町長選と町議選が告示になりましたね。
知床開拓の取材に始まって病院勤務も・・・と、月の3分の1を斜里町で過ごしていますが、「おもしれー、おもしれー」と膝を叩いてしまうことばかりです。正直、いわゆる知床(観光地として脚光を浴びている風景!野生動物!~な知床)はそんなに好きで通っているわけではないのですが、斜里という街は面白い。
何が面白いかというと、一つはこの、住んでいる人々の距離感です。斜里を「舞台」に、まあ腹に一物も二物もありそうな人たちがごろごろしている。斜里町というのは北海道の隅っこでだだっ広いのかもしれないけれども、人口も土地も、地域としての大きさが実に程よいのです。誰かの名前を口にした時に、「ああ、○○さんちのおじさんね」と、すぐに顔が思い浮かぶ距離感に、皆がいる。それは、互いにツーツーに知られてしまう田舎の心地悪さかもしれないけれど、お互いの顔が、本当に一人一人の人間の顔として見えるという、実に心地良い距離感でもあるのです。
ふだん病院には不特定多数の患者さんが次々に来て、お互い医者と患者という肩書きだけでしか顔を合わせることができないけれど、ここでは、病院という枠を越えて、患者ではない普段の生身の個人を思い浮かべることができるのです。そして、町長であろうが議員であろうが、大会社の社長であろうが、「あー、あの人とは同級生でさ」「サークルが一緒だった」「同じ農協に勤めてたから」といった調子で、肩書きや職業の前に、"近所人"であるその人をみんなが知っている。みんなお互いに手が届いて、お互いに顔を合わせて喋ることのできる距離に、斜里の人々はいるのです。
そんな中での町議選。
今回面白かったのは、町立病院の事務長のいきなりの辞職ですね。
最近の厚生省の医療改革や、地方病院の医師不足、民営化の問題などがどんどん押し寄せてくる状況の中で、ついにキレた事務長、いきなり、
「黙ってられねー、オレが町議になる!」と、病院を辞めて町議選に立ってしまった(@▽@)
わー、いいぞー事務長、やれやれー!!
いや、面白がってないで、マジに凄いと思いました。医療の状況が悪いなら悩む、のではなく、悪いなら自分が政治に出て変えよう、と本当に出ちゃうんですから! こういう人たちが病院を動かしている斜里の病院はすごいなあ(いいなあ)。そして、「できなきゃオレがやる」と、出ていくことができる・・その可能性が現実感を持ってみんなに開けている・・・この「距離感」が、やっぱり斜里町なのでした。
だからなのか、斜里はオジサンたちが元気ですね。自分でどんどん何かやってしまうオジサンがごろごろしている。
誰かがやってくれる、のではなくて、自分がやる、というのは、斜里という街の開拓者精神なのかもしれません。