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【総括3】リバプール07/08シーズン ~選手評~

2008年05月19日 | リバプール (07/08)
■ リバプールの戦術面

◆ ローテーションとアタッカー陣
まず今回、改めて自分の書いたリバプールの以前の記事を読んでみたのです。(そもそも、ブログ始めるきっかけが自分の中の記録的な要素が強かった。今でもその部分は変わってないかな。)

で、トーレスが加入した当初は常にスタメンでの起用されていないんですよね。
8~9月くらいは、トーレス、カイト、ヴォロニン、クラウチの起用は完全にローテーション。

シーズン通してベニテス的ローテーションの対象にならなかった選手は2人だけ(レイナとジェラード)。

その他の選手は、ローテーション・システムの対象となっているので、何試合かごとに交代している。これは、決して相手チームに合わせてという戦術的な意図は少ない。(勿論、相手チームを考慮してローテーションのメンバーの入れ替えはしているだろうとは思う)ただ、このローテーションによりリーグ後半戦及びCL決勝T以降で選手のフィジカルコンディションが他のチームに比べて大きくダウンしていないというのは事実。

一方で、トーレスやら新加入の選手が加わったことにより実戦におけるコンビネーションなどチームの形を構築するのに時間が掛かった。例えば、昨シーズンとほぼ同様のメンバー、戦い方であれば、ローテーションを採用してもある一定の安定した結果・内容は出たかもしれない。しかし、怪我人が多かったことと新加入のアタッカー陣がいたことなどによりチームの形を模索していた感はあり。

前回書いたように、CLグループリーグ第1~3戦及び同時期のリーグ戦での不調は、この辺のチームとしての方向性が固まっていなかったことによるものと思われる。どういうい形であれ、チームが不調に陥った時に“拠り所”となるべきチーム戦術というのが浸透していれば、そこへチームの戦い方(意識)は帰結する。例えば、チェルシーなどはモウリーニョ時代の選手が多い上にモウリーニョ時代に構築された戦い方というのがチームのベースにあったと思う。その後、徐々に変化はあっただろうが、ベースとなるチームの拠り所は存在していたと思われる。アーセナルもその辺は同様で、調子が悪くても自分達のスタイルというものが(ベンゲル的には構築段階かもしれないが)はっきりしていた。しかし、リバプールにはその部分が希薄だった。


◆ 戦術の変化 [4-4-2]から[4-2-3-1]へ
以前よく書いていたのは、『攻撃の幅が足りない』ということ。リバプールの戦術を一言で言えば、【プレス&ショートカウンター系】ボールを奪ったら前線へ素早く展開。相手の守備ブロックが整う前にゴールを決めるという形。但し、プレスと言っても、簡単に2通りある。

 1.後方にゾーンを形成して網を掛けて奪い速攻。
 2.前線からプレスを仕掛け奪って速攻。

どちらも奪ってからの速攻には変わりないが簡単に言えばプレスを掛ける位置がことなる。さらに、後方にゾーンを形成するということはある程度守備面における戦術(2ラインゾーンの形成)が不可欠である。勿論、このゾーンの高低差は、相手チーム戦況により適宜異なるが、基本的な概念は変わらない。

次に、前線からのプレスは、わりとスペインのクラブに多い感じがするが、一人が抜かれても次から次へとボールホルダーへプレスを仕掛けるスタイル。その中で、サイドへ追いやったり、苦し紛れのロングボールを蹴らせたりと戦術的な意図というのは存在するが、それほど守備ブロックを形成してゾーン色が強くない。

リバプールのフォーメーションが、[4-2-3-1]に固定されたのは、2月10日のチェルシー戦(アウェイ)から。その後、CL決勝T1回戦
インテル戦でも同フォーメーションで挑み勝利をおさめた。このフォーメーションは、シーズン序盤でオプション的にテストはされていたが、あくまでもオプション性が強かった。基本的に2トップという形で試合に臨んでいた。

変更してからチェック&カバーということでチーム全体としての守備(プレス)の形が統一された。また、トーレスがチームのスコアラーとして確固たる地位を築いたのもこのくらいの時期だった。

チェルシー戦(25試合終了時)前と後でのトーレスのゴールデータを見ると一目瞭然である。

 25試合 12ゴール(22試合出場)
 13試合 12ゴール(11試合出場)

