Reoっちの駄文(ふつーの日常をハードボイルドに)

金融、サッカー、ボクシング、映画・・・そしてその他でふつーの日常を、楽しく読めるようにハードボイルドな読み物風に。

『死刑台のエレベーター』

2011-09-22 21:44:10 | 映画(ふつう。)
『死刑台のエレベーター』
2010年 日本 主演:吉瀬美智子、阿部寛


国際医療のボランティアとして働く時籐は、不倫関係にあった芽衣子の依頼を受け、自身の上司であり芽衣子の夫でもある手都グループの会長孝光を殺害する事を決意する。要人来日で外の警備が厚くなり、ビルの周りの人通りが途絶える時間を利用し、どうにか会長の殺害に成功した時籐だったが、その際に使用したロープを取りにビルに戻ると、ビル内の主電源を切られエレベータに閉じ込められてしまう…どうにか逃げようとする時籐だが、その間に思いもよらない展開に事件は進み…


1958年というかなり古いフランス映画のリメイクとなるこの映画、当然オリジナルは観たことないから、この日本に舞台を移した設定がどこまで原作に忠実なのか分からないが…いやーしかし、なかなか微妙な展開だ。主人公の時籐と芽衣子、お互いの愛の深さは確かに良く分かったが、ストーリーのキーとなる警察官と美容師のカップルの存在というか性格の微妙さと言ったら…


この警察官、自動車を盗んだり、人のケータイ捨てたり、人を殺しといて『早く行かないと無断欠勤になっちゃうよ』とか言い出したり…まぁこの非現実的さが、完全にシリアスな映画を別次元に持っていってしまっている。時籐と芽衣子はハードボイルドなのに、この警察官カップルはあまりにもはっちゃけててコメディちっくになってしまってるし、つっこみどころ満載な言動が終始呆れさせてくれる。到底真剣に観ることなんて出来ない。


なんか、58年当時のフランスと言う時代設定だったらありえる破天荒な警察を、そのまま現在の日本に持ってきてしまった感を感じるが…そうなると、映画というか、ストーリー自体が破綻している気がするが…かなり豪華な俳優陣で、演技もそれぞれ素晴らしいのに、かなり残念な展開に感じる。


悪くは無い。悪くはないが…呆れてしまうな、特別オススメする事は出来ない。


[10段階評価]
お薦め度:
★★★★★☆☆☆☆☆

英語の勉強にお薦め度:
★★☆☆☆☆☆☆☆☆

玉山警察官の非現実的さ:
★★★★★★★★★★

大佐も意味不明度:
★★★★★★★★☆☆


Reo.

『カティンの森』

2011-09-10 17:29:37 | 映画(オススメ!)
『カティンの森』(Katyń)
2007年 ポーランド 主演:マヤ・オスタシェフスカ


第二次世界大戦を目前にしたポーランド、ソ連の占領を受け列車で連行されようという軍将校の夫を探しに、アンナと娘のニカはクラクフから駅へと向かった。無事に夫に会い、一緒に逃げる事を頼むアンナだが、責任感の強い夫アンジェイはその頼みを拒否、他の将校達と共に捕虜として連行されることになった。同じ時、大学教授をしているアンナの義父もドイツ軍に連行され、捕虜となる。ドイツとソ連に分断されたポーランドで家族を待つアンナ、しかし彼女の元に届いた知らせは、悲しいものだった・・・ソ連領カティンの森で見つかった数千の処刑されたポーランド将校死体、そしてその虐殺の責任を擦り付け合うドイツとソ連・・・その無残な『カティンの森事件』の真相とは・・・?


『カティンの森』で約4400人もの軍将校を中心とするポーランド人の死体が見つかった『カティンの森事件』。ついこの前、ロシアのプーチン首相が認めたように旧ソ連が行った虐殺事件なのだが、この事件の真相と言うか、その事件がもたらしたポーランドの日常を、かなり繊細に描き出している・・・それがこの映画だ。


実際の事件を、忠実に再現しようという意図が見られる作品なので、派手さとか、エンターテイメント性は無い。むしろ、歴史的な記録作品、事件を忘れない為の文学作品的な意味合いが感じられる映画だ。なので、面白い映画を観よう、楽しい時間を過ごそう!って人には、向かない。まぁ、そんな考えで、この映画を観ようとは選ばないだろうけど。やはり『カティンの森事件』をより良く知りたい・・・そんな気持ちで観る人が多いと思うので、そう考えるとお勧めの作品とは言える。


映画は、ポーランド軍将校の捕虜が連行されるところから、どんな思いで家族はすごし、そして虐殺が発覚してソ連とドイツが責任を擦り付け合ってる時の遺族の気持ち、そしてその時のポーランド国内の状況を描いている。かなり重いが、かなり見ごたえがある作品だ。そして、クライマックスの実際の虐殺のシーン・・・かなりショッキングで、なぜ同じ人間でこんな事が出来るのか・・・と強く思ってしまうほど、虐殺シーンを再現している。観るのも辛いが・・・その辛さこそ、この映画の意義だろう。どんな酷い事か、改めて胸に刻む事になる。


