Reoっちの駄文(ふつーの日常をハードボイルドに)

金融、サッカー、ボクシング、映画・・・そしてその他でふつーの日常を、楽しく読めるようにハードボイルドな読み物風に。

NYダウの歴史的下落、を読み物風に

2008-09-30 17:10:37 | 株式/トレード
雨が、おれの肩を濡らす。


ハードボイルドに、傘もささずに歩いていたわけでは、ない。まだ台風の影響を受けていない、風の混じらない雨ながら、おれの500円のビニール傘が小さすぎたのが、おれの肩と鞄が、電車に乗り込む頃には、びっしょりだった。


だが、そんな些細な懸念は、携帯電話で株価をチェックした時に、一気に吹っ飛んだ。


「・・・NYダウ、777ドル安・・・!!・・・冗談、だろう」


不良債権を公的資金(税金)で買い取る金融安定化策が、米下院で否決された為、金融不安の長期化が懸念されての大幅下落だった。しかし・・・777ドルと言えば、フィーバー・・・いや、同時多発テロ発生時以上の、過去最大の下落幅だ。おれは、てっきり何かのジョークかと、思わざるをえなかった。


「・・・ぐほっ!!!」


その楽観は、東京株式市場に上場されている、自分が保有している銘柄の株価をチェックすると同時に、払拭された。日経平均株価483円安。普通の日でも下落を続けるおれの保有銘柄だ、この日も、当たり前のように暴落していた。


ライブドア・ショック、上海・ショック、サブプライム・ショック、リーマン・ショック・・・ショックと名のつく株式事件全てに対して、素直に影響を受け続けた無能なおれは、ただ何もせずに貯金していれば日産GT-Rを買えただけの資金を、軽自動車くらいしか買えないまで減らしてしまっていた。


「・・・ふっ、独身で、良かったな」


だが・・・おれは、ただ資金を減らして終わっただけでは、当然ない。その過程で、フジテレビ展望台入場券、ワタミ共通お食事券、ノエル特製バスタオル・・・そして日産GT-Rの模型を、手に入れていた。まぁ、いらんもん多数、という感じだが。


いや、それ以上に大きいのは、『経験』、というやつだ。自分がガンで死ぬ前の「最後の授業」でランディ・パウシュが言っていた。


「経験とは、求めていたものを手に入れられなかったときに、手に入るものだ」


おれは、おれが求めていた「濡れ手に粟」的な大金を株式市場で手に入れることが出来なかった。だが・・・どうやって失敗したか、なぜ膨大な損失を被ったか、何が間違っていたか、失敗した人にしか出来ない経験を得た。この経験を今後活かせるか活かせないかはともかく、非常に価値のある経験を得た。


この経験を活かせなかったら、おれは、ただの株式で大損をした人、になる。だが、幸いにも、おれにはまだ軽自動車を買うだけの資金が残されている。失敗の経験を活かし、投資を続ける事は、まだ出来る。この流動性の激しい相場、まだチャンスはある筈だ。


「・・・おれは、この経験と言う財産を手に、まだ頑張る。だからおまえも、頑張ってくれ・・・」


おれは、同乗していた電車の中の人達に、エールを贈った。返答は、無かった。おれの声が小さかったからか、はたまた不審者扱いされたからか、理由は分からない。だが・・・負けずに、頑張ろう。


【続く】


Reo.

古都・京都を歩く、を読み物風に(4)

2008-09-29 18:16:28 | その他
清水寺には行った。二条城も、金閣寺も、閲覧した。銀閣寺や嵐山はまだ行っていないが、その辺は彼女が出来てから紅葉の季節に行く予定。後は、明日の午前中に新撰組ゆかりの地を巡り、午後に東京に帰省するだけだ。おれの2泊3日の京都一人旅も、概ね満足の行くものだった。


・・・だが、京都料理だけは、まだ食べていなかった。


おれは、京都最大の繁華街を形成している、四条河原町周辺へと向かった。現地の人々に加え、多くの観光客を飲み込むこの繁華街は、高名な祇園も近くに位置する事もあり、オフシーズンの9月半ばでも、多くの人で賑わっていた。


「・・・これほど栄えているなら、一人で入れる店もあるだろう。」


鴨川の川岸でずらっと座っているカップルに妬みの視線をやりながら、おれはただ一人でも入れるような、カップルなどいない京都風の飲食店の物色を始めた。もう9月と言う事もあり、6時過ぎですでに辺りは深い闇が包んでいる。増える一方の鴨川カップルの姿が、おれを憂鬱にさせる。早く一人になれる店を探す必要が、ありそうだ。


