タイコエレクトロニクスジャパン(旧社名、川崎市)は2024年10月1日、社名を「TE Connectivity Japan」に変更した(図1)。
同社は、コネクターやセンサーの分野に強いスイスTE Connectivityの日本法人である(図2)。
グローバル本社と社名をそろえることで、日本市場におけるグローバル企業としての強みを生かす。また、持続可能な社会への貢献、多様な人材の獲得につなげていく。
図2 同社コネクター製品の一例
写真は充電インレット。(写真:日経クロステック)
旧タイコエレクトロニクスジャパンによると、これまで同社はTE Connectivityの日本法人と認識されていないケースがあった。訪問先でそうした声を聞くことも珍しくなかった。
同社の強みは、TE Connectivityの一員として、世界の様々な国や地域におけるニーズを素早く把握し、先を予測して開発に取り組めること。
加えて、TE Connectivityがグローバルに持つ技術を共有できることである。
例えば、800V対応の電気自動車(EV)向け充電インレット(車両側に搭載する充電ソケット)は、中国や欧州で搭載が先行する。
そこで把握したニーズと培った技術をベースに、日本市場向けの製品に展開が可能だ。
実際、同社よれば、日本で販売されるEVにも、そうした高電圧対応の充電インレットが搭載され始めるもようである。2025~2027年に登場してきそうだという。
もっとも、800V充電に対応するEVは、当面は高級車や高い出力が求められるクルマがメインとなりそうだ。800V対応にすると、現時点ではコストが大きく上がるためである。
TE Connectivityの高電圧充電インレットの特徴は、搭載性を意識して、幅方向の小型化を意識している点だ。
コネクターの部分に使われる端子を、通常の丸ピンから板状の角ピンに変えた。これにより、高電圧化に伴う絶縁距離の拡大に起因する幅方向の大型化を極力抑えた。
絶縁距離の拡大は、ピンとピンのピッチの拡大、すなわちピンのピッチ方向(コネクターの幅方向)の大型化を意味する。
角ピンにすれば、ピンの断面積が同一の場合、丸ピンよりも幅方向の寸法拡大を抑えられる。高さ方向の寸法は増えるが、幅方向を抑えたほうがユーザー企業にとって扱いやすいという判断だ。
高電圧化に関しては、ケーブルを代替するバスバーも提案している。バスバーは平板状の棒のようなもので、放熱性を高くできることが利点である。
ケーブルと異なり、コネクターの端子との接続には圧着は適用できないが、溶接によって対応している。
日経記事2024.10.01より引用