ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(63)

2007-12-12 07:59:23 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠   加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女
葵   松原千明 :竹田家の長女(大阪空襲で焼け出され帰郷、立花家より離縁)
桂   黒木 瞳 :竹田家の二女(竹田屋を継いだ)

忠七  渋谷天笑 :「竹田屋」の奉公人(番頭)復員後もそのまま番頭さん 
お康  未知やすえ:「竹田屋」の奉公人(悠付きの女中さん)

ジョージ ジェフ・カーソン:かつて吉野屋に宿泊した学生、進駐軍の秘書として来日
ヤミ市の客 小堀勝太郎 闇市にて悠たちが売った羊羹(5円)を買った男

      アクタープロ

市左衛門  西山嘉孝 :「竹田屋」の主人、三姉妹の父(婿養子)
静     久我美子 :三姉妹の母、市左衛門の妻

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

わ~~~~~っ! 西城秀樹の歌だ~~~~
主題歌じゃなくて、挿入歌(エンディング)だったのね~~~

「約束の旅」



ではあらすじをば。

・‥…・・・★・‥…・・・★・‥…・・・★・‥…・・・★・‥…・・・★

三姉妹は羊羹をいくらで売ったら良いか算段していた。

「お米が一升70円やさかい、せいぜい3円ぐらいかな」と葵
「本物の小豆とお砂糖を使うてるのえ
 うちの上等の着物が 5枚ものうなったんやもん、7円ぐらいにしてほしいわ」
「けど、闇市で見たんやけど、オニギリ一個が7円やった。
 オニギリと羊羹が同じ7円やったら、やっぱりオニギリ買うわな」
「うーん」
「これは失敗作やし、5円ぐらいでええのんと違う?」
「けど何でも高うなったな。
 大阪にいる時は2円出したらちゃんとした晩ご飯食べられたし
 奈良の吉野屋やったら、一晩泊まれた値段え」
「悠、もう吉野屋さんかえらんでええのか」

(そうよそうよ! 京子ちゃんのこと思い出したの~~? 待ってるわよ~~ きっと)

「うん。今はもう食べるものもないし、休業中や言ってはるし、
 親孝行しなさいって手紙くれはったんえ」
「智太郎さんのことはもうええのんか?」
「智太郎さんを待ってるのは、うちだけと違うのや」
「他に女の人いはったん?」 (なんでそうなる! 葵!)
「ううん。お父さんや、智太郎さんの。
 けどお父さんな、買出しで買うことも、ヤミで買うことも許してはらへんし
 雅子さん、どうにもできんのやて」
「悠が羊羹つくりに一生懸命になったのがわかったわ」と桂
「智太郎さんが帰ってきはるまで京都にいて、なんか持ってってあげよう、思ったんや」
「悠の大事な人のために、うちらこんなことに巻き込まれてしまったんやなー」
「違うてー。お店もお父ちゃんも大事や」
「ええのや。お嫁にいったら旦那さんの両親のほうが大事にならんといかんのや。
 うちはどうしてもそうならんかったけど」

「葵姉ちゃん?
 岩谷さん、まだお姉ちゃんのこと好きみたいやし、結婚しはったらどうえ?」
「うちはもう結婚なんかせえへん。
 大恋愛をして、好きな人と好きなところで暮らすのや、
 そのための資金つくらなあかんし、売れてくれはらへんと困るな」
「なーんや、みんな自分のためにこんなことしてはんのやなぁ。
 竹田屋のためにしてんのはうちだけや」
「そらそうや、竹田屋の女主人やもーん、
 旦那さんに逃げられても女主人でいられるなんて幸せな人や」
「逃げられたんと違います。
 義二さん言うてはりました、この家は自分にとっては戦場と同じやったって。
 戦争が終わって、あの人もちょっと息抜きをしてはるだけやす」
「養子さんは、家業を継ぐか、家を継ぐ子どもをつくるかやもんなぁ。
 桂のとこ、子どもまだなん?」
「ぅん。うちも義二さんも早く竹田屋の後継ぎが欲しかったんやけど
 今は子どもができても幸せにする自信がない 言うて。
 うち、どうしたらいいんやろ」
「お父ちゃんやお母ちゃんに孫の顔、見せてあげられんの今のところ桂だけなんやし
 考えることないと思うけど?」