幾つかの飲食店を、通り過ぎる。だが、おれのノミの心臓では、とても一人で入れるような店ではない。唯一、一人で入れそうだったのは、スターバックスだったが、そこで京都の味を楽しむのは、到底無理そうだった。


「・・・!なるほど、京都ラーメンか。」


何の店だったら、一人で入れるか。スターバックスで必死に考えていたおれに、驚愕のアイデアが閃いた。ラーメンなら、一人で入るのにも躊躇しない。それでいて、京都ラーメンならば、京都の特産を食べたと言える。素晴らしい考えだ。


おれは、アイス・カフェモカを飲み終わると、スターバックスを出て、また河原町の雑踏に紛れた。目を皿にして、ラーメン屋を探す。メインの通りでは、なさそうだ。横道、脇道、色々と足を伸ばしてみる。


「あった!」


キャバクラやパブが点在する、四条河原町の北側に位置するちょっと歓楽街チックな通りの一角に、おれはラーメンの看板を見つけた。店の前のノボリには、『人気の京都ラーメン』と書かれている。おれは、期待に胸を膨らませ、意気揚揚と店に入った。


「・・・頼む・・・ん・・・あれ!?」


カウンターへ向かいかけた足が、無意識に止まる。テーブルが4~5台、カウンターにも10席近く用意されている、割と広い店舗。その中に、客の姿は一人もなかった。角のテレビからは、バラエティー番組の中で蛍ちゃんが笑っている。それが、その店の中に存在する、唯一の人の声だった。


「いらっしゃいませ~。お好きな席にどうぞ~。」


おばちゃんが、読んでいたマンガから顔を上げる。全て空席の店内から、お好きな席を選ぶ・・・あまりのオプションの多さに戸惑いながら、もう後戻りが出来ないと認識したおれは、素早く覚悟を決め、カウンターの真中に座った。


メニューを見ながら、同時に腕時計に目をやる。まだ6時半、夕食にはまだちょっと早いのだろう。おれは、自分の中で、客が一人もいない現実を無理に納得しようとしながら、ラーメンと餃子とチャーハンのセットを、オーダーした。おばちゃんは、おれからのオーダーを取ると、またマンガの世界へと戻っていった。


おれが独占しているテレビで、宮迫がダウンタウンに虐められている姿をボーっと見ていると、おれの前にトレーが運ばれてきた。おぉマンガを読み終わったのか、と思い視線をテレビからカウンターへ戻すと、おばちゃんもマンガへと既に視線を戻していた。


ラーメンは、まぁ普通だった。京都でしか食べられない味だとは思えないが、京都ラーメンがどんなものか知らないおれにとって、自分の中で納得出来るかどうかだけが、重要だった。その点を考えれば、おれはあそこのラーメンは、京都特製だと思っている。


至極フツーなラーメンを食べ終わり、冷凍ぽい餃子と、具の無いチャーハンも完食すると、時刻は7時15分を回っていた。ふと周りを見回すと・・・まだ他の客は、一人もいなかった。


「・・・」


『これで良く繁華街で店がもつな』という驚きと、『や、やられた・・・』という悔しさを胸に、おれはマンガもレジに持ってきたおばちゃんにお金を払い、店を出た。これが、おれの京都での最後の夕食だった。


客は皆無だが・・・あの店のラーメンは、京都でしか食べられない。おれは、今もそう思っている。「京都でしか食べられない」と、「味の質」は別だが・・・あれだけの店だ、支店はないだろう。そう考えると、あのラーメンは京都のあの場所でしか食べられないと言うのは、まぁ正しい意見だろう。


「・・・彼女と紅葉の季節に来る時に、今度こそ京都を味わってやる。」


紅葉の季節まで約2ヶ月・・・時間が無い。東京に戻ってから、とにかく愛の告白を連発する事を心に決め、おれは一人、ホテルへの道を歩いた。途中通りがかった鴨川でキレたのは、言うまでも無い。


【続く】


Reo.

『ヒートアイランド』

2008-09-28 17:44:34 | 映画(つまらない…)
ヒートアイランド
2007年 日本 主演:城田優


大都市東京、人口も増え、開発も進み、灼熱の暑さが続くヒートアイランドとなった渋谷を舞台に、城田演じるアキが率いるストリートギャングが活躍する。アキ率いるチームは、メンバーの横暴からヤバイ大金を手元に得る事になる。その大金を巡り、強盗2人、暴力団組織2組、そしてブラジル人ギャングが、チームを狙う事になった。果たして、アキはチームを、そして自分自身の命を、救う事が出来るのか…?


