夜桜

妻の帰りを待っていたのだが、残業とメールが入る。

「仕方ないな～」と呟き、自分の車で行くか、どうしようかと悩む。

時間は夜６時５０分。「残業何時まで？」とメールを入れて返事を待つ。

「車庫から出すのが面倒くさいしな～。思いきって自転車で行くか～」と外の様子を見る。

何のことはない銀行のＡＴＭに行くだけなのなのだが。７時までメールの返事を待つ事にする。

メールの返事が来ないので、仕方なく外に出る。夜空に浮かぶ月を見て「月がとっても青いから～。」なんて鼻歌を口ずさみ、「満月は２日後か」と自転車に颯爽と跨り勢い良くペダルを漕ぎ出す。月の威力をまざまざと感じる。

「東風か～。帰りはしんどいな～」

追い風を受け快調に西へとペダルを漕ぐけれど、車にすれば良かったと後悔する。

「何も仕事で疲れ果てた体に鞭打って自転車漕がなくても良いではないか」などと考えながら「夜風にしてはちょっと寒い。やっぱり車だったな～」とダメだしする。

１５分掛かって目的のＡＴＭに辿り着く。用事を済ませ帰り道を急ぐ。

踏み切りを渡り、駅のほうに目をやると、街灯に浮かぶ白い花を見つける。

「桜が咲いたのか？」と花に吸い寄せられるようにＵターン。

「桜の花だ。７部咲きか。自転車で来て良かったな～」と初めて実感する。

サイクリングロードにもなっている遊歩道の方へ足を伸ばすことに。

「明日は満開になるな～。見頃だね～」と思わぬ夜桜見物となりました。

「今宵の夜桜はビールと言うより、熱燗がお似合いだね～」とご機嫌。

夜桜は夜風が身に染みるくらいが風情があって良いのかも。

「腹減った。帰ろう。やっぱり花より団子だ」

向かい風に歯を食いしばりペダルを漕ぐ。

「行きはよいよい、帰りはこわい」とはこのことだ。

今朝も６時２０分起床、明日は火曜、ミニロトの日・・・。