『ショー』
① 舞台芸能などの見世物。特に、音楽・舞踊を中心とした、視覚的要素の強い芸能。「ミュージカル―」「トーク―」
② 展示会。「ファッション―」
③ 興行。「チャリティー―」「ロード―」
④ 大人の好みはもっぱら「ストリップ―」
「・・・あぁ、気持ち悪い・・・」
ここはインド洋の海を走る船上。おれは冬休みを利用して家族で来ていたタイはプーケットで、一人ダイビングのツアーに参加していた。プーケットの港から船で約1時間半、ダイビングスポットへと向かう船上で、おれは船酔いと戦っていた。
三半規管が繊細な(?)おれは、飛行機や船酔いに弱い。幼い時にパイロットや海賊になりたかったのに夢を叶えなかったのも、ここに理由がある。仕事で飛行機や船に乗る度に、毎日のように酔い止めを飲んでいたら、金が幾らあっても足りないし、胃が荒れてしまう・・・そんな酔いやすいおれに一番の特効薬なのは、やはり楽しい会話だ。気を紛らわせられれば、乗り物酔いもどこかへ行ってしまう。おれは、ダイビングツアーに参加している他の面々と少し話すことにした。
他の参加者は3人。たまたま全員男性だ。ダイビングツアー自体が日本人向けと言うこともあり、当然全員日本人だ。そして、ダイビングのインストラクターも、男性・・・30代前後の男5人が集まれば、話題は自ずと決まってくる。
「そういえば、もうバングラには飲みには行きました?」
「・・・はぁ、まぁ・・・」
プーケットには、バングラ通りという有名な夜遊びスポットがある。欧米人や日本人の観光客で大いに賑わい、ナイトクラブやバーなどが乱立している。しかし、酒を嗜まない事もあり、女遊びはともかく夜遊びにはあまり前向きではないおれは、バングラはちょっと歩くぐらいで遊ぶのは回避していた。
「いやぁもう行ったんだけど、ピンポンショーが凄くて!」
「・・・!?」
おれは、ついコーラを噴出してしまった。朝早くから唐突に聞く『ピンポンショー』という単語。それもその内容は、おれの想像通り、女性が披露するあれだ。日本でも昔は場末のストリップショーで披露されていたと思うが、あの、その、女性が大事なあそこでその、えっと・・・
一瞬で想像力を働かせたおれは、夜のバングラ通りへ乗り込む事を即決した。そのショー・・・いや奇術、是非観てみたい。
聞いた話によると、バングラ通りでは何件かでピンポンショーをやっていて、歩いているとショーの内容を書いたプログラムを持ったあんちゃんが誘ってくると言う。おれはピンポンで頭が一杯のままその日のダイビングを終え、ホテルに帰宅早々に夜遊び大好きな実兄にその話をした。
「あぁバンコクで行ったことあるよ。ワンドリンク制で、観光客プライスでぼったくられるんだよ。そんなの嫌だから、おれは行かないよ。」
もうタイに住んでいてナイトライフにも詳しい実兄はそんな事を教えてくれた。こんな観光リゾート地で、観光客プライスも何もないと思うが・・・まぁドリンクが相場より多少高くても、ショーの代金と思えば問題ない。実兄はバングラを歩いていても誘われた事が無いのと、そんなショーにはちょっと早い時間かと心配もしたが、おれはなけなしのタイ・バーツを手に、賑々しいバングラ通りへと歩を進めた。
「・・・兄貴は誘われた事無いと言っていたが・・・」
「ピンポンショー??」
「ピンポンショー!?」
「ピンポンショーー!!」
「・・・」
バングラ通りへと足を踏み入れた瞬間、おれはプログラムを持ったあんちゃん達に囲まれた。これで誘われたこと無いとは・・・どんだけ現地人化しているんだ、兄貴は・・・と思いながら、おれは適当にあんちゃんを一人選んで、話を聞いた。
「幾らなんねん?」
「ワンドリンクで、ショーはタダ」
「ソフトドリンクもあんねんか??」
「あるよ」
