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Reoっちの駄文(ふつーの日常をハードボイルドに)

金融、サッカー、ボクシング、映画・・・そしてその他でふつーの日常を、楽しく読めるようにハードボイルドな読み物風に。

ミュージカルの効果、を読み物風に

2009-08-06 16:05:43 | その他
『ミュージカル』
① 米国で発達した、音楽・舞踊などの総合による演劇形式。19世紀後半にオペレッタなどの形式をもとに生まれ、20世紀前半に大きく発展した。
② みんなで歌って踊るが、盆踊りを「ミュージカル」とは呼ばない。


「・・・全員動くな!ここに爆弾が仕掛けられている!・・・CTUだ!!」


金曜日の夜、飲み会でジャック・バウアーのモノマネをしながら、歌って踊って参加者をエンターテインしていたおれのもとに、一通のメールが届いた。CTU、つまりCounter Terrorist Unitからのメールだと思ったおれは、すぐに携帯をチェックした。


「・・・ちょっと待て!遊びは終わりだ、ミッションが届いたようだ!!」


しかしメールは、友人からのミュージカルへの誘いだった。演目は『ウエスト・サイド・ストーリー』、アメリカが原作なだけに名前は知っていたが、あまりに古すぎてストーリーは知らない作品だった。海に行きたかったが天気が悪く予定変更を余儀なくされたおれは、ストーリーを知らないながらも二つ返事で誘いに乗った。


日曜日、おれは渋谷の駅に降り立った。尋常じゃない雑踏の中を、おれはミュージカルの会場であるオーチャードホールへと向かう。本場アメリカはブロードウェイの50周年記念ツアーと言う事で、なかなか立派な会場を用意していた。そして、値段もなかなか立派だった。タダで観る事になるおれの期待は、弥が上にも高まっていった。


会場に入る。さすが渋谷が誇るイベント会場、かなり綺麗で、かなり座り心地の良い座席が用意されている。おれは、座席に着くと同時に、不安が胸をよぎるのを感じた・・・常日頃、おれは映画館で映画を観る時、かなりの高確率で睡眠におちる。その座席の座り心地と、会場の暗さが、音の大きさを打ち消し睡魔を呼ぶ。一人2千円いかない映画なら多少寝ても良いが、このミュージカルは値段が桁違いだ・・・寝てしまうわけには、いかなかった。


アナウンスと共に、会場が暗くなる。プエルトリコ系アメリカ人と、ポーランド系アメリカ人が唐突に舞台の上で踊りだし、「ウエスト・サイド・ストーリー」が始まった。違う人種の二組のギャング団の抗争から、ストーリーは徐々にクライマックスへと向かっていった。


「・・・むっ、やばい・・・!」


おれは、一人呟いた。腹が痛くなったからでも、腹が減ったからでも無い。普通に、眠くなってきた。おれは、隣に座る友人の様子を気にしながら、モジモジし始めた。ここで眠ってしまうと、まず一人一万円以上するチケット代が、勿体無い。それにストーリーも分からなくなる。さらに、誘ってくれた人に申し訳がたたない。何より、この客層から言って途中で寝てしまうなどありえないだろう、恥ずかしい。


そんな事を考えながら、ボーっと舞台の横に立つ字幕を眺めていると、主人公二人のラブストーリーが始まった。


「・・・ま、まずい!・・・スローミュージックはやめてくれ・・・!」


舞台では、二人が囁きあい、そして緩いバラードの音楽の下で、踊りだす。我慢の限界だ。おれは、完全に意識を失った・・・


-熟睡中-


「さっき寝てたでしょ!!」
「・・・」


休憩時間、おれは友人から責められ、目を覚ました。『いや、さっきだけじゃなくて、今までずっと寝てたよ』などとは言えるはずも無く、おれは無言を貫いた。状況が悪いときは、無言が一番だ。だが、この休憩のおかげで、目は醒めた。さらに幸運な事に、ストーリーは『ロミオとジュリエット』とほぼ同じ、ストーリー展開に置いて行かれる事もなさそうだ。


