データセンター向けAI半導体の新製品を発表したAMDのリサ・スーCEO
(10日、米サンフランシスコ)
【シリコンバレー=清水孝輔】
米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は10日、人工知能(AI)半導体の新製品「MI325X」を2024年内に投入すると発表した。
米エヌビディア製の先端品「H200」に対抗する。AMDが代替品を投入することで、先端AI半導体の価格高騰を抑える効果が生まれる可能性がある。
AMDのリサ・スーCEOが米サンフランシスコで開いた新製品発表会で新型の画像処理半導体(GPU)を明らかにした。
スー氏によると、「MI325X」で米メタの大規模言語モデル(LLM)「Llama(ラマ)3.1」を処理する場合、AIが回答を導く「推論」のデータ処理性能がエヌビディアの「H200」に比べ最大4割高まるという。
AMDは25年にも、さらに高性能なAI半導体「MI350」を投入する計画だ。26年にも次世代品「MI400」を出す計画を示した。
相次ぎ高性能品を投入し、エヌビディアが24年11月〜25年1月に生産・出荷を始める次世代GPU「ブラックウェル」に対抗する。
スー氏は発表会で「AIの需要は期待以上に高まり続けている。あらゆる場所で投資が増えているのは明らかだ」と市場拡大に強気の見通しを示した。
データセンター向けAI半導体の市場について「28年にかけて毎年60%以上成長するだろう」と述べた。
AMDは7月には生成AIの基盤モデル開発を手掛けるフィンランドの新興企業サイロエーアイ、8月にはサーバー機器を手がける米ZTシステムズの買収をそれぞれ発表した。
ソフトウエアからハードウエアまで技術を取り込み、AI分野の競争力を高める。
AMDはエヌビディアに代わる製品を開発し、需要の一部を取り込んできた。
AMDは24年4〜6月期のデータセンター向け売上高が前年同期に比べ2.2倍に増えた。エヌビディアの最も有力な対抗馬としてクラウド大手からの受注を増やしている。
英オムディアによると、23年にはデータセンター向けAI半導体の市場ではエヌビディアが約8割のシェアを占めた。
クラウド大手は自前のAI半導体の開発を急ぐが、現時点ではエヌビディア依存から抜け出せていない。
パソコンやスマホの半導体や、電気自動車(EV)に使われるパワー半導体とは。TSMCやラピダス、キオクシアなどのメーカーの動向や供給不足、シェア推移など関連業界や市場の最新ニュース・解説をタイムリーに発信します。
日経記事2024.10.11より引用