破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

アニメ版「空手バカ一代」

2006年11月04日 23時51分24秒 | Weblog
少し前、マイミクさんの所でアニメの「空手バカ一代」の話題が挙がっていたので、ひさびさに観なおしたが、原作はもちろんの事、アニメ「空手バカ一代」も凄いですね~!ナニが凄いって、当時は「テレビまんが」と言われていたアニメだから子供向けなのに、最初の四話までは、出てくる連中は暴力団、娼婦、悪徳社長、暴力米兵などばっかり!(笑)主人公・飛鳥拳(大山倍達)も自暴自棄になって、ヤクザの用心棒になり飲んだくれてばかりいるし。
                                
  しかし吉川英治・著「宮本武蔵」を読んでから、「正義無き力はただの暴力!しかし、力無き正義もまた無意味!」と、自分の空手を生かす道を見つけてから救道者ぶりが全開する!
  納谷悟朗さんが声をアテているヤクザ・辰が「うちの組も、いずれちゃんとした会社にしたら、先生にもいつまでもヤクザの用心棒じゃなくて、会社の重役にしてさしあげますよ~。」と言ってやめさせようとするのを「ふふふ、俺は本物のバカかもしれんぞ!」と言って振り切り、山篭りを敢行。
  しかし一人ぼっちの孤独感に耐え切れなくなり街へ帰ろうとする自分を追い込むため、片方の眉をそり落とす。
「片眉のない人間は、なんと珍妙な顔だ。これぞバカの顔だ!恐れ多くも剣聖・宮本武蔵のマネをせんものとする、バカの顔だっ!!!こんな珍妙な顔ではもう街へ帰る事など出来ないッ!」
 「バカよ!あがけ、もがけ、のたうち這いずりまわれっ!」
 そして随所にあの名曲の主題歌で一気に盛り上げる演出!う~ん、燃えるねェ~!!!この作品、出崎統演出だったのですな!
                         
  山から下りて出場した「空手全国大会」に優勝!しかし当時の空手はその破壊力の危険性から、打撃は体に当てず寸止めだったが、「本当に当ててみないと、空手の威力はわからない。」と、直接打撃制の練習と試合方法をブチ挙げるが、あまりに危険な考えのため狂気の沙汰!と批難される。そのため人間ではなく牛に空手の威力を試すべく、人間対猛牛の死闘!と、益々モノ凄い展開に!そしてさらに飛鳥拳の人間味・人間性はむき出しになり、騙され裏切られ、悩み、悲しみ、怒るが、遂には
 「俺はバカだ!器用に世渡りの出来る、利口者にはなれない、みずからあえて困難な道を選ぶ、俺はバカだっ!」
と開き直り、主題歌の歌詞
「醜い利口になるよりは、綺麗なバカで生きてやる!」
  ううむ・・・人間、ここまで言い切り実践出来る者は何人いるだろうか・・・飛鳥拳の声は「科学忍者隊ガッチャマン」の総裁Xや「TVチャンピオン」のナレーションなどで感情を込めない無機質な喋りをしている田中信夫氏がアテているが、この作品では無機質な喋りとは対極に、思いっきり感情をむき出しにして、人間・飛鳥拳に血と肉を与えている。
                       
   そうやって自ら空手バカとなり前進するのだが、あいかわらず多くの障害・壁にブチ当たり、愛弟子・有明省吾を死なせてしまい、そしてまたも自暴自棄になり、遂には喧嘩で空手のコブシでヤクザを殺してしまうのだッ!つ、遂には、さ、殺人!!!ええッ?原作では「このドラマは事実であり、この男は実在するッ!」というフレコミで、アニメ化されても当時のケンカ自慢連中達は「ドキュメント」と信じて疑わなかったので、「オイオイ、大山倍達って、牛だけじゃなく、ヤクザもブッ殺してんだぞ!」と、大山倍達の武勇伝にハクが添えられ、それを固く信じていたものだったが、これでいいのか?・・・大山倍達の超人伝説の凄さの表現として大山倍達を「人殺し」にまでしてしまう梶原一騎の豪快さにはもう絶句・・・!
  更に、この「空手バカ一代」を元に、千葉真一主演で実写映画化された「けんか空手 極真拳」、ありゃ凄いですね~!!ヤクザを殴り殺しただけじゃなく、石橋雅史さんをはじめ、敵対する空手道場門下生をブッ殺しまくってますからね~!!!この作品世界観には警察や法律というのは存在しないのか?と思わず思ってしまいます。宮本武蔵の「一乗寺下がり松の決闘」のパロなのだが、当時のケンカ腕自慢の連中はみんな、本当の話と信じたのだろうッ!(ウチの学校のクラスの同級生らはみんな鵜呑みにしていたのだから恐ろしい・・・)
                          
  もちろん、ドラマの展開は、警察から正当防衛が認められ、殺してしまったヤクザの遺族のため、牛馬のごとく働き荒地を農地に変え、遂には許しを得る怒涛の展開!このヤクザの親子とそのまま暮らせばそれなりに幸せが得られたものの、超人追求の夢に走り、渡米してプロレスラー、ボクサー等と、生死を彷徨う戦いを繰り広げる!
   ・・・萌え要素一切ゼロ!の超硬派アニメで、現在の格闘技ドラマとは違う剛直な作品、こんなアニメはもはや製作される事はないだろう・・・。
  
   インサートされる実写部分に、山崎照朝、大山茂、中村忠、添野義二といった当時のそうそうたる極真の猛者達が登場!山崎照朝は当時、梶原一騎先生により極真イチオシの選手だったから、添野義二と共に原作にも登場していた。現在は「逆真空手」館主。 そして!ビール瓶切りシーンでは遂に御大・大山倍達本人がお出ましで、燃えますね~!!!

  ところで順番からいったら納谷悟朗さんは、この作品でお調子者のヤクザ「辰」役や悪徳マネージャー・トッド若松など、悪役を演じた後、あの漢・沖田十三艦長を演ったのですな!。