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Reoっちの駄文(ふつーの日常をハードボイルドに)

金融、サッカー、ボクシング、映画・・・そしてその他でふつーの日常を、楽しく読めるようにハードボイルドな読み物風に。

海の男に・・・、を読み物風に

2010-10-12 16:05:36 | その他
「・・・夏が、終わってしまった・・・」


おれは、ふと、そう呟いた。冬生まれの、夏男。いや、昔は汗をかくのが嫌いで、冬の方が好きだったはず・・・スノーボードにもめっきり行かなくなり、愛用のボードを錆びつかせ、ブーツを埃まみれにしてしまったのは、いつからだったか。歳をとり、おっさんという呼び方が似合うようになってきたおれは、すっかり寒さがダメで、逆に夏の海が好きになっていた。


「何言ってるんですか、夏はずいぶん前に終わってますよ!」


同僚が、言葉を返してきた。そう、8月はかなり前に過ぎている。日本の夏は短い。梅雨が終わる7月後半から海開きし、9月になればもうビーチは閉まる。実質、1ヶ月ちょっと。社会人ともなって週末だけしか海に行けないとなると、約5回。その中で天気が悪ければ・・・日本にいる限り、一年で海に行ける回数など、片手で数えられるほどだ。おれは、悲しくなった。


「・・・ダイビングでも、始めるか・・・」


ダイビングなら、ドライスーツを着れば一年中、冬に海に行く気はないおれでも7,8月以外でも海に行ける。これは、名案だ。おれは、都内のダイビングショップに行って、ダイビングライセンスを取得する事を決意した。もちろん、映画『海猿』の予告編を観て、決意していた。


「・・・女性に人気出ちゃうな、おれ・・・」





「・・・ろ、六十万円!?」
「うん、もっと良い器材のパッケージは七十五万円。やっぱり自分の器材を持って、しっかり巧くならなきゃ。」
「・・・い、いや、冬は潜らないから、ドライスーツなんかいらないし・・・」
「何言ってんの、冬の海は透明度が凄くて綺麗だよ。うちは保育士さんとか看護士さんとか多いから、巧くなってみんなで冬の海行こうよ。」


ダイビングショップのオーナーからの必死の営業攻勢を振り切り、メンバー唯一のレンタル器材ダイバーとして、おれはデビューした。毎回のレンタル料に、オープン・ウォーターという基本的なライセンス以外のライセンスの申請料、更にはツアー代金も含め、がっつりおれの銀行口座から金を持っていかれたが、無事にライセンスを4枚くらい取得し、おれもまた『海猿』に一歩近づいた。


しかし・・・保育士さんや看護士さん達は常にレンタル器材なおれには興味なく、海に行ってもだいたい一人でたそがれているのは、言うまでも無い。





「・・・おかしいな、全然女性に人気出ないな・・・」


でも心は『海猿』だ!と思っていたが、ボートからの入水前の「水面よ~し!!」って確認がなくガッカリしたのは、これまた言うまでも無い。



【続く】


Reo.

表参道ヒルズのスター、を読み物風に

2010-10-06 16:39:12 | その他
「・・・平和、だな・・・」
「そうですね・・・」


夏の猛暑が一段落した9月の三連休、おれは原宿の喧騒を聞きながら、そう呟いた。隣でおれに応えるのは、四国から東京に遊びに来た男。おれ達はかつて、共に戦場で肩を並べて戦っていた・・・そう、東京ジョイポリスと言う名の戦場で。あのお台場にある、中にはカップルしかいないような場所で、おれ達はその中のアトラクションの・・・いや、過去の話だ。やめておこう・・・


そんな戦場とは大違いの、楽しそうな、幸せそうな人々が行きかう街並みを、おれは相方を案内しながら歩いた。明治神宮で願掛けし、ジャニーズショップの外観を写真に撮ろうとして怒られ、そして竹下通りと裏原を歩き・・・辿り着いたのは、表参道ヒルズだった。


「・・・疲れたな、中で涼むか・・・」
「そうですね・・・」


ところどころに点在するベンチに座りながら、おれ達は螺旋状の通りを下へ下へと向かう。ショッピングやオシャレなど興味の無いおれ達は、軒を連ねる店に惹かれる事は無かったが、それでも観光と思い初めての表参道ヒルズを進んだ。すると・・・


「こんにちわ~エルメスのスカーフのイベントやってるんで、良かったらどうですか?」


建物も最下層に辿り着こうとする頃、唐突に綺麗な女性から声をかけられた。新手のナンパか?とも思ったが、よく見ると確かに広いオープンスペースで、何かしらの何かが行われている。


「・・・エルメス・・・なるほど・・・」


良く分からなかったが、とりあえず得意な知ったかぶりをするおれに、その女性が畳み掛けてくる。


「はい!エルメスのスカーフを巻いて、チャキも撮れますし、プリクラも撮れますよ!是非!!」
「・・・」


何の事か良く分からなかったが、こちらは女性の頼みを断らないおれと、田舎から出て来た人の良い相方の二人だ。その日初の男性参加者として、イベント会場内へと足を踏み入れた。

