ようこそ我が家へ! ルース&のあ

放棄されて失われかけた小さな命たち。その成長の記録です。

保護センターのこと。

2010-01-31 21:47:25 | センターレポート

私が関わっている、動物レスキュー団体「ちばわん」サイトの中に「センターレポート」というコーナーがあります。千葉県の、とある動物保護センターに定期的に訪れ、現状を報告するコーナーです。

「ちばわん」はこのセンターから多くの犬猫を引き出し、いぬ親、猫親さんを探す活動をしています。センターには毎日多くの犬猫が保護(捕獲)されてやってくるばかりではなく、飼い主からの持ち込みも多くあります。


              

日本における動物保護の歴史は、私たちが今、普通に考える動物愛護の考え方とは多分に大きな開きがあると思います。私たちが考える動物愛護&保護とは、飼い主から捨てられたり、迷子になった可愛そうな動物たちを保護し、飼い主の元に返したり、新しい飼い主を探したり、必要な世話をして、野生動物なら野生に返す、というようなイメージがあると思います。

しかし、実のところ日本の動物保護は動物を愛する云々ではなく、公衆衛生の概念から発しているのです。かつての日本では動物からの感染症や、動物による傷害が多く発生していました。そういう動物たちから我々人間が害を受けることのないために、いろいろな法律を整備してきたという歴史が動物保護概念の根底にあります。

一番おなじみなのが畜犬登録と狂犬病の予防接種でしょう。確かになじみはありますが、今日の日本で狂犬病というものを実際に見ることはありません。公衆衛生のために施行された法律が功を奏した例です。かつては多くの人が狂犬病で命を落としました。狂犬病は感染するとほぼ100%死に至る、恐ろしい病気なのです。狂犬病の予防接種をするのは、犬を守るためではなく、感染した犬によって人が狂犬病に感染するのを防ぐためです。

センターのように動物を収容するための施設が設けられているのも、基本的には人に対する感染症を持っている可能性のある動物や、人を襲って怪我を負わせる可能性のある動物を捕獲し、隔離するために設置されているわけです。実際に、私が子供の頃(40年以上前)には野良犬や放し飼いの犬による咬傷が非常に多かったものです。

では放浪していたり、野生化した動物以外の、持ち込まれた動物を受け入れるのはなぜでしょうか?それは、たとえば飼い主を咬む、あまりにいたずらがひどくて耐えられない、転勤先が犬猫を飼えない環境、経済的に飼えなくなった、吠え声で眠れない、近所迷惑…などなど、動物がいることによって自分の今の生活が脅かされると訴える身勝手な飼い主に対する、行政の立場的な弱さがあるからだと思います。行政というのは国民の福祉を守るための機関である、というのが大前提ですから、生活を脅かすと言われれば、受け入れざるを得ません。受け入れないとそこら辺りに捨てられて、それこそ「害獣」になって人に危害を加えられても困るから、というのが理由でしょう。

また、動物の位置付けも法的には、私たち現在の多くの日本人が抱くイメージとはかけ離れたものです。法律的に犬猫、その他動物はすべて「物」であり、所有物なら「財産」として認識されています。ですから殺せば「器物損壊」。盗めば「窃盗」となります。人間なら「殺人」「誘拐」ということになります。

ですから現行の動物愛護に関する法律も、この域を出てはいないため、罰則も人に対するそれとはまったく比べ物にならないほど軽いのです。

センターに収容された犬猫は「器物」であり「拾得物」であるため、一定期間は、飼い主(落とし主)が現れるのを待ちます。でも、飼い主(落とし主)が現われなかったら物として処分されるわけです。法律というのは非常にシビアでクールなものだと思います。



              


さて、最初の動物保護センターのお話に戻りましょう。

ちばわんのセンターレポートをご覧になって、犬たちを、ずいぶん不衛生で冷たそうな場所に放置しているなぁと、思う方がおられると思います。私もかつてはそうでした。

しかし本来は犬猫をただ収容するだけの箱としての施設であり、医療面、衛生面を、さほど考慮する必要のない場所として建設されているのです。清掃はきちんとされています。でも収容される犬猫が多くて、すぐに汚れてしまいます。冷暖房設備などは当初からありません。設置したくても設置基準にない(器物ですから)ため設置できないわけです。

