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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

立憲民主党代表選に向けた枝野幸男氏と野田佳彦氏の選挙公約を徹底比較する。野田氏の公約は羊頭狗肉。「第2自民党」日本維新の会と連携する気満々の野田氏では、日本の政治も経済も建て直せないことは明らかだ。

2024年09月06日 | 立憲民主党は維新と国民民主と手を切れ

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 泉健太現代表がやっと今月下旬の立憲民主党代表選挙に出馬するための20人の推薦人確保にめどがついて、昨日目に涙をためてたらしいのですが(笑)、そんな体たらくでは本日2024年9月6日に出馬表明しても実際に当選する可能性は皆無でしょう。

 また、選挙公約を発表するのは後日になるでしょうから、とりあえず当選可能性のある枝野幸男前代表と野田佳彦元首相の公約・政策集を比較したいと思います。

 最初に申し上げておきたいのは、二人が野党第一党たる立憲民主党をどういう政党にしたいか、そしてどんな方向で政権交代を狙うかが焦点だということです。

 それには実は二人の公約には載っていないことが大事で、それは第2「野党」であり「第2自民党」である日本維新の会との距離感です。

 枝野氏は「悪党」維新と連携することは原則なく、野田氏は連携する気満々。

 この1点だけで、野田氏には立民代表になる資格はなく、枝野一択なのを先に申し上げておきます。

野田元首相、立候補ヘ調整 維新と連携、自公けん制 - サンスポ

かつて民主党政権を壊した野田佳彦元首相が日本維新の会の勉強会で講師。「特に維新の皆さんとも協力して改革を進めていこうという呼び掛けなどをさせていただきました」。今こそ維新へ行き、そのまま帰ってくるな。

 

 

さて、野田氏が9月5日に発表した政策集を一読して失笑したのは、『2. 「分厚い中間層の復活」、豊かな暮らしに向けた政策総動員』の減税の部分。

『消費税の半額相当を所得税の額から控除し、控除しきれない分は給付することにより消費税の逆進性を緩和する「消費税還付法案」に基づき、「給付付き税額控除」の本格的な導⼊を図る。』

となっていて、先に枝野氏が発表した「枝野vision2024」

「消費税5%分の戻し減税策として、無収入層から中間層までの幅広い国民を対象に、給付と控除を組み合わせた還付制度(給付付き税額控除)を創設する。」

の丸パクリだったことです(笑)。

 私も枝野氏のこの公約は、単純に消費税を5%下げるよりも消費税の逆進性を正す効果が高いので感心したのですが、元首相の野田氏も感心したらしくそのままいただくことにしたようですwww

 まあ、リベラル左派の方々など有権者に対するインパクトとしては「消費税5%削減」と銘打った方がわかりやすいでしょうから、ここは二人とも叩かれるんでしょうね。

【#枝野立つ】立憲民主党代表選に枝野幸男氏が正式に出馬表明。「ヒューマンエコノミクス 人間中心の経済」。消費税5%分の実質的な減税策として無収入層から中間層までを対象にした「給付付き税額控除」を創設!

 

 

 さて、野田氏の公約が枝野氏よりも優れていたのはただ1点、今回まさに問題になっている自民党の政治とカネの問題をどう正すかについてです。

 枝野氏は

『政治資金に関する透明性を徹底し国民による監視機能を強化するため、まずは少なくとも、国会議員関係政治団体における企業・団体献金と政治資金パーティーに関して、一円単位での公開を実現する。』

『さらに、政治資金収支報告に関る罰則の強化を含めた適正の確保と公開性の拡大、「政策活動費」や調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明化、政治資金に関する第三者機関の設置、さらには企業・団体による資金提供の禁止を視野に、他の政党や国民世論に向けた働きかけを粘り強く進める。』

