風の回廊

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報道から本質を探るために僕がしてきたこと~小沢問題から(5)

2010年01月28日 | 日記
これまで4回にわたり“小沢問題から”とテーマの末尾につけて、検察の捜査の姿勢とマスメディアの報道の批判をしてきました。批判の元となる捜査、報道を分かりやすくするために“小沢問題”としましたが、小沢さんの疑惑の真相の追究が目的ではなく、その背後に僕が知り得る戦後の歴史の中にずっと流れ続けている官僚の権力とマスメディアの権力に、翻弄され支配され続け、本来受けるべき多くの国民の利益が、今回もまた受けられなくなってしまうのではないか……民主主義の危機。そんな危惧を強く感じているので、ささやかではあるけれど、僕なりの意見を書いてきました。
 この意見に対し、足跡からこれまでにない多くの人に訪れていただいたことが分かります。コメントをくださった方々は、内容から真摯にこの問題を受け止めていることが判ります。訪れていただいたすべての方にとても感謝しています。
しかし足跡数の割にはコメントが少ないかな……とも感じたのですが、コメントしにくい問題だということも十分承知しています。また、反対意見は書きにくく躊躇った人もいると思います。そして、大きく分かれる報道や意見によく分からないという人。何を信じていいのか分からなくなってしまった人……
察するところが多いです。
 
 マスメディアが生みだす大量の情報の中から、できれば本質を見極めたいために、20歳の頃から僕が取ってきた報道への姿勢、方法があります。
そこから導き出されたもの、僕なりに感じたことを、今回の事だけではなく、これまでも日記欄の中で何度か書いてきました。
その姿勢と方法のいくつかを今日は書いてみたいと思います。

◇権力、体制から遠くに位置し俯瞰的に見つめること―常に自分を改革勢力の一部であると認識すること。
◇物事を多面的に複層的とらえること。
◇平面的な二元論に陥らないこと。
◇系譜を見つめること。繋がりを探すこと―総論を自分自身で構築すること。
◇主観と直観を大切にすること―実感主義
◇より現場に近い情報を大切にすること。

こんな姿勢で長く報道に臨んでいると、大量の情報に惑わされにくく、本質が見えやすくなるものです。
もちろん僕にとっては、ということですが。

 学生の頃、戦後国際政治――特にアメリカ現代政治に興味を持ち勉強しました。その過程で得たことが多かったと思います。特にベトナム戦争とカンボジア内戦を勉強する中で得たことです。
ベトナム戦争は終わっていたけれど、まだ生々しさが消えていませんでした。そしてカンボジア内戦の実態がようやく報道され始めた頃でした。
 新聞記事の中で大切にしたのは、ルポルタージュとAP(アメリカ)、UPI(アメリカ)、AFP(フランス)、ロイター(イギリス)、新華社(中国)、共同(日本)などの通信社が、現地から送る小さな記事です。ベトナム戦争も、カンボジア内戦もインドシナ半島で行われました。旧支配国フランンスと当事国のアメリカ、ベトナムとカンボジアをバックアップしていた中国の通信社の報道は、新聞記事とすれば一番新鮮でした。
 沢田教一さんや石川文洋さん、一之瀬泰三さんたちが、戦場の最前線で、命がけで撮った写真が、一枚数十ドルで買われ、通信社から新聞社や雑誌社に配信された写真を見るのは、時間的なリアルさはなかったけれど重く新鮮でした。
日本の新聞社の論調は、当時、朝日新聞を除くとアメリカを支援していた政府寄りの論調だったので参考程度です。
フリージャーナリスト、フリーカメラマンの最前線での記事や写真は、大手マスメディアの紙面を飾ることは少なく、週刊誌に記載されていたので、週刊誌(雑誌)も大切にしました。
これは海外情勢だけに言えることではなく、国内情勢についても言えます。
片手に朝日新聞、もう片方の手には、朝日ジャーナル、週刊朝日、週刊現代、週刊ポスト……こんな時期がありました。
 
 古い記事を探すのは、“大宅壮一文庫”に行きました。
大宅壮一は、ご存知のようにマスコミの帝王とも呼ばれ、一時代を構築した優れたジャーナリスト、社会評論家です。そして膨大な資料を持っていて、図書館として公開していました。その蔵書のほとんどは雑誌で、利用者のほとんどは、ジャーナリストでした。
たとえば、『ポル・ポト』と受付で調べたい人をカードに記入します。
ポル・ポトに関する記事が掲載されている雑誌が、一回10冊置かれます(有料)。
それを読んだり、コピーするわけです。新聞やテレビでは味わえない、独特な情報でした。
http://www.oya-bunko.or.jp/(一度いかがですか?)

 その頃新聞社でバイトしていたので、様々な新聞を読むことができましたが、常時2社の新聞を購読していました。朝日+読売 、読売+毎日、毎日+産経、朝日+世界日報(共勝連合という右翼の政治紙)、朝日+新聞赤旗、こんなふうに記事にまみれることも僕には必要なことでした。聖教新聞も1ヶ月購読したことがあります。

 今はこんなふうにできませんが、それに近いことはできます。もっと大量に情報を仕入れることができます。インターネットによって、大手マスメディア以外からの情報を、簡単に読むことができます。
問題の多い記者クラブに属していない、クロスオーナーシップの外にいる、活きのいいフリージャーナリストは、インターネットから、生々しい情報を送り続けています。
同じ記者会見でもテレビ以外のカットなし、論調なしの映像を見ることができます。外野の意見に惑わされることなく感じ、考えることができます。
世界中から発信された情報、世界中から届く映像を手に入れることができます。

 もはや大手マスメディアの情報は、長い間思い続けてきた正統的な情報ではなくなっています。異端とされてきたきらいのある、フリージャーナリストの情報、インターネットからの情報の中に、真実を見つけられることが多いように思います。これは僕の実感です。

 新聞とテレビからの情報の中に浸っていると、現況からいえば、権力にしてやられます。
特に今回の小沢問題では、検察、マスメディアに対する批判は、インターネットから生まれています。大手マスメディアからは、皆無と言っていい状況です。
そんな中から、ぜひ問題の本質を探り当ててください。


原口総務大臣は、ツイッター上でhttp://twitter.com/kharaguchi
海外メディアの「報道の5原則」をつぶやいています。

◇原則1「推定無罪の原則」
(最初から有罪であるよう印象づける報道はしないこと)

◇原則2「公正な報道」
(検察の発表だけをたれ流すのでなく巻き込まれた人や弁護人の考えを平等に報道すること)

◇原則3「人権を配慮した報道」
(他の先進国並みに捜査権の乱用を防ぐため、検察・警察の逮捕権、家宅捜索権の行使には、正当な理由があるかを取材、報道すること)

◇原則4「真実の報道」
(自主取材は自主取材として、検察・警察の情報は、あくまでも検察・警察の情報である旨を明記すること)

◇原則5「客観報道」(問題の歴史的経緯・背景、問題の全体構図、相関関係、別の視点などをきちんと報道すること)

このことをひとつの物差しにして、情報を見て感じれば本質がよりクリアーになるはずです。



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