風の回廊

風を感じたら気ままに書こうと思う。

検察審査会の議決が意味するもの―小沢問題から(18)【追記】

2010年04月27日 | 日記
今夜は25日に沖縄で開催された、普天間飛行場県内移設反対集会について書こうと思っていたのですが、「小沢幹事長・起訴相当」の議決があり、出端を挫かれました。
予想はしていたものの、これほどの短期間のうちに、またタイミングよく議決されたものだなと、あらためて極めて政治的思惑の強い中で進められた、小沢さんの検察審査会の流れだと思わざるを得ません。
実は小沢さん議決は、昨日議決で今日発表。鳩山さんの議決は21日議決されていたにもかかわらずを昨日発表という事実をメディは報道しませんね。そして今日は、郵政不正事件の公判で凛の会元会長に無罪判決が出ています。偶然でしょうか?郵政不正事件の検察の失態を隠すためということも考えられます。

ある有能な会計士によれば、鳩山首相の母親からの贈与の問題の方が、小沢さんの政治資金収支報告書記載の問題よりも会計上の悪質性は高いということです。しかし鳩山さんは「不起訴相当」で小沢さんは「起訴相当」という議決ですからしっくりしません。

この議決によって再捜査が始まるわけですが、再捜査をした検察官から、再び不起訴とした通知を受けた時は、検察審査会は、今度は弁護士を審査補助員として加え再び審査を実施します。そこで再び「起訴相当」と判断をした場合は、検察官に検察審査会議に出席して意見を述べる機会を与えたうえで、8人以上の多数で起訴議決がされ、この場合は、裁判所が指定した指定弁護士が、公訴を提起し、公判が開かれます。

検察が再捜査後、起訴するにしても不起訴するにしても、7月の参議院選挙に被るのは明らかで、小沢さんの不起訴が決まってから、わずか3ヶ月のスピード審査が、何を意図しているのか想像は容易です。
検察審査会は、審査申し立てによって始まるわけですが、鳩山、小沢両氏の件を申し立てたのは、「ある市民グループ」としか報道されていませんが、「在特会:在日特権を許さない市民の会」というグループで、ご存知の方は多いと思いますが、ご存じない方は、どんな活動をしているか、youtubeでご覧になるのが解りやすいです。
在特会についてここで書くことも、動画を貼り付けることも可能ですが、在特会は汚らわしいのひと言に尽きるので遠慮させていただきたい。

申し立てから審査のスピードが、意図的だと思う理由のひとつに、在特会よりもずっとまともな市民グループの申し立てがあったにもかかわらず、数ヶ月過ぎても審理が始まらないケースがあります。
たとえば、森田健作千葉県知事の不起訴処分に対する申し立てから、4か月が過ぎていますが、まだ始まったという話は聞きません。こうしたケースはかなりあるようで、小沢さんのスピード審査開始、スピード審査、スピード議決は異様ですね。

検察審査会は、公訴権を独占している検察の不起訴処分に民意を反映させるべく生まれた機関で、審査会の構成員は、市民から抽出され(11人)、民意の反映ということでは、意義があるのですが、審査の過程で、なぜ起訴できなかったかを説明するのは検察官のみで、不起訴は妥当と主張したい被疑者側(今回は小沢氏側)の主張は全く聞き入れられません。
僕は不備だと思うですが、いかがでしょう。

さらに、我々市民の民意や市民感情は、マスメディアの報道によって常に流動するもので、「予断無きよう」と審査の初めによく注意を求められてもなかなかそうはいきません。
特に今回の小沢さんのケースは、1年にも及ぶ小沢ネガティブキャンペーン的な報道によって、小沢さんが相当貶められているわけで、まるで有罪扱いの小沢さん対して、抽出された市民が果たして予断を持つことなく審査ができたのかどうか、大きな疑問です。

こうした民意を法に影響を与える、検察審査会の在り方の土壌には、刑法の大原則“推定無罪の原則”が、隅々に行き届いていなければなりません。
しかし、推定無罪の原則は、本来守られているかどうか監視する役目のマスメディアによって崩壊しています。こうした現況の中では、検察審査会の議決によって、新たな冤罪が生まれないとも言えません。甲山事件はよい例です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2%E5%B1%B1%E4%BA%8B%E4%BB%B6

