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「林原の経営破綻」から,同族経営のあり方を考察する-3(確執 その3)

2014-07-02 14:47:12 | 林原-同族経営の功罪

 バイオ企業の林原(岡山市)の唐突ともいえる経営破綻から3年。その当事者である林原の元社長 林原健氏と弟で元専務の林原靖の兄弟が倒産の原因と長瀬産業がスポンサーに選ばれるまでの経緯,所感を,それぞれの著書で綴っている。
 同族経営のあり方,同族経営のあるべき姿を考察するに当たり,兄の健著”『林原家 同族経営への警鐘』,弟の靖著 『破綻──バイオ企業・林原の真実』は,参考となる書籍である。

 

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  ┗■  元専務 靖(弟)氏「林原」は,銀行に裏切られ潰された” 

            元社長 健(兄)氏林原一族の特異性こそ倒産の真因

 林原の経営破綻の真因(本質)に『関して,当事者二人の見解は,大きく異なる。

 突然の経営破綻から3年。林原健元社長が『林原家 同族経営への警鐘』を上梓した。経理面など経営の実務を任されていた弟で,元専務の林原靖氏は著書, 『破綻──バイオ企業・林原の真実』で,“世界的優良企業「林原」は,銀行に裏切られ潰された”と訴えている

 それに対して,兄である元社長は,『林原家 同族経営への警鐘』で,林原家が悪かった,私が会社を倒産させてしまったと自己批判。“林原が倒産した根本的な要因は,「経理部門を任せていた弟,林原靖と私の関係性である。もっといえば,林原一族の特異性こそ倒産の真因は宿る。」と,告白している。”(まえがき P4)。

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  ┗■  元専務 靖(弟)氏の語る兄弟の関係-“とても仲がよかった” 

   兄の人生は最初から最後まで「社長」だった。社長以外の社会経験はなく、社長の肩書きのない林原健はあり得ない、というところまで人格と一体化してしまっていたと思う。 兄は原理原則の人だ。
 信念をもって一点に集中するときは何ものにも邪魔させないし、命がけで守ろうとする。 弟のわたしは現実に生きる人間だ。 目の前のできることから手がけ、少しずつ前進していく。
 兄は人との出会いやつき合いを基礎に置き、大事な話には部下すら同席させない。そしてトップのみの一対一で決める。

 弟は事業の永続性を担保するため、組織作りとチームワーク、情報共有化を重視する。 兄は芯にある五%の絶対自我を、九五%の温かい人間性で包んでいる。一方、弟は五%の温情的な人間観を、まわりの九五%のクールな合理性で包んでいる。
 おそらく兄はわたしに対し「自分と同じように考え行動してもらいたい」と思っていただろう。しかしわたしたち兄弟は、水と抽ほどにも違っている。周囲からも「仲のよい兄弟なのに、正反対のタイプですね」とよく言われる。父を早くに亡くしているので、幼い頃から、わたしは時に兄の中に〝絶対的な父の幻影を見ていたのかもしれない。二人はたしかに違っている。でも、とても仲がよかった。
                      『破綻──バイオ企業・林原の真実』 p68

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  ┗■  元社長 健(兄)氏の語る兄弟の関係-“服従関係だった” 

 弟は私のことを異常なまでに恐れていたと思う。私の意見に弟が強く反論したことは、記憶している限り一度もない。私が「今度、こんな設備投資をするから1億円ほど出してくれ」と言えば、弟は「社長、承知いたしました」と必ず承諾してくれた。研究部門のスタッフから購買部門に上がってきた試験材料や研究道具などの発注依頼に、弟が難色を示したときには、私が一言「出してやれ」と声をかければ、弟は何も言わず命令をのんだ。
 「林原は二人三脚経営ですね」と言ってくる人もいたが、二人三脚がそれぞれの立場から意見を忌憚なく言う関係を指すのだとすれば、我々兄弟の経営はそれとは対極に位置する。2人は対等の関係になく、間違いなく上下の服従関係である。
 弟が私の目を正視したことはあまりない。仕事上で何かを報告するときも、時々ちらちらと私の表情を確かめるだけ。言葉遣いも、「はい、そうでございます」などと必要以上にかしこまった丁寧語を使う。
「あの2人は、本当の兄弟なのか」
 そんな変な噂を立てる社員までいた。もちろん血のつながった正真正銘の兄弟だ。
                                    出典: 『林原家 同族経営への警鐘』 p99 

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NHK 「仕事学のすすめ」2月放送予定の林原・2-無理な開発投資で破綻  2011-01-28 08:30:35

NHK 「仕事学のすすめ」2月放送予定の林原・1-経営行き詰まる  2011-01-27 14:14:01

  

   :::::****:  マスコミの見方      ::::****

>>>経営破綻の要因--無理な開発投資が業績悪化を招く --
  林原の倒産原因に関する一連のマスコミの見方は,概ね,次の通りである。

  林原は食品原料や医薬品の製品化を,基礎研究の段階から手掛けているため,長期にわたり開発投資が先行する事業構造になっている。このため金融機関からの 借り入れで資金調達を進めてきたが,景況悪化で保有する土地や有価証券の資産価値が劣化し,資産規模に対して債務が膨らむ状況に陥っていた。

 林原の主力取引銀行の一つである中国銀行は,体力以上の無理な開発投資を継続したことが経営悪化の主因とみている。
 
 林原の借入金総額は約1400億 円。中国地方の金融機関では中国銀行のほか山陰合同銀行,広島銀行,鳥取銀行が貸し付けており,合算で約500億円であった。

 

 

林原家 同族経営への警鐘

私は棺桶の中まで、真実を持っていくつもりだった

 「これから『同族企業の雄』として持ち上げられた林原の実態をさらけ出す。日本企業は同族企業の割合が世界の中でも飛び抜けて高い。その一角を占めた私たちの失態をぜひ教訓にしてもらいたい。それが今の私にできる最後の責務だと思う。
 さあ見ていただこう。これが株式会社林原、そして林原家の真実である」(まえがきより)。

 父、林原一郎との対立、末弟との絶対的上下関係、早世したもう一人の弟との約束。林原家に深く埋め込まれた、破綻に向かう必然のストーリー。

日経BP社

 

破綻──バイオ企業・林原の真実


著者は、2011年2月2日に会社更生法の適用を申請したバイオ企業の雄であった「林原」の元専務林原靖氏です。

半沢直樹もたじろぐ-銀行の悪行???。

 

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