噂には聞いていたけど、かなりの笑撃でした。
何かと言うと映画です。どんな映画と言うとあれですよ。
『シベリア超特急』
そう、「映画って本当にすばらしいものですね」でお馴染みの水野晴朗が
無謀にも監督・製作・脚本・原作・出演の5つをこなしていると言う
邦画史上類を見ない最強の超B級映画のあの『シベ超』です。
なにが衝撃かと言うと、映画の面白さにまず衝撃。
とにかく面白いくらいにつまらない。突っ込みどころ満載。
軽く突っ込みを入れると、まずストーリー展開が強引かつ大雑把で
どうしようもないほどくだらない。
簡単に要約すると、シベリア超特急と言う閉鎖された空間で殺人事件が起きて、
それを水野晴朗(もうあえて晴ちゃんと呼ぶことにする)扮する
山下大将が解決すると言う、ありがちなパターン。と言うか、
クリスティの『オリエント急行殺人事件』のオマージュ、言い方を変えれば単なるパクリ。
「この映画は終りのクレジットが出たあとある事が二度起りますので、決してお友達に話さないで下さい」
とか出たんでちょっとだけ期待。ちょっとだけね。確かに期待には答えてくれた。違う意味で。
で、まず最初に意味不明な断片的な映像が2つ3つ流れる。
恐らく様々な伏線を張っているつもりなのだろうが、最後まで見ると分かるのだが
伏線に成り切れていない。ってか、時間の無駄。
その後、シベリア超特急が駅に停車していて、関係者が乗り込むところから始まるのだが
車掌が初対面のはずなのに、各関係者の顔と名前を知っているという意味不明さ。
しかも、後ほどのストーリー展開で車掌が「いちいち乗客の顔なんて覚えてない」とか言い出す矛盾さ。
で、恐らくここで各関係者の名前や、それぞれが乗車する部屋番号を
把握させようとしているのだろうが、グダグダなので何がなんだか意味不明。
全員が乗車したところで列車が走り出すが、ハリボテみたいなセットなので、走ってる感が皆無。
以降、終始このハリボテセット内でストーリーが展開する。
そして、待ってました晴ちゃんの登場です。第一声。
「ボルシチも、けっこう、うまかったぞ」
すごいとしか言いようのないほどの棒読みですよ。
そりゃ監督は晴ちゃん、あなたですから文句も言えないですよ。
でも、もう少し棒読み感はなくしましょうよ。
ええ、お察しの通り、晴ちゃんはこの後も全部棒読み感爆発です。
そしてこの後に次々と殺人が起きるのですが、なんと言うかこの殺人も意味不明。
なんとなくみんな無駄死、犬死状態。
”駄目な映画を盛り上げるために~簡単に命が捨てられていく~♪”
と、ミスチルの曲が頭をよぎりますが、盛り上がりの欠片もない救いようのなさ。
で、たいした手がかりもないのに、いきなり推理して犯人を言い当てる。
さすがは晴ちゃん、自分で脚本書いたからねぇ。
しかも、クライマックスでは犯人の殺人の動機をすべて戦争のせいにしてうやむやにする始末。
戦争は良くないと高らかに訴える映画に様変わり。いや、それが言いたいのは分かるよ、晴ちゃん。
でもね、そこまで露骨にすることないと思うよ。そして意味不なまま大団円で終了。
さあ、待ちに待ったある事の一発目です。以下ネタバレを含むので・・・
いや、これはネタバレしてても別の意味で楽しめる映画だからいいか。
クレジット終了後に、ハリボテセットから出てくる各関係者達。
もちろんその中には映画中で死んだ人も含まれている。
まさかねぇ、と一瞬よぎる嫌な予感。当りました。
よくよく考えれば、ナイフで背中を刺されてすぐに絶命していたと言う不自然さも頷ける。
銃で撃たれて死んだはずなのに、銃創は愚か出血もなかったのも頷ける。
恐らく、今までのはただの作り物だったんだよと言いたかったのだろうが、
全てにおいてグダグダなので逆効果でしかあり得ない。そして、この段階でまた殺人が起きる。
で、また晴ちゃんが犯人を言い当てるのだが、恐ろしいほどの強引さで爆笑。
それで犯人を特定するのは至難の業ですと言いたい。さすが晴ちゃん、自分で脚本書いたからねぇ。
さらに追い討ちをかけるように、ある事の二発目。
先ほど死んだはずの人が復活してます。
まさかねぇ、と一瞬よぎる嫌な予感。そしてデジャブ。
同じことを2回もやってますよ。救いようがありません。
ってか、無理矢理どんでん返しを突っ込んだって感じ。
とにもかくにも最初から最後までグダグダな映画でした。
この調子で2、3を別の意味で期待して見たいと思います。
まだ見てない人は見てみるといいですよ。お勧めです。別の意味で。

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