◆ 戦術の変化 煽りを喰らったFW陣
しかし、この[4-2-3-1]が標準フォーメーションになると、FW陣が煽りを喰らった。その中でも、クラウチが一番不遇だった。
バベル、カイトはウィング的なサイドプレーヤーとして出場機会を得た。(ヴォロニンはシーズン中盤頃から離脱)
こういう状況が現在のクラウチの移籍噂に拍車を掛けたと思う。もし来シーズンもリバプールがトーレスの1トップを軸として戦うのであれば、必然的に今シーズンと同じような出場機会になる。ただトーレスは、今シーズン終盤のような爆発を来期には期待出来ない可能性が高い。理由は2つ。
 1.ユーロ2008 スペイン代表になっているのでその影響によりシーズン序盤はコンディション面で不安あり。さらに、二次的に怪我のおそれもある。
 2.プレミアの各チームがトーレスへの警戒度が今シーズン以上に高くなることは間違いない。そうなるとこれもまた怪我の危険性がある。

また、2年目のジンクスではないが、どんなスーパースターであってもコンスタントにこのような好成績(ゴール)を出すのは難しい。それがプレッシャーとなる可能性もある。多分、この辺に関しては、監督も考えているはずである。そうなると、ヴォロニン、クラウチ、そして、バベル、カイトの起用にも変化が出るかもしれないし、再び[4-4-2]に戻る可能性も否めない。

あとで、少し書くが、やはりサイドの選手の補強は必須だと思われる。
[4-2-3-1]が使えない場合、カイトやバベルをFWとして使う必要性が出て来る。そうなると1トップ、2トップの切り替えが必要ない(ポリバレント)現在のシステムではあるが、結局は1トップを張れるトーレスがいるから可能なわけで、仮にクラウチを1トップにするとしても攻撃面でのカラーは違ってくる。

さらに、バベルは良い意味で未知数な部分が多いが、カイトはやはりサイドプレーヤーとしては物足りない。運動量でカバーしているが、実際、リーグ戦でPK2本除けば1点しか取れていないという結果は大きい。事実、06/07シーズンのカイトは、34試合12得点挙げている。

■ ポジション別、選手評

評価は、5段階。

■ GK ■
レイナ
リバプールの中で唯一のフル出場。
一時期ミスがポロポロ出た時期があったけど、シーズン通して安定していた。チェルシーみたいにGKが呪われているんじゃないか?!という事態が起こったら、今後はどうなるのかが心配であるが・・・。一応第2GKにイタンジェという選手がいるが、一回も試合で見たことないのでよく分からん。ただ、カップ戦では結構出ていた模様。ちょっと移籍の噂もあり。 評価5

■ DF ■
アッガー 今シーズンほとんど試合に出られなかった。 評価1
キャラガー チームの副キャプテン?としてCBさらには右SBと安定した力を発揮。 評価5
ヒーピア  年齢による衰えを隠せないが、CLでのミスなどあったもののゴールを決めたりとチームに貢献。 評価3
シュクルテル 新加入ながらもDFラインにフレッシュさと安定をもたらした。将来性も大きく感じる。 評価4
リーセ CLでの痛恨のオウンゴール。多少マンネリ気味?昨シーズンまでの力強さ存在感に陰りが見えつつある。移籍して心機一転か? 評価3
フィナン 地味ながらもチームの貢献度が大きかった。守備面ではキャラガーと共に安定していた。 評価3
アルベロア 出場機会は多くないものの、自分の仕事をきっちりとこなしていた。 評価3
アウレリオ CL要員という形で出場が多かった印象。その後、右SBの定位置を確保したが怪我にてシーズン終了。 評価3
インスーア リーグ最後に出場。ローンという形で去就が気になるが将来性を考慮するならば、正式メンバーにすべき。 評価3

今シーズンのリバプールの不調というか不安定さの原因になった第一の理由がDF陣の選手層の薄さと高齢化。
キャラガー、シュクルテル、ヒーピア、リーセ、フィナン、アルベロア、アウレリオなどでなんとかシーズンを乗り切れた感はありのDFライン。しまいには、キャラガーを右SBへコンバートするという事態まで発生。そんな中、シーズン終盤の2~3試合に出場した左SBのインスーアは若く攻撃的で可能性を感じる選手であった。詳しくは不明だがローン選手のようなので、来期の去就はどうなるか分からないが、出来るならば、来シーズンおもいきってスタメンへと昇格させても良いと思っている。要は、ポテンシャルがあるならば、経験を積ませることが大事で、チームとしてこういう若い選手を試合で使いながらも勝てるチームこそが本当の強くなれるチームだと思う。つまり、それだけのチームとしての(若手を起用する)余裕がなければならないということである。
今シーズンオフの真っ先にすべき補強ポイントはDFライン(特にSB)。

