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ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

夜明け前のセレスティーノ

2023-08-27 11:55:33 | 読書
 レイナルド・アレナス『夜明け前のセレスティーノ』



 本を読んでいると眠くなる。

 退屈なのではなく、リラックスして副交感神経が優位になるからだ。

 特に心地いい椅子に座っていると5分と持たない。

 静かなホールでクラシック音楽を聴いているときと似ている。


 この小説も似ている。

 音楽が流れるように、文字が流れていく。


 読み初めは違った。

 何が書いてあるのかよくわからなかった。


 「かあちゃんが〈ぼく〉の頭を石でふたつに割ると、ひとつは駆けだし、片方はかあちゃんの前にいて、踊っている、踊っている。」

 どういう状況なのだ?


 やがて気づく。

 文字通りの意味で読んではいけないのだと。

 ただ、これはわかる。

 少年は、祖父、祖母、母から暴力を受けていること。

 現実の中に不意に夢のような描写が入るのは、過酷な状況から心を逃げ出させるためではないのか。

 
 読みながら、ぼくも少年と一緒に逃げる。

 音楽のように心地よいリズムを持った文章が、夢見心地にさせるのに身を任せながら。


 装丁は坂野公一氏。(2023)



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