『さや侍』:レビュー(バレ有り)
※ネタバレがありますので未見の方は素通り願います…m(_ _)m
出演:
能見 勘十郎:能見 隆明
たえ:熊田 聖亜
倉之助:板尾 創路
平吉:柄本 時生
お殿様:國村 隼
坊主:竹原 和生
他…
[あらすじ]
能見勘十郎(能見 隆明)はその昔、妻を失った悲しみから
侍として刀を持つことを止め、ふさぎこんでしまった。
娘のたえ(熊田 聖亜)はそんな父の姿を情けなく思いながらも
脱藩の罪で終われる身となった彼について共にあてのない旅を続けている。
しかし、お尋ね者となり懸賞金までかけられた勘十郎は
多幸藩でついに捕まってしまう。
脱藩の罪は厳しいもので、切腹も免れない…。
時の多幸藩の殿様(國村 隼)は世間では知られた変わり者で、
罪人に他の藩には見られない、ある変わった業を科していた。
それは「30日の業」と呼ばれていた。
30日以内に母を失ってから笑わなくなった若君を笑わせるというもので
もし、成功すれば無罪放免となるのだ。
しかし、これまでに成功した罪人は誰一人としていないのだった…。
勘十郎もまた1日1度ずつ、若君の前で出し物を行うことになった。
しかし、ピクリとも笑わない若君の前で
刀も持たず、人に笑われる父をたえは激しく拒絶し、
武士なら武士らしく切腹して欲しいとさえ願っていた。
しかし、勘十郎のひたむきな姿に少しずつたえの心も傾いていき、
父が刀を持たずして戦っていると思うようになっていく。
そして、牢屋敷の門番、倉之助(板尾 創路)と平吉(柄本 時生)も巻き込み、
大掛かりな仕掛けまで作って前例の無い出し物を行うようになる。
城外で行った出し物をきっかけに町民が業を見物するようになってから
いつしか勘十郎は人々から温かい言葉で励まされるようになっていった。
さらにこれまでとは違う勘十郎の出し物は殿様の心も動かすまでになる。
しかし、多少の変化は見られたものの若君が笑わぬまま日は過ぎていき、
ついに30日目を迎えるのだった…。
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[作品レビュー]
時代劇ですが、時代劇っぽさが薄めで
堅苦しくなく、ちょっとコントのようなところもあり、
構えることなく観れました。
その辺りがテーマとうまく融合できた世界観なのかな。
能見さんを拝見したことが無かったので、
どんな方かわからないまま見てしまいましたが、
松本監督の番組には出たことのある素人さんのようです。
なかなかインパクトのある方でした(^^;
序盤はどうしても演技はつたないものがありましたが、
後半にいくにつれ、形になっていき、
素晴らしいシーンを演じてらっしゃいました。
りょうさんが以前インタビューで能見さんの演技について
「最後は香川照之さんみたい」と仰ってました。
能見さんを共演者と共に松本監督がうまく見せてくれたのですね!
お笑い出身の松本監督の作品とあってか、
一度は刀を捨てた勘十郎が侍の魂を無くすことなく
生と死の狭間で戦っている様子から、
熱い魂を持って「笑いで戦っている」のだ、と表現しているような…。
個人的にはそんなメッセージを感じました。
印象に残ったシーンを少しお話しすると…
① 勘十郎が壊れかけたカステラを若君に渡したシーン
鼻を真っ赤にしながらも懸命に襖を割って
カステラを若君の前に両手で差し出す姿に感銘を受けました。
② 勘十郎が切腹するシーン
個人的には切腹は無いと思っていましたから、
潔く侍の魂を無くした訳じゃない、と切腹し、
刀を殻の鞘に納める姿が美しかったです。
受身だった勘十郎が初めて自身の想いを表現するシーンかと。
③ 最後の竹原さんのシーン
ホントに最後の竹原さんのシーンはズルかったですね~。
竹原さんが勘十郎の想いを綴った手紙を読むのですが、
次第にそれが「父から娘への唄」として歌われるんです。
その歌詞がとても心にぐっとくる内容ですし、
メロディにのると朗読とはまた違った響き方をしますよね。
歌は好きなのでとても感動しました。
北野監督の『座頭市』を彷彿とさせるような、
エンターテイメント性の高いラストでした。
竹原さんは以前、『フリージア』のトークショーで拝見しました。
目を細めてニコニコと笑う、優しい笑顔が印象的なお兄さんです。
その時にバンド、夜狐禅で活動してらっしゃると聞きましたが、
ボーカルを務めてらっしゃるのでしょうか、歌がとても上手です!
