ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(69)

2007-12-19 06:55:21 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠  加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女
桂  黒木 瞳 :竹田家の二女(竹田屋を継いだ)


雄一郎 村上弘明 :「吉野屋」の息子。元毎朝新聞の社会部記者 

忠七  渋谷天笑 :「竹田屋」の奉公人(番頭)、復員後もそのまま番頭さん 
お康  未知やすえ:「竹田屋」の奉公人(悠付きの女中さん)
お常   高森和子 :奈良の旅館「吉野屋」の女将、雄一郎の母
市左衛門  西山嘉孝 :「竹田屋」の主人、三姉妹の父(婿養子)
静     久我美子 :三姉妹の母、市左衛門の妻

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

新円発行でインフレが防止できるどころか、公共料金は値上げされ生活はますます苦しくなりました。
ヤミ市がますます繁盛し、竹田屋も悠のつくる羊羹だけが収入となってしまったのです


拾圓札を広げて、すかしたり裏を見たりする悠、桂、そして忠七

「なぁんや、おもちゃのお札みたいやなぁ」
「ぅーん。
 せっかく義二さんも商売する気になってくれはったのに、ホンマについてないお人や」

「いや、かえってこれでよろしおしたんや」忠七が言った。
「うまいこと行ってたら、竹田屋の信用はのうなっていました」
「義二さんがどうなってもええ言うのんか?」
「そういうわけやおへんけど、時代に逆ろうたら、その時は儲かっても、
 いずれおつりが来ます」

「あ、お義兄さん、どっかいかはったんか?」
「ん。勤め人やったら月給は500円まで新円でもらえる言うてな、
 学校時代のお友達に勤め口を探してもらえるように頼みにいかはったんえ」
「よろしおすなー。ちゃんと学校出たお人は。私なんか何にもすることあらしません」
「また、悠に負けてしもたな」桂はちょっとだけ悔しそうに微笑んだ

「桂ねえちゃん、そんなことどっちでもええことやろ?」
「うちにとっては、大事なことや」

お康が、奈良の吉野さん言う人がお見えです、女の方どす と言いに来た。
「おばさん!」と飛んでいく悠


「おばさーん」 奈良の旅館の吉野常だった。
「悠! 元気そうで何よりや」

京都にはちょっと用事で来たので、顔が見たくて寄らしてもらったというお常、
弥一郎も喜一も元気だという。

おぜんざいをこしらえる悠とお康。
桂は、お常に挨拶をして台所に戻ってきたようだ。
「やさしそうなお人やろ? 礼儀作法にはきびしいんや。ちゃんと挨拶してくれた?」
お康が巴おばあちゃんのところに運んでいった隙に、桂は
お常は智太郎のことを話していたようだ と教える。

「智太郎さんから手紙でもきたんやろうか」
「それやったら、何よりもまず悠に見してくれはるのと違うか?」

悠はお常のところに運ぼうとすると、桂がまた言った
「大丈夫か? あの様子やったら、ええことではないみたいえ。
 もし智太郎さんが戦死しはった確実な証拠でも‥」
「智太郎さんは生きてはります。おかしなこと言わんといて、ふんっ」

桂は、おぜんざいを口にしたところ、気分が悪くなってしまった。

( 多分、おめでたよねぇ。
   えーと、義二はんが実家にいかはったのは、終戦後。
   で、義二さんが戻って来たのが1月1日。今は2月 ‥‥。
   悠、何ヶ月かしらん )




