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Reoっちの駄文(ふつーの日常をハードボイルドに)

金融、サッカー、ボクシング、映画・・・そしてその他でふつーの日常を、楽しく読めるようにハードボイルドな読み物風に。

競技場の恋、を読み物風に

2009-10-13 17:07:47 | その他
『競技場』
① 各種の運動競技ができる、整備された総合的施設。
② 観客席が概ね芝生でも、ほのぼの加減にびっくりするが問題は無い。


柔らかい日差しが、休日の惰眠をエンジョイするおれの横顔を暖かく包む。夢の中で意中(だがおれに全く興味の無い)の女性とチュッチュ♪していたおれは、その明かりを瞼に受け、徐々に覚醒していった。おれは必死に夢の中に戻ろうともがいたが、その余りにも現実味の無いストーリーに、夢の中とはいえ続きを見出す事は出来なかった。


「…ふっ、夢か…当たり前だが…」


最高に近い夢を記憶したまま目を覚まし、朝から気分上々なおれだったが、この晴れやかな週末の一日も、全くやる事が無い現実が徐々に頭に浸透し、おれは一気に暗澹たる気分に陥った。


朝から激しく上下するテンションを維持する為、おれは朝食をガッチシ摂る為にキッチンへと向かった。そこで、おれはあるチラシを目にした。


「…町田ゼルビア…」


そのチラシは、JFLに所属し、近々のJリーグ入りを目指す我らがホームチーム、町田ゼルビアの試合を宣伝していた。この日、フットサルチームのペスカドーラ町田は試合無し。そして、ゼルビアのホームスタジアムは、車で僅か15分の距離…何より、暇すぎて起きてから既に10回以上あくびをしている。おれの今日の予定が、決まった。


13時開始の試合の為、おれは11時半に車に乗り込む。向かう先は、野津田公園の中に位置する、町田市立陸上競技場。初めてのゼルビア観戦、当日券と良い席を確保する為に、おれは1時間前には入場するよう準備した。


特に渋滞に会うことも無く、おれは12時前には野津田公園の駐車場に入っていた。渋滞も無い、無料駐車場の混雑も無い、そして公園内には人も少ない…おれは、一縷の不安を感じながらも、競技場へと歩を進めた。


競技場の前には、カレーやら焼き鳥やらの出店が出ていた。そしてチラシを配るボランティアスタッフ達。観客の数より彼らスタッフや店員の数の方が多いのではないか…と言う思いを呑み込み、おれは2000円の当日券を購入し、早速競技場に入場した。


「…!?」


競技場に入ると、視界一面の芝生席が、おれの目に飛び込んできた。メインスタンド以外、残り3面は全て芝生席…ここは田舎の野球場の外野席か!…ピクニック場か!…レジャーシート必須のスタジアムか!…これでJ2を戦って良いのか…?数々のツッコミが頭を駆け抜ける中、おれは気を取り直して空いている席を探した。


スタンドとは言っても、所詮は自由席。おれは一人で来ている気まずさや気恥ずかしさもあり、がら空きの端のスタンドの2列目に腰を下ろした。その端のスタンドには、まだ一人で来たぽい寂しそうなおっさんが3人ほどしか座っていない。おれもここのおっさん達と同じように観られるんだろうな…と心で思いながら、実際に自身も寂しいおっさんである事に間違いない事を忘れながら、おれは試合開始を待った。


「…ん?」


席に座ってから10分後くらいだろうか。田舎のサッカー場には似合わない、ちょっと垢抜けている女性二人組みが、おれの目の前を通った。しかしこちらのスタンドはほぼ全て空いている、無駄な期待をしないよう一人鼻をほじっていると、なんとその二人はおれの列に座り、徐々におれの方に寄って来るではないか。ガラガラのスタンドの中、おれの隣にちょこんと座る、サッカー初心者そうな二人の乙女たち。これは、確実におれに興味がある、おれに声を掛けられたがっている…おれは、そう確信した。試合開始まで、まだ1時間近くある…


「…ここには、よく来るのか…?」
「あ、いえ、初めてなんです」
「…そうなのか?サッカーが好きだと言う事か。」
「あ、時間が会ったし、近くに住んでるしって感じです。良く来るんですか?」
「…いや、ここは初めてだが…サッカーは良く観る。私で良ければ、色々と教えるが?」
「あ、本当ですか♪嬉しいです、助かります♪」
「…いやぁ、サッカーファンが増えると、嬉しいしな。」

 -試合後-

「…いやぁ良い試合だった。二人とも駅までバスかな?良かったら、車で送るが…」
「え!良いんですか?助かります♪」
「…いや、どうせ駅は通り道だ…そうだ、もし良かったら、コーヒーでもどうだ?」
「あ、行きたいです!」