■ MF ■
ジェラード キャプテンとして1年間チームをまとめた。しかし、ユナイテッド戦など大一番でもう一つ爆発して欲しかった。 評価3(あえて厳しく)
シャビ・アロンソ 怪我での離脱が長かったものの、復帰後には昨年同様好パフォーマンス。 評価2 
マスケラーノ リバプールの正式メンバーとなり中盤に欠かせない選手となる。時折ラフな面もあるがそれでもジェラードと同等の中盤での重要な選手。 評価5
ルーカス 個人的にはいまいちパッとしないタイプ。基本的に中盤の底でのプレーを特徴とするがもう一皮剥けて欲しい。 評価2
ベナユン シーズン中盤以降、チームにフィットし始め、剛のリバプールに柔をもたらす。守備面でのスキルアップを望む。  評価3
ペナント 怪我により離脱していたので、チームへの貢献度は低い。来シーズンは右サイドの定位置を確保して欲しい。  評価2
キューエル 怪我により長期離脱。チームへの貢献度が低い。今シーズン限りで退団らしい。ぜひ、リーズに戻って。 評価1
シソコ(現ユベントス) 個人的には、評価していただけにユーべ移籍は残念だったが、シーズン前半は存在感を見せた。  評価3

マスケラーノが正式なリバプールの一員になり中盤の底を支えたのが大きかった。これにより、フォーメーションを[4-2-3-1]に固定し、ジェラードを一つ前のポジションで起用出来たとも思う。怪我で離脱していたシャビ・アロンソも今シーズンは不遇だった。最後の方は、チームに貢献したが・・・移籍の噂あり。噂では来シーズン、ギャレス・バリーをアストン・ヴィラから獲得するという話もあるのでどうなることやら。マスケラーノの控えとして守備的な選手が欲しい感じはある。

さらにフォーメーションの変化に伴い、カイトがFWから右サイドの選手になってしまったが、本来であればペナントが右サイドの定位置を確保して欲しいと思う。両サイドの補強が必要。特に、左サイドに関しては、06/07シーズンから言われていたポジション。キューエルは多分退団するので、今シーズンのようにバベルを左サイド専門として使うのか?それともFWの一角として使うのか?それによって異なるだろうが、ユナイテッド、アーセナル、チェルシーと比較すると明らかにサイドの選手層に不安あり。DFラインと同じくらい補強が必要と思われる。

■ FW ■
トーレス 言うことなし。プレミアリーグ得点王はならなかったが、今シーズンはトーレス王子に救われたリバプール。 評価5over
カイト 今シーズンはFWとサイドと出場は多かったもののリーグでの得点は恵まれなかった。しかし、CLでの貢献度、サイドでの貢献度も高かった。 評価4
バベル ベナユン同様、シーズンが進むにつれてチームへフィットし始めた。まだ、適正ポジションを見出せていない感があるものの将来性は一番高い。評価4
クラウチ ベンチ要員ということで、なかなか試合に出られなかったがそれでもゴール(リーグ5点。CL4点)は評価できる。 評価3
ヴォロニン 怪我により離脱して新シーズン上手くチームの一員として貢献できなかった。その中でもリーグ5ゴールは物足りない。評価2

そして、今シーズンのリバプールのマンオブザマッチは、フェルナンド・王子・トーレスだと言える。
正直、トーレスがブレイクしなかったら、CL出場権どころかUEFAカップ圏内も危なかったかもしれない。正直、スペイン代表でのプレーしか見たことなかったが、トーレスがここまでブレイクするとは思わなかった。今シーズンのプレーで一気に移籍市場においてFWとしての評価はトップ5に入るくらいになったのではないかと思う。よって、噂されている銀行からの融資をクラブがきちんと返済してくれないと移籍されてしまったら、多分、リバプールのサポーター(KOP)ブチ切れるのは間違いない。
来シーズンは、トーレス、カイト、クラウチ、ヴォロニン、バベルこの5人の内3人がコンスタントにゴールを量産出来れば、チームとして優勝出来る可能性もあるだろうと思う。

■ 怪我人の多さがチームを苦しめた

前回も書いたが、今シーズンのリバプールを振り返ってみると、とにかく怪我人が多かった。
それに伴い、ローテーションを使わざるを得なくなった。(本来の意図とは違う意図でのローテーションに変わった)
怪我で離脱してない選手の方が少なかったくらい。この辺も優勝したユナイテッドとの差を感じたりする。