悠は、お常におぜんざいをお出しした。

「あら。おぜんざいですか。このご時世に。まぁ~~~」お常は驚く
「お父ちゃんとお母ちゃんもどうぞ」と悠は言うが、両親はちょっと様子が変だった

「わーー、懐かしいお味やこと!
 こんなおいしいもの毎日食べさしてもうろて親御さんもお幸せどすなぁ」

「こんなもん、めったにいただきまへんのどす」と静
「うそばっかり、商売もんは遠慮する言うて、食べはらへんくせに」

笑いあうみんな。

「悠、吉野さんがわざわざ来てくれはったのはな、
 お前に息子さんの雄一郎さんの嫁に来てくれはらへんやろか いうお話どすねん」

いきなり口を開いた市左衛門

「(え?)」と、お常を見る悠

「悠ぁ。ありのまま言います。智太郎君のことはもう諦めななはい。
 いや、何も智太郎君が戦死しはったから言うて、来てくれはったんとは違うんどすえ。
 このことはずーっと以前から考えてはったことどすのやて。
 吉野さんはなぁ、智太郎君とは関係ナシに、お前を嫁にと思うてくれてはったそうや」

「悠さん。お願いです。雄一郎を助けてやってください」
「おばさん(困ります)」

「この戦争はな、雄一郎を変えてしまいました。
 あんな素直でやさしかった子ぉが、まぁ、半年たっても元には戻ってくれません。
 悠さんが前にいっぺん奈良に来てくれはった時に、
 あの時だけ、あの子、ほんまに嬉しそうでした。
 けど、まだあたしには必要なこと以外、口をきいてくれんと、
 ベートーベンばっかりになってしまいましてな。
 もう、あたしやおじいちゃんが何を言うても聞いてくれません。
 悠さんだけが頼りなんです
 こんなこと、あたしがお願いにくることと違うかも知れませんのやけど、
 親として、たった一人の息子にはよう立ち直ってほしいんどす。
 それには、雄一郎の心の中にいるお人と、一緒にさしてやる以外にはない、
 こちらの身勝手ばかり言うようですけど、
 雄一郎の嫁として、旅館の切り盛りを任せられるのは
 悠さん以外にないんです。
 雄一郎もな、もし悠さんが来てくれたらて言うてはりました。
 あの子は、ホントに悠さんが好きなんです。
 口には出す子ではないですけど、以前、悠さんに書いてもうろたスケッチ、
 あれ今でも大事に持ってます。
 おじいちゃんもな、もし悠さんが来てくれたら安心して死ねる、言いましてな」

「わしは雄一郎さんて言うお人と会うたこともおへんやけど、
 前 確か、家出てた時、
 あの人がいなかったら私はどうなってたかわからんというようなこと、言うてましたな。
 そのお人が、生きる力をなくしてはんねん。
 人間、どん底の時ほど、やさしい心を待ってますねん。
 ま、これは悠自身が素直な気持ちで決めることだす」

「おばさん、すんません。もうちょっと待って下さい」 悠は両手をついて頭を下げた。

「雄一郎さんは、大事な人です。けど、私は智太郎さんと結婚の約束をしたんです。
 たとえ戦死しはったことが確実でも待ちたいんです。
 どこかで生きてはるかもわかりません。
 今の私には、たとえ智太郎さんの遺骨を見ても、
 他の人との結婚は考えられへんのです」

「ようわかります。雄一郎は悠さんが来てくれるまで、何年でも待つと思います。
 雄一郎かて、悠さん以外の人を好きになることはないと思います」

「すみません。勝手なことばっかり申しまして‥」

「いいえ。 けどな悠さん、雄一郎のこと、忘れんといてやって下さいな 」  
「忘れるなんてそんな事‥‥」
「雄一郎さんのやさしさは、私が一番、知ってます」
「おおきに。雄一郎にもそのように伝えます。きっと喜ぶと思います」