前にも書いたとおり、個人的には切腹も無く、
喜劇として完結するものだと思い込んでましたので、
いい意味で裏切られてしまいましたね~。
その辺が松本監督の憎いところですね(^^)
松本監督はインタビューで「ヘタウマ」を楽しんで、と
仰ってましたが、最終的に「ウマウマ」な感じでした。
単純に喜劇かと思って観てしまうと、
最後の最後にひっくり返されてしまう驚きの作品でした。
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※ネタバレがありますので未見の方は素通り願います…m(_ _)m
出演:
他…
[あらすじ]
能見勘十郎(能見 隆明)はその昔、妻を失った悲しみから
侍として刀を持つことを止め、ふさぎこんでしまった。
娘のたえ(熊田 聖亜)はそんな父の姿を情けなく思いながらも
脱藩の罪で終われる身となった彼について共にあてのない旅を続けている。
しかし、お尋ね者となり懸賞金までかけられた勘十郎は
多幸藩でついに捕まってしまう。
脱藩の罪は厳しいもので、切腹も免れない…。
時の多幸藩の殿様(國村 隼)は世間では知られた変わり者で、
罪人に他の藩には見られない、ある変わった業を科していた。
それは「30日の業」と呼ばれていた。
30日以内に母を失ってから笑わなくなった若君を笑わせるというもので
もし、成功すれば無罪放免となるのだ。
しかし、これまでに成功した罪人は誰一人としていないのだった…。
勘十郎もまた1日1度ずつ、若君の前で出し物を行うことになった。
しかし、ピクリとも笑わない若君の前で
刀も持たず、人に笑われる父をたえは激しく拒絶し、
武士なら武士らしく切腹して欲しいとさえ願っていた。
しかし、勘十郎のひたむきな姿に少しずつたえの心も傾いていき、
父が刀を持たずして戦っていると思うようになっていく。
そして、牢屋敷の門番、倉之助(板尾 創路)と平吉(柄本 時生)も巻き込み、
大掛かりな仕掛けまで作って前例の無い出し物を行うようになる。
城外で行った出し物をきっかけに町民が業を見物するようになってから
いつしか勘十郎は人々から温かい言葉で励まされるようになっていった。
さらにこれまでとは違う勘十郎の出し物は殿様の心も動かすまでになる。
しかし、多少の変化は見られたものの若君が笑わぬまま日は過ぎていき、
ついに30日目を迎えるのだった…。
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[作品レビュー]
時代劇ですが、時代劇っぽさが薄めで
堅苦しくなく、ちょっとコントのようなところもあり、
構えることなく観れました。
その辺りがテーマとうまく融合できた世界観なのかな。
能見さんを拝見したことが無かったので、
どんな方かわからないまま見てしまいましたが、
松本監督の番組には出たことのある素人さんのようです。
なかなかインパクトのある方でした(^^;
序盤はどうしても演技はつたないものがありましたが、
後半にいくにつれ、形になっていき、
素晴らしいシーンを演じてらっしゃいました。
りょうさんが以前インタビューで能見さんの演技について
「最後は香川照之さんみたい」と仰ってました。
能見さんを共演者と共に松本監督がうまく見せてくれたのですね!
お笑い出身の松本監督の作品とあってか、
一度は刀を捨てた勘十郎が侍の魂を無くすことなく
生と死の狭間で戦っている様子から、
熱い魂を持って「笑いで戦っている」のだ、と表現しているような…。
個人的にはそんなメッセージを感じました。
印象に残ったシーンを少しお話しすると…
① 勘十郎が壊れかけたカステラを若君に渡したシーン
鼻を真っ赤にしながらも懸命に襖を割って
カステラを若君の前に両手で差し出す姿に感銘を受けました。
② 勘十郎が切腹するシーン
個人的には切腹は無いと思っていましたから、
潔く侍の魂を無くした訳じゃない、と切腹し、
刀を殻の鞘に納める姿が美しかったです。
受身だった勘十郎が初めて自身の想いを表現するシーンかと。
③ 最後の竹原さんのシーン
ホントに最後の竹原さんのシーンはズルかったですね~。
竹原さんが勘十郎の想いを綴った手紙を読むのですが、
次第にそれが「父から娘への唄」として歌われるんです。
その歌詞がとても心にぐっとくる内容ですし、
メロディにのると朗読とはまた違った響き方をしますよね。
歌は好きなのでとても感動しました。
北野監督の『座頭市』を彷彿とさせるような、
エンターテイメント性の高いラストでした。
竹原さんは以前、『フリージア』のトークショーで拝見しました。
目を細めてニコニコと笑う、優しい笑顔が印象的なお兄さんです。
その時にバンド、夜狐禅で活動してらっしゃると聞きましたが、
ボーカルを務めてらっしゃるのでしょうか、歌がとても上手です!
前にも書いたとおり、個人的には切腹も無く、
喜劇として完結するものだと思い込んでましたので、
いい意味で裏切られてしまいましたね~。
その辺が松本監督の憎いところですね(^^)
松本監督はインタビューで「ヘタウマ」を楽しんで、と
仰ってましたが、最終的に「ウマウマ」な感じでした。
単純に喜劇かと思って観てしまうと、
最後の最後にひっくり返されてしまう驚きの作品でした。
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