まぁ、ストーリーは悪くない。ただ、もう30を前にしたおれを魅了するほどでも、ない。この映画のターゲットはあくまでも、10代後半、もしくは学生時代の気持ちが抜けきらない若い面々だろう。ストリートギャングが活躍するストーリーに、興味がある人にはお薦めだが。


あと、おれは原作の小説は読んでいないが、映画の中で度々入るくだらないジョークは、原作からの影響なのか?ブラジル人を日本人が演じる事も含め、こんな緊張感がなくなる演出はどうなのか?チームがヤバイ連中に狙われる…という緊張感が大事なストーリーなのに。


ま、色々とありえないストーリーだから、むしろシリアスな設定は必要ないのかもしれないが。


[10段階評価]
お薦め度:
★★☆☆☆☆☆☆☆☆

英語の勉強にお薦め度:
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

伊原剛志のハードボイル度:
★★★★★★★★☆☆

現実的にありえない度:
★★★★★★★★★☆


Reo.

『恋空』

2008-09-27 00:00:01 | 映画(つまらない…)
恋空
2007年 日本 主演:新垣結衣


恋愛物は、特に好きでもない。ケータイ小説だった原作やこの映画の評判の悪さも、知っていた。だがしかし、これほど話題になった映画、WOWOWで無料(厳密には受信料かかってるが)で観られるのなら、観ないわけにはいかない。


ストーリーは…少女は、夏休みの間、頻繁に電話をかけてくる正体不明のストーカーに、恋をする。夏休みが終わると、少女は実際にストーカーに会い、付き合う事になる。すると、ストーカーの前の彼女に恨まれ、ある日唐突に男3人に拉致られレイプされる。その時には妊娠はせずに一安心だが、その後、彼と図書館でチョメチョメし、晴れて妊娠する。少女は、当時高校1年生。それでも、2人、子供入れて3人で幸せに暮らそうね、と思ったが…


おっと、もう止めておこう。あと3行くらいで、ストーリー全部説明し終わるところだった。ストーリーの薄さは、さすが素人の書いた小説だ。


ちなみに、おれは原作は、読んでいない。原作では、ノンフィクションとしては現実的にありえない描写とかが酷評され、映画含めて随分と評価が低かったが…だが、正直、おれはそこまで酷いとは思わない。前半を全てカットすれば、だが。


「感動のラブストーリー」だが、涙もろいおれでも、泣かなかった。だってそうだろう、こんなストーリーじゃ、破天荒すぎて、突っ込みどころ満載で、共感出来ないし、同情も出来ないし、大体理解出来ない。


いや、金髪にピアスして登校したり、図書館でチョメチョメ出来るような高校に通っている高校生なら、このストーリーに共感できて、感動しちゃうのかもしれないが…日本は、そんな内容に共感してしまう女子高生ばっかりでは無い事を、ただ祈りたい。しかし…こんなアウトローな内容を美化して演出するのは、問題があるんじゃないか?


そんなアウトロー的な描写が無くなった後半は、先程も言ったように、それほど悪くは無いと個人的に思う。まぁ、ありきたりのストーリーでは、あるが。でも、酷評するほどでも、無い。


総合すると…ヒットしたらしいが、最低の映画を選出する文春きいちご賞で2007年度の2位(1位は無駄に制作費をかけた、反町隆史主演の蒼き狼)に輝いた事でも分かるように、お勧めは出来ない。


[10段階評価]
お薦め度:
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

英語の勉強にお薦め度:
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

実話なら…作者苦労してるんだな度:
★★★★★★★★☆☆

ま、現実的にありえない描写多いけどね度:
★★★★★★★★★☆


Reo.

