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我那覇ドーピング問題に決着

2008年05月28日 | Jリーグ
■ 我那覇、ドーピング問題に決着 (以下、時系列)

当初、当時の川崎のドクター及びクラブの管理能力みたいな部分に疑問をもっていましたが、我那覇が今回のスポーツ仲裁裁判所(CAS)への申し立て前に日本スポーツ仲裁機構(JSAA)をJリーグが拒否した頃から、どうもおかしいなぁとは感じはしていました。そこで、以前の記事我那覇ドーピング問題について考えるを書き、その後、この話題が出る度に記録的なスタンスで記事まとめていました。そして、今回、決着が着きましたので、(一応)最終形としてUPします。

◆ 我那覇、仲裁申し立て表明
 Jリーグのドーピング禁止規定違反で処分を受けた1部(J1)川崎の我那覇和樹(27)は6日、東京都内で記者会見し「サッカーを裏切るようなことはしていない。家族やサポーターに胸を張ってサッカーを続けられるように真実を明らかにしたい」と第三者機関に処分取り消しを申し立てることを初めて自ら表明した。

 我那覇の弁護士は同日、仲裁を委ねる機関として日本スポーツ仲裁機構(JSAA)を希望していることをJリーグに伝えた。スイスに本部があるスポーツ仲裁裁判所(CAS)はJSAAに比べて費用が大幅にかかるため。CASに申し立てる場合は、我那覇個人では賄いきれなくなり、寄付を募ることもあり得るという。

 Jリーグの鬼武健二チェアマンは我那覇側に先立って記者会見し、CASでの仲裁には応じる考えを示し「サッカー界におけるドーピングの国際基準、最高基準の判定を受けるために、CASに行くべきだ」と主張。JSAAへの申し立てに応じる可能性について「ほぼないと考えている」と述べた。〔共同〕

 引用元:NIKKEI NET -
(12/6)我那覇が仲裁申し立て表明・ドーピング処分の取り消し求め

この時期のJリーグの対応(我那覇及び川崎Fへ処分を下した後)としては、『CASでの仲裁には応じる考えを示し「サッカー界におけるドーピングの国際基準、最高基準の判定を受けるために、CASに行くべきだ」と主張。JSAAへの申し立てに応じる可能性について「ほぼないと考えている」』この頃から、JSAAへの申し立てには応じられないのか?だけが分かりませんでした。今もその理由は分かりませんけど・・・さらに、「サッカー界におけるドーピングの国際基準、最高基準の判定を受けるために、CASに行くべきだ」ってのも違う意味で分かりません。結果が出た後ですので、ひねくれた見かたをすれば、今回の我那覇のケースをある種“実験的な”「こういう場合には、どうなるのかな?」ってスタンスでいたのかもしれません。つまり、今回、我那覇が白(シロ)と裁定が下ったことにより、Jリーグとしては前例(判例)が出来た。分からなかった部分が分かった。それに伴う金銭的な部分も含め損失もあったが、やむなし。まぁ、構わないというスタンスが当初からあったのかもしれません。(推測ですけど)

◆ Jリーグのチームドクターもサポート
 Jリーグ1部(J1)川崎のFW我那覇和樹(27)がJリーグのドーピング禁止規定に違反したとして受けた処分取り消しをスポーツ仲裁裁判所(CAS)に申し立てる問題で、Jリーグのチームドクターで構成する連絡協議会は4日、チームドクター内で仲裁費用に対する寄付を募ると発表した。
 Jリーグ選手協会も選手と一般のサポーターを対象にした募金活動を実施している。
 連絡協議会は我那覇の受けた処置はドーピング違反ではないと主張し、処分の取り消しを求めてきたが、Jリーグは処分が正当だったとして受け入れなかった。 [ 共同通信社 2008年1月4日 20:56 ]

 引用元:共同通信社 -
チームドクターも募金 我那覇のCAS仲裁で

Jリーグのチームドクターで構成する連絡協議会のとしては、正当な医療行為だったが不当だと処分を受けたことによる「おかしいんじゃない?」という疑問があったと思うのです。つまり、同じJリーグの各クラブのチームドクターの方々もこの問題に関して、決して他人事ではなく、自分達のドクターとしての医療行為の正当性の線引きが出来ないような状況にあったのかもしれません。また、過去記事を参考にしていただければ、当時の川崎Fの苦渋の決断及びドクターの思いなども分かると思います。あと、他のクラブのドクターも同じような被害にあった可能性もあったと思うのです。そして、聴聞会・・・

