
先日ある呼吸器の勉強会に参加してきました。色々な症例を見させていただき、大変勉強になりました。
その時の一例で肺内転移を来たした良性腫瘍の症例がありました。
肺は全身諸臓器の悪性腫瘍が転移しやすい臓器として有名です。
胸部レントゲンにて肺内多発結節を認めると、鑑別疾患の上位に転移性肺腫瘍が挙げられ、
過去に悪性腫瘍の既往がないと、どこかに原発巣がないかどうか
検索するのが日常診療の流れかと思います。
その肺内転移を来たす原因のひとつとして
良性腫瘍
もあることをご記憶願えればと思います。
肺内転移を来たす良性腫瘍として子宮筋腫(平滑筋腫)、②脳髄膜腫、③骨巨細胞腫の3つが有名のようです。
子宮筋腫の肺内転移については一部の症例には子宮筋腫内の一部に平滑筋肉腫の部分があるのでは?
という報告があったり、
脳髄膜腫においてはWHO分類のgradeⅡないしⅢの悪性度のある腫瘍が多い?という報告があったり、
骨巨細胞についても悪性巨細胞腫のこともあるなど良性腫瘍ではない症例の転移症例もあるようですが、
一般的には
上記良性腫瘍においては肺を含め転移することがある
ということをご記憶ください。
良性腫瘍の既往歴についてもきちんと問診してくださいね。
組織学的に良性であるも臨床的に悪性である腫瘍としては浸潤性胸腺腫が有名かと思います。
進行すると、
縦隔に直接浸潤したり、胸膜播種、心膜浸潤を来たしたり、胸腺静脈に浸潤し、
上大静脈など大血管に浸潤したりととても奇異な経過をたどることがあります。画像だけ見ると、悪性腫瘍の胸腺癌より悪性の画像に見えることがありますので、日常診療では注意してください。
日常診療の参考にしていただけたら幸いです。