と、「企業・団体による資金提供の禁止を視野に」情報公開を徹底する、つまり透明性の確保しか言いませんでした。

 ところが、野田氏は

『⽴憲⺠主党案に盛り込んだ「連座制の強化」「企業団体献⾦の禁⽌」「政策活動費の禁⽌」の実現、国会議員関係政治団体からその他政治団体への資⾦移動の透明化、政治資⾦「収⼊」への監査義務化等。』

『企業・団体によるパーティー券購⼊の禁⽌(まずは、徹底的なガラス張り化)、旧⽂通費の使途公開と残⾦返納。』

 と、企業団体献金の禁止、連座制、企業・団体によるパーティー券購⼊の禁⽌と明言しましたから、これは野田氏の圧勝でしょう。

 この政治とカネの分野は自民党の支持率低下を招いて立民にチャンスが回ってきた理由なのに、枝野氏は踏み込みが浅すぎます。

 早急に修正すべきでしょう。

【#枝野立つ】立憲民主党の創立者枝野幸男氏が9月の代表選挙に再び挑むことを正式に表明。共に維新にすり寄る立民衰退の犯人=泉健太氏や民主党崩壊の犯人=野田佳彦元首相に比べれば2万%素晴らしい候補者だ。

 

 

 

 野田氏が自民党よりマシなのは、あとは選択的夫婦別姓と同性婚の部分で、これは枝野氏と同じように

『選択的夫婦別姓制度を速やかに実現する。』

『真に性的少数者の権利が保護される内容の「LGBT 差別解消法」、同性婚や同性カップルの養⼦縁組を可能とする「婚姻平等法」を制定する。』

 となっています。

 確かに、野田氏は統一教会や日本会議的な価値観の伝統的な右翼ではないようです。

統一教会広告塔の安倍晋三氏は大好きだけど。

このために安倍国葬に参列した野田佳彦元首相が、国会での安倍晋三元首相への追悼演説受諾。自爆解散で安倍政権を産んだ野田元首相はTPP、安保法制、消費税増税、マイナンバー法、原発推進の生みの親だ。

 

 

 しかし、外交・安全保障の分野については野田氏は自民党と全く変わりません。

 枝野氏の公約には

「沖縄県民の民意を踏まえ、辺野古新基地建設を含めた沖縄における基地のあり方や日米地位協定を見直すため、米国との交渉を開始する。」

「核兵器禁止条約締結国会合へのオブザーバー参加を目指す。」

という2項目がありますが、野田氏の政策集にはそもそも辺野古とか核禁条約という言葉さえ出てきません(呆)。

 そして、野田氏の政策の表題が「5. ⽇⽶同盟を基軸とした外交・安全保障政策の展開」となっているように

『⽇⽶同盟を基軸とするこれまでの外交・安全保障政策(経済安全保障を含む)の基本を踏襲しつつ、基本的な価値を共有する国々との連携を強化し、平和創造外交の展開によって地球規模の課題解決に貢献する。近隣諸国との困難な課題についても、毅然とした対応を旨としていく。外国で抑圧されている⼈々の救済に向けた⼈権外交も⼒強く展開する。
『⽇本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、平和国家として専守防衛に徹し、我が国固有の領⼟・領海・領空は断固として守り抜く。国境の離島管理を適正に⾏うとともに、「領域警備・海上保安体制強化法案」を成⽴させ、尖閣等の警備にも万全を期していく。外国資本による⼤量の遊休地等の買い占めといった事態が⽣じないよう、国内の⼟地管理も強化していく。』

と、これでは今は亡き安倍晋三氏や岸田首相が今回の自民党総裁選に出たらこんな公約だろうというような、全く自民党と変わらない内容です。

 ただ、この分野については枝野氏に対しても私は大いに文句があり、枝野氏も野田氏も、安倍政権の安保法制や岸田政権が打ち出した軍事費2倍増の大軍拡と先制攻撃能力具備を止めるとか見直すとか、一言もないんですよ。

 二人とも改憲に関してうんともすんとも言わないこととともに、これには呆れました。

 

 

