風の回廊

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イラク戦争の検証は行われるのか―ファルージャ市民虐殺から

2010年04月14日 | 日記
2004年11月9日未明より、米軍とイラク軍約1万5000人は、武装勢力の拠点ファルージャ市を完全制圧するため、総攻撃を開始した。8日、すでに総合病院など一部施設を占拠した米軍は、激しい空爆と地上からの侵攻作戦を展開した。ラムズフェルド米国防長官(当時)は「途中で作戦を中止することはない」と徹底的な掃討作戦を示唆した。市内には数千人の武装勢力が集結しているといわれ、ファルージャ攻防戦は03年の4月以来、イラクでの最大規模の軍事衝突となった。
約30万人の市民の多くは市外へ退避したとはいえ、20代から40代の人たちは、武装勢力側が戦闘員とみなし退避できず、家族ら合わせて10万人の民間人が残っていたと言われている。

フォトジャーナリスト・志葉玲さんは、http://reishiva.exblog.jp/3797471/ファルージャ総攻撃を目撃した、ワセック・ジャシム氏を取材し、ワセック氏が目撃した模様をツイッターで報道しています。
 
(志葉玲さんのツイート引用開始)

沖縄の米軍基地はイラクへ出撃する海兵隊の前線基地だった。イラク戦争中、最悪の米軍による虐殺ファルージャ総攻撃の目撃者、ワセック・ジャシム氏がファルージャより緊急来日。普天間基地移設で揺れる沖縄も訪れる予定。http://isnn.tumblr.com/post/508838776
posted at 23:13:46


今週末から各地で報告を行う、イラク人ゲストのワセック・ジャシム氏。彼の住むファルージャ市では何が起きてきたのか。2004年4月と11月、大体東京・新宿区と同じくらいの人口のファルージャ市は米軍に包囲され、集中的な攻撃を受ける。確認された犠牲者は7000人、行方不明者3000人。
posted at 00:11:17

続き)11月の攻撃では、米軍はまずファルージャの総合病院を占拠。4月の攻撃では、病院からのアルジャジーラの中継が米軍への国際世論の反発を呼んだからだ。病院の機材を奪い、運べない器具は破壊。さらには、医療スタッフや、治療を受けている人々を全員「テロリスト」として拘束した。
posted at 00:14:15

続き)ファルージャ総合病院が米軍に占拠されたため、現地医療 関係者は急遽、野戦病院を設営。しかし、これを米軍の戦闘機が空爆し、病人、医者、看護婦、負傷者を含めて、そこにいた人をすべて殺害した。
posted at 00:16:04

米軍はファルージャ市外へ逃げようとしている人々を老若男女かまわず射殺。川に飛び込んで逃げている人々まで米軍は狙撃した。さらに人々を建物の中に集めて銃殺し、建物ごと爆破、埋めてしまった。
posted at 00:17:48

続き)女性や子ども等の非戦闘員の超法規的処刑も行われた。ある女性は、銃剣で腿、胸、腰、そして頭部を突き刺されていた。ある遺体は首を切断され、別の遺体にくっつけられていた。街中、負傷者で溢れていたが、路上に倒れている人々を米軍の戦車がひき潰していった。
posted at 00:21:22

続き)昨年、私はファルージャを訪れた。サッカー場を掘り返した墓地はさらに大きくなっていた。治安は安定せず、外部の人間はイラク人ですら、特別な許可が無ければファルージャには入れない。私が訪れた時もイラク治安部隊による掃討作戦が始まった。
posted at 00:25:39

続き)ファルージャの人々を虐殺していた米軍の主力部隊は、第31海兵遠征部隊。沖縄のキャンプ・ハンセンが拠点で、思いやり予算など日本の税金の恩恵を被っていた。当時の小泉首相は、ファルージャの攻撃を4月、11月と2回も支持した。私は日本人として、ファルージャの人々に申し訳なく思う。
posted at 00:29:20

