ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

寝ずの番

2020-09-06 | アメリカ事情

littlethings.com

 

 

ロイ・ポプキンと言うジャーナリストは今から4年前に95歳でメリーランド州で亡くなった。在郷軍人に関する文献を編纂し、アメリカ赤十字社での献身的な働きでも有名であったが、1964年に執筆、1965年9月号のリーダース・ダイジェスト誌に掲載された短い小説は、多くの人々の心を打った。題して、Night Watch,「寝ずの番」である。

 

 

看護師が疲れて不安気な軍人を患者の枕元に連れて行った。 「あなたの息子さんはここにいらしていますよ」と彼女は病床の老人に言った。患者の目が開くまで、看護師は同じ言葉を数回繰り返さなければならなかった。患者は心臓発作の痛みのためにひどく鎮静され、酸素テントの外に立っている海兵隊の制服を着た若者をぼんやりと見た。老人は手を差し伸べた。海兵隊員はその強靭な指を老人の弱々しい指に巻き付け、愛と励ましのメッセージを込めて握り締めた。海兵隊員がベッドの横に座れるように、看護師は椅子を持ってきた。

病院の夜は長いが、若い海兵隊員は夜通し薄暗くしてある照明の病棟でベッドサイドに座って老人の手を握り、希望と力の言葉を告げていた。看護師は病棟に来るたびに、海兵隊員にベッドから離れてしばらく休むように提案した。彼は拒否した。

看護師が病棟に来ると、海兵隊員はそこにいて、彼女の呼びかけや、病院の夜の騒音、酸素タンクの音、夜勤スタッフの挨拶、他の患者の叫び声とうめき声が聞こえないかのようだった。時々看護師は彼がいくつかの穏やかな言葉を言うのを聞いた。瀕死の老患者は何も言わずに、夜じゅう息子の手をしっかりと握っていた。

夜明け近くに、患者は息を引きとった。海兵隊員はベッドに彼が握っていた今は命のない手をベッドに置き、看護師に伝えに行った。彼女がしなければならないことをしている間、彼はじっと待った。とうとう彼女は戻ってきた。看護師は同情の言葉を口に出し始めたが、海兵隊員は彼女の言葉を遮った。 

「あの患者はどなただったのでしょうか?」彼は尋ねた。

看護師は驚いた。 「あなたの父親でしたでしょう」と彼女は答えた。

 「いいえ、違うのです」と海兵隊員は答えた。 「これまでに彼に会ったことはありません。」 「それでは、私があなたを彼の許へお連れした時、何故あなたは何もおっしゃらなかったのでしょうか?」 

「私は間違いであることをすぐに気づいたのですが、彼が息子を必要としていることにも気づいたのです。そして彼の息子はちょうどそこに居合わせていなかったのです。彼が病気で私が彼の息子であるかどうかが分からないことに気づいたとき、私は彼がどれほど私を必要としているかに気づいたのです。私はそこに留まったのです。」

 

下の短いヴィデオは、この話を基に作られて、8分42秒の長さがある。和訳はついていないが、上記の話通りである。

 

 

 

 

 

 


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