風の回廊

風を感じたら気ままに書こうと思う。

テレビを見ない時間は―たとえば『外交青書』を読む

2010年04月07日 | 日記
幼い頃からテレビばかり見ていた反動なのか、ここ12、3年ほとんどテレビを見なくってしまった。実は反動ではなく、子供たちが通った保育園は、幼児番組も含めてテレビを見せないように、8時には寝かせるようにというきついお達しがあって、その理由も十分理解できたので、テレビを見たかったけれどそれまでの生活を変えたわけです。

だいたい、共稼ぎの夫婦が8時に子供を寝かせることが、どのくらい大変か察していただけば分かるように、当然テレビなんか見ている時間はなく、8時までに家事のすべてが終わるわけではなく、片方が寝かしつけている間に、片方は食事の後片付けや膨大な量の洗濯があって、それも古典的な洗濯板で手洗いしなければ落ちない汚れものばかりで、ようやく家事が終わりほっとするのは、10時を過ぎくらいになり、ゴールデンタイムを過ぎた番組なんて見たくもなく、それも途中からだなんて冗談じゃない。そんな中で唯一見ていたのは『ER』だけで、後はレンタルビデオ屋全盛期の頃でもあり、映画ばかり見ていたな……

そんな生活をしていると、世の中のことが分からなくなってしまうんじゃないかと思われがちだけど、ところがどっこい、ニュースや報道番組を含めてテレビを見ない方が、世の中がクリアーに見える……というのがこれまでの僕の結論です。
しかし、それではいかにもということで、朝日新聞と地元の上毛新聞の2紙をしっかり読んでいたわけだけれど、昨年春先からのあまりに酷い記者クラブメディアの小沢パッシング、小沢ネガティブキャン♪キャン♪ペーンに新聞に愛想が尽きてしまったので、朝日新聞を止め、上毛新聞だけを読んでいます。

別に小沢ファンではないけれど、冷静に俯瞰的に見れば、小沢さんが政権交代を可能にした核であることは間違いないところだし、政権交代以降日本の舵取りの中心になることは明白なことで、冷静さを著しく欠き、中立性が損なわれたネガキャンなんかゴミにしか見えなくなり、ゴミにお金を払う必要などないと思ったからです。
上毛新聞も内容はだいたい同じようなものだけど、中央の政治経済、社会、また国際記事は、共同通信社の配信記事なので(地方紙のほとんどが共同通信記事を貼り付けただけです)、通信社の性格上、あまり主観的な論調はなく、淡々と述べている記事が多いので、その程度なら許せるか……という妥協の産物でもあり、また、ぜんぜん報道にふれないのもいかがなものか……という多少の報道への未練もあったりする今日この頃です。

じゃあ、C-moonさんは、いったい何をソースにややこしい政治コラムを書いているの?と訊かれれば、偉そうに、「これまでの積み重ねだよ」と答えたいけれど、わずかな積み重ねは、確かにあるものの、風の前の塵のようで、吹けば飛んでしまう積み重ねだから、それだけでは追いつくはずもなく、ネットから一時的な情報――記者会見のノーカット動画、インタビュー、生討論会、省庁のHPなどなど――や二時的な情報として――国内外の論文、ジャーナリストのコラム、ブログ記事、参考程度にメディアのオンラインニュース、読めないけれどワシントン・ポストネット版などなど――をテレビを見ない時間に見て、健闘と言えない検討をしながら書いているわけです。

これまでもマイミクさんの何人かが「C-moonさんは、こんなにたくさんの文章を書いていて、いったいいつ寝ているんですか?」と心配していただいたり、訝しそうに「よくこれだけのたくさんの文章を書けますね?」という言葉の中に、『あんた、いったい何してんの?相当暇なんだね』という意味が感じられる言葉をいただいたことがあるけれど、テレビを見なければ、結構書けるものなんですね。
今も小説ブログは続いているし、何とかなるものなんですよ。

閑話休題……
(閑話休題を「さて本番が終わり、後は閑な話題になります」って意味で使っている人を時折見かけますが、逆ですよね。「閑な床屋談義が終わり、これから本番ですよ」というのが本当の意味ですよね)

報道は、今、平沼新党――「たちあがれ日本」という、70歳を過ぎた人ばかりが集まった、へたれ自民党第三分室を自ら鼓舞するような笑っちゃう党名だけれど――の話題満載ですが、僕はこんな夢や希望もない新党なんかどうでもよくて、報道の中で目についたのは、昨日閣議承認された『平成22 年版外交青書要旨』です。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2010/pdfs/yoshi.pdf

