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ウィズ・コロナ 78歳からの人生設計 12 メイコさん「大事なものから捨てる」

2022-05-13 16:31:48 | 「身の程」人生

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 今日,5月13日に88歳の誕生日を迎えられた女優の中村メイコさん(1934年生まれ)。5月4日放送の黒柳徹子さん司会のトーク番組「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に夫で作曲家の神津善行さんと揃ってご出演。
 結婚60年を迎えるお二人は,3年前,人生の終いじたくを始められたとのこと。

 なお,メイコさんは,人生のフィナーレに向けての心構えを『人生の終いじたく (青春文庫)』,『大事なものから捨てなさい メイコ流 笑って死ぬための33のヒント』などの自著に綴っておられます。この二冊から「メイコ流終いじた」の奥義を私なりの解釈で探ってみました。

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 「断捨離」とは違う・・・。『大事なものから捨てなさい。』
       『大事なものから捨てなさい メイコ流 笑って死ぬための33のヒント』 1ページ~8ページ

「ごめんなさい,ごめんなさい。でも,『お別れ時』が来たの」
 古いキユーピー人形を抱きながら,私は何度も言い訳を繰り返した。今からこの人形を捨てるのだと思うと,胸が張り裂けそうだった。
 他人から見れば,ただの子どものおもちゃかもしれない。しかし私にとって,これは大切な 「宝物」 なのだ。(中略)
 セルロイド製のキユーピー人形はずっとそばで,私のことを見守り続けてくれた。しかし八十歳のとき,その 「守り神」 を捨てることにした。
 きっかけは,マンションへの引っ越しだった。それまで住んでいた自宅は,敷地三百坪の地上二階,地下一階という体育館のような豪邸だったが,この先の人生を考えて,こぢんまりした住まいに移ることに決めた。
 ただ,そのためには大量にものを捨てなければならない。人間八十年も生きていれば,ものも思い出もたまって当然だ。我が家の場合,それがたまりすぎていた。(中略)
 最も捨てにくいものから捨てることにした。自分にとって大事なものでも,残された子どもには処分に困るような 「宝物」から減らし始めたのだ。
 キユーピー人形だけではない。昭和のスターたちからもらったおもちゃはたくさんあったが,すべて捨てた。女優生活でたまりにたまった記念品や,自分が出演した番組のビデオも残らず手放した。
 私がやったのは,いわゆる 「断捨離」 とは少し違う。そもそも私は,この言葉が持つ暗さが好きにはなれなかった。
 そこで考えたのが 「お別れ時」という言葉だ。どれだけ大事にしているものでも,いつか必ずお別れしなければならないときが来る。宝物をあの世に持っていくことはできないのだから。(中略)l
 すてたものの量は,なんとトラック七台にもなった!。(中略)
 ものにとらわれる人生をやめたことで、人生がぐっと身軽になったのだ。そもそも年老いた心に、たくさんの思い出を詰め込んで生きることはできない。過去にすがりつく気持ちを断ち切って初めて、前に進める。(略)

                           --------この項,続きます。次回16日(月)掲載予定です。

 

 

 

 

 
 
 
     

人生の終いじたく
(青春文庫)




 
  大事なものから捨て
なさい メイコ流 笑っ
て死ぬための33の
ヒント
 
     
中村 メイコ著   中村 メイコ著      
青春出版社   講談社

 

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 ご存じですか? とっても便利な〃乱れ箱〃
         人生の終いじたく 172ページ~175ページ

 乱れ箱という、やけに色っぽいネーミングの箱があります。日本旅館の部屋の片隅に、浴衣や紐、タオルなどが入れてある、あの大きなお盆みたいな箱が乱れ箱です。
 昔はふつうの家にも乱れ箱がありました。ご主人が帰ってくると、とにかく着ていた洋服を脱いで、乱れ箱に投げ入れます。ポッケにお財布や定期、手帳やペン、タバコやマッチなどを突っこんだまま、つまり、仕事場という「戦場」から持ち帰ったものをそのまま洋服ごと乱れ箱に投げ入れるわけです。(中略)
 手がすいたとき、奥さんはポツケの中のものを取りだして乱れ箱の中に入れ、背広とズボンをハンガーにかけたりするわけです。(中略)奥さんの側からいえば、とにかく乱れ箱に入れておけば、あくる日、夫に忘れ物をさせないですんで、便利なのです。           
 洋式の生活が中心になって、わが家からも乱れ箱は姿を消してしまいました。でも、いただきもののフルーツが入っていた大きなバスケットとか、丈夫そうなきれいな箱などにかわいいタオルを敷いて、乱れ箱としてベッドサイドに置いています。
 帰宅したら、バッグの中のお財布から口紅にいたるまですべて出して、その乱れ箱に入れます。あくる日、洋服に合わせて選んだバッグに、乱れ箱の中のものをチェックしながら詰め替えれば、忘れ物などしないですみます。
 忘れものをしないという実利面とともに、自分の中の潔さを引きだすための小道具でもある乱れ箱。生活の中の小さな知恵が生みだしたこの地味な道具は、どんなにハイテクの世の中になっても、便利に使える一品です。
 乱れ箱がその色っぽいよび名とともに、ひっそりと生き続けることを願っています。

                                          

 

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