交渉成立。おれはあんちゃんに連れられて、どデカいバーの一番奥へと向かった。物々しい扉で閉じられた怪しい部屋、そこに入ると、既にステージ上では裸のタイ人女性が一般参加者の白人数人を交えてショーを展開していた。周りの席にはカップルや友人グループの姿が。もっぱら白人。こんなところに一人で来る恥ずかしさを感じながら、社会勉強の為と自分を納得させて奥の席に着く。ウエイトレスのおばちゃんがメニューを持ってくる。ビールもカクテルもソフトドリンクも、全て1200バーツ。日本円にして3600円・・・コーラ20バーツ、ビールでも60バーツの国だぞ。高すぎるだろ。まぁしかししょうがない、もとよりプーケットのピンポンショーの相場など知らないで来た。これでハシゴしてどこも同じような値段なら、面倒なだけだ。おれはソーダウォーターを頼んで、腰を落ち着けた。
お待ちかねのショーの内容は・・・まぁここまで読んでもらったのに、詳細に描写出来ないのが申し訳ない。とりあえず、お色気のショーと、ピンポンショー含む奇術が交互に展開される。お色気ショーの女性達は、流石に可愛くてスレンダーでスタイル抜群。一方のピンポンショーの女性は・・・まぁ数々の修練と経験を積まなければ出来ないような驚愕のショーだ、年齢が少し高めなのはしょうがないだろう。一応音楽に合わせて踊りながら入ってくるが、やっつけ感のあるテキトーな踊りなのは、ご愛嬌だろう。まぁ、綺麗な若い女性があんな奇術を展開していたら、それはそれでひいてしまうが。
ピンポンショー含む奇術の内容は、まぁ色々。手ぶらのおばちゃんがどこからかピンポン玉を出すと、これまたすっぽりとあんな所に収め、ビール瓶の上にピンポイントで産み落としたり・・・吹き矢で風船を割ったり、水を含んで一滴漏らさずビンに戻したり、タバコを吸ったり、剃刀や針を出したり・・・マジックだ。いわゆる、手だけで出したり隠したりするコインマジックの延長のようなものだろう(?)
小一時間ウォーターで粘ると、おれは席を立った。プログラムにあった『カエルショー』を観れなかったのは残念だったが・・・いや、良い社会勉強だった。
その後、他のピンポンショーをハシゴしたのは、言うまでも無い。
【続く】
Reo.
① 舞台芸能などの見世物。特に、音楽・舞踊を中心とした、視覚的要素の強い芸能。「ミュージカル―」「トーク―」
② 展示会。「ファッション―」
③ 興行。「チャリティー―」「ロード―」
④ 大人の好みはもっぱら「ストリップ―」
「・・・あぁ、気持ち悪い・・・」
ここはインド洋の海を走る船上。おれは冬休みを利用して家族で来ていたタイはプーケットで、一人ダイビングのツアーに参加していた。プーケットの港から船で約1時間半、ダイビングスポットへと向かう船上で、おれは船酔いと戦っていた。
三半規管が繊細な(?)おれは、飛行機や船酔いに弱い。幼い時にパイロットや海賊になりたかったのに夢を叶えなかったのも、ここに理由がある。仕事で飛行機や船に乗る度に、毎日のように酔い止めを飲んでいたら、金が幾らあっても足りないし、胃が荒れてしまう・・・そんな酔いやすいおれに一番の特効薬なのは、やはり楽しい会話だ。気を紛らわせられれば、乗り物酔いもどこかへ行ってしまう。おれは、ダイビングツアーに参加している他の面々と少し話すことにした。
他の参加者は3人。たまたま全員男性だ。ダイビングツアー自体が日本人向けと言うこともあり、当然全員日本人だ。そして、ダイビングのインストラクターも、男性・・・30代前後の男5人が集まれば、話題は自ずと決まってくる。
「そういえば、もうバングラには飲みには行きました?」
「・・・はぁ、まぁ・・・」
プーケットには、バングラ通りという有名な夜遊びスポットがある。欧米人や日本人の観光客で大いに賑わい、ナイトクラブやバーなどが乱立している。しかし、酒を嗜まない事もあり、女遊びはともかく夜遊びにはあまり前向きではないおれは、バングラはちょっと歩くぐらいで遊ぶのは回避していた。
「いやぁもう行ったんだけど、ピンポンショーが凄くて!」
「・・・!?」
