ハリス氏は「選挙戦の機運が変わった」と主張した(南部ジョージア州アトランタ)=ロイター
【アトランタ=赤木俊介】
米民主党のハリス副大統領は30日、南部ジョージア州のアトランタで選挙集会を開いた。
ハリス氏は「討論には参加しないのに、彼はいろいろ言いたいことがあるようだ。言いたいことがあれば、面と向かって言うべきだ」と述べ、集会やSNS上で同氏への攻撃を続けるトランプ前大統領を挑発した。
共和党のトランプ陣営はバイデン米大統領の撤退表明を理由に、9月に予定していた大統領選の第2回候補者討論会を白紙にしたという経緯がある。検事出身で弁舌に優れるハリス氏を警戒しているという見方もある。
ハリス氏は「選挙戦の機運が変わった」と主張。「トランプ氏も(変化を)感じている兆候を見せている」と指摘した。
集会には大勢の黒人支持者が集まった(同)
ジョージア州は大統領選で勝敗を決する激戦州のひとつだ。
人口に占める黒人の割合が米国全体と比べ高い。黒人は圧倒的に民主党を支持する傾向にある半面、黒人有権者の投票率は白人と比べ低い。
党候補としてのバイデン氏に対する熱意も感じられなかった。
ハリス氏が党候補となったことで、黒人有権者の投票への意欲が高まるかが焦点となっている。
ハリス氏は今回の集会も含め、副大統領に就任してから同州を計15回訪問している。
集会には同州のワーノック上院議員、エイブラムス元州議会下院議員なども駆け付けたほか、著名黒人アーティストのメーガン・ザ・スタリオンが楽曲を披露した。
人気ヒップホップグループ「ミーゴス」のクエイボも壇上でハリス氏の支持を表明した。
集会でパフォーマンスに臨むメーガン・ザ・スタリオン㊥(同)
両アーティストは黒人女性の権利保護や銃規制などの観点から民主党を支持してきた。
演説は20分ほど続いた。ハリス氏は物価高の主因が企業による悪質な値上げだと主張し、企業の責任を追及すると約束した。
2月にはいったん合意したが共和党の反発で頓挫した超党派の国境警備法案の成立も再び目指すとした。
ハリス氏はバイデン氏がこれまで訴えてきた中産階級の強化、銃規制、薬価引き下げ、そして人工妊娠中絶の権利にも言及し、現政権の政策をおおむね引き継ぐ姿勢を示した。
2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、現職のバイデン大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。
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