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さいたま赤十字病院呼吸器内科 『こちら彩の国 呼吸器科』

さいたま市近隣での呼吸器診療に興味のある、
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モザイクパターンのCT所見を呈した心房中隔欠損症

2016年11月27日 | カンファレンス室

先日某呼吸器研究会に参加して来ました。そのときの症例検討にてモザイクパターンのCT所見を呈した心房中隔欠損症の1例を勉強させていただきました。モザイクパターン(モザイク灌流)は不均一な血流によっておこる不均一な肺濃度の低下を意味し、原因としては肺血管疾患と気道病変に分類されます。モザイクパターンを来す肺血管疾患として有名なのは肺高血圧症で、そのなかでも肺血栓塞栓症が高頻度とされ、日常臨床にて多々経験するかと思います。肺高血圧症のなかでモザイクパターンを呈するものは肺血栓塞栓症などの血管疾患が多く、心臓疾患、肺疾患による肺高血圧症ではまれであるとされていますが、文献的には心疾患による肺高血圧症の12%、肺疾患による肺高血圧症の5%にモザイクパターンを来すとされ、まったくないわけではないのです。我々日常診療の現状としては種々のモダリティーを駆使しながら総合診断をしていくわけですが、そのひとつにCT所見も有用です。モザイクパターンのCT所見を見たら肺血栓塞栓症などの肺血管病変と行きたいところですが、今回の心房中隔欠損症を含めた心疾患も鑑別に入れなければいけないというとても教訓的な症例だったと思いました。今後も注意してCT所見を読影していきたいと思います。ちなみに、心房中隔欠損症をしばしば診療している循環器内科の先生に聞いてみましたが、上記所見を呈した心房中隔欠損症症例は見たことがないと言っていました。決して多いわけではないですが、頭の片隅にとどめていただけたら幸いです。


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