◆ スポーツ仲裁裁判所(CAS)の聴聞会
 サッカーJリーグ1部(J1)川崎の我那覇和樹選手(27)はドーピング違反かどうか-。東京都内で2日間開かれたスポーツ仲裁裁判所(CAS)の聴聞会が1日、ようやく終わった。日本サッカー界で起こった問題を解決するため、国際的な独立機関がJリーグと我那覇側から事情を聴取。裁定は数週間後に下されることになった。
 昨年4月に体調不良により点滴治療を受けたことで、Jリーグから規定違反として6試合出場停止の処分などを科された。だが「サッカーを裏切るようなことはしていない」との思いが日増しに募り、国際機関への提訴に踏み切った。
 潔白を証明するための出費は想像以上に大きかった。英語で行う聴聞会のため、翻訳や通訳費用だけで優に1000万円を超えた。弁護費用を加えると、その額は数千万円に膨れ上がる。選手やサポーターの募金は約700万円集まったが、個人の負担も相当なものになった。
 川崎の主力FWとして活躍し、一昨年はオシム監督率いる日本代表に抜てきされて国際試合3ゴールを挙げた。だが順風のサッカー人生は暗転。処分後は故障も続き、リーグなど公式戦は無得点で代表からも遠ざかった。「支えてくれた人たちにプレーで恩返ししたい」と誓う我那覇に、どんな裁定が下されるのか。 [ 共同通信社 2008年5月1日 17:51 ]

 引用元:共同通信社 - “裁判”費用は数千万円 汚名そそぐか我那覇選手

スポーツ仲裁裁判所(CAS)の聴聞会の聴聞会が終わったのが5月1日ですので、約1年近くこの問題に労力を割いたことになります。我那覇及び家族、その他関係者は、今回の裁定の結果をどのような気持ちで待っていたかを考えると、当時のJリーグの処分は、早計過ぎたんじゃないかとすら思います。と同時に、前述の通り、Jリーグ側とクラブ側(チームドクター)との、この件の医療行為に対する認識の違い及び不明確さが当初からあったのかもしれません。そして、裁定が下された。

■ 我那覇及び、当時の川崎のドクターは、正しかった

サッカーの元日本代表FWでJリーグ1部(J1)川崎フロンターレの我那覇和樹選手(27)が、Jリーグから科されたドーピング禁止規定違反の処分取り消しを求めスポーツ仲裁裁判所(CAS、本部スイス・ローザンヌ)に申し立てた仲裁で、CASは27日、「我那覇の行為はいかなる制裁にも値しない」と我那覇側の主張を全面的に認め、出場停止6試合の処分を取り消す裁定を下した。また、Jリーグには我那覇が負担した弁護士費用などのうち2万ドル(約210万円)を支払うよう求めた。
 我那覇は昨年4月、風邪で体調を崩した際に当時チームドクターだった後藤秀隆医師から禁止薬物を含まない生理食塩水200ccの静脈内注入(点滴)を受けた。Jリーグはこれをドーピングと判断、我那覇に公式戦の出場停止、川崎に制裁金1000万円を科した。
 CASは裁定の中で、後藤医師の治療は2007年の世界反ドーピング機関(WADA)規定に照らして正当な医療行為と認定。また、Jリーグが「適切な医療行為」の基準について詳細な条件を明示していないといった手続き上の不備も指摘。その上で「違反があったかどうか判断する必要もない」とした。

 裁定を受けて我那覇は、「最高の結果を得られてうれしい。自分を信じてやってきて本当に良かった」とのコメントを発表。記者会見した我那覇の弁護団は「正当な判断が下されたのは当たり前とはいえ、有意義なことだ。Jリーグは我那覇や後藤医師に償い、名誉回復をしてもらいたい」などと述べた。 (了)
 引用元:時事ドットコム - 我那覇の訴え、全面的に認める=Jリーグのドーピング処分で-CAS

◆ 今回の裁定について
ポイントは次の通り。
 1.後藤医師の治療は2007年の世界反ドーピング機関(WADA)規定に照らして正当な医療行為と認定。
 2.Jリーグが「適切な医療行為」の基準について詳細な条件を明示していないといった手続き上の不備も指摘。


実は、今回の裁定の結果は、ある程度は予想出来たという見方もあるかと思います。実は、上記の2.「基準について詳細な条件を明示していなかった」というのは、下記引用文にもあるように、我那覇への処分自体が、事前に決められた規定(ルール)に基づいたものではなかったのです。ただ、上記1.「後藤医師の治療は2007年の世界反ドーピング機関(WADA)規定に照らして正当な医療行為」というのは、医療的な判断も含まれるので、一般の人には分かりにくかったというのはありますが、少なくとも、明確な基準(何がドーピングにあたるのか、どういう処分が下るのかなど)は、存在していなかったらしいのです。(下記参照)
 日本サッカー協会が、これまでなかったドーピング禁止に関する規定を新たに作成することが5日、分かった。田嶋幸三専務理事は「一刻も早くつくりたい」と話し、早ければ9月13日の理事会で審議される。

