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一生懸命善行に励まんと努めていた女性に、彼女の望むことの一つだけが叶えられることになった。彼女は死ぬ前に、地獄と天国の両方を訪ねてみたい、という願いがあった。彼女の希望は認められた。
女性は大きな宴会場に連れて行かれた。テーブルには、おいしい食べ物と飲み物がうず高く重なっていた。テーブルの周りには、空腹で飢えているみじめな人々が座っていた。
「なぜ彼らはこんななのですか?」彼女は同行していた天使に尋ねた。
天使は答えた。「彼らの腕をごらんなさい。」
彼女は、人々の腕に取り付けられているのが、肘の上に固定された長い箸であるのを見た。その長い箸のために彼らは肘を曲げることができず、人々は食べ物をその箸で取ろうとするが、毎回逃してしまい、よって空腹、不満、悲惨に陥って座っていたのだった。
「確かにこれは地獄です!ここから私を連れ出してください! 」
彼女は一瞬にして、天へ吹き飛ばされた。そこでまた、テーブルが食物で高く積まれた大きな宴会場にいた。テーブルの周りには、満足げに喜んでいる人々が座っていた。
「地獄で見たようなお箸はないようですね?」と彼女は言った。
「いいえ、ありますよ、ごらんなさい、地獄のように、彼らは長いお箸が肘の上に付いているでしょう? ただ、ここでは、人々はお互いを食べさせることを学んだので、皆相互に食べられて幸せなんですよ。」
著者不明