…という展開を頭の中でシュミレーションしたおれは、ドキドキと高鳴る胸を必死に抑え、苦労しながらも最初の一言を口から搾り出した。


「…ん…あぁ…あの…ここには、良く来るんですか…?」
「…」


苦労の末に必死に搾り出したおれの一言は、答えを引き出せぬまま、虚しく風の中に消えていった。完無視、だった。無視される事に慣れているとはいえ、その気まずい雰囲気に居たたまれなくなったおれは、徐々に腰をずらし、二人から離れていったのは、言うまでも無い。


我らがゼルビアは、1-0で試合に勝ち、俺を含む1600人の観衆を熱狂させた。J2昇格には、JFLで4位以内に入る実力と、平均で3000人の観衆を集める必要があるらしい。スタジアムの問題と観衆面で残念ながら今年の昇格を諦めたゼルビア、女性には無視されるばかりで夢の中でチュッチュするのが精一杯の暇なおれは、まだまだ当分ゼルビアを応援していく事になりそうなのは、これまた言うまでも無い。


【続く】


Reo.

故郷のチーム、を読み物風に -②-

2009-10-05 17:36:06 | その他
「…ここが、成瀬か…」


乾いた暑さが肌に心地よいある秋の日に、おれはペスカドーラ町田のホームアリーナ、町田市総合体育館のある成瀬駅に降り立っていた。おれは、駅から出るとすぐに行き当たるロータリーを見渡した。人が、少ない。フットサル観戦ぽい人どころか、普通に人がいない。


「…開始2時間前だ、しょうがないだろう…」


初めての観戦という事で気が急いてたおれは、かなり暇だった事もあり、2時間前にはアリーナに着くくらいの時間帯に到着していた。しかし、案の定、アリーナの前は閑散としている。おれはコンビニで昼食を買うと、近くの公園で寂しいランチをエンジョイしはじめた。


30分が過ぎ、1時間が過ぎた。まだ、アリーナ周辺は閑散としている。とうの昔に昼食を食べ終えていたおれは、その暇さ加減に飽き飽きしたので、アリーナの中に入る事にした。チケットは、スタンド席の前売り券で1500円、アリーナ席の前売り券で2000円。一人で最前列で観戦する事を回避したかったおれは、当然スタンド席を購入。Jリーグのチケット(メインスタンド)の約3分の1という値段の安さも、おれをこのアリーナに足を運ばせた大きな理由の一つだった。


アリーナに入場し周りを見渡すと、3人ぐらいのファンがグッズ売り場を囲んでいた。どうやら、選手数人にサインをもらい、写真を撮っているようだった。が、当然ながら、おれはペスカドーラ町田の選手を一人も知らない。とりあえず選手ぽい人からストラップを記念に購入し、しぶしぶ握手をしてやってスタンド席へと向かった。


フィールドでは、女性選手たちが試合をしていた。その健気さと可愛さに感動しながら試合を待っていると、アリーナは徐々に埋まっていった。全席自由席ながら、約1時間前に入場したおれは真ん中に陣取る事が出来たが、おれが思ったより観客の数は多かった。これがフットサルのFリーグの真の人気か、それとも2800人弱しかキャパシティーが無いアリーナのマジックかは、おれには判断はつかなかった。


「…おいおい、突き指しまくりじゃないか…」


試合が始まってまずおれが驚いたのは、キーパーが両チームともグローブを着用していないことだ。指にテーピングはしているが、基本素手。それで至近距離からのシュートに反応している。しかし、ゴールマウスは小さく、キーパー自身はサッカーと同じくらいの体格をしているので、フィールドが小さいにもかかわらずなかなか得点は生まれない。


そして、選手交代が何回でも、プレーが切れなくても、さらに一回出てもまた入ってこれるアイスホッケーに似たスタイルなだけに、その特徴を活かすように攻撃時にキーパーに代わってキーパーのユニフォームの色をしたシャツに着替えたフィールドプレーヤーが入ってくる。パワープレーと呼ぶらしいが、サッカーのパワープレーとはまったく違うその独特な戦術に、フットサルの奥深さを感じた。


そして何より、半分アマチュアなリーグにも関わらず、チームのチアリーダーが存在する事におれはこの日一番の驚きを感じた。ほぼボランティアでやっているであろう彼女たちの一生懸命な演技に、おれの目は釘付けになり、心奪われた…


「…♪」


ハーフタイム、踊りながら名乗って自己紹介をするチアリーダーグループ『フィオーレ』の演技をガン見しながら、おれは彼女たちの名前を一生懸命メモっていたのは、言うまでも無い。


「…必ず、また観戦に来よう…」


おれは、チアリーダーを観に、またこのアリーナに来ようと決意した。試合後、アリーナの入場口でファンに挨拶をするチアリーダーの面々…危うくストーキングしそうになる欲望を一生懸命抑え、チラ見しながら帰路についたのは、これまた言うまでも無い。


【続く】


Reo.