 日本サッカー協会傘下のJリーグには、独自のドーピング禁止規定がある。しかし日本サッカー協会の基本規定は、ドーピング違反が懲罰の対象になると決めているだけで、ドーピングの定義や手続きを定めた規定がなく、国際サッカー連盟(FIFA)や文部科学省から指導を受けていた。
[2007年9月5日20時57分]

 引用元:nikkansports.com - 日本協会がドーピング規定作成へ


◆ 我那覇の気持ちと今後・・・
この約1年間、我那覇は、選手として代表から外れ、クラブ(川崎F)でも出場の機会が減りました。全ての原因が、この「ドーピング問題」にあるとは思いませんけど、一人の人間として考えた場合、彼の心の中で常にこの問題が重くのしかかっていたと思うのです。そういう意味では、我那覇は被害者だったのかもしれません。

このドーピング問題(今となっては、「Jリーグによる不当処分」)から約1年が経過しました。これに伴って我那覇選手の公式ブログでコメントが出ていました。さらに、当時の川崎Fのチームからのコメントも少しですがあったようです。
CASの決定を聞いた時、正直、頭が真っ白になった!
最高の結果を得られ、本当に良かったです。

明日、記者会見で自分の気持ちをまとめて、
皆さんにお話したいと思います。

今1つ言えることは…自分を信じて、
ご支援いただいた全国の皆様に感謝申し上げます。

ありがとうございます。

ここまで長く険しい道のりだったけど、
温かい皆様のお力添えで、乗り越えれた事を嬉しく思います。

 引用元: 我那覇和樹オフィシャルブログ - CAS 思いっきりシロ

さらに、もう一人の当事者、当時川崎Fのチームドクターのコメントも簡単に紹介されています。
後藤秀隆・川崎前チームドクター
「率直に良かったと思う。何よりも立ち上がった我那覇の勇気に感謝している。(点滴は)正当な医療行為と確信を持ってやった」

 引用元:スポーツ報知 - 我那覇選手弁護団が会見「正当な判断」

前川崎Fのチームドクター、後藤氏は、今現在なにをされているのかは分かりませんけど、我那覇には、まずは川崎で頑張って再び代表に戻って来れるように、頑張って欲しいと思います。

◆ 日本サッカー界の危機
そして、川崎サポーターの「蒼と黒の神話 -川崎蹴球浪漫譚-」さんのブログでも書かれているように昨今のJリーグ絡みの様々な出来事「審判の問題、サポーターの問題、各クラブの不祥事などなど・・・」15年目を迎えたJリーグは、ピッチ上のサッカーの試合だけではなく、広い意味で、日本サッカー(リーグ、クラブ、選手、サポーターなど)を取り巻く状況について考え進んでいかなければならない時期に突入していると思うのです。

Jリーグ発足当時チェアマン川淵(現日本サッカー協会会長)は、Jリーグという日本にプロサッカーリーグを作り、そして一つのプロスポーツとしてだけではなく、ある種エンターテイメント的なコンテンツとしてビジネス志向も強かったとも思うのです(代表チームも)。と同時に、サッカー先進国のようにサッカーに日本中に根付かせるという理想もあったと思うのです。この理想自体は、単純に素晴らしいと思いますが、その過程の中でおざなりにしてきたこと、あまり重要視していなかったことなどが、昨今、噴出して来ているようにも思うのです。そして、「蒼と黒の神話 -川崎蹴球浪漫譚-」さんのブログの今回の記事のタイトルにあるように、「Jリーグの危機」だけではなく、「日本サッカー界の危機」なのかもしれません。

個人的には、ピッチ上の事象、サッカーの試合とそれに伴う各チームの戦いに興味があり、ピッチ外のことは出来ることならば、円滑に進んで欲しいですし、昨今のJリーグ及び日本サッカーのネガティブな話題は聞きたくないってが正直な所です。もっと純粋にサッカーだけを楽しめるような環境を整えることをもう一度、協会及びJリーグは考えるべきではないでしょうか・・・そして、この日本サッカー界の長のコメントは次の通りです。

川淵三郎・日本サッカー協会会長
「(CASについては)焦点のぼけた回答だったと思う。どの部分がどう悪く、どう違法だったのかという点で、焦点がぶれていた。我那覇選手の名誉が回復されたという点ではよかったと思う」引用元:スポーツ報知 - 我那覇選手弁護団が会見「正当な判断」

最後に一言、あんたがボケとんのじゃ!?とだけ言って終わりとします(笑)