検察の小沢捜査、小沢ネガティブキャンペーンから、検察審査会、その議決という流れは、マイミクのタケセンさんも日記に書かれていましたが、まさに「現代の魔女狩り」ではないかと思うのです。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1472519649&owner_id=548859
メディアの報道によって推定有罪という世論が生まれさえすれば、小沢さんだけではなく、誰でも犯罪者としての烙印が押されてしまうという怖ろしい事態を今回の検察審査会の議決は物語っています。

およそ1年の時間と20億円ともいわれる捜査費用(税金)をかけ、特捜が強制捜査を行った結果、公判に耐え得るような証拠もなく、不起訴となった事実。不起訴までの経過の中で、また不起訴後も、記者会見をするたびに説明を行い続けた小沢さんになお「説明責任」を求めてきた、野党とメディアと多くの国民。
国会での証人喚問での説明でなければ「説明責任」を果たしたと言わない野党とメディアと多くの国民。
小沢さんが「私は黒です」と言わない限り、断固許さないというような風潮……
そして、今回の検察審査会による11人全員による「起訴相当」。
魔女狩り以外何ものでもありません。
たいへん怖ろしい時代です。検察国家がどんどん近付いている気配すら感じます。

元司法記者でフリージャーナリストの魚住昭さんは、元検察の郷原信郎さんと共に、外人記者クラブに招かれ、一連の小沢問題に対する声明の中でこう語っています。
(日本の大手メディアは、こうした発言をする人を電波や紙面に載せません)

「政権交代を成し遂げた中心人物であり、今後の日本の舵取りを間違いなく担う小沢が、検察の無理筋捜査によって失脚すれば、自民党と同じになり、さらに政治不信が国民に拡がり社会不安が起こる。テロが起き警察・検察の力が強化される。そうなると民主主義も崩壊する」

また郷原信郎さんは
「政治・経済を検察が歪め日本は非常に危機的な状況にある。今必要なのは検察の正義というマインドコントロールから国民が脱却することだ」
また皮肉を交えながら
「今回の小沢への検察の無理筋捜査で検察は刑事的には失態だったが、政治的には大成功した。検察は政治団体として登録したらいい」


最後に……

「世論を元にして物事を考えるような人は、自分で自分に目隠しをし、自分で自分の耳をふさいでいるのである」 フリードリヒ・ニーチェ

「世論というものは、愚行、弱点、偏見、悪感情、正義感、頑固、そして、新聞社のスポンサーによって成り立っている」 ロバート・ピール

「新聞を読まない人のほうが読んでる人よりも物事を正しく認識できる。嘘と偽りに心を奪われている人よりも真実に近い場所にいるからだ」 トーマス・ジェファーソン


【追記―郷原信郎さんのツイート】
元検事で唯一とも言っていい、冷静に検察の実態を見ている弁護士。このことで、これまで頻繁に出ていたテレビ番組から、干されています。

(引用開始)
「検察が危ない」の第1章で詳しく述べたように、石川議員の起訴自体が完全に無理筋であり、共犯で小沢氏を起訴するというのは、もともとあり得ない判断です。検審の判断を受けて起訴するとすれば、検事総長も含め組織として不起訴を決定した検察の存在意義を問われます。
約1時間前 webから

検察審査会の議決を読みましたが、「井戸端会議」のレベルに過ぎず、起訴すべしという理屈になっていません。こういう検審の判断で不起訴処分を覆すことは本来はあり得ないはずです。しかし、2度目の起訴相当議決で強制起訴になれば、捜査記録を指定弁護士に提供せざるを得ず、最悪の事態になります。
37分前 webから

検察にとって、捜査記録を指定弁護士に提供することになれば、捜査の中身がいかに酷いかとを指定弁護士に知られることになります。そもそも、石川議員の起訴という判断をしたこと自体が無理筋だったわけで、それを敢えてやったことが、今回の最悪の事態につながったのです。
29分前 webから

(引用終わり)





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