 さて前半で私は、野田氏の政策集が枝野氏の公約よりも、政治とカネの問題では優れていると言いました。

 ところがその部分について、野田氏は政策集の第一に

『1. 政治改⾰: 「責任ある政権政党」として、徹底的な政治改⾰を主導し、⾃⺠党のウミを出し切る』

を持ってきて、その中で

『⾃⺠党主導の不⼗分な内容の政治資⾦規正法改正をもって、「政治とカネ」の不祥事を「幕引き」にするようなことは決してあってはならない。より本格的な政治改⾰の「発⽕点」となるよう、我が党が更なる具体策を先導し、⾃⺠党には出来ない⼤胆な政治改⾰のうねりを起こす。』

と言っています。

 ところが、野田氏が言う「自民党主導の不十分な内容の政治資金規正法改正」は、実は日本維新の会の修正案を自民党が丸呑みした内容だということを野田氏は完全に隠蔽しています。

 その維新案は野田氏が自らの政策集で廃止すると言った政策活動費を温存し、しかもその公開は10年後で良く、その時公開する領収書は黒塗りでいいというもので、これが通常国会で成立したばかりなわけです。

自民、会期中の旧文通費改革見送りへ 維新反発、規正法改正案に反対 - 産経ニュース

政治資金規正法改正で孤立する自民、修正協議へ 特別委で審議入り - 日本経済新聞

【#滅べ自民党】政策活動費の項目だけ公開・政治資金パーティは10万円以上の氏名公開だけの自民党案は最悪だが、連座制がなく10年後に政策活動費の使途を公開すればいいだけの維新案はさすが第2自民党だ。

自民党が維新・公明案を丸呑みした政治資金規正法案を「評価しない」が70%!(6月JNN世論調査)。ブラックボックスの政策活動費を10年後に公開するだけの案を出して岸田政権延命を図る日本維新の会滅ぶべし

 

 

 野田氏の政権構想は、そんな第2自民党の維新の会と積極的に連携して政権交代を果たそうというのですから、実際には野田氏の言う「責任ある政権政党」立憲民主党が実はまるで無責任で、どの分野でも改革実行力ゼロになるのは火を見るより明らかなんです。

 だいたい、維新と組んだら立民への支持はダダ下がりに下がって政権交代なんてできるわけがありませんし、逆に万万が一政権交代に成功しても裏切り体質で不祥事のデパートである維新のせいですぐに政権が瓦解して、二度と自公以外の政権への期待なんて高まらなくなることは必至です。

 ですから、野田氏が2012年に民主党と支持者を裏切って自爆テロ解散をして、民主党政権を崩壊させて安倍政権の生みの親となった「トロイの木馬」体質が全く変わっていないことは、この羊頭狗肉の政策集から十分見て取れるのです。

 野田氏が代表になったら自民党永久政権に手を貸すかのように立憲民主党は変質させられ破壊され、良心的な市民の期待がまたも裏切られることは確実です。

【#立憲民主党代表選2024】「政界の壊し屋」小沢一郎氏のグループが「自爆テロ解散」の野田佳彦元首相を支援することを決定。旧民主党政権と同じように立憲民主党まで野田氏と小沢氏に壊されていいのか。

 

その最大のチャンスを潰す気満々。

民主党政権を自爆テロ解散で崩壊させた安倍政権の生みの親、野田佳彦元首相が立憲民主党代表選挙に出馬表明。小泉進次郎が自民党新総裁に選出されるのが「一番怖い」と負ける気満々の敗北主義者にまた立民が壊される

 

 

参考記事 kojitakenの日記さんより

手塚仁雄(野田G)、重徳和彦(直諌の会)、泉健太は「同じ穴の狢」の権威主義者だ

金融所得課税、ひいては税制全体のビジョンについて自民党総裁選と立憲民主党代表選の全候補者から聞きたい

 

村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより

枝野幸男 @edanoyukio0531 は自分が立ち上げた立憲民主党 @CDP2017 の結党時の精神に立ち戻らないと。

 

