ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(76)

2007-12-27 13:14:36 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠   加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女
葵   松原千明 :竹田家の長女(バツイチ後、家出しジャズクラブで歌の勉強中)
桂   黒木 瞳 :竹田家の二女(竹田屋を継いだ)
忠七  渋谷天笑 :「竹田屋」の奉公人(番頭)、復員後もそのまま番頭さん 
岩谷  草川祐馬 :造り酒屋の次男坊、かつては葵の踊りの兄弟子

      アクタープロ
      MC企画

市左衛門  西山嘉孝 :「竹田屋」の主人、三姉妹の父(婿養子)
静     久我美子 :三姉妹の母、市左衛門の妻

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 祇園祭の復活を決意した悠は忠七を味方にすることから始めました 

忠七は、自由な世の中になったといってもお嬢さんのお部屋に入るなんてめっそうもない、
話はここで聞くと、廊下にとどまるが、
悠は「内緒で頼みたいことがあんねん」と、腕を取り自室に入れようとする。

「小さい声で話しとくれやす」と抵抗する忠七だが
「祇園さんのことなんやけどな」と聞くと「へ」と興味津々。
「鉾の組み立てができる職人さんがどんだけいはるか調べて欲しいねん」

「祇園祭りができるんですか」と、忠七は悠の部屋に入ってしまった。
「できるかでどうかか糸口だけでも見つけたいんや。
 な、忠七どん、手伝うてくれるか」
「へぇ、私にできることやったら何でもさしてもらいます」
「おおきに。
 お父ちゃんもなぁ、世話役さんたちに反対されはって、うちらが一生懸命言っても
 動いてくれはらへんのや。
 その気になったらできるいうことを見せんといかんのや。
 それにはな、どんだけ職人さんがいて、どんだけお金がかかんのかを調べんといかんのや」
「わかりました。毎年来ていた職人さんに聞いてみます。
 祇園祭できるって聞いたらみんなとんできますって」
「それからな、鉾を組み立てる材料の縄とか材木とか、
 どれぐらいいるのか目安だけでも教えて欲しいねん」
「わかりました」
「仕事の合間でええねん。お義兄さんに叱られるし」
「今の仕事のようなもんは商いのうちに入りまへん。
 やいやい言われたら、番頭みたいなもん辞めたらよろしいのや」

「やることはちゃんとしててもらわんと困んのや」
「胸がドキドキしてきたなぁ  」
「忠七どん、あくまでも内緒やということ、忘れたらあかんえ」
「へぇ」


縁側で碁を打つ市左衛門、桂が都を抱っこして入ってくる

「お父ちゃん、悠は本気どすえー。
 忠七どんを部屋に呼んで、二人でこそこそ相談してますのや。」
「身分わきまえんといけまへんなぁ」
「お父ちゃん、悠は祇園さんやる言うてますのや。
 悠が本気になったら何をするかわかりまへんえ」
「なんぼ悠でもこういうことはどうにもできしません」

静は得意の裁縫で都にエプロン風のよだれかけ(いまどきはスタイと呼ぶか)を作り
都に着せてみていた。

「お母ちゃん、おおきに~」と桂

「お父ちゃん、商売が元通りになるまで祇園さんはせえへんって約束してください」
「桂も、そうガサガサせんと碁の相手でもしない。落着きまっせー」
「お父ちゃん」
「約束みたいなもんせんかて、
 祇園さんみたいなもんはな、室町の旦那衆が全員協力せな、できしませんのや。
 一人でできるのやったら、わしかて諦めたりせえへんがな」
「とにかく悠が何を言うてきても手助けはせえへんって約束しておくれやす。
 今は義二さんに食べさしてもらってること忘れんといておくれやすな。
 義二さん手伝ってきますし、都、お願いします」

「あれもしたらいかんこれもしたらいかんて うるさいこっちゃ」とブツブツ言う市左衛門

「悠はいったい、どうなってますのやろ。奈良へ行って急に元気になって。
 雄一郎さんに会って、なんかあったんどすやろか」
「そんなに心配やったら、手紙のひとつも書いて早く嫁にもろうてくれと言いない。
 娘も二十歳過ぎると、親の言うことはききまへんわ」
「そんなあつかましいこと、私にはできしません」
「女も強うなったらろくなことありまへんわな。 かわいいのはこれぐらいの時だけや、なー、都ぉ」と
都を抱っこする市左衛門  ( じじバカぶり発揮 ) 