すでに新聞等でも報道されましたが、日本とアジアについて、日米関係ついて、要旨をもっと短くまとめてみました。


◇国際的枠組みの変化
冷戦終結後、歴史転換期へ向かい、イデオロギーによる東西対立の時代から、国際関係の軸が多様化し、グローバル化を伴い地球規模の課題が国際関係に占める割合が大きくなり、地域単位での協力と統合が図られ、競争力と存在感を構築する流れが生まれ、拡大強化されている。
EU(欧州連合)は、拡大と深化が繰り返され、ASEAN(東南アジア諸国連合)の共同体形成の加速化し、AU連合(アフリカ連合)が創設され、一国間どうしの外交を基本としながらも、連合体関係の外交が、今後より活発化されるだろう。

こうした中で日本も「東アジア共同体」構想を長期的ビジョンとして掲げ、貿易・投資・金融・環境・教育「いのちの文化」等の可能な分野から、開放的で透明性の高い地域協力を進め、地域協力の強化に向けて積極的に貢献していくとともに、APEC(アジア太平洋経済協力会議)の新たなビジョン作りにアメリカと共に連携してゆく。

◇新たな協調の時代の到来
21世紀到来の国際社会の大きな特徴は、気候変動をはじめとする地球規模の環境問題と核軍縮・不拡散の課題で、この二つが新たな国際協調を結集させてゆくことになるだろう。

◇安全保障上の脅威の多様化
冷戦後に生じた国際環境の変化の一つとして、国際テロや海賊事案の増加が挙げられる。

・テロリズムの脅威への対応
アフガニスタンにおいて、同国政府と国際社会が協力して、テロ撲滅のために取り組んでいるが、治安の憂慮すべき問題は解消せず、オバマ新政権の新戦略である、アフガニスタンへ責任の委譲するための軍事力の強化と民主支援の強化、隣接するパキスタンへの支援強化にNATOはじめ、25カ国が増派を表明した。
日本は、アフガニスタンの自立的発展のために支援として09年から5年間で最大約50億ドルを支援し、パキスタンには2年間で最大10億ドルを支援する。

・ソマリア沖海賊への対応
貿易立国日本は、海上の安全を図る責任の一環として、無政府状態が生んだソマリア沖の海賊対策として自衛隊と会場保安庁を派遣し、海賊行為対処行動に加え、ソマリア情勢の安定化の支援と海上取締能力向上に向けた支援を行っている。

・北朝鮮への対応
北朝鮮は関係各国が自制を求めたにかかわらず、核実験、ミサイル発射実験を繰り返しており、日本は直ちに抗議し、また国連の安保理では、議長声明を採択し北朝鮮を非難している。

・イランへの対応
イランは北朝鮮と共に、核開発で国際社会の注目を集め、オバマ政権対話による問題解決を標榜したが、新たな濃縮ウラン施設建設が明らかになり、予断を許さない状態が続く中で、日本は国際社会の一員として主要関係国と緊密に連携し外交的解決を図るとともに、イランとの独自関係に基づき働きかけをしている。

◇地域別に見た外交
アジア
・アジアにおいて注目すべきは、「世界の成長センター」と称されるほどの経済力とその成長で、ASEAN+6(日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)で世界のGDPの23%、APECが53%を占め、さらに増加傾向である。特に世界経済危機・金融危機以降、アジア新興国を中心とした景気回復は、世界経済をけん引する役割を果たしている。

・冷戦後も日本の周辺の安全保障は、「不確実・不安定要因」が存在し、北朝鮮の核開発、弾道ミサイルの脅威、中国の経済成長と増大する軍事力と台湾海峡の緊張感があげられる。

こうした状況から、日本の平和と安全確保するためには自ら防衛力を整備しつつ、さらに日米同盟を外交の基軸としてアジア太平洋地域の平和と繁栄を支える公共財として、さらに進化させてゆく必要がある。また、「東アジア共同体構想」が提唱されるのも、まさに日米同盟がその基軸にあるからこそで、アメリカとの関与を強化しつつ地域協力を着実に推進していく。

◇日米関係
日米両国は、普遍的価値及び戦略的価値を共有する同盟国であり、日米安全保障体制を中核とする同盟は、60年以上にわたり、日本と極東に繁栄をもたらし、アジア太平洋地域における安定と発展のための基本的な枠組みとしても有効に機能してきた。
日米関係は、政治、安全保障、経済、文化等の幅広い分野で極めて密接であり、こうした面からもアジア太平洋地域の平和と繁栄に寄与してきており、「不確実・不安定要因」という状況の中で、日米同盟の深化は、アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎として不可欠な役割を担っていく。

だいたいこんな感じですが、いかがなものでしょう。
官僚に押し切られたな……という印象をぬぐいきれません。その根拠と僕の意見は、次回に。


                                続く



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