悠はたまらなくなって、部屋から出て行ってしまった。
二階へ階段を駆け上る音が響いてきた。

「娘のわがまま、許してやってください」
「いいえ」


悠は、智太郎を描いたスケッチを見ていた。

「悠」と桂が入ってきた
「お客さん、帰りはったえ。おかあちゃんが表通りまで、送っていかはった。
 お土産に羊羹、あげといたえ」
「おおきに」
「ぅん」

「悠、うちからも頼むし。雄一郎さんの所にいきよし」
「聞いてはったん?」
「うん。せやけど、こんなありがたい話、二度とない、思うえ」
「ふん」
「ふん て、あんた雄一郎さんも好きなんやろ?」
「(うん)」(あっら~~、そうだったのね )
「なんえ、悠らしくないな。どうでもええみたいや」
「な、うちずるいんやろか」
「ん?」
「毎日毎日、智太郎さんを待ってるって言いながら、不安でしょうがないねん。
 そんな時、いっつも雄一郎さんの顔が浮かんでくる。

    復員してはった雄一郎さんを、
    秋篠寺で見たときのあの時の顔がいっつも浮かんで来て
    智太郎さんの顔と一緒になってしまう。
    
    自分が不安やから、
    智太郎さんと雄一郎さんを一人の人間みたいに思ってしまうんやろか」

「うちは、二人の男の人好きになったことあらへんし、わからないけど
 今のうちの気持ちは、悠に結婚してほしい、それだけや。
 悠にこの家にいられると、うちはいっつも不安でしょうがないねん」

「うちはいつかこの家を出て行く人間や」
「せやったら、さっさとお嫁に行きよし。
 この家を取り仕切っているみたいな顔せんと」

そう言うと、桂はまた口元を押さえて、外に出て行った。

「桂姉ちゃん、どうしはったん? 桂姉ちゃん? 大丈夫か?」
「ほっといて」

ちょうど通りかかった静に
「桂姉ちゃん、きっと病気やわ。いらいらしておかしなことばっかり言わはるもん」と訴える悠
「あんたは自分のことだけ考えなさい。桂のことは私に任して」

桂の病気が何であるか、静にはわかっても、悠にはまだわからないことでした 


(つづく)


そりゃ、女は望まれて結婚するのがいい とは言うけれど‥‥
市左衛門はんも静も、雄一郎さんご本人さんには会わなくていいのかしら。



まぁ、市左衛門の選んできた男さんといえば

葵の元夫、
桂と結婚させようとした番頭・佐七(その後、クビ)、
悠と結婚させようとして、桂と気持ちを通じてしまった山岡(家訓にあわないのでクビ)
桂の夫・義二
嘘でも悠と結婚させようとした忠七

うーーん。

悠は自分で選んだ方が、よさそうだわ 

『ちりとてちん』(69)

2007-12-19 06:17:25 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

  出 演

和田喜代美  貫地谷しほり 
徒然亭草々  青木崇高 :落語家、徒然亭草若の二番弟子、暴力事件で破門される
徒然亭小草若 茂山宗彦 :タレント落語家、徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
万葉亭柳宝  林家染丸 :落語家・万葉亭柳眉の師匠
徒然亭草原  桂 吉弥 :落語家、徒然亭草若の一番弟子。
徒然亭四草  加藤虎ノ介:落語家、徒然亭草若の四番弟子。
土佐屋尊建  浪岡一喜 :落語家・とさのやそんけん 
吉田志保(写真) 藤吉久美子:草若の亡くなった妻

      日本芸能センター
      劇団ひまわり

鞍馬太郎   竜 雷太 :天狗芸能の会長
徒然亭草若 渡瀬恒彦 :元天才落語家。徒然亭一門会の後、高座復帰を宣言  


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飲んだ席で小草若(茂山宗彦)はライバル落語家の土佐屋尊建(波岡一喜)ともめ、つい手を出してしまう。だが居合わせた草々(青木崇高)は小草若をかばって「自分が殴った」と言いだす。にわかに信じられない喜代美(貫地谷しほり)。一門会に向けての準備中の不祥事に、草若(渡瀬恒彦)は鞍馬会長(竜雷太)の元を訪ねて謝るが、どうやって責任をとるかと言われ、ある苦渋の決断をする。


ああ~~~、破門を言い渡されてしまった、草々