「・・・もう大丈夫だ、第二幕は、しっかりと楽しむ。」


その後、第二幕が始まり、おれはしっかりとまた睡魔に負けてしまったのは、言うまでも無い。


しかし、なぜか、おれが第二幕も寝ていた事は、友人にはバレなかった。そして、その友人はしっかりとミュージカルを楽しみ、喜んでいた。


「・・・隣で寝ているだけで、こんなに喜んでくれるとは、こんな楽な事はない…ミュージカルや映画デート、良いかもな・・・」


その後、おれはデートで映画やミュージカルに行く際、寝ているのがバレないようにサングラスを購入したのは、言うまでも無い。


そして、色々な女性を映画やミュージカルに誘ったが、ことごとく断られたのは、これまた言うまでも無い。


【続く】


Reo.

楽しい時は夕立のように、を読み物風に

2009-07-27 19:21:35 | その他
『夕立』
① 夏の午後に降る激しいにわか雨。雷を伴うことが多い。白雨(はくう)。《季 夏》「―や草葉を掴(つか)むむら雀/蕪村」
② 夕方になって、風・雲・波などの起こり立つこと。
③ 本屋での雨宿りで回避しようとするが、止まずに本一冊読み終わってしまう事がちらほら。


土曜日の昼下がり、おれはいつものように綺麗な女性とデート・・・をしている様を頭で想像しながら、代々木公園を歩いていた。定番となった一人ピクニック、怪しいおじさん的な雰囲気を体一杯に醸し出し、おれは日陰のベンチを探していた。


芝生に寝ても良かったのだが、夏本番になると虫が多くなる。特におれは、どうやらかなり美味な肌をしているのか、アリに群がられる事が多かった。家にアリを持ち帰る事に辟易したおれは、代々木公園では芝生に直に横たわるのは止める事にしていた。


だが、手ぶらが好きなおれは、レジャーシートも持ち合わせていなかった。代わりに新聞紙を使っても良いのだが、ホームレスに間違えられるのはまだしも、体中がインクで真っ黒くなるのに辟易し、新聞紙を敷くのも止めていた。代わりにダンボール・・・いや、おれは、普通にベンチを探す事にした。


尋常じゃない熱気が、おれの体力を奪っていく・・・日陰のベンチを見つけたものの、驚異的な湿気を持つ日本の気候では、日陰でさえもサウナのような熱気を保っていた。とても集中出来そうに無いおれは読書を諦め、持ってきていた本を傍らに置いた。『読書の秋』とは良く言ったものだ、この暑さでは読書など出来ない・・・そんな事を考えながら、おれは目を閉じた。


目を閉じると、肌に感じる暑さが、数年前に友人と海に行った事を思い出させた。ここ数年は毎年湘南の海に行っているが、その湘南に初めて行った日の事を・・・おれは携帯を取り出し、懐かしさから無意識に、遠くに住むその友人に電話を掛けていた。


「・・・よう、久しぶりだな・・・」
「お久しぶりです!」
「・・・今、大丈夫か・・・?」
「今やっと今日の仕事終わったところですよ」
「・・・土曜日に仕事か・・・大変だな・・・」
「そうそう、実はこの前、彼女が出来たんですよ!」
「・・・っ!!・・・き、貴様、正気か・・・!?・・・抜け駆けとはっ・・・!!!」


『おいちょっと待てよ、ふざけるなよ、おまえ』という妬みから来る祝福の言葉を飲み込み、おれは友人のオノロケ話に身構えた。しかし、彼の口から出てくる言葉は、悲しい現実だった。


「でも、2ヶ月で別れたんですよ。先生なんですけど、なんか学校が大変で、余裕が無いとかで」
「・・・そうか・・・」


高校の国語教師である女性に告白し付き合い始めたものの、若い高校教師である女性と、土曜日にも仕事が入るような多忙の友人・・・僅か2ヶ月で別々の道を歩く事にしたと言う事だった。そんな話を聞き、おれは自分自身の2ヶ月で終わった恋を、思い出していた・・・


