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仕事や身の回りのできごとを綴ってみます。

面白経済学2

2006-12-07 08:57:42 | 日常について
さて、答えです。

メーカーが車をレンタカー屋から買い戻してまで中古車販売をしたい理由。
それは、その方が利益が出るからです。
確かに、全体の販売量は増えるので、売り上げが増えるのは理解できます。

でも何でこんなことをわざわざするのか?

メーカー側は購買層を大きく分けて2つに捉えています。
1)新車派
2)価格派

1)の新車派は、価格よりも「新しい」こと、
自分が1stオーナーであること、ということに価値を置いています。
2)の価格派は、価格が安いことに価値を置いています。

ここで、もし新車しかメーカーが供給しなかった場合を考えてください。
この場合は、メーカー側は機能派しかターゲットにできず、
単価は高く設定できるものの、全体の購買数を伸ばすことができません。

一方で、価格に敏感なお客を取り込もうとした場合、
新車しか供給できない場合は、価格を下げざるを得ません。
この場合は、購買数を伸ばすことができますが、単価が安くなってしまうので、
結局全体の利益はソコソコになってしまいます。
(日用品のように、圧倒的な販売量、というわけにもいきませんので)

さて、そこでメーカーは利益を最大化させるためにどう考えるか。
機能派と価格派両方を取り込めないものか。

そのためには2通りの価格設定が必要になります。
機能派にはある程度高めの価格を設定し、価格派には安めの価格を設定するということです。

ただし、商品が同じである場合、この価格の切り分けはなかなかうまくいきません。
機能派だって、価格が安いほうを買ってしまうからです。

では、この機能派を排除するにはどうするのか。
それが「中古車」という、「同じ商品でありながら、(新車と)全く違う層にアピールする」カテゴリーの創出なのです。

勿論、BMWの3シリーズ、5シリーズ、7シリーズなど、
ラインナップを設けて差別化する、というのも一つの手法です。

ただし、これには機能を付加したり、型を変えたりとコストがかなりかかります。

それに比べると、中古車というのは、
どんなに乗っていなくて、機能的には差別化できなくても、
販売から時間が経つだけで、立派に差別化できるのです。

レンタカーの話に戻すと、
メーカー側からすると、買戻しの差額$1,000を投資して、
中古車を「創出」することで、新たなターゲット層に販売できるので、
この投資が十分に回収できるという仕組みなのです。

この手法、ファッション業界でもありますね。
中古服ではなくても、販売時期を遅らせるだけで、
同じ服が値崩れを起こして、新し物好き以外の層に売り込めます。

また、極端な例ですが、
カラープリンターでは、わざわざ製品にチップを入れて
印刷速度を遅くして、上位モデルと差別化することで、
価格派に売り込む、という手法をとっているそうです。

もっともっと身の回りにもこういう例ってありますよね。

経済学が面白いなぁ、と感じた授業でした。