(ストーリー)
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた
英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。
山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、
陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。
その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われたように出没する殺人鬼!
(感想等)
何気に大学生アリスシリーズを読むのは初めて。
作家アリスが登場する火村シリーズは何冊が読んでいる。
内容は、いわゆるクローズドサークルで起きる殺人事件。
大まかな流れは上記の(ストーリー)部分と同じなので省略。
第一の殺人で、被害者が残した”Y”と言うダイイングメッセージ。
第二の殺人で、被害者の肩に残った右手の血の手形。
再び残された”y”のダイイングメッセージ。そして、燃え尽きたマッチ棒とマッチ箱。
確かに、それらしい伏線は至る所に張り巡らされている。
ただし、殺人への動機がいまいち腑に落ちないところがあった。
以下、ネタバレを含みます。
※
まず、第一の殺人時の”Y”のダイイングメッセージ。
なんのことはない、”と”と書く途中に被害者が息絶えただけのこと。
次に、第二の殺人時(実際には第三の殺人)の”y”のダイイングメッセージ。
これは、犯人の偽装工作にすぎない。
次に被害者の肩に残った右手の血の手形と、マッチに関して。
最初、犯人は血のついた右手を洗うために、小川までマッチで暗闇照らして行ったものだと思われていた。
しかし、マッチには血で汚れた形跡はなかった。真相は、マッチは手を洗ったあとにすられたものだった。
小川に下るときは、血の付いていない左手の懐中電灯で照らしたというわけ。
で、都合のいいことに手を洗っているときにこの懐中電灯は落として壊れる。
だから、マッチが血で汚れた形跡はなかったということらしい。
で、問題なのが殺人の動機。
簡単に言ってしまうと、
夜中にいちゃついてるところを、酒に酔った仲間にからかわれた。
女の方はそれでかなり心を痛めて、夜明け前に一人で山を降りる。
そのあと、噴火が起こり女の生存は絶望的になる。女を失った男はどうせ死ぬなら、
自分たちをからかい、間接的にではあるが女を失うきっかけを作ったやつらを殺してやろう。
と、こんな感じ。こんな動機、わかるかいっ(ノ゜Д゜)ノ~┻┻
※
で、結論からいうと、”読者への挑戦”にはあっさり敗北。
えぇ、アフォですから私。
あとは、初期の作品だけあって、
人物描写が書ききれてないというところは、若干ひっかかった。
15人ぐらい登場人物が出てくるんだけど、誰が誰やらいまいち掴みづらかった。
でも、全体的に見て緊迫感もあっていい感じだったかな。

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