 

日本維新の会と連携をはかる野田佳彦元首相や泉健太代表との立憲民主党代表選に再び勝って、枝野幸男氏は立民・共産・れいわ・社民のまともな野党4党の共闘を再構築し、自公政権を打倒して政権交代を果たすべきだ
 

それにしても、枝野氏の今回の公約は、枝野氏自身が立憲民主党を創設したばかりだった2019年の参院選での上の表の立民の公約よりかなり後退しています。

あの選挙で立憲民主党は、例えば

1 憲法9条の改悪に反対し

2 安保法制廃止

3 辺野古の新基地建設反対

4 原発再稼働反対・原発ゼロ法成立

と言い切っていました。

ところが今回の枝野氏の公約では

1 改憲については触れず

2 「専守防衛の基本に立ち返り日米で連携」

3 「辺野古新基地建設を含めた沖縄における基地のあり方や日米地位協定を見直すため、米国との交渉を開始する」

4 「原子力エネルギーに依存しない社会を目指す」

です。

枝野氏が野田氏よりもずっといい候補なのは認めるとしても、「5年前の枝野氏」よりはかなり劣化していると私には見えます。

それは「ビフォー枝野」が共産・れいわ・社民と野党共闘を模索する中で各党から突き上げられていたのに対して、「アフター枝野」は2021年の衆院選での議席後退を理由に野党共闘は基本的にする気がないことが原因です。

そういう意味で、当ブログとしては、唯一の女性候補となる吉田晴美さんの立民代表選への立候補実現に大いに期待したいです。

まさに東京8区の野党共闘で当選して石原伸晃氏に比例復活も許さなかった吉田さんが立候補したら(喰われるのは枝野氏の票でしょうが)、当選しなくても立民への希望は膨らみます。

【#吉田立つ】立憲民主党の衆院東京8区の吉田晴美議員が1回生にもかかわらず勇気をもって代表選へ名乗りを上げる。どうせ勝ち目のない泉健太代表は推薦人を吉田議員に譲れ(笑)【#立憲民主党は維新と組むな】

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野田佳彦氏政策集

政権交代前夜〜さあ共に、この国を背負って⽴とう〜


◎ 政権政党として、⺠主主義の危機に⽴ち向かう


・ 最後の政権交代から⼗余年。内閣総理⼤⾂経験者として、歴代の政権の
所作に対する違和感は、時々に指摘してきた。ここに⾄り、⾃⺠⼀強で
培われた「与党の傲り」は、遂に限界を越えたと断じざるを得ない。
・ ⺠主主義は《六つの危機》に直⾯している。
① 臨界点を突破した政治不信
② 失われたままの「分厚い中間層」
③ 意⾒を違える他者への寛容さの喪失
④ ⼈⼝減少で存⽴の限界が近づく地域コミュニティ
⑤ 分断が加速するばかりの国際社会
⑥ 忖度がはびこる不健全な政官関係

・ 政治に信なくば、政策は能わず。まずは、政治への信頼回復が最優先の
国家課題。裏⾦がまかり通り、世襲政治家が跳梁跋扈する「古い政治」
と完全に決別し、徹底した政治改⾰でウミを出し切る。⽴憲⺠主党こそ
が「責任ある政権政党」として、改⾰の先頭に⽴つ時が来た。
・ 「分厚い中間層の復活」という先進各国共通で直⾯する困難な課題を筆
頭に、多様性を認め合う共⽣社会づくり、⼈⼝減少下での地域コミュニ
ティの維持・活性化、地に⾜の着いた確かな外交・安全保障政策といっ
た各論での政策を展開し、政官関係の歪みを正しつつ、責任ある変⾰を
主導していく。