おれは、ついコーラを噴出してしまった。朝早くから唐突に聞く『ピンポンショー』という単語。それもその内容は、おれの想像通り、女性が披露するあれだ。日本でも昔は場末のストリップショーで披露されていたと思うが、あの、その、女性が大事なあそこでその、えっと・・・
一瞬で想像力を働かせたおれは、夜のバングラ通りへ乗り込む事を即決した。そのショー・・・いや奇術、是非観てみたい。
聞いた話によると、バングラ通りでは何件かでピンポンショーをやっていて、歩いているとショーの内容を書いたプログラムを持ったあんちゃんが誘ってくると言う。おれはピンポンで頭が一杯のままその日のダイビングを終え、ホテルに帰宅早々に夜遊び大好きな実兄にその話をした。
「あぁバンコクで行ったことあるよ。ワンドリンク制で、観光客プライスでぼったくられるんだよ。そんなの嫌だから、おれは行かないよ。」
もうタイに住んでいてナイトライフにも詳しい実兄はそんな事を教えてくれた。こんな観光リゾート地で、観光客プライスも何もないと思うが・・・まぁドリンクが相場より多少高くても、ショーの代金と思えば問題ない。実兄はバングラを歩いていても誘われた事が無いのと、そんなショーにはちょっと早い時間かと心配もしたが、おれはなけなしのタイ・バーツを手に、賑々しいバングラ通りへと歩を進めた。
「・・・兄貴は誘われた事無いと言っていたが・・・」
「ピンポンショー??」
「ピンポンショー!?」
「ピンポンショーー!!」
「・・・」
バングラ通りへと足を踏み入れた瞬間、おれはプログラムを持ったあんちゃん達に囲まれた。これで誘われたこと無いとは・・・どんだけ現地人化しているんだ、兄貴は・・・と思いながら、おれは適当にあんちゃんを一人選んで、話を聞いた。
「幾らなんねん?」
「ワンドリンクで、ショーはタダ」
「ソフトドリンクもあんねんか??」
「あるよ」
交渉成立。おれはあんちゃんに連れられて、どデカいバーの一番奥へと向かった。物々しい扉で閉じられた怪しい部屋、そこに入ると、既にステージ上では裸のタイ人女性が一般参加者の白人数人を交えてショーを展開していた。周りの席にはカップルや友人グループの姿が。もっぱら白人。こんなところに一人で来る恥ずかしさを感じながら、社会勉強の為と自分を納得させて奥の席に着く。ウエイトレスのおばちゃんがメニューを持ってくる。ビールもカクテルもソフトドリンクも、全て1200バーツ。日本円にして3600円・・・コーラ20バーツ、ビールでも60バーツの国だぞ。高すぎるだろ。まぁしかししょうがない、もとよりプーケットのピンポンショーの相場など知らないで来た。これでハシゴしてどこも同じような値段なら、面倒なだけだ。おれはソーダウォーターを頼んで、腰を落ち着けた。
お待ちかねのショーの内容は・・・まぁここまで読んでもらったのに、詳細に描写出来ないのが申し訳ない。とりあえず、お色気のショーと、ピンポンショー含む奇術が交互に展開される。お色気ショーの女性達は、流石に可愛くてスレンダーでスタイル抜群。一方のピンポンショーの女性は・・・まぁ数々の修練と経験を積まなければ出来ないような驚愕のショーだ、年齢が少し高めなのはしょうがないだろう。一応音楽に合わせて踊りながら入ってくるが、やっつけ感のあるテキトーな踊りなのは、ご愛嬌だろう。まぁ、綺麗な若い女性があんな奇術を展開していたら、それはそれでひいてしまうが。
ピンポンショー含む奇術の内容は、まぁ色々。手ぶらのおばちゃんがどこからかピンポン玉を出すと、これまたすっぽりとあんな所に収め、ビール瓶の上にピンポイントで産み落としたり・・・吹き矢で風船を割ったり、水を含んで一滴漏らさずビンに戻したり、タバコを吸ったり、剃刀や針を出したり・・・マジックだ。いわゆる、手だけで出したり隠したりするコインマジックの延長のようなものだろう(?)
小一時間ウォーターで粘ると、おれは席を立った。プログラムにあった『カエルショー』を観れなかったのは残念だったが・・・いや、良い社会勉強だった。
その後、他のピンポンショーをハシゴしたのは、言うまでも無い。
【続く】
Reo.