悠は、歩く葵(スーツケースを持っている)を追いかけて「祇園祭手伝って」と頼んでいた。
「あんた、まだそんなこと言ってんのかー。奈良行って吉野さんに会うてきたんやろ?」と葵

「うん。そいでどうしても祇園さんせんといかんって思うようになったんや」
「振られたんか?」
「ううん。雄一郎さん、奈良の古い墨屋さんで働いてはった。真っ黒になって違う人みたいやった」
「結婚してくれって言われへんかった?」
「うん」
「ほなやっぱり振られたんやんかー」

進駐軍と腕を組んで歩いていく女性がちらっと映る ‥‥

「そやろか。でも、墨つくってはる雄一郎さん、いきいきしてはった。
 うち、雄一郎さんいうひとを始めて身近で感じたような気がする」
「それで祇園さん、する気になったんか?」
「うん。お父ちゃんに元気になってもらうにはそれしかない、いうことや」
「ま、なんでもいいけど、うちこれから住むトコ探さないとあかんのや」
「ほんまにあのピアノ弾きさんと別れはったのか?」
「ふん。荷物まとめて、ほなサイナラ言うたら、びっくりしてはった。
 うちは進駐軍にぶら下がってるだけの女の人と違うんや 言うたら、すっとした。
 初めて、生まれて初めて好きになった人やけど、
 奥さんアメリカにいて、日本にいる間だけ、うちのこと愛してるなんて‥ごめんや」
「これからどうすんの?」

「岩谷さんに会うのや。下宿さがしてもらってんのや」




「学生相手の下宿屋ですけど、葵さんのことや、どうせ長続きせえへん思うて、安いほうがよろしいやろ?」
「おおきに。寝るトコがあったらそれでええのや」
「さぁ、どうぞ」

部屋は6帖のけっこういい部屋で、八坂神社のうちわが置いてあり、二人とも歓声をあげる。
「わぁー、こんなとこ一人で住んでみたいわ」という悠に
「あんたは家で大事な仕事があんのやろ?」と葵

「そうや。岩谷さん、お願いがあるんです。またお金がちょっといるようになったんです。
 祇園祭やるんです」
と正座する悠
「いい加減にしとくれやすな。ヤミ商売も警察の目があって大変な時にそんな祇園祭やなんて」

窓を開け、八坂神社の紋を見つめていた葵は、
「しょうがないな、うちの財産、全部あげるわ」と言い出す \(◎o◎)/!

「えー?」

葵は、持っていたスーツケースを開けてみせる。
「うわー」と、岩谷も悠も驚く。
クラブの歌手を辞めた時にもらってきたというタバコやチョコレートなど(多分)がぎっしり入っていたのだ

「けど、ええのか? お姉ちゃん」
「これ売ってくれはる?」と岩谷に頼む葵 「祇園さんのためや、悠に協力してやって」
「そんな。ワシは祇園さんなんかどうでもよろし」
「あんたも京都の人間、代々続いた老舗のボンボンやろ? 
 ヤミでばっかり儲けてないで、このへんで京都の人間の誇りを見せたらどうえ?」
「葵さんが駆け落ちのやり直ししてくれはったら、お助けしてもええけどな」
「ま、考えとくわ」
「お姉ちゃーん」
「冗談やって。
 うちはもっともっと歌の勉強して、今度は日本人の前で歌うのや。
 くよくよしててもしょうがないもんな」
「さすがはお姉ちゃんや」
「うちかて祇園さん、見たいもん」
「おおきに」

岩谷はそおっと帰ろうとして、葵にうちわで叩かれる!

