先日神奈川循環器呼吸器病センターのびまん肺疾患の勉強会に参加してきました。本当に素晴らしい症例を厳選してくれ、本当に勉強になる会で、小倉先生はじめスタッフの先生方には感謝しているのですが、最近学会、研究会が非常に多く、我々の施設でも発表、座長担当などタイトな状態が続いたため、体調が持たず、11例中6例までの勉強になってしました。次回はもっと多くの症例を勉強していければと思います。
症例検討では、PPFE様の画像所見を来す原因として膠原病(関節リウマチ、シェーグレン症候群など)やIgG4関連疾患など治療可能な疾患が隠れていること、膠原病関連間質性肺炎において、嚢胞形成を来すものとして、シェーグレン症候群は有名ですが、関節リウマチも嚢胞形成を来すことがあるということ(RAの画像所見って多彩なのですね。自治臨床をまじめにしているとRA関連肺病変を研究したくなる気持ちわかります。まだまだ未知の世界がありそうですね)、慢性過敏性肺炎を疑うポイントとして、BAL中のリンパ球が多いというのはよく聞く話ですが、臨床的に家族内発症の症例、組織学的に(VATSかTBLCということになるかと思いますが)小葉間隔壁に沿った線維化病変の時にはCHPを鑑別すべきと教えていただきました。
その勉強会の中で、HPを疑い画像所見(HRCT所見)として「head cheese sign」という言葉出てきました。みなさん、知っていましたか?僕は初めて聞きました。
まず「head cheese」って知ってますか?僕はそれも知りませんでした。調べてみると「豚の頭や足などを細かく刻んで香辛料とともに煮てゼリーで固めた料理」にようです。
このような写真が載っていました。(あまり自分的には食べないような料理ですね)
つまり肺野のモザイク所見をより詳細に評価したCT所見のようです。
文献的には①high attenuation area(consolidation~ground glass attenuation)、②normal attenuation(density)、③low attenuation(mosaic perfusion)の3者が混在する所見と記載され、鑑別疾患として、①過敏性肺炎、②サルコイドーシス、③respiratory bronchiolitis、④マイコプラズマ肺炎、⑤DIPが挙げられ、もっとも重要な疾患として過敏性肺炎を挙げていました。
過敏性肺炎はモザイクパターンを来す疾患としては有名でありうなづけるところはあるのですが、high attenuation、low attenuation以外にnormal densityの箇所をきちんと評価(読影)するにはなかなか難しいのではないかと思いました。このあたりの読影のコツについては今後アドバイスをいただけたらと思います。では、「head cheese sign」を来す疾患で、過敏性肺炎以外の疾患はどうでしょうか?モザイクになることもあまり気にしないで診療しているように思うのですが、いかがでしょうか?胸部CT全体を見渡した時に、この「head cheese sign」にような所見があったら、鑑別の入れるということくらいにとどめておきたいと思います。
我々呼吸器内科医としては、通常のモザイクパターンについてはきちんと復習しておかないといけないですね。
一般的にはground glass attenuation(様に見えるのも含め)とlow attenuation(様に見えるものも含め)の混在所見を認めたときにどちらが異常かということをきちんと分析しないといけません。
ground glass attenuationが異常とすると有名な疾患はPCPかと思います。(免疫抑制状態になっているのでしょうか?チェックしましょう)
low attenuationが異常とするならば、「換気が多い(air trapping)」か「血流が少ない」かのどちらかですから、臨床情報、他のCT所見と組み合わせながら、診断していくことになるのかと思います。
「head cheese sign」はlow attenuationとhigh attenuationの両者が異常であると同時にhigh attenuationが薄い陰影から濃い陰影、さらには正常の領域もあるということで、モザイクさがとても複雑であるという描写に慣れて行けばいいのかもしれないですね。
びまん性肺疾患の画像診断とても難しい中で、少しでも診断に近づけるtoolを増やしていければと思います。