■ 北京五輪アジア2次予選 第3戦 |
日本(3-0)シリア ・前半16分 家長(日本) ・前半24分 平山(日本) ・後半26分 平山(日本) |
■ シリア戦の超雑感 |
◆ 適材適所が一番?
結果は、ご存知の方も多いと思いますが、北京五輪アジア2次予選(以下、2次予選)の日本の属するグループのライバルとも言えるシリアにホームで3-0と勝利を収めました。
これまで、「結果」は伴っているけど「内容」が良くないと不安や懐疑的な声の多かった反町JAPAN。この試合では、そういうマイナスな声を一掃するかのような素晴らしい試合を見せてくれました。
この試合日本は、これまでの「1トップ2シャドー」という前線の構成を変えて、Jリーグでも馴染みのある「2トップ+1トップ下」という構成で[3-5-2]のフォーメーションで臨みました。対するシリアも[3-5-2]でしたが、単なる(個々を含め)両チームの力の差なのか?戦い方(戦術)で日本が勝っていたのか?は、この辺の判断は人それぞれだと思います。
ただ、以前書いた『適材適所がなされていない反町JAPAN』とは違い、今回は、2トップを「平山、李」そしてトップ下に「家長」を置くような布陣で臨んだ事は成功だったと思います。なにせ、以前のように選手が窮屈そうにプレーしていないという印象が感じられました。
また、先日のエントリーで「アジア2次予選は2位通過でもいいからチームをきちんと形にしてくれ!」って書きましたが、シリア戦を見ている限りではチームとして非常にオーガナイズされた素晴らしいサッカーを展開していました。強いて言えば、あと2、3点は取れたシーン(平山のポスト直撃など)はありましたけどね。それでは、今回の試合に関して、ちょっと細かく分析してみましたので、ご覧下さい。
この試合でポイントはいくつかありました。
・DFラインのプレー(&ボランチ)
・両サイドのプレー
・平山のプレー(&李のプレー)
・家長のプレー(&梶山のプレー)
実は、全ての選手が一つの組織として機能していたと感じた試合でした。個々の純粋な能力で比較しても日本の選手は劣っているとは思いません。但し、サッカーは個人競技ではないので、どんなにスーパースターばかり集めてもチームとして勝てる保証はありません。
結局、組織として機能していたので、これまでと比べ物にならない好パフォーマンスを繰り広げていたのかもしれません。
■ DFラインからのビルドアップ |
◆ ワイド&サイド
まず、真っ先に良かったと思ったのは、DFラインからのビルドアップです。
先日のA代表(ペルー戦)でも、DFラインからの崩しについて書きましたが・・・これまでの五輪代表は「DFラインから平山や前線のスペースにロングボールを放り込んで起点を作る」つまり、1トップの形と前線のスペースに固執し過ぎる傾向がありました。(DFラインからに限らずですが)
ところが、昨日の試合ではDFラインからむやみに前線に放り込むのではなく、3バックがワイドにポジション取り(ボランチ&両SHが絡む)ビルドアップの初期の起点をサイドに持ってきました。
但し、これまでもこのようなビルドアップの形は行っていましたが、それに連動するようにチームとしての連携が希薄でした。悪い例として
・平山の両脇(水野、本田圭)の前のスペースへのフィードが多々あった。
・全体的に前へ行くタイミングが早すぎて前線で渋滞を起こす局面が多くあった。
・後方と前線との意識のずれ(間延びなど発生)が見られた。
チームとしてDFラインのビルドアップから集中して丁寧に行おうという意識が明確でした。それを具現化したのは、家長だと思います。つまり、DFラインと前線とのパイプ役としてプレーしていました。(その他にも色々と良い点はありましたが割愛します)
■ 平山のプレーと前線の関係 |
◆ リンクした守備から攻撃への形
「平山、李」の2トップで臨んだ試合ですが、平山は2ゴールを挙げるなどマンオブザマッチ級の活躍をみせていました。(個人的には家長ですけど)
昨日の平山は「シリアの右サイドに流れて&引いて起点となるプレー」が特徴的でした。これにより「平山、家長、本田圭」のトライアングルが形成され、このトライアングルがこの試合の大きな攻撃時のポイントとなっていました。
そして、対するシリアは、中盤が守備に追われるようになりました。この平山の「シリアの右サイドに流れて&引いて起点となるプレー」は、反町監督の指示なのか?平山及び選手間の判断なのか?は、分かりませんが、理にかなった組織的な攻撃でした。
また、平山もコンディションの問題だけではなく、純粋にプレーし易かったという印象を受けました。これまで個人(水野)に頼りがちだった右サイドの攻撃に、今回のような形(左サイド)が加わると攻撃の幅はぐんと広がると思うのです。
結局は、守備と攻撃(ビルドアップ、崩しなど)全てのプレーがリンクしていた試合でした。
■ シリアが機能しなかった原因 |
◆ プレスが機能しなかったシリア