「悠お嬢さん、ヤミ市にはうちが行きます。お嬢さんのいく所やおへん」
とお康が言いに来た
「何を言うてるの。うちは何でもできるえ。もう昔のお嬢さんと違うのやし」
「でもヤミ市言うたら、
 復員してきた兵隊さんやいろんな格好をした人たちが、いっぱいいてはりますねんで」
「自分で言い出した事やし、どこまでできるかやってみたいねん」
「ほな、うちも一緒に付いていきます」
「うん」
「大丈夫やろかぁ。進駐軍が来たら、すぐに逃げて帰ってこないとあかんえ」と葵
「えー、そんなぁ。ヤミ市にも来るンですか」
「わからへんけどなー、今はどこに行っても、いはるやろし」

「悠お嬢さんのお供は私がさせていただくことになりました」と忠七が入って来た。

「そんな忠七さん、帰ってきはったばっかりやのに」とお康
「いやぁ、旦那はんの命令どすがな。
 男の私が用心棒としてついていないことには心配でしょうがない、そないお言いやしてな」
「へー、ほなら忠七さんとお康と2人で行こうか 
「んーー、せやなー。お康より悠お嬢さんの方が売れることは確かやなー。
 戦地から帰ってきて、きれーな女の人の顔見て、ほっとするもんやさかいな」

ふくれるお康



闇市では、KIMONO SHOP(中古衣料)、雑炊(五エン とある)、カレーライス、うどん屋などが混雑していた。

畳紙に包んだ羊羹を並べる悠と忠七

「一つなんぼにしよう」
「そうどすなぁ(周囲を見回して)一つ5円が相場どすなぁ」
「売れるやろか」
「だいじょうぶどす、やりまひょ」と忠七に励まされて、「羊羹です~」と声を出す悠

「羊羹です~、本物の羊羹どうですかー」忠七も大声で呼び込みを始める
「羊羹です~」 

「これなんぼやの」
男が寄ってきた。
5円と聞くと高いなぁ と渋るが、本物の砂糖と小豆を使っていると聞き
そして、味見をして「美味い! こんな美味いの久しぶりや! 二個くれ」と
まるでサクラのように買ってくれた。
「おおきにー」

そして飛ぶように売れたのだった。

売上のお札を手にした悠を見て、忠七は「これから当分、食べ物商売どすな」と言った。

「こんなに儲かっていいんやろか」
「ヤミ市というからには、ヤミ商売やし公正なもんとは違いますけど
 一体だれがこれを取り締まることができますのや。
 進駐軍かて手ぇ出すことできまへんて」

しかし、忠七の目に入って来たのは、衣料品の前に来た進駐軍。
驚いて、座り込んでしまった
しかしもっと驚いたのはその1人が「ハルカサーッン」と近づいてきたからだった。 

「ハルカサーン」 「ジョージさーん」 握手する2人。

「ドウシテ ココニ イルノデスカ?」
「私の家は京都なんです」
「キョウト?」
「奈良はメイドとして働いていたところです」
「オー、ソウデシタカ。ミッカマエ(3日前)ニ キョウトニ ツイテ、
 ハルカサンニ アイニ  ナラニ イクトコロデシタ」
「えー。わざわざ私に会うために日本にいらしたんですか?」
「なんとかシレイブツキノ ヒショトシテキマシタ」(司令部付きの秘書として来ました)

忠七はその間も布に隠れており、逃げるように竹田屋に帰っていった。

「旦那さーん、えらいことどす~~! 悠お嬢様が進駐軍の!」
「何~~~、進駐軍に連れて行かれたのかーーっ、だからあれほど外に出るなと」
「どないしまひょ」
「で、どこに連れて行かれたん?」