それでも多くのセンターでは予算を捻出し、ボランティアの助けを借りて、毛布やヒーター等を用意し、必死で命を守ろうと努力をしています。予算のない中、できる限りの医療的ケアも行なっています。

もし犬猫その他の動物を、人を害する恐れのある危険な拾得物として一定期間預かり、処分するのが動物保護センターの仕事なら、わざわざ面倒くさそうな(失礼!)動物保護団体やレスキュー団体に引渡したり、栄養・医療管理をしてまで預かる必要はないはずです。

しかし現在多くのセンターでは、独自に譲渡会を開いたり、保護団体と協力し、犬猫の譲渡を行なっています。ちばわんなどのボランティア団体に引渡した犬猫は、新たな飼い主となった方々の名前・住所・畜犬登録番号まで追って、きちんと飼われているかどうかを確認します。これは大変な労力だと思います。

なぜそのような労力をかけてまで本来業務ではないことを行なうのか?それは、やはり動物は「物」ではないからでしょう。当たり前のことですが、毎日近くで接しているセンター職員の方々こそが、そのことを強く肌で感じておられることだと思います。

センターの現状を見て批判するのは簡単ですが、汚いと思ったら、清掃ボランティアも出来ます。床が冷たそうだと思ったら、毛布やタオルを寄付することもできるでしょう。いろいろな助けを求めているセンターは数多くあると思います。センターに行くまでもなく、自身が動物を飼う際、ペットショップやブリーダーから購入するのではなく、保護動物を迎えるのが何よりだと思います。

お会いしたことはありませんが、ブログ仲間の「コロリ達の母」さんは、ご自身も保護犬・猫と暮しておられますが、姪御さんが犬を飼いたいとおっしゃったときに、ぜひ保護犬をと勧めて飼ってもらったそうです。啓蒙することも大切な保護活動の一つだと思います。


どうかセンターが動物を粗雑に扱っている酷い場所、というようには考えないでください。センターでは毎日、並大抵ではない努力がなされているのです。さまざまな矛盾や、やり切れない思いと闘いながら、センター職員の方々は働いておられます。


そして、私はその皆さんの努力のおかげで可愛い可愛い家族を迎えることができました。心から感謝しています。ありがとうございました。



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今も寒い夜を冷たいコンクリートの上で過ごしているセンターの犬たち。この子たちも我が家の犬もまったく同じ命。もし手を差し伸べてくださる方が一人でもいらっしゃれば、一匹の命が同じように、暖かい家で過ごすことができます。

そんな方がいらっしゃったら、是非こちら
「センターレポート」をご覧下さり「ちばわん」までご連絡ください。

なお、センターレポートをご覧になってのお問い合わせは、センターではなくて
「ちばわん」までお願いいたします。
問合せ先:korotarouhs★nifty.com(担当:吉田)
(★を@に変換して下さい)



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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (柴犬家族ふうママ)
2010-02-01 17:58:45
ルルのあ父さん
こんにちは。雪になりましたね。
わが市は明日の朝がこわいですね。

センターについての大変素晴らしい記事、読ませていただきました。
ブログで紹介させていただいてよろしいでしょうか?
ふうママ様 (ルルのあ父)
2010-02-01 23:50:00
ようこそおいでくださいました。ありがとうございます。

ご紹介いただくほどの文章ではないと思いますが…ただの雑感ですから。
でも良かったらどうぞ^^;
Unknown (柴犬家族ふうママ)
2010-02-02 00:24:11
ありがとうございます。では早速。
Unknown (柴犬家族ふうママ)
2010-02-02 00:27:57
URLを忘れました。すみません。
ふうママ様 (ルルのあ父)
2010-02-02 21:33:41
ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
Unknown (コロリ達の母)
2010-02-06 08:47:31
何か照れますワン
暮らしておられます・・・・やなんて
皆、縁あって家族になりましたが
ワン達ニャン達に超々癒されて
毎日を過ごしています
オッサンだけの生活は・・・・
考えたくもありませぬ(汗)

センター職員の方、ボラされてる方達の努力が
少しでも報われる国になれば良いですね
ほめて頂いたので
自慢の口で啓蒙活動続けます(笑)
コロリ達の母さま (ルルのあ父)
2010-02-06 22:26:32
いえいえ、本当に何気なくしているのが一番だと思います。可哀そうだから、社会を変えたいからなんて、力が入っていると何も出来ません。本当に癒されますよね。逆にワンニャンから愛情と力をもらっているような気がします。

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