goo blog サービス終了のお知らせ 

Nice One!! @goo

観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

【LBFF_2013】『エリ』 (2013) / メキシコ

2013-10-14 | 洋画(あ行)


原題: Heli
監督: アマ・エスカランテ
出演: アルマンド・エスピティア 、アンドレア・ベルガラ 、リンダ・ゴンサレス

第10回ラテンビート映画祭 公式サイトはこちら。

舞台はメキシコ・グアナフアト州にある小さな田舎町。住民の多くは貧しく、自動車組み立て工場の仕事か、麻薬密売組織の手先になるしか、生きる道がないような厳しい状況にある。
そんな中、17歳の青年エリとその家族は、ある組織的な麻薬トラブルに巻き込まれていく…。
麻薬密売組織と警察の癒着、貧困、暴力、経済格差といったメキシコ社会の暗部に鋭くメスを入れた衝撃の社会派サスペンス。
アマ・エスカランテ監督は、LBFF2009の『よそ者』、LBFF2010の『レボリューション』(オムニバス)に続く出品となる。
2010年サンダンス・NHK国際映像作家賞受賞。
2013年には、カンヌ国際映画祭で見事監督賞を受賞している。
 (LBFF2013 公式サイトより)




麻薬を巡る悲劇が起こっているのはメキシコだけではなく、中南米諸国ではずいぶん広く問題になっている。麻薬を取り締まろうとする側と、仕切る組織との闘い。元々は麻薬を必要としている人間がいるからではあるのだが、この問題は到底終わりそうにもない。そうなってくると麻薬を必要としない人間にも思わぬ災難が降りかかることも起きてくる。

本作はメキシコを舞台に、麻薬組織絡みのトラブルに巻き込まれる一家を描く。
老いた父と息子のエリ夫婦、孫、そしてエリの妹の5人家族。暮らしは決して裕福ではないものの、つましくその日を送り、ささやかながら将来の夢を描けるくらいのことはできてきた一家。しかし軍隊にいる妹の恋人が麻薬を盗んで隠したことから、一家の生活が暗転していく。

スチール写真の、荒野に1人で歩いている少女はエリではなく、この妹のこと。この子だってもちろん普通の女の子であることに変わりはなく、恋人ができてほんの少しだけ夢を見たかっただけにすぎない。ささやかな秘密を叶えたい、そう思って恋人の言いなりになる彼女にはもちろん罪はない。しかしきっかけはほんの些細なことでも一旦麻薬と関わってしまったら、もう組織にとっては処分すべき人間の側に入れられてしまう。

中南米の人々の暮らしは概ね安定しているとは言えない場合が多い。政情が不安定な国が多く、普通の人が普通の生活を送ることが難しくなっている。普通に生活していてはいつまで経っても貧しいまま、そう考えて麻薬絡みの仕事に手を出してしまう人も多い。しかし麻薬には必ず裏の組織が絡んでおり一度手を出したら容易に抜けることは困難だ。
そして組織を裏切ろうものなら容赦ない制裁が待つ。本人はおろか家族や係累に至るまでしらみつぶしに報復され、夢も生活も粉々になっていく。転落していく過程はあっという間で、普通に生活していた頃と被害に遭ってからの暗転した事態とのギャップが悲しい。

そして報復に次ぐ報復、互いに暴力の応酬は果てしなく続く。劇中かなり残酷な描写もあるが、実際の被害の映像画像からしたらずいぶんこれでも暴力だの残虐さのレベルを下げているというか、遠慮してる訳ですね。現実はもっともっと凄惨で直視できない事例ばかりなので。映画用にここまでクールダウンするという線を決めながらも、きちんと現実を伝え向き合っている所がよい。


★★★☆ 3.5/5点






最新の画像もっと見る

2 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
怖かったです~ (non_0101)
2013-11-03 09:14:01
ほとんど情報を持たないまま観に行ったので、歩道橋の展開にはショックでした~
そうですよね。これでもクールダウンしているのですよね。
色々な怖さを感じた作品でした☆
返信する
non_0101さん (rose_chocolat)
2013-11-09 20:23:54
最初の、あのシーンですよね。
ああいうことってメキシコじゃたぶん日常茶飯事なんだと思いますよ。
日本の感覚からすると信じられないけど、これが現実なんですよね。
返信する

post a comment

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。