風の回廊

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検察の暴走と大手マスメディアの堕落~小沢問題から(8)

2010年02月09日 | 日記
すでにご存じの方がたくさんいらっしゃると思いますが、石川議員女性秘書監禁事件は――事件と言ってもぜんぜんおかしくない状況――衆議院議員・鈴木宗男氏のブログや、フリージャーナリスト上杉隆氏による『週刊朝日』での記事や、いくつかのメディアでしか報道されていません。
大手マスメディアは、知っているのになぜ報道しないのか疑問が多いところです。
ネット上ではすでに古いニュースに属していますが、知らない方はぜひご覧になってください。


《検察暴走! 子ども”人質“に女性秘書「恫喝」10時間》(週刊朝日2月12日号 上杉隆署名記事より)

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 検察の捜査手法については、私は先週号の「週刊朝日」(2月5日号)で、検察が石川議員に対して、「あの女の秘書、小さな子供がいるんだろう。(事情聴取に)呼ばれたら、困るんじゃないか?」
と、“恫喝”していた事実を報じましたが、その記事が書店に並んだ1月26日、件の女性秘書がいきなり検察に呼ばれ、10時間近くも事情聴取されたのです。
(「小沢捜査の争点 鈴木宗男、藤本順一、上杉隆の対談より上杉氏の発言)


 1月26日(火)の昼ごろ、石川事務所に「タミノ」と名乗る男から電話があった。女性秘書に検察庁に来てほしいという。
女性秘書が「今日も押収品の返却ですか?」と確認すると、タミノは「そうです、あと、ちょっと確認したいことがあるので」と返した。
よく聞き取れなかったので、もう一度確認すると、「返却です」と答えた。
女性秘書は、1月15日の石川逮捕以来2度(22日、25日)検察庁から呼び出しを受け「押収品」の返却に応じている。
今回も同様の案件だと信じた女性秘書は、ランチバッグ一つで検察庁に向かった。 
霞が関から議員会館のある永田町からは一駅である。前日と同じように、コートも着ずに薄着で出かけた。ランチバッグの中には千円札と小銭、ティッシュとハンカチ、携帯電話だけである。

 検察庁に着くと前回までとは違う部屋に案内される。
するとそこには民野健治という検事が待っており、いきなりこういい始めたのだ。
「被疑者として呼んだ。あなたには黙秘権があるので行使することができる。それから~」
事情を把握できずパニックになった女性秘書が、ほかの秘書か弁護士に連絡したい旨を告げると、民野健治はそれを無視して、逆に、携帯電話の電源を切るように命じ、目の前でスイッチをオフにさせたのだ。
それが昼の1時45分。だまし討ちの「監禁」はこうして始まった。

 任意の事情聴取は、文字通り「任意」である。
よって、被疑者であろうが、参考人であろうが、当事者の同意が必要なのは言うまでもない。
仮に、拒否しても、その場を立ち去っても問題はない。
拒否も国民の当然の権利である。
ところが今回「聴取」というだまし討ち監禁は、そうした意向を問うこともなくスタートしている。
 
 民野健治(検事)は、女性秘書に小沢と石川が共謀していたことを認めるよう迫り続けた。だが、彼女がそんなことを知る由もない。
女性秘書は石川が小沢の秘書をやっているときは、別の民主党議員事務所に勤めていたのだ。
しかも、当時は与野党に分かれており、自由党の石川秘書についてはその存在すら知らなかった。
そんな彼女が、小沢事務所の会計事務のことを知るすべはない。
その旨を正確に述べると、検事は次のような言葉を並べるのだった。
「いいんだよ、何でもいいから認めればいいんだよ」
「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」
「何で自分を守ろうとしないの。石川をかばってどうするの」
こうした言葉をさんざん浴びせられたが、知りようもない事柄を語れるはずもない。
そこで黙っていると民野健治はこう言い放った。
「あんた、何も言わないのは愚の骨頂だよ」

 取り調べ室では時刻もわからない。もうずいぶん時間も経過したのだろう。
ふと見るとそれまでブラインドから差し込んでいた外の光が暗くなっている。
3歳と5歳の子供が待っている保育園に迎えに行かなければならない。
夫でも誰でもいいから迎えに行かなければ、幼い子供たちも心配するだろう。
取り調べ可視化 これじゃ無理だ。
女性秘書は検事に対して、繰り返しお迎えの許可だけを懇願する。
一時的でもいい、必ず戻ってくる。せめて電話を入れさせてほしいと哀願し続けたのだ。
そして、母親の子供を思う気持ちが昂ったその時、検事の発した言葉が、先の「何言っちゃってんの?そんなに人生、甘くないでしょ?」という台詞だったのだ。
その言葉を聞いて、母親はパニック状態に陥った。
手が震え出し、自然に涙がこぼれてくる。
ついには呼吸が荒くなり、過呼吸状態に陥った。
飲み物を所望する。ご希望をどうぞ、と言われたので、「お茶をください」と言った。すると民野健治は事務官を呼び、庁内にあるローソンに買いに行かせた。事務官が戻ってきてお茶を出すと同時に検事はこういったのだ。
「120円、払ってください」