あれは、約2年前だったか。同じ先生でも幼稚園の先生と出会い、付き合い始めたのは夏の終わりから秋にかけてだった。おれの告白から始まった恋だったが、やはり2ヶ月で終わりを告げた。唐突に告げられた別れの理由は、『しんどい』からだった。幼稚園の先生として毎日幼い子の世話をしているのに、なんでプライベートでも幼い大人の世話をしなければならないのか・・・という感じだったか。


「・・・そうか、そんな時もあるさ。・・・良いか、良く聞け、失った事による悲しさを感じるのではなく、楽しかった2ヶ月間を抱えて生きていくんだ。」
「何言ってるんですか?それより、次の子を今探してるんですけど、可愛い子がいるんですよ」
「・・・」


どうやら、2ヶ月の恋でより大きなダメージを受けていたのは、その友人ではなくおれの方だったみたいだ。おれは、あれから女性と付き合う機会も無くなった。だが・・・


「・・・楽しい時期なんて、あっという間に過ぎてしまう、楽しければ楽しいほどな。・・・でもな、そんなあっという間に過ぎる時間は、夕立のように虹や心地良い涼しさを残してくれるんだ・・・」
「何言ってるんですか?夕立でもあったんですか?」
「・・・そうだ・・・」


カッコ良い事言った、と思ったが、全く理解されなかったのは、言うまでも無い。


そしておれは、電話を切り、一人公園を散歩した。左右上下、一人出歩く女性を探して。どちらが先に彼女を作るか競争を始める事にし、全く勝てる気がしなかったのは、これまた言うまでも無い。


【続く】


Reo.

葛西臨海公園、を読み物風に

2009-07-15 17:32:22 | その他
『湾岸』
① 湾の沿岸。「首都高速―線」
② マンガは湾岸ミッドナイト、湘南乃風は湾岸ハイウェイ


梅雨空も晴れ間を見せ始めたその日、おれはふと海を見たくなった。海開きもまだのこの時期、当然泳いだり日焼けを考えていたわけではない。おれはただ、海を見ながら、のんびりしたかった・・・


「・・・そうだ、海へ行こう・・・」


梅雨時の日曜日、高速道路はそれほど混んでいないはずだ。そう踏んだおれは、愛用のi-podと愛読している本(ナース物)だけを持って、車に乗り込んだ。カーナビで行き先を設定する。目的地は、葛西臨海公園だ。


カーナビで湾岸線を通る経路を選択し、湘南乃風のヴォリュームを上げる。『湾岸ハイウェイ』を聞きながら、サングラスをかけ、窓を全開。かっこ良いじゃないか、おれ。自分に酔いながら、車は制限速度を厳守し、海へと向かっていった。


ガンガンに効かせた音楽のヴォリュームと、窓から吹き込む強風・・・その影響からか、おれはカーナビの案内を全く聞けず、高速道路内で数回方向を間違え、もっと頻繁に出口を通り過ぎた・・・それでもおれは冷静に、葛西臨海公園への道を通常の3倍の時間をかけて進んだ。ETCを搭載していないおれの車、高速料金も通常の3倍になり、昼食を抜かなければいけなくなったのは、痛かったが・・・


「・・・それでも、海がおれを待っている。」


そう入り口のおじさんに告げて、おれは葛西臨海公園の駐車場へと入って行った。時間は、午前11時。駐車場はまだまだ空きもあり、隅から順番に誘導され車を停める。車を降りてまず気付くのは、やはりここでも家族連れが多く、一人車から降りるのはおれだけだと言う事だった。だが・・・そんな事に慣れているおれは、何も気にせずにせっせと海の方向へと向かった。


葛西臨海公園には、日本最大級と自称する観覧車、マグロがいるらしい水族園、そして海に面する広大な敷地・・・つまり公園がある。海にしか興味の無いおれは、家族連れやカップルを飲み込む水族園や観覧車を横目に、海風を浴びながら一人ピクニックの準備を始めた。


海の見える芝生の上に着くと、まずはレジャーシート・・・は持ってきていないので、ここでもおれは芝生の上に直接寝っ転がる。木陰にいると、海からの風の影響からか、湿気もあまり感じず、気持ちの良い涼しさだった。おれは持ってきた本(ナース物)を枕にすると、さっそく色々と考え事を始めた。仕事の事、今までの人生、将来の目標、そして恋・・・約3秒後、おれは熟睡モードに突入した。


