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【午前十時の映画祭】『映画に愛をこめて アメリカの夜』 (1974) / フランス・イタリア

2010-12-08 | 洋画(あ行)
原題:LA NUIT AMERICAINE
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャクリーン・ビセット 、 フランソワ・トリュフォー

TOHOシネマズ午前十時の映画祭『映画に愛をこめて アメリカの夜』ページはこちら。


<Story>

フェラン監督(F.トリュフォー)による新作映画『パメラを紹介します』がクランクインした。
だが、キャストはノイローゼ気味のハリウッド女優ジュリー(J.ビセット)に神経質すぎる男優、
契約違反となる妊娠がばれてしまった新人女優、と問題児ばかり。
また、スタッフ間にも問題が続発していた。
フェラン監督は果たして無事映画を撮り終えることができるのか……。




<感想>

本作に関しては全く予備知識がなく、
ただ単にタイトルと簡単なあらすじ(あんまり読んでないけど)、
「午前十時の映画祭」のサイトに出てたスチール写真の感じの良さだけを頼りに行って来ました。
ジャクリーン・ビセットも初めて観ます。







これ・・・ すごい。 ものすごく自分のツボに来ました。
群像劇ってもともと好きなのですが、
映画制作を映画にするっていうのがまず面白い。 映画の内情をばらしているようで。
エキストラも交えての撮影シーンの撮影(笑)は本当に大変だったと思います。
アルフォンスが地下鉄から出てくるところとかね。 どれか1つでもズレてはいけないから。


『映画に愛をこめて アメリカの夜』wiki


wikiを読むと、この映画の中に、
他の映画に対してのいろいろなオマージュがあるようです。
それは、映画として作られたものだけではなく、
トリュフォー監督の実体験に基づくことも織り交ぜられていて、その遊び心が
また楽しく、元ネタを分かっている人ならなおのこと楽しめるし。


劇中劇のストーリーも、この作品のあらすじにかぶっているのも面白い。 
妻を横取りされてしまう男の話、これがそのままアルフォンスにも降りかかってくる。
監督が「自分の分身を演じる人物」と見ていたジャン=ピエール・レオがこのアルフォンス役で、
そう考えるとアルフォンスの奇妙な行動も、監督の本音を表しているのかもしれません。
そしてジュリーの取った行動も、あの時はそれが本当に最善だと思ってやったことだろうと思うし。
あんなに美しく魅力的な女性に慰められるのは、男の理想でしょう(笑)
ジュリーの夫の、博士の行動も何かとても素敵。


ともかく登場人物たちが、映画製作という共通項を持ちながらも、
己の思うがままに生きている部分が魅力的なんです。
性格も、また「映画」に対してのスタンスも本当に人それぞれ。
ある人は俳優として、またある人はスタッフとして。
時にいい加減に、怠惰に、でもいつも真剣に考える人たちもいて。
映画よりも恋を優先させるっていうのも、フランスっぽくて何だかうなずけますね。
そしてお約束のように起こるハプニングや、事件の数々・・・
そういう人たちを取りまとめていく監督の苦労もわかってくれよ! っていう、
トリュフォー監督の切実な(笑)本心なのでしょう。
そうして、いつもいつも、すったもんだあるものの、
完成して行く映画。 その喜びもきちんと伝わってきます。


中でも印象に残ったのは、フェラン監督のこのセリフ。
「俳優は傷つきやすい。 何故ならいつも批評にさらされているから。
だから、みんなで集まってその時を楽しんで作るんだ」
だったと思う(正確じゃないけど)。


これを聞いて思い浮かべたのは、現在公開中の『クリスマス・ストーリー』
正直、きちんと捉えきれてない部分もあったこの映画、どうしてみんなが集まって
すったもんだする? とも思うんだけど、
それでも、傷ついた心をどこかで休めたくて、集ってるんだな・・・と。


作られた意図はもちろん異なるとは思いますが、
そんな共通項をここにも見出すことができました。
『アメリカの夜』では、映画に対しての愛、
そして映画を通じての人間模様、たっぷり堪能しました。



★★★★★ 5/5点








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