「色は何色が好きですか?」
「・・・白だな・・・」
「頭に巻くのどうですか?」
「・・・好きにしてくれ・・・」
「色は何色が好きですか?」
「あ、じゃあ、オレンジで。」
「首に巻くのはどうですか?」
「あ、はい!」


スタイリストにスカーフを巻いてもらい、少しおしゃれになったおれ達は、プリクラを男二人で撮り、落書きをし、そして最後にチャキを撮ってもらう事になった。チャキってのが何なのかはサッパリ分からなかったが。


「じゃあ、この壁の前に立って、ポーズして下さい♪」
「・・・ポーズ・・・?」
「はい♪何でも良いですよ!」
「・・・そうか・・・」


おれ達は、ポーズをとった。かなり、いけてる。徐々に、注目を集め始めた。ポラロイド写真は3枚撮った。一人一枚貰い、もう一枚は展示用らしい。展示してしまったら、明日から人気間違い無しではないか。それほど、おれ達は輝いていた。スカーフ一枚が、こんなに変えるとは・・・すると・・・


「あ、僕のカメラで写真撮ってもらえますか?」


相方が、おもむろにデジカメをお姉さんに渡した。ポラロイド写真だけでは足りずに、更に撮影が進んだ。すると、徐々に周りには女性達が集まり始めた。遠巻きにおれ達の撮影風景を眺めるハイソな表参道ヒルズの女性達。どうやら、戦場帰りを漂わせるおれ達のハードな雰囲気が、都会に住む彼女らの心を掴んだみたいだ。最終的には、撮影会場は女性達で溢れていた。





確かに戦場臭さを漂わせる二人だが、決してアフガニスタンのタリバーンではない。イメージは、本田圭祐(両手腕時計)とフェルナンド・トーレスなのは、言うまでも無い。


ちなみに、どうやら遠巻きにしていた女性達は、みんなスカーフ巻いて撮影待ちだったのは、これまた言うまでも無い・・・


【続く】


Reo.


スタバで朝食を、を読み物風に

2010-09-03 18:19:57 | その他
『メッセージ』
① 手紙や使者に託して伝達される言葉。伝言。「古代からの―」
② 声明。声明文。
③ 米国で大統領などが議会に送る教書。
④ あると聞くと、ついつい「告白か!?」と動揺してしまうもの。


「・・・なっ、何ぃ・・・!!」


おれは、その話に驚きを隠せず、言葉を失った。そんな事があるのか・・・と。会社の同僚から聞いたその話とは、過去によく行ってたスターバックスで、働いている女性(女子大生)から連絡先を聞かれ、さらにお食事までご一緒した事がある・・・という、夢のような内容だった。


夏の厳しい日差しが続く8月、おれは朝早めに起きて、会社へ出社するよう日々の習慣を変えた。暑くなる前に出勤したいから・・・では、もちろん無い。出勤する前に、スターバックスで朝食を摂る為だ。もちろん、朝食自体に特に興味は無かったが。


「・・・」


スターバックス通いも2週間。会っている店員さんは日によって違うが、決まった数人のシフトに重なる事は、何回かあった。しかし・・・おれの連絡先は全く聞かれない。聞かれても100%拒否しませんよオーラは醸し出している自信があるのだが。おれは、その事を会社の同僚に話した。


「お前分かってないなぁ、まずはカップに何かメッセージを書いてくれるんだよ」
「・・・そ、そうなのか・・・?」
「あぁ、そっからだよ。『お疲れ様』とか『今日もありがとう』とか」
「・・・」


なるほど、まず常連になって気になられたりすると、カップのメッセージから親密になるのか・・・おれの今までのカップには、ラテの『L』としか書かれていなかったが・・・これからは楽しみが一つ増えた。そう思い、おれは朝のスターバックス通いを続けた。するとある日・・・


「・・・こ、これは・・・遂に来た、噂のメッセジ・オン・ザ・カップ・・・」


おれは、感極まって泣きそうなくらい、感動した。嬉しかった。こぼれる涙を、窓から溢れる眩しい朝日のせいだと演技しながら、平静を装ったおれは、ふとこのメッセージを残すことを考えた。


「・・・せっかくのメッセージだ、カップを取って置く事は出来ないが・・・写真に撮ろう・・・」





ケータイで写真を撮っていると、横から冷たい視線を感じた。ふと見ると、メッセージを書いてくれた店員さんが、変態を見るような目で、おれを見つめている・・・完全に、ドン引きだ・・・


「・・・あ、いやこれはあの、えっと・・・」


ドン引き後、その店員さんと言葉を交わした事は無いのは、言うまでも無い。


数日後、今度はまた違う店員さんから、カップに絵を描かれて渡された・・・『あの人、カップに何か書いて渡すと、写真に撮るんだよ、アハハ!』と店員さん達の間でネタにされていたのは、これまた言うまでも無い。


【続く】


Reo.