シリアの2トップが一生懸命??前からプレッシャーを掛けようと走っていましたが、全く持って脅威を感じませんでしたし、何よりも中盤の5枚が機能していませんでした。
シリアは、日本の起点どこで潰すのか?が明確でなかった事が最大の敗因だったと思います。結果的にボランチの「梶山、本田拓」が前を向いてプレーしていましたし、サイドチェンジされると広大なスペースをほぼノープレッシャーのまま本田圭などに与えていました。まぁ、それ以上に、日本の縦パス(くさびの球)に対してもプレッシャーが超ゆるゆるでしたけどね。
◆ ポジショニングの問題
前述の通り、「日本の起点どこで潰すのか?が明確でなかった事」により、日本の2トップに自分達のボランチのエリアを使われていました。
シリアは後方と前線との連動性がチームとしてないので、中盤の守備があたふたしていました。両SHは、本田圭と水野をマーク。しかし、他の中盤の3人がFWのプレスに連動すると後方を空け、味方のボランチ及びDFに連動すると日本のボランチに前を向かれパスを散らされ・・・と、結局は、組織としての守備が出来ていなかったと思うのです。勿論、日本の素早い攻撃が良かったという見かたもあると思います。
後半、シリアは運動量が低下して、結果的に引いた形になると日本の両サイドにスペースを与えなくなりました。また多少、攻守の切り替え時の戻りが早くなったことにより、日本も多少てこずった感はありましたが、3点目を奪われるとゲームオーバーでしたね。
多分、時差の関係などフィジカルコンディションが万全じゃなかったのかもしれませんけど・・・(アジア大会でのシリアは、ポテンシャルを感じるチームだったのでね)だから、シリアでのアウェイは、日本は今回のように行かない可能性は多いにあると思います。
■ 家長のプレーとオシムJAPAN |
◆ 家長と中村俊輔の違い
現代サッカーにおいて、昨日の試合で家長のポジション(トップ下)は相手守備の格好の餌食となり易いものです。しかし、この試合の家長は、トップ下に限定されることなく、DFラインの近くから前線までプレーエリアが広かったですね。
ゴール近くで前を向くと得意のドリブルで仕掛け、引いたりして後ろ向きの時にはシンプルにボールを叩いて次の動作を開始するなど精力的に動いていました。
先日、A代表の試合(ペルー戦)で少しプレーをした家長ですが、今日のパフォーマンスをコンスタントにこなせれば、A代表に常に召集されるような気さえしました。もしかしたら、オシム監督は、昨日の家長のようなプレーを中村俊輔に少なからず求めているのではないでしょうか?!
また、水本が何度かゴール前まで攻撃参加する場面もありましたが、あれもオシム的なスタイルを強く感じさせるプレーでした。
次のアウェイ戦(4月18日)は、今回のように上手く行くとは限りませんので、最低でも勝ち点1(引き分け)であれば上出来かもしれません。ただ、選手達は今回の試合の良いパフォーマンスをアウェイでも出来れば、勝利すると思います。
最後に、前半7分だったかな?シリアにゴールを決められたシーン(水本へのファウル)がありましたが、アウェイだったら下手したらゴールになる可能性もなきにしもあらずだと思います。つまり、アウェイでは現実的かつ堅実な試合運びをするべきでしょうね。そして、セットプレーは要注意だと思われます。
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
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反町監督は相当シリアを研究していたみたいで、実に反町サッカーっぽい感じのサッカーでした。全体的に戦術的な取り決めが出来ていたように思えます。シリアの3バック横のスペースを徹底的に狙う戦略、ドンピシャでした。
このくらい戦術で縛ってもいいとおもうんですがね、この年代の選手は。反町さんもそっちのほうが絶対得意なはずだし。結構バクチ好きだから冷や冷やするでしょうけど。
個人的には家長の位置に本田で本田の位置に家長いれてみた方がが機能するのでは、と思います。
家長はオフザボールのときに左に流れる傾向があるから
右の水野が孤立してしまう。
その点で本田は一発でサイドを変えるキック力があるので
もっとダイナミックなサイド攻撃が出来ると思うんですよね。
こんばんは
おっしゃる通り、ある程度、戦術で縛っても良いと私も思います。クラブと違いそれほど時間もないですしね。
あと、本田圭、水野のバックアップって誰かいるのでしょうか?!ふと思ったのでね・・・
こんばんは、はじめまして。
個人的には、本田、家長のポジションを入れ替えるって案はなんとも言えません。正直、本田圭ってどんな特徴があるプレーヤーなの?って最近思います。
Jでは2回くらいしか見たことないですし、トータル的なバランスの良さで反町監督は使っているんでしょうか?!
ただ、家長のポジションに入れるよりは、インサイドで使うとしたらトップ下より低いポジションで、プレッシャーが多少少ない方がボールさばきには良いかもしれないと思ったり・・・