怪我する要因の一つに年齢的な問題もあったりする。他にも要因は多岐に渡るだろうけど・・・そう考えれば、リバプールって意外と年齢層高いような気もする。
当然怪我の内容にもよるだろうけど、怪我してもトーレスみたいに1週間くらいで戻ってこれればいいが、とにかく1ヶ月以上掛かった選手が多かった。つまり、チームが意外と高齢化していると思われる。今シーズンほぼフル出場のキャラガー(30歳)も意外と高齢。ヒーピア(35歳)にいたっては現代のスピードある相手アタッカーに振り切られるシーンも何度かあった。そんな中、冬に加入したシュクルテル(24歳、スロバキア代表)は、若いということもあり足元の技術がしっかりしている。後方からのロングフィードはほとんどないが、中盤を経由する展開力、そして戦術理解度は高いように思われる。やはり、チームとして若返りは徐々に必要だと思われる。そして、DFラインとサイドの補強が必要だ。

◆ セットプレーでの失点
もう一つ、リバプールが今シーズンセットプレーでの失点が多く目立った。
以前書いたので詳細は割愛するが、リバプールはセットプレー時(CK、FK)にゾーンで守るので、その弊害として選手同士の隣接ゾーンでやられたのが多かった。この辺は、シュクルテルが加入してから多かったので、まだ慣れていないではないかと思わざるを得ない。また、ベナユンもユナイテッド戦でラインを上げずに残っていたということもあった。きちんと気にしてみていないが、どうもシーズン最後の数試合では、ゾーンではなくなってきているようにも見えた。この辺のポイントなどチームとしてスケールアップする為の改善点は意外と多くあるように思える。

■ フロントのごだごだ

その他にもシーズン中のオーナーがクリンスマン(元ドイツ代表監督)とコンタクトを取っていたことが発覚したりと、新オーナー(トム・ヒックス、ジョージ・ジレット)がクラブを混乱に陥れたような気がする。ちょうど12月前後にこのようなごだごだがあったことによりチームの環境は良くなかったと思うし、それがピッチ上の選手にも影響したように思える。

はっきり言って、もっと良いオーナーに変わって欲しいというのもあるし、バルセロナのようにソシオ制にするという動きもあったらしい。(リバプールサポーターでクラブの買収を試みる)その後、どうなったかは分からないが、この動きも結局は座礁に乗り上げたのだろうか?!とにかく、フロントがしっかりしないクラブはいくら金があっても勝てないし、現場(監督・スタッフ)が優秀でなければチームは強くならない。そして何よりも試合をする選手がベストな状態(メンタル・フィジカル共に)でなければ優勝なんて難しいと思う。


今年はユーロがあるので、ユーロメンバーに入った、トーレス、アルベロア(スペイン)。ユーロメンバー予定のカイト、バベル(オランダ)は、来期、序盤コンディション的には厳しいかもしれない。こう考えると良くも悪くも各国代表クラスが意外と少ないリバプールは、来シーズンのスタートダッシュに成功すれば優勝も狙えると思う。その為には、移籍など選手の確保・整備を早々に済まして、きちんとベニテス体制でいくなりなんなり現場の状況をきちんとして欲しい。

アーセナル、(特に)チェルシーは、現場が大きく変化しそうな感じがするので、やはり、シーズン序盤は非常に重要になってくると思われる。

「総括」はあと1回、得点・失点傾向をUPしたいと考えている。その後は、シーズン直前、移籍などでチームの状態が確定してから08/09シーズンプレビューを書こうと思う。

今シーズンリバプールを1年追いかけたが、来シーズンもリバプールを継続して追いかけようと思う。ただ、今シーズンのように毎試合コンスタントに書くよりは、もう少し大きな視点、多岐に渡る視点で書いていこうと思う。リバプールサポーターのみなさん、あと1年よろしくお願いします。(結局は、リーズの状況次第ってのは、内緒なのだが・・・笑)
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
トーレスの愛称 (川の果て)
2008-05-19 14:27:27
は王子ではなく、「エル・ニーニョ」なのでは?

スペインのユーロはすぐに終わるはずなので、来季もきっと活躍してくれますよ(笑)
コメントのお返事 (コージ)
2008-05-19 19:28:31
川の果てさん

こんばんは、お久し振りです。
王子は、僕が命名しました(笑)
エル・ニーニョは知っていましたが、リバプール王子ってことで。

え~!すぐ終わらないっすよー。
スペインは、たしかスウェーデンと同じグループじゃなかったでしたっけ?!
( ̄▽ ̄)ニヤッ・・・今回は、決勝まで行く予定です(笑)

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