唯一残念なのは、虐殺の状況は分かった、どんな風に宣伝されどんな扱いをポーランドは受けたかも良く分かった・・・しかし、なぜソ連がこんな愚行をしたのか、全く描かれていない。ソ連の言い分を聞くってわけじゃないけど、これだけの虐殺、なぜ実行したのか、なぜ出来たか・・・犯罪心理じゃないけど、その理由を知りたかった。もちろん戦時中だし、大した理由は無いのかもしれないのは分かる。ただ経費削減だけかもしれない。しかし・・・だってあの虐殺シーン、なぜ同じ人間が出来るのか、理解に苦しむから・・・


[10段階評価]
お薦め度:
★★★★★★★☆☆☆

英語の勉強にお薦め度:
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

虐殺プロセスの酷さ:
★★★★★★★★★★★

ポーランド国民の悲劇度:
★★★★★★★★★★★


Reo.

『シャンハイ』

2011-09-09 16:43:13 | 映画(ふつう。)
『シャンハイ』(Shanghai)
2011年 アメリカ 主演:ジョン・キューザック


1941年の上海、そこはドイツやアメリカが特別区を持つ、独特な世界都市だった。各国スパイが暗躍する中、中国の他の都市に続き日本の勢力と管理が目立って来た上海で、アメリカのスパイとして活動していたポールは、同じスパイで親友のコナーが死亡したとの報告を受けた。他殺されたその友人を発見したポールは、コナーを殺した犯人を見つける決意をする。その調査の中でコナーが何か重要な情報を掴んでいたと感じたポールは、日本軍諜報部トップのタナカと、彼と組む上海闇組織のトップであるアンソニーと絡んでいく事になるが、アンソニーの妻であるアンナに惹かれたポールは・・・


第二次世界大戦直前の上海を舞台に、各国のスパイが暗躍するミステリー。なるほど、書いてみると確かに面白そうだ。そしてその通り、映画の予告にかなり興味を惹かれ、ついつい映画館に観に行ってしまった。やはり歴史物やスパイ物は、ハードボイルドさが出て良い・・・と。


で、その期待通り、舞台や演出はなかなかハードボイルド。当時の上海が実施はどんな感じだったか知らないが、各国が特別区を持っていて、それぞれがお互いに警戒していて、その中でも一番勢力を強めていた日本の特別区がやばかった・・・って演出と設定も、なるほど、巧く描かれていて信憑性があった。そうなるとやはり渡辺謙が扮するタナカ含め日本人は(南京事件含め)なかり乱暴なヒールとして描かれているが、まぁそれもしょうがないと言うか、そんな感じだったんだろうと言うか。そこは、覚悟して観て欲しい。


しかし、そんなヒール的な役柄に関わらず、渡辺謙さんは流石の演技を見せて、脚本通り人間味と優しさを備えた人物を好演している。菊地凛子さんに見せ場はほとんど無いが、それだけでも観る価値はあるのかな。


そしてストーリー自体も、スパイ絡みで色々な人物と彼等の思惑が絡まってくるだけに付いて行くのが難しい人がいるかもしれないが、最後まで興味を持たせるなかなかな展開を用意してくれている。ただ・・・約2時間とある女性を追っていたのに、いざ見つかっても特別何の解決にもならなかった・・・っていうクライマックスと結末は、拍子抜けだが・・・


あと、予告では『第二次世界大戦のトリガーになった事件』的な事を言っていたが、それも無い。事件を解決しても、第二次世界大戦(太平洋戦争)の有無には関係しない。なだけに、やはり結末は残念だ。まぁ、恋愛物として観れば・・・きっと原作は、恋愛物だったんだろう。


[10段階評価]
お薦め度:
★★★★★★☆☆☆☆

英語の勉強にお薦め度:
★★★☆☆☆☆☆☆☆

謙さんのハードボイル度:
★★★★★★★☆☆☆

スパイは色男じゃないと出来ないな!度:
★★★★★★★★☆☆


Reo.