「岩谷さん! こんなうちら見捨てることなんかできひんえ」
「堪忍しておくれやすなー」
悠にも「お願いします」と指をついてお願いされた岩谷だった‥



悠の部屋に 忠七が鉾立の職人さんの情報の報告に来ている。

「1人は復員しているし、もう1人は成金さんのお家で大工仕事に雇われていました。
 けども‥」
「日当しだいいうことか?」
「ええ‥ それも、お金やのうて食べもんでくれはるのやったら というのが条件どす」
「ふーん。職人さんが3人いはったら、あとは町内の若いもんでどうにかなるし、
 そうなったら、あとは材料費やな」
「ええ。日当も食料で払わないかんなると、お金も人手も要りますなぁ」
「うーん」


「悠、入ってもよろしいか」と、静が開いたままの廊下から声をかけ入って来た。
忠七は、頭を下げて出て行こうとしたが「逃げんでもよろし」と静に言われる

静は畳紙を抱えて「わかってます、おすわりやす」と言う。

「悠、これはおばあちゃんの上等の着物ばっかりどす。
 祇園さんのためどしたら、おばあちゃんも許してくれはりますやろ。
 義二さんの手前、表立っては協力できしませんけどな、
 私かて、お父さんの子守りばっかりしてる姿なんて見たいと思いまへん。
 お父さんかて見せさえ心配なかったら、誰が反対しはっても一人ででもやらはります。
 忠七どん、悠を助けてやってな」
「へえ」
「悠、頼みますえ」
「はい。おおきに。お母ちゃん‥‥」


悠は、葵のアパートを訪ねた。

鍵をかけないで不在の葵に「無用心やなー、大事なもんいっぱいあるのに」と悠
「祇園さんまであと1ヶ月、間に合うんやろか‥‥」

押入のカーテンを開けて、持ってきた荷物を入れようとすると、ノックの音。
忠七だった。

「悠お嬢さん、いやぁ、危ないとこどした。ヤミの取り締まりにおうてしもうて」
「ご苦労さんどした」

「あと一ヶ月しかないし、そろそろ旦那さんに言わはったほうがええのと違いますか」
「うーん」
「職人さんなんか、信用できん、いっぺん旦那さんに会って話してみたい、言ってますのや」
「そうかぁ」
「当たって砕けろ、言うてみましょ。ほな、先に帰ります、若旦那はんに叱られますし」
「おおきに!」

悠は部屋を見回して、岩谷の服がかかっていること、歯ブラシが二本あることに気づいた。


悠が帰宅すると、玄関先には客人らしき草履が2足あった。

「悠、どこへ行ってたんえ?」
「お客さんか?」
「山鉾連合会の会長さんや。悠、祇園さんの職人さん、集めてんやってなぁ」

大工の棟梁が、本当に祇園祭をやるのかどうか会長に問い合わせをしたのだという


密かに準備をしていた悠でしたが、山鉾連合会の会長に、先に知れるとは
考えてもいませんでした



(つづく)


 約束の旅


『ちりとてちん』(76)

2007-12-27 13:04:43 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

  出 演

和田喜代美  貫地谷しほり
徒然亭草々  青木崇高 :落語家、徒然亭草若の二番弟子。
菊江      キムラ緑子:「菊江仏壇店」の女主人。酒場「寝床」の常連
徒然亭小草若 茂山宗彦 :タレント落語家、徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
徒然亭草原  桂 吉弥 :落語家、徒然亭草若の一番弟子。
徒然亭四草  加藤虎ノ介:落語家、徒然亭草若の四番弟子。
咲       田実陽子 :酒場「寝床」の店主?熊五郎の妻
お花      新海なつ :町内の駄菓子屋のおばあちゃん。

      劇団東俳
      キャストプラン
      NAC

徒然亭草若  渡瀬恒彦:天才落語家。天狗座での徒然亭一門会の後、正式に高座復帰






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一人前の落語家になるためには部屋を出なければならない。と喜代美(貫地谷しほり)は草々(青木崇高)に言われてしまった。年が暮れても引っ越し先が決まらない喜代美を見て、小草若(茂山宗彦)は自分のマンションに一緒に住まないかと誘う。ルームシェアしながら一緒に落語家として鍛錬したい、というのだ。困った喜代美は、草々の気持を確かめようと、小草若に誘われたことを話すが……。