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政策保有株の売却進む 財閥や系列、地縁でも解消へ

2024-07-01 03:28:49 | 日本経済・金融・給料・年金制度


 

【この記事のポイント】
・持ち合いは安定株主づくりの一環
・少数株主の意見が反映されにくい
・この慣習なくなれば国際的な評価向上
 
 

財閥やグループ間で持ち合ってきた政策保有株式の売却が進んできた。2024年3月期に三菱電機は24銘柄を売却、豊田通商トヨタ紡織は互いにすべて売却した。

海外から批判を受けてきた日本企業の慣習がなくなれば、国際的な評価向上にもつながる。

 

日本企業は戦後、安定株主作りの一環として取引先や財閥、グループ間で株式を持ち合ってきた。

互いが「物言わぬ株主」となるため、経営の規律が緩んで少数株主の意見が反映されにくくなるとして海外の機関投資家などから批判されてきた。

 

23年3月には東京証券取引所が上場企業に資本コストを意識した経営を求めた。企業は利益をほとんど生まず資本効率が悪化する政策保有株の売却を検討するようになった。

持ち合い解消の動きが目立つのがトヨタグループだ。デンソーは24年3月末までにトヨタ紡織や東海理化など8銘柄、豊田合成も紡織や豊通、デンソーなど18銘柄、アイシンもデンソーや豊通など7銘柄を売却した。

 

アイシンは政策保有株の「ゼロ化」を掲げる。売却で得た資金を電気自動車(EV)など成長投資や株主還元に充て、PBR(株価純資産倍率)を1倍超に高める。

トヨタ自動車も1年で政策株を含めて合計約3300億円の株式(非上場株含む)を売った。

「ケイレツ」と呼ばれるサプライヤー間で株式を持ち合う構造を改める動きは今後も続き、トヨタとデンソー、豊田自動織機は7月にアイシン株を売却することを決めている。

 

 

三菱や三井、住友といった戦前の財閥を源流とする持ち合いも解消が進む。

三菱電機は24年3月期に上場株式49銘柄を一部またはすべて売却。三菱ガス化学の保有株はゼロになった。三菱グループでは三菱重工業三菱商事三菱倉庫を、ニコンが三菱電機と三菱商事、三菱倉庫が三菱重工と三菱マテリアルをすべて売却した。

 

三井や住友グループでも解消が進む。三井住友建設住友不動産三井不動産住友商事住友化学などグループを中心に29銘柄をすべて売却。住友化学も住友不や住友大阪セメントなどを売却した。

財閥系に限らず取引先の株式を保有してきた三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)と三井住友FGみずほFGの3メガ銀行も売却を進める。

 

株式売却額(非上場株含む)は合計約1兆3500億円と前の期比で4割弱増えた。三菱UFJはオリンパス、みずほFGは味の素、三井住友FGはアサヒグループホールディングスをすべて売却した。

地盤が同じ企業同士で持ち合ってきた関係も崩れつつある。関西地盤のダイキン工業小野薬品工業積水ハウス大阪ガスなどの保有株を減らした。京都に本社を置く宝ホールディングスは同じく京都地盤のオムロン株をすべて売却した。

 

 

野村資本市場研究所によると、上場企業の持ち合い株が時価総額に占める比率は22年度に7.7%と10年で3.6ポイント低下した。24年度以降も削減ペースは緩みそうにない。

住友不動産は5月、政策保有株の比率を28年3月末までに10%以下にすると表明した。当初目標から3年前倒しし、売却益は事業効率化や従業員の生産性向上への投資などに充てる。

 

カルテル不正などを受け、損害保険大手4社は23年3月末時点で約6.5兆円に上る政策保有株をゼロにすると表明している。損保ジャパンの石川耕治社長は「30年度末には必ずゼロにする。ぶれずにやる覚悟だ」と話す。

投資先企業に政策保有の解消を促す投資信託を運用するシンプレクス・アセット・マネジメントは6月総会で557人の取締役選任に反対票を投じた。

 

議決権行使を担当する金賢氏は「政策株の売却資金の活用法も厳しく見ていく必要がある」と強調する。安定株主が減るなか、企業は投資家と対話を深めていくことが求められる。

 

 

 
 
 

 


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