鳩山首相にイラク戦争検証を求める議員署名には、民主党(76名)の他、社民党(10名)、共産党(5名)、無所属(1名)、みんなの党(1名)、匿名希望(7名)の議員が署名。閣僚では、福島みずほ消費者・少子化対策担当大臣が署名した。匿名を除き、署名した議員リストは近く公開する予定。
posted at 22:46:22

(引用終わり)


凄惨、無慈悲としか言えない米軍の無差別作戦であった事は、すでにワセック氏らの発言によって明らかにされ、武装勢力を駆逐するために、というアメリカの大義名分が許されるのかどうか、多くの市民が虐殺されたことから、これも明らかです。
米軍の無差別攻撃は、ファルージャで始まったことではなく、たとえばベトナム戦争でも、南ベトナム解放戦線兵士が潜んでいる情報や証拠があれば、あるいは囲われていると米軍部隊が想像するだけでそのを民間人の区別なく逮捕、拘留、あるいは殲滅した事実がある。
そこに敵がいれば、民間人の犠牲など顧みず攻撃する。これが米軍の姿です。

志葉さんのツイートにもあるように、当時の小泉首相は、ファルージャ総攻撃を支持しました。当時の報道を見ると小泉は「成功させなければならない。治安の改善がイラク復興の鍵だ」と強く支持し、大野防衛庁長官(当時)は「新しい国造りの第一歩を確実にする意味で評価する」、細田官房長官(当時)も「基本的に米政府の考えを支持している」と立て続けに表明した。さらに小泉はその実態が明らかになってからも謝罪するどころか、「今回の作戦は一定の効果を与えた」と言い放ちました。
また、山本一太自民党参議員は、当時『スーパーモーニング』で、コメンテーターとして、作戦の支持を強く訴えていました。

米軍の大虐殺作戦への支持を表明した小泉は、それまでも米の戦争を支持し続けてきましたが、住民の大量虐殺を目的とした米軍の個々の軍事作戦に対して露骨に支持を表明したのは初めてで、これは香田証生さんが殺害された直後に「テロとの闘い」を声高に叫んだことを想起させます。自民党政権は「テロ撲滅」を口にすれば何をしてもいい、多数の市民を殺すのも必要だと言っているのに等しい。

また、沖縄キャンプ・ハンセンを拠点にしている、第31海兵遠征部隊は、ローテーション部隊で、ほとんど沖縄にいることはなく、他の在沖縄海兵隊も同様で、常時駐留しているのは約12000人の内半分くらいだと報告されていて、果たして広く言われているように「抑止力」なのか疑問で、普天間基地移設問題、広く沖縄の基地問題を考える上で、かけ離されてはいけない事実です。

     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

見かけにだまされないように
   
     現実というのは常にひとつきりです


                 村上春樹『1Q84』book1より

     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇
     

志葉さんのツイートにもあるように、『イラク戦争の検証を求めるネットワーク』http://isnn.tumblr.com/では、民間人1000人以上のイラク戦争の検証を求める賛同者の活動によって、国会議員から「イラク戦争を検証する第三委員会設置を求める」署名を集め、鳩山首相に手渡されたわけですが、その中に、自民党議員がひとりもいないことが、この国の危さを物語っています。(もしかしたら匿名の中にいるかもしれませんが……)
ファルージャ総攻撃への支持、この一点だけでも、僕は自民党を支持できないし、小泉や山本一太を許せません。
志葉さんもおっしゃっているように、ファルージャの人たちに、また広くイラクの人たちに日本人として、申し訳なく思うと同時に、あのような政権や議員を生み出してしまったことを、僕自身望んでいなかったとはいえ、恥ずべきことだと感じます。
自民党の平和理念とは何なのか。彼らが口にする平和をよく考えていただきたい。
そんなふうに思います。そして、鳩山政権には速やかに「イラク戦争を検証する第三委員会」を設置し、しっかりイラク戦争の検証を行っていただきたいと望みます。

最後にニューバクダッド市郊外での米軍ヘリによるイラク民間人の虐殺映像を掲載します。見るに堪えない映像ですが、事実として認識することも大切です。
ただし、とてもショッキングな映像なので、ご自分で判断してからご覧ください。

http://wiredvision.jp/news/201004/2010040723.html