故郷のチーム、を読み物風に -①-

2009-10-02 18:02:37 | その他
『故郷』
① 生まれ育った土地。ふるさと。郷里。「―へ帰る」「第二の―」「生まれ―」
② 麻布や六本木生まれの人にとっては、それほど親しみも懐かしさも湧かなそうな言葉。


「…そういえば、今度の連休、暇でどうするか困ってるんだ…」


おれは、『一緒にどこか行こうよ!』と言うニュアンスを存分に匂わせ、微かな望みと共に、横を歩く女性にシルバーウィークの話題を振った。


「あぁ、じゃあサッカーでも観に行けば?」
「…」


じゃあ一緒にどこか行こうよ♪という言葉を待っておれに胸に、冷たい言葉が突き刺さる。だが大丈夫だ、慣れている。おれは、年を重ねるごとに上手くなった苦笑いを浮かべながら、気まずさを払拭する為に、話題を変えた。


女性に断られるのは、慣れている。おれが慣れていないのは、有給休暇を含め9連休という休みの期間を、上手く有意義にすごすことだった。おれは連休3日目、早くも一日を寝返りだけですごしていた。


「…あぁ暇だ…公園でボーっとしているのも、連日で飽きた…どうすれば良いんだ…」


寝すぎて終始ボーっとしている頭を抱え、おれは悩んだ。そして、思い出した。連休前に、意中の女性に言われた言葉を…


「…そうだ!サッカー観に行こう!」


おれは、今までの経験から、サッカーを一人で観に行く事には抵抗は無い。ワールドカップの試合やJリーグの試合、今まで何回も一人で観戦している。当然周りからは『チケット2枚買ったけどデートは断られた男』と見られているだろうが、そんな事は慣れっこだった。


しかし、おれは一つの問題にいきあたった。エロサイトを見る傍らでJリーグのスケジュールをチェックするが、年会費を払ってファンクラブにも入った横浜F・マリノスの試合は、連休中には予定されていなかった。


「…困ったな…ん?」


パラパラとエロ本を見る傍らにサッカー雑誌を眺めていると、そこにはゼルビア町田とペスカドーラ町田の名が、おれの目に止まった。


「…そうか、Jリーグじゃなくとも、おれの地元にはサッカーチームがある…」


ゼルビア町田は、来年のJ2入りを目指すJFLのチーム。ペスカドーラ町田は、フットサルのFリーグのチーム。そして何より、両チーム共に車で30分以内で行ける場所で試合が行われる。更に、メジャーなチームではないので、駐車場も一杯にはならないし、渋滞も無い…素晴らしい。


おれは、ペスカドーラ町田を、初のフットサル観戦として観に行く事を決意した。


【②へ続く】


Reo.

15日はバイブル発売日、を読み物風に

2009-09-16 17:48:13 | その他
『バイブル』
① キリスト教の聖典。旧約聖書と新約聖書との総称。聖書。
② その分野で最も重要かつ権威ある書物。「受験生の―」
③ 中高生にとっては大人の雑誌が該当


「…はっ!今日は…わ、忘れていた…」


時は15日の21時前。おれは駅を歩きながら、自身が大事な事を忘れていたに衝撃を受けていた。毎月15日はみんなのバイブル、そう、『ボクシングマガジン』の発売日だ。おれは閉店間際の本屋へ急ぐべく、帰宅ラッシュでごった返す駅の出入り口を、得意のフットワークで一心不乱に進んでいった。おれの時折フェイントを入れながら群衆を掻き分けるフットワーク、まだまだ蝶のようだった。


閉店が迫った駅ビルのエスカレーターを、おれは黙々と進む。最上階のレストラン・フロアを目指すカップルを横目に幾つかのファッションフロアを通り抜けると、広大な雑誌セクションを要する本屋に到着した。雑誌セクションの一番手前は、『なんちゃらの週末』なり、『どこかのウォーカー』など。カップルばかりが、デートコースを検証している。そんな連中を羨ましそうに眺めながら、おれはむさ苦しい男ばかりが立ち読みに陣取るスポーツコーナーへと歩を進めた。


「…卓球?違うな…ゴルフ?違うな…ボーリング?おしい…ボート?おしい…あった!!」


しかし、やはりそのボクシングというスポーツの人気からか、閉店が迫る今の時間に残されたのは、たった一冊だけだった。いや、もとより三冊くらいしか仕入れていないという事は、ありえないだろう。


「…」


おれは、ただ一冊残されたそのボクマガを手に取る。案の定、厚紙のはずの表紙はペラペラになり、中にもところどころに折り目が見えるほど、立ち読みのお客さん達に蹂躙されていた。