 一方、昼間に出かけた女性秘書の帰りがあまりに遅いため、石川事務所のスタッフたちもさすがに心配になってきた。
ちょうどそのころ、検察庁から一本の電話が入った。
「○○さん(女性秘書の名前)からの伝言です。
 今日は用事があるので事務所には帰らないとのことです」と、男の声で名前も名乗らず、それだけ言うと一方的に切れたという。

 日が暮れて数時間がたつ。
子供の迎えの時刻が迫ってからは「せめて主人に電話をさせてほしい」「ダメだ」というやり取りの繰り返しになる。
あの小沢一郎の事情聴取ですら、準備に準備を重ねて弁護士を連れ、自らのホテルの部屋という条件で行われたのだ。しかも4時間半である。
一方、女性秘書の「監禁」時間はすでにこの時点で5時間を超えている。
だんだん思考能力も低下してきた、と、のちに弁護士にも語っている
この母親が何百回、同じ「哀願」を繰り返したころだろう。
ようやく検事が「じゃあ、旦那にだけは電話していい」と認めた。
検事の目の前で携帯のスイッチをオンにし、画面に夫の電話番号を表示し、それを見せながら発信ボタンを押した。
子供の迎えだけを頼んだ。
それから次に弁護士への通話をお願いし、しばらくして同じように許可された。
 
 弁護士が検事と「聴取」の中断を交渉し、午後10時45分、事務所を出てから約10時間ぶりに女性秘書は「監禁」から開放されたのだった。
結局、「押収品」は一つも返してもらえなかった。
つまり、東京地検特捜部は、最初からこの若い母親をだまして「監禁」することが目的だったのだ。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 地検特捜部が女性秘書に対してしたことは監禁と拷問のように思えてなりません。少なくとも人権無視は甚だしく許されることではありません。
上杉氏は最高検の検察適正取り調べ確保方策について次のように述べています。

「2008年に最高検が出した『検察における取調べ適正確保方策』に関する諸通達では、長時間の取調べ、休憩なしの聴取などを禁じている。今回の“監禁”はこれに明白に違反している」

 女性秘書を参考人にしようとした聴取のやり方は違法であるし、それを知っていて報道しない記者クラブメディアは、すでにジャーナリストの良心を失っている。
記者クラブのメディアがなぜ書かないかと言えば、ひとつには発表もない記事を書こうものなら検察により記者クラブの出入りをしばらくの間禁止されるからです。
しかし、権力と戦うのがジャーナリストの役割ではないのか。戦わないジャーナリストは、自ら退場するしかないと思う。主権は国民にあって権力にあるわけではありません。
権力による主権の侵害を見逃しているジャーナリストは、堕落していると言うほかありません。
そして、検察の横暴、暴走は、絶対に許されないことです。

 この記事が世間の目に触れてから、地検特捜部は週刊朝日に抗議文を送りました。そして山口編集長に出頭せよ、との命令を出したと言われています。朝日新聞社はこの事実を必死に隠そうとしましたが、すでに大手メディアでも一部報道され、ネットでは、当たり前の事実として報道されています。抗議文はもちろん出頭命令も事実です。
これに対し、上杉氏は地検特捜部に抗議文を出しています。

 私たちは、検察とメディアが同じ方向に向いたまま進んで状況をどう感じているのか。
小沢が好きとか嫌いとか、民主党を支持しているとか、支持していないとか、そんな問題ではありません。この国の人々が、官僚やマスメディアから、見下されている危うい状態です。
 魂を失った大手メディアのジャーナリストの報道に踊らされ、一連の小沢捜査、元秘書の捜査で、一方的に小沢が悪いと決めつけている人がいかに多いか……
もういい加減に目を覚ました方がいいのではないかと思います。
良心的なメディアは、すでにネットを通じてマスコミ含めた権力の告発を始めています。
(特にツイッターは早く、質のいい情報がたくさん流れています)ずっと前からです。知らなかったでは済まない状況が生まれています。
無知はけして善とは言えず、権力を助長させ必ず国民に不利益を与えます。無知は知らないことだけではなく考えないこと、また想像力と創造性の欠如が生み出すものです。
その結果、民主主義の正当な手続きで成し遂げた、歴史的政権交代の意味を破壊させたくないものです。
 もしこの政権が示したことが実現できたら、東洋のビロード革命と位置付けられるかもしれません。
私たちは今、歴史の大変換期に遭遇しています。変換するのも元に戻すのも私たちの手に委ねられています。


◇今日の週刊朝日によれば、民野検事に不当監禁された石川議員の女性秘書は、精神的ショックからいまだに職場復帰できないでいる(医師の診断書つき)。
これが事実なら民野は特別公務員職権濫用致傷罪(刑法196条・194条)に該当する可能性がある。法定刑は最高で懲役15年。


*画像右:東京地検特捜部 佐久間部長


小沢問題シリーズ、すでに8話目で、読んでいただいたみなさんは、かなり疲労が溜まっているのではないかと推察します。
次回、このシリーズを続けるにしても、もう少し柔らかい表現で書いていこうと思います。

今後ともよろしくお願いいたします♪



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