久々のアメリカ、を読み物風に

2010-08-23 16:54:20 | その他
『出張』
① [名](スル)会社・役所などの仕事で、他の地域・場所に臨時に派遣されること。「米国に―する」「―手当」
② 上司から離れ、パーっと楽しむこと。「―サービス」


「・・・アクセス数、5人・・・おれを除いたら4人か・・・」


ここ最近、非常にブログの更新が滞っている。如何せん、仕事で海外出張が多く、一月のうちの半分は海外にいる状況だ。日本にいるならヒマ、しかし海外にいるとさすがに色々と忙しいおれは、マイ・ブログの更新を出来ずにいた。そして、久々に確認したマイ・ブログのアクセス数が、これ。更新をそれなりに続けていた時期の半分だ。50%ダウンだ。おれは、ショックを隠せなかった。


「・・・これ以上アクセス数が減ったらプライドが傷つく、もう出張なんて行ってられないな・・・」


と考えながら、ブログ更新のネタを考えていると、不意におれは上司に呼び出しを受けた。


「今度の出張なんだけどね・・・」
「・・・また出張か・・・こっちには家族もいるんだ、いい加減に・・・」
「次はアメリカなんだけど、どうかな?」
「・・・行かせてくれ。」


次の出張の依頼は、愛する一人息子のジュダー(カメ、3才)を理由に使って断ろうと思っていたが・・・アメリカ行きという事を聞き、おれは断る事が出来なかった。ジュダーは急遽ペットホテル行きだ。


アメリカ・・・そこは、おれが十代という青春時代をすごした地。愛してやまない地だ。未だ思い出すミートローフにタコ・ベル、そしてダイナマイト・ボディな女性達といったアメリカン・ライフ・・・おれは、興奮を隠しきれずにいた。行き先はテキサス州ダラス。行ったことは無いが、大都市だ。おれは、何を食べるか、何をしようか、13時間のフライトの間中も夢想を繰り広げていた。





「着きましたよ、ここが仕事の場所です。」
「・・・・・・・・・・何もないじゃないか・・・ここはもうダラスじゃないだろう・・・まだアメリカか・・・?」


空港から数時間、レンタカーでおれをこの場所に連れてきた相方を睨みつけ、おれは応える。こんなところで、どうやってアメリカを堪能しろというのだ。ダイナマイト・ボディな女性どころか、動物すらいないじゃないか・・・


全くアメリカに来た感じを受けない。懐かしさも感じない。更に、完全に機嫌を悪くしたおれの持て余し、車の中は険悪な雰囲気・・・完全に、上司に謀られた気分だ。しかし・・・





その夜、相方がおれの機嫌をとる為にダラスまで車を飛ばし、楽しいレストランで食事を出来た事でおれは超ハッピーになったのは、言うまでもない。


やっぱりアメリカは最高だ・・・とミートローフとダイナマイト・ボディと共に再認識したのは、これまた言うまでも無い。


【続く】


Reo.

雑食系、を読み物風に

2010-07-13 16:15:34 | その他
「…ふっ、やっと帰ったか…」


3週間ぶりの自宅での熱いシャワーを浴びながら、おれはここまで背負ってきた長い旅の疲れも同時に落としていた。ドイツに始まり、中国は上海、そしてスウェーデンまでの1週間ずつの長い出張…嫌いではないが、さすがに30を越えた体には、無意識にも疲労は溜まっていたようだ。


長い出張の辛さは、時差や移動もあるが、やはり食事だろう。8年間もアメリカに住んでいて、不味くても量が多くても、何でもOKなおれにとっても、やはり日本で食べるカレーは最高だった。ドイツではポテトと肉、上海では具材が何か良く分からない1食200円相当の中華料理、そしてスウェーデンではまたポテトと肉…贅沢は言わないし、問題は無い。しかし、やはり食事は日本が一番だ。


そんな事を考えカレーを夢想しながらシャワーを終えると、黒い物体が壁に張り付いているのをおれは見つけた。眼を凝らしてみると、ちょっとずつ動いている…ナメクジだった。


「…そうか、日本は梅雨か…」


全くピント外れな感想を口にしながら、なぜかここ3週間放置していた愛息の事がおれの頭に浮かんだ。メダカは当然として、おれが叩き落した蚊やメイガ(ちっこい蛾)も喜んで食するジュダーの事、このナメクジも実はご馳走なんじゃないか…と。ミミズを食うと聞いたことがある…ならば、ナメクジなど余裕だろう。


シャワーを終えたおれは、さっそくジュダーに食事をあげる際に使うピンセットを用意し、ナメクジをつまんだ。捕れたて新鮮、踊り食い状態だ。そして、おれはピンセットに挟んだナメクジを、ジュダーの鼻元に近づけた…


一口だった。粘っこいのか飲み込んだ後にしばらく口をパクパクさせてて心配したが、後には何も残らなかった。やっちまった後に心配になり、カメはナメクジを食べるのかを調べてみたが…ちと情報は無かった。が、まぁ、問題ないだろう。うちのジュダー、親に似て何でも食べれる雑食系だ。


そんな何でも食べられるジュダーとおれが素敵なのは、言うまでも無い。



ナメクジ?ようはエスカルゴだろ?


【続く】

Reo.