海辺の芝生での昼寝、そして海浜公園の砂浜の上での海の眺めを堪能すると、もう夕方になっていた。


「・・・次は、彼女と来る・・・」


そう出口のおっさんに料金を払いながら告げると、おれは駐車場を後にした。帰りは音楽のヴォリュームを著しく下げ、逆にカーナビの案内の音量をマックスにし、しっかりと道を間違えないよう細心の注意を払い帰宅したのは、言うまでも無い。もう、高速料金を無駄に払うのは願い下げだった。


家に着くと、おれは気付く・・・海沿いで腹を出して昼寝をしていたからか、夏風邪をひいていた。咽が、痛い。鼻水が、止まらない。


「・・・ふっ、看病してくれる人はいないんだ、気をつけなければな・・・」


と思いながらも、同時に「やった、おれはバカじゃないんだ!」と喜んだのは、これまた言うまでも無い。


【続く】


Reo.

公園で幸せを貰う、を読み物風に

2009-07-13 16:30:23 | その他
『昼寝』
① [名](スル)昼間に眠ること。午睡(ごすい)。《季 夏》「蠅いとふ身を古郷に―かな/蕪村」
② 会社や学校で、昼食後に行うこと。学校で実践すると、チョークが飛んでくる。


「・・・そうだ、公園へ行こう」


土曜日は、梅雨の時期にもかかわらず、珍しく太陽も顔を出すような天気だった。雲はあるが、雨の心配はなさそうだった。夕方からの都内での打ち合わせまでヒマを持て余していたおれは、京都まで行く交通費と時間が無かったので、朝から公園へ行く事にした。


おれが公園を好きになったのは、いつからだったか・・・電車の中で、おれは考えていた。リストラされて、良く公園に行くようになり、習慣になったからか・・・それとも、元より高いところなどの開放感のある場所が好きで、性格的に公園を好きになる要素を生まれながらにして持ち合わせていたのか・・・答えは、電車の中では導きだせなかった。


小説を二冊小脇に抱え、おれは代々木公園を一人歩いた。広大な敷地には、芝生の広場や、ジョギングのコース、ドッグランなどが揃っている。おれは、いつもの指定席である、噴水の近くへと歩を進めた。


噴水前の売店で大好物の焼きそばとフランクフルトを購入し、おれは周りを見渡した。そこには、子供を連れた家族や初々しいカップルばかりが、思い思いにリラックスしていた。後は家があるのか無いのか分からないような怪しいおっさんが数人いたが・・・おれも怪しいおっさんに見られているのだろうな・・・と思いながら、おれは昼食を摂るためにベンチに座った。


「・・・ふっ、おれの欲しいものばかりだ・・・」


笑顔を見せる幼児と遊ぶ、幸せそうな家族・・・手を繋いでベンチに座る、幸せそうなカップル・・・おれ自身が幸せじゃないとは言わないが、誰かと一緒にいる幸せや、愛する人と共有する幸せと言った宝物は、おれには到底手に入れられないものだった。おれは彼等の笑顔を見ながら、人の幸せを見て、自身も幸せな気分になっていた。


「・・・ふっ、そうか・・・だからおれは、公園が好きなんだ・・・」


おれは公園に来る事によって、幸せそうな人達から元気を貰っていた。おれの隣にいてくれ、色々な喜びや感情を分かち合ってくれ、幸せにしてくれるような特別な人は、存在しない。それでも、おれは誰かの幸せそうな笑顔を見て、自身の心も温かい気持ちで満たし、また翌日から頑張る力を貰っていた。


おれは、もう本を読む気にはならなかった。みんなの幸せに包まれたこの空間で、おれはゆっくりと休みたかった。おれは眼を閉じると、ゆっくりと芝生の上に横になった。良い夢が見れそうな気分の中、おれは意識が遠のいていくのを感じた・・・