「いえ、連れて行かれたかどうかわかりませんが、進駐軍が悠さんの手ぇ握って!」
「静、ワシちょっとでかけてくるわ」
「いったいどこへ」
「忠七、どこへ連れて行かれたかわからんのか」
「へぇ」
「一体何のために、一緒やったんがな 」 心臓発作をおこしそうなぐらい怒る市左衛門
「すんまへん。びっくりしてもうて、足ががくがくして」

「どしたん、悠ほんまに連れて行かれたんか?」葵たちも降りてくる

「それが進駐軍が急に『ハルカサーン』ってそない言うてきはって」
「んもう! うち、ちょっと見てきます」という葵に
「あきまへん、女が外に出たらあかん! 忠七、もっぺん見て来なはれ」

そこに「ただいま」と悠が、その進駐軍(ジョージ)を連れて帰ってくる
脱兎の如く、扉の後ろに隠れる忠七。


市左衛門は

「すんまへーん。ワシの娘どすねん。
 どんなことでもしますさかい悠、連れて行くことだけは勘弁しとくなはれ」

「お父ちゃん。この人はジョージさん。奈良でお友だちになったんです」
「いつ進駐軍の人と友だちになったんや」
「戦争前のことです。今度司令部付きの秘書で来はったんです」

「悠? あんたのこと、仏さんに似てるって言わはったお人、この人か?」
「ぅん。このお人や(にっこり)」

「仏さんに似てるやなんて、アメリカさんがそんな口説きの手、使いよって」
「お父ちゃん、わざわざうちに会いに、奈良までいかはるとこやったんやて。
 なー、あがってもらってもよろしやろ」
うう~~あきまへん この竹田屋に進駐軍の人あげるわけにはいかん」
「あんた、進駐軍に逆らったら何をされるかわかりまへん」と静
「う~、そういうことなら~ う~仕方ない。お上がりやす。
 そのかわり言うときますけどな、悠を連れて行くようなことだけは進駐軍といえども訴えます
 それでもよろしおすか」

「お父ちゃん」 半分あきれた悠
「そら、このお人は進駐軍の人やけど、京都や奈良をホンマにお好きな人なんどす。
 京都や奈良が助かったのはこの人のおかげやと思うてます」
「それも口説き文句どすがな」とひそひそ言う市左衛門

「あんた」と止めて「さ、ささ、どうぞお上がりやす」と静は、ジョージを通した
「サンキュー」と奥へ入っていくジョージ。

「ただの兵が京都や奈良を救えるわけがないのや。悠は人を簡単に信じすぎる」

「お父ちゃん、たとえウソでも、ちゃんと話をしないと
 どんな言いがかりつけられるかわかりまへんえ」 と葵

「そらそや、あんたらは引っ込んでない」と市左衛門は中に入っていった。
「悠もまたなんであんな人連れて来たりするんやろ。近所の人がなんて言わはるか」 と静


「ボクモ キョウトトナラガ、ブジデアッタコト トテモ ウレシク オモイマス」
(僕も京都と奈良が無事であったこととても嬉しく思います)
「ジョージさんのおかげです。ありがとうございました」
「ボクハアルヒトニ、キョウトトナラノ スバラシサニツイテ ハナシタダケデス。
 ボクノ トオイシンセキデ ヘンリーウエィ・シンプソン トイウ リクグンノ チョウカン デシタ。
 ボクハ、キョウトトナラノ ウツクシサニツイテ チョウカンニ ヒッシデ ハナシマシタ。
 コレヲナクスコトハ ジンルイニトッテモ ソンシツデアルト」
(僕はある人に、京都と奈良すばらしさについて話しただけです。
 僕の遠い親戚で、ヘンリーウエイ・シンプソンという陸軍の長官でした。
 僕は京都と奈良の美しさについて、長官に必死で話しました。
 これをなくすことは、人類にとっても損失であると>


