三浦半島の先端に「小網代の森」と呼ばれるところがあります。
関東で唯一、川の流域全体が保存されている場所で、70haあるこの森には数多くの生物が生息しています。
通常時は18時までに閉場されてしまうこの場所が、5月下旬から6月上旬のこの時期にはホタルの観察のために
21時まで開放されているとの情報を聴き、さっそく仕事の空いている日に行ってきました。
まずは京浜急行の終点である三崎口駅へと参りましょう。
品川から京浜急行快特の三崎口行きに乗って1時間強で、終点の三崎口に到着です。
ここでいきなりお昼ご飯。
品川駅で購入した深川めしです。
本当は品川エキュートで食べてくるつもりでしたが、11時半にして行列ができていたため断念。
品川で買い込んだ駅弁をここで食べたのでした。
まぐろで有名な三崎で深川めしを食べる、なんとも不思議な光景です。
場所と合ってないとはいえ、これはこれでおいしいですね。
駅弁なのにちゃんと梁川めししてます。おいしい。
お腹を満たしたら小網代の森へと出発です。
森の入口は「引橋入口」「北尾根入口」「宮の前峠入口」の3つがあります。
今回は引橋バス停最寄りの引橋入口から入ることにしました。
引橋バス停に止まるバスは「油壷」行き、「三崎港」行き、「三崎東岡」行きの3本で、
1番乗り場・2番乗り場に来るバスはほぼすべてが引橋バス停に止まります。
10分に1本ペースで来るので、乗り換えで待たされることはほとんどないでしょう。
(1日1本だけ引橋に止まらない「三戸海岸」行きがあります)
引橋でバスを降りたら道路を渡り、引橋入口へと向かいます。
こちら引橋入り口からだと、谷筋を降りていくルートになりますね。
5分ほどで引橋入り口に到着。
通常時は7時~18時までが開場時間となっています。
ホタルの時期だけ21時までの延長開場ですが、
18時以降は宮ノ前峠入口からのみの入場となります。
木道に沿って谷筋を下っていきます。
ずいぶんしっかりした木道ですねぇ。
木道がいったん途切れると、そこは完全に森の中。
京急の駅からバスで数分の場所とは思えない雰囲気です。
と、森の中を歩いていると、崖に穴ぼこが空いているのを発見。
これ、アカテガニの巣ですね。
アカテガニは普段は森林に暮らすカニですが、産卵のときには海岸に降りていきます。
そして幼生は海で過ごし、大きくなると陸へと上がっていくのです。
したがって森と湿地、干潟や海岸がセットで残されていないと暮らしていけません。
アカテガニが居るのは、豊かな自然が残っている証なんだそうです。
谷筋を抜け、少し開けてきました。
植生の変化も見られて興味深い。
そして河口近くまでくると、ヨシ原が広がっています。
このあたりは60年ほど前は水田が広がっていたそうです。
しかし開発計画が立ち上がると水田は放置され、湿原となり、さらに乾燥して笹で覆われてしまったんだとか。
その笹を刈り取り、川筋を変えて水を引き込み、今のような状態に変えていったそう。
(cf:ほぼ日刊イトイ新聞 小網代の森へ遊びにいくよ!)
木道に虫を発見。
キリギリスの仲間ですかね?
ここまで来ると、河口はもうすぐ。
ここが小網代の森を流れる浦の川の河口。
この辺りが水田だったころに作られた、橋の残骸がありました。
危険なのでこの橋は通行禁止になっています。
引橋入り口から1時間ほど歩いて、小網代湾に到着。
ここで干潟のカニを観察・撮影する予定でした。
しかし見ての通りの満潮。
潮の満ち引きのことをすっかり忘れていました……
小網代の森はかなり整備が行き届いており、誰もが容易に自然を感じることができる場所になっています。
でもそれはここ数年の整備のかいがあってのこと。
整備前の様子はウェブ上にいくつか見られます。
こことかこことかを見てみると、今とは違ってだいぶ鬱蒼としていたようす。
自然の保護とは難しいもので、人がまったく手をかけないままでは荒れていってしまいます。
自然をより良い形で残していけるよう、適度に人が手を入れていく。
そういった視点が必要なんだということを教えられました。
後編につづく。