rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

くどいかもしれないが、言わずにはいられない

2011-10-28 15:21:54 | 随想たち
昨日、フジテレビの情報番組”とくダネ”で、硬派な政治問題TPP環太平洋戦略的経済連携協定または環太平洋パートナーシップ協定を取り上げていた。
論客に中野剛志氏を招いて、TPPについての意見を伺うという趣旨か。
TPP反対派の立場をとる中野氏は、いかにこの協定が超大国アメリカの専有協定で、日本国に何のメリットもない最悪のものだと、苛立たしげに警告していた。
そして、マスコミのいい加減さと狡さを指摘していた。
政府の了見の狭さと愚かさを、マスコミの堕落を、それを阻止できない中野氏自身の不甲斐無さを嘆いていた。

世事に疎い自分が、中野氏を知ったのは、この番組が初めてだった。
語調荒くふてくされたように話をする中野氏の姿に、戸惑いと不快感を抱いたのだが、番組が進み氏の言わんとしていることが見えるにつれて、その苛立ちに納得できた。
番組局アナによる、TPPが問題になるとき必ず出る農業と工業の対立と関税撤廃のメリットをあげて行われるTPPの解説は、政府指示による表面的問題のすり替えの受け売り。
もっとも、軟派な情報番組に、TPPの何たるかを詳しく解説しろというのも求めすぎで、こうして話題に採りあげるだけでも芳とすべきかもしれない。
だが、そのすり替えで隠され、国民の目に見えない重大な問題がある。

・工業製品、農産物、繊維・衣料品の関税撤廃
・金融、電子取引、電気通信などのサービス
・公共事業や物品などの政府調達方法
・技術の特許、商標などの知的財産権
・投資のルール
・衛生・検疫
・労働規制や環境規制の調和
・貿易の技術的障害の解決
・貿易紛争の解決
これらを、治権をこえて完全撤廃、例外は認められないとしている。
なにより、アメリカは、参加国中国力は抜きん出ていて、GDP比較では7割近くを占めて勝っている。
ついで日本は、2.5割の二位だが、だからといって安穏としている場合ではない。

政府は、参加によって得られる経済効果を算出したが、GDP10年間で2.7兆円あるという。
しかし、数字とは摩訶不思議なもので、取り上げるところ一つでいかようにも変わる。
しかも、控えめな脚注に魔物が棲んでいる場合がなんと多いことか。

なにはともあれ、既に参加決定の予定どうりにことは進んでいるみたいだ。
しかたがない、日本はアメリカの親しい隣人なのだから、アメリカの誘いは断れないだろう。
”親しい隣人”の中身は、時により立場によって変わることがあることは、皆が知っているところだ。

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4 コメント

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少し前から覗かせていただいてます。 (川口知宏)
2011-10-29 00:56:54
自己紹介も半端で申し訳なく思いつつ、コメントさせていただきます。
TVの報道などでTPP断固反対といきまく方達は仮にTPPに日本が参加しないとなった時、どう農業・漁業・林業・工業などのワーキングクラスの生活を考えてるのか?疑問です。
自分はTPP擁護派などではなく、失業者です。
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川口様、はじめまして。なにかと至らない想念と文章で申し訳なく、お立ち寄りくださいましてありがとうございます。 (rock_et_nothing)
2011-10-30 23:35:50
辺境よりつらつら世の中を眺めますに、バブルと新自由主義による構造改革と円高で、産業構造の空洞化がいっきに進みました。いまなお、生産拠点を海外に移転し続ける工業をとってみても、通貨格差がある以上、国内の雇用増加は望み薄です。
もし、TPPに参加するならば、食料自給を確保し、農産物の価値を最高値にまで上げ、安い外国産に負けない対抗力を持つこと。工業では、いわゆるmade in japanの絶対的な付加価値を持たせること。林業は、国土保全を第一に質の良い木材の生産をめざし、漁業は、経済水域の揺ぎ無い確保のもとに安全に操業できる…などの様々な基盤を磐石にしてからだと思います。
また、外国の政治の駆け引きに打ち勝つ老獪さと、企業は、けして付け入られる隙を作ってはいけません。他国を侵略できるくらいの絶対優位な力を持って、ようやく参加できるものと思っています。
もっとも、その力を持ちつつ行使しないのが理想であります。
長くなりましたが、つまるところ、現状では参加するには無防備どころか、半死半生で敵地に乗り込むようなものだと考えています。
極端な悲観論者かもしれませんが、そうおもえてなりません。
今となっては、杞憂であることを願うばかりです。
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コメントありがとうございます。 (川口知宏)
2011-10-31 18:13:04
自分は失業者であり、現在、職業訓練校に税金のもと通っております。
半年後、学校側としては就職を前提としてます。
しかし、自分は国外の現状を見に行く計画をしています。実現は難しそうですが心情はそこ向いてます。

TPPどっちに転んでも、現状的に日本にはメリット無し。だと考えます。
目先の利益や対面だけの行政にはヘドがでます。これじゃ、子供らに未来を示せないと・・・

しかし、出来る事は絶対に有ると信じてます!
共にたたかいましょう!
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こんばんは、川口様。 (rock_et_nothing)
2011-11-02 00:17:11
夏目漱石の「草枕」の冒頭は、いつの世にもつきものですが、長く生きている者の勤めを出来るだけ果たしたいものです。
どうぞ、研鑽を積んでいただきたく、かげながら応援しております。
自分も、至極微力でありますが、もがいていきたいと思います。
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