こもれび

悩み多き毎日。ストレス多き人生。でも、前向きに生きていきたい。だから、自然体で・・・

北岳と小太郎山

2021年07月23日 | Weblog

山梨百名山登頂を目指している山友から、小太郎山に行かないかと誘いがありました。「いいね」と答えてから調べてみると、小太郎山のすぐ隣は日本第2の高峰、北岳です。私はまだ北岳に登ったことがありません。ここまで来て、北岳に行かない理由はないでしょう。

ということで、広河原から大樺沢、八本歯のコルを経て北岳山頂に立ち、肩ノ小屋で1泊。翌日、小太郎尾根分岐から小太郎山をピストンし、草スベリを通って広河原に下山しました。



なんといっても山小屋泊の醍醐味は夕焼けと朝焼けです。夜には天の川も綺麗に見えました。小屋からは朝焼けの富士山のシルエットだけでなく、正面に甲斐駒岳とその奥に八ヶ岳が見事に姿を現しました。仙丈ケ岳もすぐ隣に鎮座していました。大自然に囲まれて至福のひと時です。

さて、2日目。小屋から20分ほどで小太郎山分岐です。上から見下ろすと、小太郎山はすぐそこに見えています。尾根道を少しアップダウンしていけば楽勝に見えました。ところがどっこい。破線ルートだけあって道はところどころ不明瞭。歩けども歩けども次々に小ピークが現れ、なかなか小太郎山に着きません。結局、往復で3時間半以上もかかりました。侮れない小太郎山。



とはいえ、小太郎山山頂から見る北岳は別格。大変に格好良く、なかなかの眺めでした。晴天の中にどっしり構える北岳。さすが富士山に次ぐ高峰です。反対側のバットレスの眺めとはまた違った、風格のある山容です。

久しぶりの高山で足はヘロヘロになりましたが、天気に恵まれ、山の偉大さを実感した山旅でした。



「淳子のてっぺん」by 唯川恵

2021年07月01日 | Weblog

ノンフィクションにほんの少しのフィクションを加えて書かれた「淳子のてっぺん」。読み応えのある本だった。文庫本で625ページの大作だが、あっという間に読み終えた。「エベレスト? 女なんかに登れるもんか!」という時代に、女性だけの隊で世界の最高峰、エベレストを目指した田部井淳子さんの物語だ。

今から20年ほど前にどこかの里山を歩いていた時、すれ違った人から「あら! 田部井さんですか?」と声をかけられたことがある。その時は、あら、いやだ、私あんなにおばさんじゃないし。。。と思った。地球上で一番高い所、8848メートルの山頂を女性で初めて踏破した田部井さんとは知っていたが、テレビなどで見かける田部井さんは、どこにでもいるような気のいいおばさんという感じだったからだ。エベレストと七大陸最高峰への登頂に成功しているのに驕りの欠片も見当たらない。

この本を読むと田部井さんの性格の良さと高度順化の凄さがどれほどのものかよく分かる。いたるところで泣けるし、登山の描写ではハラハラドキドキ。77才で亡くなったのだから、山から生還していることは明らかなので遭難の心配はしなかったが、あの時代の海外遠征となると、山に登ること以上に、それこそ山ほどの問題が持ち上がる。それがハラハラ、ドキドキなのである。

そして、「淳子のてっぺん」はエベレストの山頂ではない。ではどこか。思い出すだけで涙が出てくる。これからしばらくは、田部井さん自身が書かれた著作を読んでみようと思う。