寒に向かう淋しげな月だが、下旬ともなると、喪中葉書がやってくる。
表を見、裏を返しながら、ああそうだったか、とか、消息が案じられていたが、とか、その人のご家族のことに思いが及んだりする。
時に、ご無沙汰のお詫びかたがた、遅まきの弔問のお電話をしたりする。
連絡すると、家人とか、連れ合いの方にお話することになるのだが、それぞれのお家にとっては、重大な転機を過ごしておられるさまが判って、受話器を置いた後でもしばし考え込むことが多い。
癌が転移して抗がん剤がどうこうとか伺うと、十分手を尽されたと言ってあげたり、お子たちは如何かとか、慰めになるかどうか判らないが、昔のことなども話題にでてくるのである。
ことに、最近、小人数のお家も多く、電話の向こうの一人だけのやもめ暮らしの寂しさが伝わってきたりするのである。
相手もそうだし、私ごときも相当長い星霜を経て今日あるので、葉書をながめながらはるかな知人、はるかな昔の付き合いに思いが及ぶのである。
このころ、そこここに菊の花が一杯咲いている時期なのでした。
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