脅威の食欲・・・、を読み物風に

2011-09-05 17:08:26 | その他
『食欲』
① 仏語。食物に対する欲望。
② 性欲、睡眠欲と並ぶ三大欲の一つで、個人的には基本無抵抗。


「・・・また、出張か・・・」


スケジュール管理の甘さからか、外資系の会社の出張は、大概急に決まる。出発日から1週間をきった時点での打診を受け、おれは戸惑いを見せた。


場所は、アメリカ。嫌いでは無い。いや、思春期を過ごした国なので、むしろ大好きだ。ただしかし・・・30代に入り新陳代謝の低下からか最近体脂肪率が気になりだしたおれにとって、大味で豪快で基本高カロリーなアメリカでの食事は、少し抵抗があった。目標に向けて毎日エアロバイクでせっせと頑張っていたのに・・・


「・・・まぁ良い、『サブウェイ』で食べれば、大丈夫だろう・・・」


日本でも健康面を謳って好評を得ているサンドウィッチ、それがおれのアメリカ生活での生命線だった。





「・・・なっ、何も無い・・・」


おれはホテルに着いて、周りを見回す。近くには、『マクドナルド』、同じくハンバーガー系ファーストフードの『Jack In The Box』、そしてファミレス的な『Sizzler』(日本にもある事を最近知った)、そして高速道路・・・サンフランシスコから車で1時間、サンタクララと言うシリコンバレーの一角だが、車が無くては何も出来ない場所がおれの宿泊地。しかし、出発まで間が無く、国際免許の取得に行けなかったおれは、レンタカーが無い・・・


「・・・一週間半ファーストフード確定だ・・・」


毎日ファーストフードのおれだったが、体重に気を使うおれは毎回必ずSサイズのセットを頼んだ。当然、サイドオーダーも無しだ。しかし・・・アメリカのSサイズ、何故か日本のLサイズと同じくらいの大きさだ。コーラも、ポテトも・・・分かってはいたが、それでも日本に慣れると・・・ポテトだけで腹いっぱいだ。おれの予想では、ビッグマックのSサイズセット、計1000キロカロリーだ。





「・・・今日こそは、『サブウェイ』だ・・・」


数日後、おれは仕事で向かったサンフランシスコで、待ちに待った『サブウェイ』に入った。ここのサンドウィッチなら、揚げてもないし、カロリーも低いはず。しかし・・・


「(英語)バッファローチキンサンドを、ウィートのブレッドで頼む。」
「(英語)大きさは?1フット(約30センチ、ブレッドを半分に切らないそのままのサイズ)??」
「(英語)いやいや、6インチ(日本の標準サイズ、半分に切った大きさ)だ」
「(英語)1フットでも5ドル、6インチだと4ドルで変わらないから、1フットにしとけ」
「(英語)・・・わ、分かった・・・」


『サブウェイ』に来ても、標準サイズは日本の倍の大きさ。つまり、カロリーも2倍の多さ・・・ってか、デカ過ぎて喰えない・・・が、同僚は当たり前のように1フットのサンドウィッチを平らげる。おれの予想では、6インチのサンドウィッチ400キロカロリーの2倍、800キロカロリーだ。『サブウェイ』で800キロカロリーって・・・





「・・・もう最後だ、今日はファミレス行くか・・・」


おれは一人、『Sizzler』の門を潜った。遂に明日は帰国日、最後ぐらいファーストフードではなくしっかりとアメリカ料理を食べたい。そんな想いからだ。


ここ『Sizzler』の売りはサラダバー。減量にも優しいサラダが好きなおれは、一人興奮していた。メインを一番ボリュームの少ないものにして、サラダをたくさん食べる。摂取カロリーを考えても、素晴らしい作戦だ。


「・・・」


その考えはあっという間に覆された。ステーキがメインのメニューの中で、おれの頼んだのは、シュリンプフライ12個。ちなみに、12個か24個かのチョイスがあった中での12個だ・・・おそらく、揚げ物だが一番量的には少ないだろう。しかし、サラダバーには、なぜかサラダ以外に、ベイクド・ポテトなりタコスなりチキン・ストリップなりの前菜も食べ放題。シュリンプの横に大量のフレンチフライが付いてきてるのに・・・いや、それだけではない。スープも食べ放題。デザートも食べ放題。コーラも飲み放題。


「ガーリックブレッドが良い?それとも普通の??」
「・・・」


更にウェイトレスが、無料サービスのパンのオーダーを聞いてくる。いや、いらないって。無理だって。スープ一杯と、サラダ一皿・・・それだけでもう完食するのに必死だった。この驚異的な『サラダバー』、メインのシュリンプと合わせて1600円くらい。恐ろしい国だ、アメリカは。おれの予想は、フレンチフライ大量付きのメインと、サラダ一皿と、チキンスープ、合計で1400キロカロリー。ちなみに周りで食べてるアメリカ人達の摂取カロリーは、おれの倍は下らないのは、言うまでも無い。





「・・・あぁ・・・体重が・・・」


帰国したおれは、翌朝さっそく自分の体重を量る。体重、そして体脂肪率に内臓脂肪、全てが減量前の数値に戻っていたのは、言うまでも無い。僅か1週間半で・・・恐るべしアメリカ・・・


おれみたいな「出されたものは全部食べる!」的な人間は、アメリカの食生活で体重増加は間違いない。アメリカに行く時は、お気をつけて。


【続く】


Reo.