中瑛子  「地獄八景亡者戯」の再現

      NAC

徒然亭草若  渡瀬恒彦 :天才落語家。




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草若(渡瀬恒彦)がけいこしていた落語「地獄八景(じごくばっけい)」の面白さに、喜代美(貫地谷しほり)はいつか自分にもけいこをつけてほしいと頼むが、草若は「お前には教えられない」とにべもない。しかもそろそろほかに住むところを探してほしい、と言いだす。師匠の不可解な言動に、喜代美はついに見放されたのでは、と思いこむ。そんなある日、草若は急に弟子全員を集めてほしい、と喜代美たちに頼む。




今日もヒグラシ(蜩)がカナカナカナと鳴く‥‥