◎ 《六つの変⾰》の実⾏


1. 政治改⾰: 「責任ある政権政党」として、徹底的な政治改⾰を主導
し、⾃⺠党のウミを出し切る
・ ⾃⺠党主導の不⼗分な内容の政治資⾦規正法改正をもって、「政治とカネ」
の不祥事を「幕引き」にするようなことは決してあってはならない。よ
り本格的な政治改⾰の「発⽕点」となるよう、我が党が更なる具体策を
先導し、⾃⺠党には出来ない⼤胆な政治改⾰のうねりを起こす。
・ 失墜した政治への信頼を取り戻すため、以下の諸点を次期衆院選に向け
た党の公約として掲げ、他党とも連携し、国⺠世論の後押しを⼒として、
実現を⽬指す。


① ⾦権腐敗政治を終わらせる政治資⾦規正法の再改正:
⽴憲⺠主党案に盛り込んだ「連座制の強化」「企業団体献⾦の禁⽌」
「政策活動費の禁⽌」の実現、国会議員関係政治団体からその他政
治団体への資⾦移動の透明化、政治資⾦「収⼊」への監査義務化等。
② 政治資⾦の更なる規律強化:
企業・団体によるパーティー券購⼊の禁⽌(まずは、徹底的なガ
ラス張り化)、旧⽂通費の使途公開と残⾦返納。
③ 政治家のなり⼿を多様化する、3つの被選挙権改⾰
・国会議員の世襲制限:政治団体(政治資⾦)の世襲禁⽌など。
・18 歳から⽴候補できる制度に:被選挙権年齢を現⾏より引き下げ
(衆議院18 歳、参議院23 歳に)。
・クオータ制の導⼊:パリテ(男⼥半々の議会)の実現を⽬指す
④ 議員定数の更なる削減
⑤ 「インターネット投票」の導⼊:
投票の意思がある⼈々の⺠意をより多くすくい上げる環境を整備

 

