さらだ的雑記帳

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ラノベ探訪記その4~紫色のクオリア~

2014-04-14 18:10:36 | ラノベ関連
ラノベ探訪記も第四弾です
今回はこの作品



この作品も本屋でたまたま見つけたもの
基本的に店頭で表紙と簡単な説明を
読んで買うことが一番多いので
読んでるものはこのパターンが多いですね

さてこの作品ですが
その後コミカライズされているのを見かけたりしているので
結構知っている人もいるかもしれませんね

この作品は
冒頭から語られていることではあるのですが
自然とよく論理的思索を広げる際に使用される命題
他人が認識しているある色と、自分が認識しているその色が
同じであることをどのようにすれば証明することができるのか
という有名な命題があることはご存知だと思いますが
この命題を実感することになると思います

なぜなら
この作品に出てくる女の子には
世の中に出てくる自分以外のすべての人間が
ロボットと同じように見えている見えているからです

例えば
私たちが認識している他人の姿と同じものが
ほかの人にも同じように見えている保障があるのか
確かに肌触りや色形など調べればわかるわけで
ある程度の類似性を見出すことは通常できるでしょう

ですが産まれたときから
これもあくまで例えばの話ですが
自分の周りの物体が二次元として見えている人に
立体の概念を実感させることが本当にできるでしょうか

人間の想像力や思い込みというのは割りと恐ろしいもので
実際には致命傷ではなくても
たとえば触られていることで怪我をしたと錯覚し
死に至ることもあるそうです

ではこの産まれながらにして人とは違う見え方
(違うかどうかすら本当はわからないわけですが)
をしている少女が回りの世界をどのように認識し
周りがそれをどう感じるのか

そしてそんなある意味当然で
ある意味不条理な境遇を抱えながら
彼女がどう生きてきたのか
それは彼女がそのロボットに見えることに
関係したある特殊な能力とともに
物語が形作られていくことで語られていきます

またこの能力自体も通常では現実的には不可能なものでありながら
本作のテーマでもある人の認識や思い込みの力
ということを考えれば決して否定できないものであったり
同時に例に漏れずその能力自体が彼女を苦しめる一因になっていたりして

その背景には決して軽いものでなく
むしろ暗さや重さを感じさせるのだが
そんな中において逆に登場人物の触れ合いが温かく
自分の目で見えているものが本当に重要なのかということを
自然と考えさせてくれるものになっています

このことが現実感としては薄いこの物語を
感情的に近いものとして感じられるものにしているのではないかと思います

こうやって書くと少し小難しい話のように聞こえるかもしれませんが
文体は非常にやわらかくとっつきやすいもので
この文章で設定が深く考えさせるものがあるのが心地よいと感じさせてくれる
といったらいいでしょうか

この作品自体元々はある企画から始まったものらしく
短編として書かれたものをまとめたものとして刊行されているようです

現状では一巻完結のようですが
物語としては含みを残しながら終わるので
続編を作ることも可能だとは思うのですが
彼女らをまた事件に巻き込むのも野暮な気がしないこともない訳で
可能ならという但し書き付きですが
続編を期待したい作品です

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