ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(56)

2007-12-04 16:40:39 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

  出 演

悠   加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女、奈良の旅館「吉野屋」から帰郷
葵   松原千明 :竹田家の長女(中之島病院で看護婦、大阪空襲で焼け出され帰郷)
桂   黒木 瞳 :竹田家の二女(竹田屋を継ぐ)

お常   高森和子 :奈良の旅館「吉野屋」の女将、雄一郎の母
弥一郎 小栗一也 :雄一郎の祖父、お常の実父

京子   大野 瞳 :疎開してきた子どもたち
真     松本 淳 :疎開してきた子どもたち

      松竹芸能

巴     宝生あやこ:三姉妹の祖母、静の母
市左衛門  西山嘉孝 :「竹田屋」の主人、三姉妹の父(婿養子)
静     久我美子 :三姉妹の母、市左衛門の妻

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

悠は父が心臓の発作で倒れたと聞いて、まず父に会いたい、会って謝りたいと思った
(ナレーション)


静を前に、お常と弥一郎は
「いっぺん帰って元気な顔を見せるのが親孝行やと言っとりました」
と話した。

静も「ホンマに幸せもんどす。こんな優しい方にお世話になって」

(あ、竹田静 B型 四十七歳だ)

「いいえ~、あたしこそ悠さんに来て貰うてどれだけ助けられたか
感謝せんならんのは私らの方です」
「ご主人に心臓の持病があることなど悠さん一度も言うてくれんでのう。
 もっとはよ、無理にでも帰すべきだった」

ばつが悪くなってきた静は
「心臓の持病はあるが、発作はおこしてません」と本当のことを話した。
そして
「悠には言わんといて下さい、嘘とわかったら帰ってはくれない」と頼んだ。
「意地っ張りの娘と頑固もんの父のために下手な芝居をしてしもうて、笑うておくれやす」

「お手を上げて下さい」とお常が言い、弥一郎が笑い出す。
「みんな同じことを考えるんじゃのう」

お常は「私らも一緒に芝居せんとあきませんがな」とたしなめ、静に
「実は、お父さんが病気だと言って、無理に悠さんを帰そかって言うてたとこですのや」
「へっ?」と静
「悠さん意地っ張りやけど、そこがまたお父さんにはかわいいんですやろなぁ」
「はい‥‥。
 今から思うと悠を後継ぎと決めましたのも、自分そっくりの頑固もんと
 早くからわかってたんどすな」

京子と真がこっそり廊下で話を聞いている

「お父さんが悠さんをどんだけかわいがってはったか、ようわかります」
「他人のワシでも、いざとなると手離しとうないがな」
「ありがとうございます。悠のことそんなにまで」静は涙ぐんだ。

部屋で荷造りをしながら智太郎のスケッチを見ていた悠は、京子たちに気がつき
「お姉ちゃんのお父ちゃんが病気なんやて。
 一言言って謝ったらすぐに帰ってくるさかい堪忍してや」と話して聞かせた。
「おばちゃんの言うことよう聞いて、おとなしゅうして待っててや」
「うん!」

お常が部屋に来て、子どもたちに「玄関で待ってような」と言い、悠と二人になり、
「お父さんが元気になるまでいていいのやで」そして
「お父さんに三人揃って朝顔みせはったら、
 病気みたいなもんいっぺんで治ってしまいはります」と預かっていた葵の着物を渡した。
「お父さんが安心しはるまで、いてあげなさいよ」

「新しいもんぺよう似合うて。お母さんの仕立ては、どっかちがいますな」
「今度帰ってくる時はおばさんのもんぺ、母に教えてもろうて私が作って来ます」
「わぁ~おおきに。楽しみに待ってます」
弥一郎は悠との別れが辛いからと見送りには出なかったが、お常に
「お父さんが良うなってもゆっくりしてきなさい」と言われ、静と玄関を出る悠だった。


京子が小さな白い花を
「はい、お姉ちゃんのお父ちゃんにお見舞い。おじいちゃんが渡しておいでって。
 うち誰も迎えに来んからずっと待ってる」と渡した。



汽車の中で
「わざわざお母ちゃんが来てくれはらへんでも良かったのに」と悠が言うと、
つい「けどなぁ、お父さんがいけ言わはったんえ」と静。
「意識はちゃんとあんの?」
「ん? ん‥‥時々目、覚ましはってなぁ」と誤魔化す静。

京都駅に着くと悠は懐かそうに見渡し「亀吉さん、元気?」と聞いた。
「うちが京都出る時亀吉さんだけがここまで見送ってくれはったんえ」
「工場に行ってはります。お嫁さんとお孫さんはうちの借家にいますえ。」
「ふーん」
「なんやほっとしたらお腹が空いてきましたなぁ」とうっかり言う静
「お母ちゃん、そんなのんきな事言うて‥‥」
「そやな、急ぎまひょ」


4年ぶりの室町の老舗、懐かしく思い描いた生家はひっそりとたたずんでいました。


「悠~おかえりー」と桂が出てきた。
「桂姉ちゃん、お父ちゃんは?」
「う、うん、はよ上がりよし」

悠は市左衛門の寝ている部屋まで急いだ。

市左衛門は悠の気配を背中で感じて泣くのをこらえている。

「お父ちゃん、悠です。わかりますか‥‥」
返事をしない市左衛門。

「お父ちゃん、許して下さい! これからずっとお父ちゃんのそばにいて看病します。
 そやから許すと言うてください、な、お父ちゃん」市左衛門をゆする悠
「お帰りやす」と落ち着くように‥という風情で悠を宥める巴おばあちゃま。
「おばあちゃん! このまま意識戻らんのですか?いつからこんなやったんですか?」
「大丈夫どす。命だけは別状ないことやし」
「そやけど‥‥。 うちが帰って来ても返事してくれはらへん。どうしたらええの」
「悠、大丈夫や。眠っていはるだけや」と葵。

