こもれび

悩み多き毎日。ストレス多き人生。でも、前向きに生きていきたい。だから、自然体で・・・

おじいさんと草原の小学校

2011年08月17日 | Weblog

キマニ・マルゲ:2009年8月14日、胃がんにより死去。息を引き取る瞬間まで、獣医の夢、そして自分のように待たされることなく誰もが教育を受けられる世界を諦めず、勉強を続けていた。享年90歳。(パンフレットより)

実話をもとに作られたというこの映画を見るまでは、生涯学習の意欲をかきたててくれる心温まる物語だとばかり思っていた。さにあらず。これは壮絶な物語である。

1885年、ベルリン会議席上でヨーロッパ列強によってアフリカが分割され、その後の植民地政策により、ケニアは長い間英国の支配に苦しめられてきた。1942年、この植民地支配からの自由を求めてマウマウ運動が起こり、マルゲはマウマウ団の筋金入りの戦士だった。そして、目の前で妻と子供を殺され、自分は投獄されて凄まじい拷問を受ける。(映画のシーンでは思わず目を覆ってしまった。)

マウマウ団の蜂起は失敗に終わったものの、結果として独立への過程を早め、1963年ついにケニアは独立した。その後、ケニヤ政府は、2003年になって、やっと小学校教育を無料化した。このニュースを知ったマルゲは、どうしても自分で読みたい手紙を持っているため、何度も断られながら小学校に出向き、とうとう入学を果たすのである。

マルゲの入学に当たっては、当時の小学校の女性校長先生が一役買っている。マルゲの入学に異を唱える調査官や国の役人の言いなりにはならず、自らが左遷されてまで、マルゲの教育の機会を守ろうとする。

84歳の小学生マルゲは、「最高齢小学生」として、2004年にギネスにも認定され、世界各国のメディアにも取り上げられた。2005年には、1億人以上もいるといわれている学校に通えない子供たちのために、国連でスピーチもしている。そして、米紙ロサンゼルスタイムズに掲載されたこのマルゲの記事に胸を打たれたジャスティン・チャドイック監督、アン・ピーコックなどの映画関係者たちによって、「おじいさんと草原の小学校」が誕生したというわけである。

ウエブでもパンフレットでも、「祖国解放と自由のために戦い、"学ぶこと"の大切さを知るからこそ、死ぬまで勉強を続けた信念の人」と紹介され、そんなマルゲの姿に心を動かされるのだが、私にとって一番衝撃的だったのは、この物語が現在の話であることである。何十年も前のことではなく、ましてや、歴史の中から掘り起こした話でもない。21世紀の実話である。今でも、捕虜の虐殺、児童労働などについてはニュースやドキュメンタリーなどでも知る機会はあるが、やはり、映画という媒体は、インパクトが違う。

壮絶な過去を持ちながらも謙虚な姿勢で学ぶマルゲの姿が、実話という説得力で心に迫り、映像で描かれたケニアの大地--あの赤い大地が、2004年に訪れたザンビアの赤土と重なり、妙に私の心に絡まってくるのを感じる。

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2 コメント

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はじめまして (らんたな)
2014-10-15 10:09:55
読者登録ありがとうございました。
先日お伺いして、いろんな分野の記事を「うん、うん」とうなずきながら拝見
遅くなってしまったので、ごあいさつなしで失礼しました。

お仕事頑張っていらっしゃるのですね
世界を飛び回っていらっしゃるようなお忙しい中で、いろんな本を読み、映画も見、写真も撮り、こんな風に文章にまとめる!
素晴らしいです~~♪
これからもよろしくお願いします
返信する
らんたなさま (こもれび)
2014-10-15 13:03:28
コメントありがとうございます。
らんたなさんのブログはホッコリしていていいですね。
リンドウは大好きな花です。
これからもよろしくお願いします。
返信する

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