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■ 関連URL ■
 我那覇ドーピング問題について考える(当ブログ過去の記事)
 ・JSAAのHP
 ・川崎Fによるオフィシャルコメント
 ・Jリーグによるオフィシャルコメント (公式の発表後リンク追加します)
 ・川崎フロンターレ・ドーピング事件を検証して日本に正しいアンチドーピングが実現することを願うホームページ
 ・今、そこにあるJリーグの危機? (蒼と黒の神話 -川崎蹴球浪漫譚-)


(前略)
 Jリーグ側は今回のCASの裁定理由は「違反があったかどうか判断する必要がなく、制裁に値するものではなかった」という内容だったと発表。その上で、鬼武チェアマンは「(我那覇選手が)ドーピングか否かに言及されなかった。将来に禍根を残す」と懸念も示した。

 川崎に科した制裁金1000万円について、羽生英之事務局長は「クラブへの処分はドーピング違反があったとしての管理責任を問うた。今のところ返す論拠がない」との見解を示した。
[ 共同通信社 2008年5月28日 19:04 ]

 引用元:共同通信社 - J鬼武チェアマンが謝罪 自身の処分は「検討」=差替





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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ジーコ後遺症)
2008-05-28 17:45:05
我那覇は本当にかわいそうですが、サッカー選手を代表して本当によく戦ったと思います。これからも彼を応援したいと思いますし、復活を期待したいです。Jリーグは自分の選手やドクター関係者をここまで苦しめて何がしたかったんだろう?と本当に思います。
返信する
Unknown (うが)
2008-05-28 22:28:38
Jリーグ側は、まだわかってないみたいですね。まともな判断ができない状態が続いています。本当にこれがJリーグ責任者の発言なのでしょうか。本当に嘆かわしいです。
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コメントのお返事 (コージ)
2008-05-28 23:15:01
ジーコ後遺症さん

こんばんは。
こういう言い方は正しいか分かりませんけど、我那覇の一件は、他の選手・他のクラブでも起こり得たと思うのです。そういう意味では、日本サッカー界の一石を投じたと思いますし、今回の裁定の結果がいかなるものであっても、我那覇の行動は評価するつもりでした。

しかし、Jリーグ側は、今回ばかりは、なめとんのか!?と言いたい。
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コメントのお返事 (コージ)
2008-05-28 23:17:20
うがさん

こんばんは、はじめまして。
おっしゃる通り、嘆かわしい限りです。というか、呆れ返っている自分もいたりするんです。
ドーピングの当不当を明確にしたいのであれば、当時のアンチドーピングの規定と照らし合わせればはっきりする訳で・・・その辺を怠っていた、中途半端だったのかな?とも思います。
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なめとんのか! (y)
2008-05-29 00:07:13
ガナをいけにえに使ったんです(-_-;)
(CASには高くて仲裁依頼しないと思い込んでた?、
 仮に裁定が下ればタダで裁定基準が手に入る・・・)

恐らくバカな(失礼!ある意味、頭がいい)文部科学省も
グル???・・・だから政治屋に期待しても無理です。
協会全体がこのテイタラクですから・・・

協会は敗訴したのだから、裁判費用全てを支払う位の気概
をもって貰いたい
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Unknown (TAK)
2008-05-29 01:11:44
 TBありがとうございます。
 結果を受けて、今後の対策とかが聞きたかったのに、瑣末な「ドーピングの有無が明示されていない」事へ矮小化しようとするコメントに腹立ちました。
 トップマネジメントがこれではイレブンミリオンも画餅になるかもしれません。
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コメントのお返事 (コージ)
2008-05-29 01:49:32
yさん

こんばんは。
私も今回の一件、特にJリーグの対応には腹立たしい限りです。
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コメントのお返事 (コージ)
2008-05-29 01:51:42
TAKさん

こんばんは。
しかし、Jリーグは酷いな・・・腐ってる。自分達の問題を真摯に受け止める姿勢が感じられない。TAKさんのような川崎サポーターが一番、怒り心頭なんでしょうね。
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Unknown (yohan)
2008-05-31 16:10:24
会社じゃないですけど、協会にも欧州の外国人招聘したらいいんですよ。

別に協会は日本人である必要はないしww代表選手と違って。

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ドーピング違反はJリーグ (犬飼です)
2008-12-28 16:47:45
先のクラブW杯や日本代表の2010年W杯予選の活躍は喜ばしいことですが、A代表やACLの出場選手にJリーグはドーピング違反薬の育毛剤をFIFAに内緒で承認し使用させていました。こんなデタラメな連中が「ドーピングの啓蒙活動、、」とは笑止。
諸外国チーム、代表は日本に説明を求め、処分を求めるべき。
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