2. 「分厚い中間層の復活」、豊かな暮らしに向けた政策総動員
・ かつて⽇本では分厚い中間所得層の存在こそが、安定した成⻑と活⼒の
源泉であった。格差の拡⼤により傷んだ「中間層」の復活を期すことは、
いまや先進各国共通のアジェンダである。格差を是正して消費を活性化
し、その⽀えとなる「強い経済」を取り戻す。また、中間層からこぼれ
落ちないようセーフティネットを張り直して持続可能で安⼼できる社会
保障制度を確⽴し、誰もが必要な時に医療や介護、障がい福祉、⼦育て
⽀援など「ベーシックサービス」を受けられる社会を⽬指していく。
(1) 「全世代型社会保障」の更なる充実による、将来不安の払拭
・ 財源無視の「思いつき」を羅列しても、将来への真の安⼼はもたらされ
ない。将来世代へと負担を徒に先送りするだけの「将来世代の搾取」で
はなく、真に将来世代のために活かされる「将来世代への投資」を進め
る。
・ 消費税の半額相当を所得税の額から控除し、控除しきれない分は給付す
ることにより消費税の逆進性を緩和する「消費税還付法案」に基づき、
「給付付き税額控除」の本格的な導⼊を図る。
・ 「社会保障と税の⼀体改⾰」によって始まった「全世代型社会保障」を
基軸にして、若者世代にも安⼼と希望を与える社会保障制度のあり⽅を
具体化し、保育・看護・介護等に従事する⽅々の待遇改善など、個別施
策を順次実⾏していく。
・ 結婚や⼦どもを持ちたい⼈の希望をかなえる社会であるために、岸⽥政
権下の「こども未来戦略・加速化プラン」の妥当性を再検証し、改めて
総合的な対案を具体化する(「もっともっと良い⼦ども・⼦育てビジョ
ン」)。給⾷費無償化により⾃治体間格差を解消する。就労調整を余儀な
くさせる103 万円ないし130 万円の「年収の壁」を意識せず、将来にわ
たって⾃由かつ継続的な就労を可能とするよう、短期的な弥縫策でなく、
抜本的な対策を講じる。
(2) 教育の無償化と将来を⾒据えた教育環境の整備
・ 親の経済⼒にかかわらず、意欲と能⼒のある⼦どもたちが学べるよう、
給付型奨学⾦を⼤幅に拡充するとともに、教育の無償化を進める。併せ
て、地域で不⾜する公的な職種(医療・介護職員、教員、農林漁業従事
者等)への就業インセンティブ措置として、奨学⾦の減免措置を検討す
る。
・ ⼩中学校の教員の待遇改善を図りつつ、将来的には⼩中⾼の30⼈以下学
級を⽬指す。また、AI の発達やデジタル経済の急速な進展が進む中で、
すべての⼦どもが変化に適応しつつ、⼈間にしかない能⼒や個性を発揮
できるような環境を整備する。職業⼈へのリスキリング投資も促し、変
化に合った⼈材⼒強化を図る。
(3) 公正で安⼼感ある経済財政・⾦融政策の展開
・ 適切なマクロ経済運営の下で、中⼩企業や中堅企業を含めて持続的な賃
上げを継続する環境を整備する。
・ 財政の状況について現実的な推計や提⾔を⾏うため、政府から独⽴した
機関を設置する。
・ ⾦融政策については、⽇本銀⾏の独⽴性を尊重しつつ、物価や賃⾦等の
実体経済の状況と⾦融政策の関係性等について、⽇本銀⾏との新たな
「アコード」(共同声明)に反映させる。
(4) 「強い経済」を作るための将来投資の加速
・ かつての野⽥政権で道筋を付けた「グリーンエネルギー⾰命」「ライフイ
ノベーション推進」「農林漁業・中⼩企業を伸ばす政策」などを更に深化
させ、基礎研究などへの研究開発投資を⾏い、良質な雇⽤を⽣み出し、
リスキリングを含む⼈への投資を促すことで、働くことを軸とする安⼼
社会をつくっていく。
・ コロナ禍後の世界は、新興国を含めて、デジタル経済化(デジタル・ト
ランスフォーメーション)とグリーン経済への転換(グリーン・トラン
スフォーメーション)に向けた壮絶な国際競争を展開。半導体や⽣成AI
など先端産業の国内⽴地を促し、企業のデジタル化・グリーン化を⼤胆
に⽀援する。⽇本が世界に誇る⽂化芸術やコンテンツ産業を強化する。
・ エネルギー政策について、⾜元での安定供給の確保を⼤前提に、中⻑期
的には再⽣可能エネルギーを可能な限り⼤量に導⼊し、原発に依存しな
い社会を実現する。政府のエネルギー基本計画改定の検討状況や、需要
⾒通しなど専⾨家による検証も踏まえて、省エネルギーの推進、再⽣可
能エネルギーへの転換、⽔素社会の実現等を着実に進めていく。
・ 国際的な脱炭素化の動きに対応し、ルール・メイキングで優位に⽴つと
ともに、⾃動⾞・鉄鋼・化学をはじめとする国内産業・雇⽤への影響を
考慮し、公正な移⾏を実現する。
・ エネルギー・物価⾼騰に最も影響を受ける低所得世帯への⽀援策を充実
させつつ、社会全体の脱炭素化を推進し、輸⼊燃料になるべく依存しな
い、強靱な需給構造を作ることを主眼にした本質的な政策を講じていく。
・ いわゆるトリガー税制については、その発動には様々な課題があること
も踏まえつつ、将来の揮発油税の暫定税率の廃⽌を含め、地球温暖化対
策との関係や関連する税制のあり⽅全体を視野に⼊れた議論を進める。
(5) 中⼩企業を含めた持続的な賃上げ環境の整備
・ 持続的な賃上げに向けた環境整備のため、中⼩企業・中堅企業の思い切
った新分野への投資、デジタル化や省⼒化投資のための⽀援、価格転嫁
のための取引の適正化などを徹底的に進める。そうした施策と併せて、
最低賃⾦時給1500円(全国平均)を⽬指した段階的な引上げを着実に実
現する。
・ ⼈⼿不⾜対策や働き⽅改⾰を進めるとともに、経営者が安⼼して賃上げ
に踏み切ることができるよう、社会保険料について必要な改⾰を進める。
・ ⾮正規公務員の待遇改善をはじめ、あらゆる職種において「同⼀価値労
働・同⼀賃⾦」を実現し、働く者・⽣活者の⽴場に⽴って雇⽤の正規化
や労働条件向上に取り組む。