古都・京都を歩く、を読み物風に(3)

2008-09-26 17:38:12 | その他
「・・・アイスコーヒーと・・・クリームパンを、頼む。」


場所は、二条城の休憩所。朝から、歴史的建造物である二条城を見学した後、この休憩所へと辿り着いた。二条城自体は、さすが徳川家の京都での居住地だけあって、なかなかの規模だが、この付属の休憩所には、売店が1軒と、土産物屋が3軒あるだけだ。京都の味を楽しめる機会は、ここでは無さそうだ。


初日の夕食は、餃子の王将。二日目の朝食は、クリームパン。このままでは、京都の食べ物を食さずに、二泊三日の旅が終わってしまう・・・慌てたおれは、制服姿の修学旅行生が出す騒音の中、ガイドブックのレストラン紹介欄をめくり始めた。


「・・・ここに、行くか。・・・ランチだし、ここなら一人でも、入れそうだ。」


おれは、ある一軒のレストランに目をつけると、次の目的地である金閣寺へ、足を向けた。


今日もまた、暑い。もう九月だが、いや真夏よりマシにはなっているのだろうが、容赦ない日光がおれの肌を焼く。だが、ガイドブックによると、この二条城から陰陽師で有名な安倍晴明ゆかりの晴明神社までの約20分の散歩道は、昔ながらの京都を伝えるお勧めの道、らしい。また、金閣寺へは、その晴明神社から、バスで行けば良い、と。安倍晴明に興味は無いが、そんな事を言ったら、ほとんどの寺にも興味は無い。おれは、観光客ぽく、ガイドブックに沿って20分の散歩をする事にした。それにしても、暑い・・・


古き京都を伝える散歩道と言う事だが、いくら歩いても、ただの住宅地が続いていた。全然、古くない。また、土産物屋はおろか、普通のコンビニや喫茶店も無い、完全な住宅街を、おれは歩いて、もう15分を過ぎようとしていた。伝統の京都の街並みは、いつ現れるのか。おれは、期待と、そして大きく膨らんできた不安で、腹が減りはじめていた。


「・・・なっ!!・・・こ、これは・・・!!!!」


住宅が続く道の先に、観光バスから降りるおばちゃん達が見えた。どうやら、晴明神社に到着したらしい。そして、ガイドブックを見直すと、どうやらおれは、ガイドブックに書かれていた道の、一つ隣の道を、何も気付かず歩いていたらしい。


「・・・お勧めな散歩道にも惹かれるが・・・引き返す訳には、いかないな。」


昨日からの筋肉痛と、暑さと、忍び寄る年齢からの衰えによって、おれの疲労度は限界に近づいていた。今更、また20分も歩くような気には、なれない。おれは、とりあえず、晴明神社へ向かった。


20分歩いた後に、3分で晴明神社の観光を終えると、おれは早速金閣寺行きのバスへと乗り込んだ。神社より、飯。今のおれの頭の中は、今旅行初の京都料理で埋め尽くされていた。


さすが京都でもトップクラスの観光スポットである金閣寺、バスを降りると、この時期でも多くの観光客が敷地を埋めていた。その中には、女性の一人旅の姿もちらほら。ここで声をかけ、一緒に観光すれば楽しくなる。彼女達は、みな金閣寺へと向かっている。おれは、迷う事無く、金閣寺への道を外れ、一人ガイドブックに載っていたレストランへと向かった。腹が、減っていた・・・ナンパは、諦めた。


「・・・そうだな、本日のランチを頼む。・・・あぁ、豚シャブとメンチカツのセットだ。」


女性客しかいない店内と、全く京都らしからぬメニューにビビリながらも、おれはガイドブックに載っていたレストランへ、勇気を振り絞って入店した。ガイドブックには、この店のお勧めは鶏肉と書かれていたが、当然そんな事に気がついたのは、注文を通した後だった。


「・・・」


周りのテーブルは、全て女性客のグループが占めている。男性はもとより、一人で食事しているのも、おれ一人だ。居心地の悪さを感じたおれは、ガイドブックを読む事に没頭した。そこで、おれはある事実に気がついた。このおれが買ったガイドブックは、基本女性向けだったみたいだ。そして、このレストラン、別に京都料理を出す店でもない。メンチカツがメニューにあるのも、無理も無い。


「・・・ぬかった。」


一人悔しさを噛み締めながら、せめてメンチカツが京都風に調理されて出てくる事を、おれは祈った。


言うまでも無く、出てきたメンチカツは、京都風でもなんでもなかった。


太陽の光に映える金閣寺が、眩しかった。映像や雑誌で何度も観た本物の金閣寺が、確かにおれの前にある。おれは、間違いなく、京都にいる。ただ、京都料理を食べれていないだけだ・・・


「・・・今晩こそ、京都の食事を味わってやる。」


誓いながら、おれは金閣寺の敷地を後にした。食べ物の事ばかりを考え、金閣寺の写真を撮る事を忘れていたのは、言うまでも無い。


【続く】


Reo.