「では‥ その方が‥」
「ワカリマセン。デモ、キョウトハ、サイショノゲンバクトウカノ モクヒョウトシ ダッタソウデス」
(京都は最初の 原爆投下の目標都市だったそうです)
「ほんまですか」
「ボクニモ ホントノコト ワカリマセン」
「ジョージさんの気持ちが通じたんです。
 きっとその方のおかげで京都と奈良が助かったんやと思います」
「アトニナッテ、チョウカンノ ヒショカンカラ キイタンデス。
 モシジブンガ キョウトトナラヲ バクゲキノモクヒョウカラ ハズシタラ
 キミハ ジブンノ センチメンタルナロジックヲ トッタト」
(後になって、長官の秘書から聞いたんです。
もし自分が京都と奈良を爆撃の目標からはずしたら
君は自分のセンチメンタルなロジックを ?????)
⇒何度、聞いてもわかりません

「京都と奈良かて爆撃はありました」と市左衛門

「お父ちゃん、そうかて」
「そら、京都の爆撃は誤爆や っちゅう人も (はぁはぁ)
 そいでもな、亡くならはった人もおいやすんやで。
 悠、いい気になったらあかんちゅうねん」

「‥‥」 沈黙する悠とジョージ

京都と奈良を救ったのは、
東洋美術を学んだラングドーン・オーナー博士である という記事が新聞に載ったのは
それから数日後でした。
しかし悠は、ジョージの話を信じていました


(つづく)


約束の旅 作詞・森田由美 作曲・後藤次利 歌・西城秀樹

  ためらうままに ためた手紙
  あふれるほど 両手に
  淋しい日は この愛 波にうたったよ 
  強く君に 打ち寄せると
  信じつづけて
  遠いたびが終わる 目の前に愛が近づく
  ああ かわらない 笑顔が胸を刺す
  悲しいほど
  会いたかった




京都も奈良も、それは美しい古都だけど、
そこだけを救った救ったって言われると、
ちょっとばかし、むかっとするんですけど 





『ちりとてちん』(63)

2007-12-12 07:30:30 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒

語り :上沼恵美子

  出 演

和田喜代美(気の短い男) 貫地谷しほり ※「天災」の再現シーン
和田糸子    和久井映見 :喜代美の母
和田正典(紅羅坊奈丸) 松重 豊  :喜代美の父、一家で鯖江から小浜に戻り、塗箸職人に
                      ※「天災」の再現シーン
和田小次郎  京本政樹 :喜代美の叔父・正典の弟糸子
緒方奈津子  原 沙知絵:塗箸の取材に来た、フリーライター
熊五郎    木村祐一 :酒場「寝床」の店主

磯七      松尾貴史 :散髪店(磯村屋)の店主。酒場「寝床」の常連
菊江      キムラ緑子:「菊江仏壇店」の女主人。酒場「寝床」の常連
徒然亭草々  青木崇高 :落語家、徒然亭草若の二番弟子
和田清海   佐藤めぐみ:喜代美と同姓同名の同級生 エーコ。
               大阪の大学に入学、お天気おねえさんになる
徒然亭小草若 茂山宗彦 :タレント落語家、徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
徒然亭草原  桂 吉弥 :落語家、徒然亭草若の一番弟子。
徒然亭四草  加藤虎ノ介:落語家、徒然亭草若の四番弟子。中国料理店「延陽伯」でバイト中?
咲       田実陽子 :酒場「寝床」の店主・熊五郎の妻咲

野口順子(回想)宮嶋麻衣 :喜代美の同級生、高校卒業後は家業の「魚屋食堂」を手伝う
和田喜代美(少女時代) 桑島真里乃 :小学校3年生の喜代美
和田清海(少女時代) 佐藤 初  :小学校3年生の清海
野口順子(少女時代) 伊藤千由季 :小学校3年生の順子

      NAC
      劇団東俳
      グレース
      キャストプラン

和田正太郎(回想) 米倉斉加年 :喜代美の祖父(故人)、塗箸の名職人で落語好き。
徒然亭草若   渡瀬恒彦:元天才落語家。徒然亭一門会の後、高座復帰を宣言。



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草々(青木崇高)と清海(佐藤めぐみ)がつきあうことになった。内弟子修業中なので関係ない、と強がる喜代美(貫地谷しほり)だが、内心はボロボロである。奥手の草々の恋愛に、周囲も騒然となる。そんな中、草若(渡瀬恒彦)は喜代美の次のネタとして「天災」を教えることに。だが喜代美は、なかなかけいこに集中することができない。