「…おいおい、指紋ばりばりじゃないか…おい、ヘビー級チャンピオンに折り目をつけるな…」


今日が発売日なのに、もう新品の様相を呈していない一冊を手に、おれは悩んだ。このボロボロの雑誌、おれは買うべきか。ここで買わなくても、確かに他に本屋はいくらでもある。だが…ボクシングマガジンが発売日以降も売れずに残っている確立は、低いと言わざるをえない。なんせおれの、そして多くの人のバイブルだ、新品が欲しいのは、間違いなく確かだ。だが…


そこでおれは考えた。これはバイブルだ。バイブルという神聖な物なら、例えどれだけボロボロでも、しっかり手に入れ、大切にするべきだ。


「…ふっ、愚問だったな…」


悩みの晴れたおれは、最後の立ち読み専用と化したボロボロのボクシングマガジンを持ち、これまでカップルが多かった影響か無意識に途中の大人の雑誌コーナーで一冊見繕い、レジへと向かった。『ボクシングみたいに人気の無いスポーツの雑誌なんて、大して売れてないよ』というツッコミは、全く受け付ける気がないのは、言うまでも無い。


その翌日、最寄の本屋でアメフト雑誌を探していると、普通にボクシングマガジンが束で置いてあったのは、これまた言うまでもない。


【続く】


Reo.

眠れぬフライト、を読み物風に

2009-09-09 16:12:21 | その他
『フライト』
① 飛行。特に、航空機での飛行。「成田からホノルルまで―する」
② スキーのジャンプ競技で、空中を飛ぶこと。また、その飛型。
③ 使い方によってはかなりキザに聞こえる飛行機や便の言い方。「昨日のフライトがさぁ、フライトナンバー777で、さらにフライトアテンダントも綺麗揃いで、機内食も白身魚のフライとパンだったんだよ」


「…ふっ、仕方ない、か…」


黒いスクリーンのまま止まっていた会社のパソコンが、おれの目の前でおれをあざ笑うかのように、唐突にブルースクリーンに変わった。また、ウインドウズ起動に失敗した。これで8回目。どう起動しても、おれのパソコンはご機嫌斜めのままだった。これで、海外出張から月曜日に帰国した翌日、PCを直す為に休みを入れずに出社する必要が出てきた。かなり、ショックだ。


「…まぁ良いさ、どうせ飛行機でいくらでも寝れる…」


エコノミークラスの機内で寝れない繊細な人が多い中、24時間常に眠気を保ったままのおれは、食事の時間以外全てで寝る事も可能だった。行きのフライトでも、落ち着かない10歳以下の少年を連れた親子の隣だったにも関わらず、10時間のフライトの内8時間は眠っていた。


東京行きの飛行機に乗り込む、機内は満員だ。毛布を袋から取り出し、しっかりと熟睡の準備を始める。すると、おれの隣に座る人が現れた。


「…はにゃ…ゴクッ…」


驚いた。隣に座ったのは、自身の運の巡りを疑うような、かなり綺麗な女性だった。これまで飛行機で隣に座るのは、たいがいおっさんか巨漢外国人…これは、運命としか思えなかった。さらに、その女性は、キャビンアテンダントと会話を交わし、ノートを交換し合っている。どうやら、彼女自身がキャビンアテンダントみたいだった。


「…ふっ、三十路を前に、遂におれも彼女が出来るのか…それもCA…自慢しちゃおっ。」


10時間ものロングフライト、ずっと隣、それもエコノミークラスというほぼ密着状態…おれは、ルフトハンザの座席のゆとりのなさに感謝しながら、意中の隣人に声をかける機会を虎視眈々と伺った。勝負文句は決まっている、成功率100%の、あれだ…


「…ハウ・ユー・ドゥーイン?」


決まった。おれのアメリカ英語を活かしたこの言葉に、キュンとこない女性はいない。おれは、運命の相手からの甘い返答を待った。


「…」


完全に、黙殺された。気まずい雰囲気が、おれの席と直径5メートルの範囲を包む。フライト内に、息を呑む音も聞こえるほどのシーンとした静寂が訪れる。おれは、もう次の言葉を搾り出すことは出来なかった…また、失恋したようだ。しかし、この海外出張で彼女の隣に座れた事が一番良い事だったのは、間違いないが。


その後、10時間ほど気まずい雰囲気と美女を隣にしたドキドキ感に包まれ、一睡も出来なかったのは言うまでも無い。翌日のオフィスで爆睡はしたが。


とは言いつつ実は、その綺麗な女性が寝ている間中、ずっと寝顔をガン見していて寝れなかったというのは、これまた言うまでも無い。


【続く】


Reo.