9月16日に2カ月ぶりのさいたま赤十字病院チェストカンファレンス(胸部画像カンファレンス)を開催しました。当日は「明解 画像診断の手引き」の収録を兼ね、さいたま赤十字病院から3例、上尾中央病院の大久保先生から1例提示しました。詳細は後日出版されます「明解 画像診断の手引き」を読んでいただけたらと思います。
そのなかの1例で、大久保先生が提示してくれた症例は無症状の肺内多発結節で石灰化を伴っていました。「多発結節」と「石灰化」のふたつのキーワードで組み合わせると自然と正解が導けるということでアミロイドーシスの症例でした。答えを聞いてしまうとその通りと思いますが、その場で答えを出そうとするとすぐに答えが出てこないという有り様で、とても情けなく思います。
せっかくですので、キーワードであるふたつの「肺内多発結節」と「石灰化と伴う結節・腫瘤」を整理しようと思います。
まず「肺内多発結節」ということでReedの教科書を紐解いてみると以下のように整理されていました。
腫瘍性疾患:
悪性→①転移性腫瘍(腎、消化管、卵巣、睾丸、黒色腫、肉腫など)、②悪性リンパ腫、③臓器移植後のリンパ増殖性疾患、④epithelioid hemangioendothelioma(EHE)
良性→①過誤腫、②AVM、③血管腫(現在はpneumocytoma)、④アミロイドーシス、⑤偽性リンパ腫
炎症性疾患
真菌(ヒストプラズマ、コクシジオイデス、クリプトコッカス、侵襲性肺アスペルギルス症)
ノカルジア
結核
寄生虫(hydatid cyst、肺吸虫)
敗血症性塞栓症
非定型麻疹
炎症性偽腫瘍、hyalinizing granuloma
血管性疾患
リウマチ結節(Caplan症候群)
GPA(以前のWegener granulomatosis)
器質化肺梗塞
外傷性血腫
慢性腎不全(石灰化結節)
と整理されていました。当然ながら「アミロイドーシス」も含まれています。
では「石灰化を伴う結節・腫瘤」はどのような疾患があるのでしょうか?
我々のバイブルである「Radiology Review Manual」では
Histoplasma、Hamartoma
Amyloidosis、Alveolar microlithiasis
Mitral valve stenosis、Meta(甲状腺、骨肉腫、粘液産生癌)
Tuberculosis
Varicella
Silicosis
と列記され、「HAM-TV Station」と整理するように書いてありました。そこにもアミロイドーシスは出ています。その他で両者が当てはまるのはヒストプラズマ(日本ではまれ)、過誤腫、転移性腫瘍、「HAM-TV Station」には含まれていませんが、EHE、hyalinizing granulomaなどのまれな疾患くらいしか当てはまらなくなります。ふたつのキーワードをうまく組み合わせることにより鑑別疾患が相当絞れてくることがご理解いただけるのではないかと思います。
まあまあ覚えやすいと思いますので、是非とも本日覚えてしまいましょうね。(少なくとも「HAM-TV Station」は覚えてくださいね)
今後の臨床にお役立て頂けたら幸いです。