「zzz・・・zzz・・・うへっ♪・・・おほっ♪・・・うっ!」


・・・何か、足がモゾモゾする。くすぐったい。夢の中と同じく、どこかの美女に襲われているのか!?と思いながら、おれは目を覚まし、自身の体を見てみた。レジャーシートも持たず芝生の上に直に横たわっていたおれは、ただ蟻に襲われていただけだったのは、言うまでも無い。どうやら、おれの体は美味らしい。新たに見つけた自身の長所をしっかりと頭に刻みながら、おれは必至に蟻を振り払った。


蟻に襲われながらも目を覚ましたが、いつも通り寝坊し、ばっちり夕方からの打ち合わせに遅刻し、こっぴどく激怒され思いっきり凹んだのは、これまた言うまでも無い。


「・・・ふっ、また公園に行って、幸せを分けてもらう必要がありそうだ・・・」


幸せな家族やカップルが世の中に溢れる事を、おれは静かに願った・・・


【続く】


Reo.

優しい嘘、を読み物風に

2009-07-07 17:43:43 | その他
『嘘』
① 事実でないこと。また、人をだますために言う、事実とは違う言葉。偽(いつわ)り。「―をつく」「この話に―はない」
② 正しくないこと。誤り。「―の字を書く」
③ 適切でないこと。望ましくないこと。「ここで引き下がっては―だ」
④ 冗談やおべんちゃらにも使用。個人的に得意。


「優しい嘘って、あると思う?」


唐突に、おれはそんな質問をある女性から受けた。おれの嘘がばれたか・・・と言う考えが頭を巡る中、その女性は友達の話を語りだした。


その人は、彼氏以外の男性の友人と二人で食事等に行く際、彼氏には「女友達と会う」と嘘を言って行くという。彼氏へは嘘をついている事になるが、彼女にとってそれは、『優しい嘘』だから問題無い、との事だ。


正直なその女性は、そんな友達の嘘を不誠実なものと感じ、ずっと疑問に思ってきたらしい。『嘘』をつく事自体が不誠実な、裏切る行為なだけに、『優しさ』など存在するのか・・・と。


「・・・ふっ、優しい嘘ってのは、必要なものなんだよ。」


おれは、女性の疑問に、そう答えた。その場で彼女を肯定し、嘘をつく気はさらさら無かった。


「・・・考えても見てくれ、もしおれが最愛の彼女に『好きな人が出来た』と言われたら、おれはどれほど悲しかろうと、どれだけ辛かろうと、笑顔で彼女を送り出すだろう。・・・本当は離したくないが、苦しくないふりをして彼女の願いを受け止める・・・それが、優しい嘘だ。」


その女性にはそんな経験が無いのか、はたまたそんな心境に陥った事が無いのか、おれの言葉を聞いて困惑の表情を浮かべていた。


「・・・自分の最愛の人に望むのは、その人の幸せじゃないか?・・・例え、自分は彼女を幸せに出来ると決意し、他の人より良い条件の暮らしを提供出来たとしても、彼女にとって本当に幸せなのは、多少生活が苦しくなろうとも最愛の人と寄り添って生きていく事なんだ。・・・彼女の笑顔をより輝かせる人が存在する以上、彼女の幸せを願い、優しい嘘をつくのも、必要なんじゃないか?」
「えぇー私には出来ないよ。」
「・・・他に好きな人が出来て別れを切り出すのも、辛いものなんだ。・・・もしこちらが苦しむ素振りを見せたら、相手の心も自身を責めてより傷つく。・・・好きな相手に、苦しんで欲しくないだろう?」


その女性の友達の嘘が『優しい嘘』かどうかは、答えを出す事は出来なかった。しかし、『優しい嘘』が存在する事は、説得出来たようだった。


「・・・ふっ、愛する人の為くらいは、自分ではなく他人の幸せを優先しても良いんじゃないか?」
「・・・」
「・・・今日はちょうど七夕だ。・・・良く晴れたな、彦星と織姫も、今夜は会えるだろう。・・・こんな日ぐらい、自分の事ではなく、他の人の幸せを願おうじゃないか・・・」


そうしておれは、遠くにいる誕生日を迎えたばかりのある女性が、幸せな一年をすごすよう星に祈った。


と思わせておいて、BIG6億円が当たるよう願ったのは、言うまでも無い。


【続く】


Reo.