悠はかなり取り乱して
「うち何でもするから、このまま話もできひんなんてうちいやや!」と泣く

「お父ちゃん、勝手なことばかりしたうちを許して下さい。
 一人前になったら帰って来て謝るつもりやったんです。なぁお父ちゃん、返事して」

市左衛門は涙をこらえるのに精一杯だったが、我慢できずに手で涙をふいた。

「お父ちゃん、聞こえてんのやな、うちの声、わかんのやな」 必死に語りかける悠
「うちを許してくれはったんですか」

頷く市左衛門

「おおきに。おおきに。ずっとそばにいて看病します。はよ元気になって下さい」

葵と桂は目配せして退出した。



台所で相談する葵と桂

「なぁ、どうしょう」と桂
「うん、今さら仮病やなんて簡単に言えへんなぁ」
「こっちに呼んでホンマのこと言った方がええのとちがう?」
「でもお母ちゃんが決めはったことやし。また奈良へ帰るなんて言い出しても困るし」
「ふーん‥‥」
「ふーん、ちょっとやりすぎやったな」

静が来て「何を二人でこそこそ言うてはるのです?」と聞いた。
「久しぶりに家族が揃ったんやし、桂、あるだけの材料で何か作ってくれるか」
「はい」


「なぁどうする?」
「もうちょっと見物さしてもらいましょ」と葵
「なんとかしてあげて」
「うちがどうこうすることやないやろ?」
「‥‥お姉ちゃんは変わってしまはったな、前やったら真っ先に世話焼いてくれはったのに‥‥」
「うん、ホンマのうちはあの空襲で死んでしもたんや。
 あの地獄を見たらもう何をする気力もなくなった」
「お姉ちゃん」


つきっきりで看病する気満々の悠に、
静は「お薬も飲んではるし、このまま眠らせてあげまひょ」と言った。
悠も「もう何も言いません、そばにいるだけにします」と言ったので、
「おばあちゃんを離れに連れて行って」と頼んだ静だが、
巴は一人で行けます といけずを言う。
そして「久しぶりに悠の元気な顔を見たら足が痛いのも治りました」と笑い、
「悠、お父ちゃんが目を覚ましはるまでそばにいてあげておくれやすな」
「はい」

はやく人払いをして、市左衛門と相談をしたいらしい静は、困り顔

「悠、あんたも疲れましたやろ? 部屋はそのままにしてるし休んでおいな」
「お母ちゃんこそ疲れはったやろ? 奈良まで往復しはって」と退こうとしない悠
「私らは夫婦やし」と言う静に
「いややわ、お母ちゃん、ヤキモチ焼いてはんの?」と悠が返し、
市左衛門は吹き出してしまった 

そして吹き出した瞬間、本当に心臓の発作を起こした。

その様子を見て
「あんたいい加減にしとくれなはれ」と言っていた静だったが
「ホンマに苦しいのどすか? お芝居やないのどすな。しっかりしとくれやす」
「悠、どないしょう。お父さんホンマに発作おこしはった~」

何がなんだかわからない悠は「お父ちゃん、しっかり」と言うだけだった



(つづく)



『ちりとてちん』(56)

2007-12-04 16:37:44 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

   出 演

和田喜代美  貫地谷しほり 
和田糸子    和久井映見 :喜代美の母
和田正典    松重 豊  :喜代美の父、一家で鯖江から小浜に戻り、塗箸職人に
和田小次郎  京本政樹 :喜代美の叔父・正典の弟糸子
緒方奈津子  原 沙知絵:塗箸の取材に来た、フリーライター
熊五郎    木村祐一 :酒場「寝床」の店主
咲       田実陽子 :酒場「寝床」の店主・熊五郎の妻
磯七      松尾貴史 :散髪店(磯村屋)の店主。酒場「寝床」の常連
菊江      キムラ緑子:「菊江仏壇店」の女主人。酒場「寝床」の常連

徒然亭草々  青木崇高 :落語家、徒然亭草若の二番弟子
徒然亭小草若 茂山宗彦 :タレント落語家、徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
徒然亭草原  桂 吉弥 :落語家、徒然亭草若の一番弟子。
徒然亭四草  加藤虎ノ介:落語家、徒然亭草若の四番弟子。中国料理店「延陽伯」でバイト中?

和田正平   橋本 淳 :喜代美の弟
徳さん    鍋島 浩 :ガラス屋 
お花     新海なつ :町内の駄菓子屋のおばあちゃん。前回は、熊の歌に耳栓を配った

      劇団東俳
      NAC
      キャストプラン

吉田志保(写真) 藤吉久美子:草若の亡くなった妻
徒然亭草若 渡瀬恒彦:元天才落語家。徒然亭一門会の後、高座復帰を宣言



 
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喜代美(貫地谷しほり)の初高座当日。奈津子(原沙知絵)ら皆が見守る中、前座として一番手に高座に上がろうとするが、緊張のあまり前に進めない。だがそこに喜代美の身を心配して、糸子(和久井映見)が小浜から駆けつける。自分が気後れしていることを見透かされた喜代美は、糸子への反発から思わず高座に上がることができた。だがお辞儀をした後、肝心の言葉が出てこない……。




志保さんの写真にお供えしてあるの‥‥ タンポポかな?

喜代美が大阪に来て、ほぼ1年たったのかなぁ?