3. 多様性を認め合う共⽣社会づくり
・ 他者に対して寛容で多様な意⾒や価値観を包摂する社会、あらゆる差別
が解消され、誰⼀⼈取り残されない社会を⽬指す党の取組を着実に進め
る。
・ ジェンダー平等を実現するため、⻑時間労働の是正や結婚・出産・育児
環境の整備、ハラスメント禁⽌を強化する。
・ 障がい者や社会的孤⽴・孤独、ひきこもりや不登校の⽅々など、すべて
の⼈に「居場所と出番」をつくり、⽣活・就労・家族⽀援などを⾏う。
・ 選択的夫婦別姓制度を速やかに実現する。
・ 真に性的少数者の権利が保護される内容の「LGBT 差別解消法」、同性
婚や同性カップルの養⼦縁組を可能とする「婚姻平等法」を制定する。
・ ⼊国管理制度・難⺠認定制度を外国⼈の⼈権に配慮した仕組みへと抜本
的に⾒直して透明化を図り、多⽂化共⽣の取組を進める。
・ あらゆる⽣きとし⽣けるものの「いのち」を尊重し、⽝猫の殺処分をな
くすなど動物愛護への理解の深い社会を⽬指す。


4. 官⺠連携での地域コミュニティの再⽣・「インパクト国家」の実現
・ ⼈⼝減少が急激に進み、将来展望が描けない地⽅に関して、地⽅⾃治を
強化しつつ、政府としても、都市部、とりわけ東京と地⽅の格差に起因
する諸課題に国家的かつ国⼟全体の観点から対応していく。
・ 社会課題の解決に、⺠間企業⾃⾝の活⼒を活かすことも必須となる。
「新しい公共」の考え⽅を更に深化させ、「政府=公、市場=私(株主)」
の常識の転換を図り、企業や投資家が持続可能な社会に向けた公益⽬的
の投資(「インパクト投資」)を促すための仕組みをはじめ、市場経済の
発展と社会課題の解決を両⽴する、新たな社会システムを構築する。
・ 地域医療を再構築するため、予防医療の提供を促す仕組みを構築する。
かかりつけの「⽇本版家庭医制度」を導⼊し、介護など多職種連携を促
進することにより、健康増進と⽣活習慣病予防を図るとともに、余分な
投薬を削減し、健康100年の福祉国家を実現する。
・ 地域への移住、特に地⽅の主⼒産業である農業に転職しやすい仕組みを
つくり、都市から地⽅への太い⼈の流れを⽣み出して、中⼭間地域を含
む地域コミュニティを再⽣させるとともに、農業者⼾別所得補償制度を
実施し、⾷料⾃給・地産地消・⾷の安全・⿃獣害防⽌に取り組む。観光
産業やインバウンドを⽀援する。⾷料安全保障を強化する。
・ 東⽇本⼤震災や能登半島地震など各地の被災地復興⽀援に全⼒を挙げる。
国⺠の命とくらしを守るため、地域の災害対応⼒を強化し、速やかな復
旧と安⼼安全な避難体制を構築する。建設業界との協⼒の下、耐震化や
河川改修、⼭林保全、⽼朽インフラの維持更新など事前防災を進める。


5. ⽇⽶同盟を基軸とした外交・安全保障政策の展開
・ コロナ禍を経た国際社会は、様々な価値軸で分断が進み、ロシアによる
ウクライナ侵略もあり、これまで当然としてきた国際秩序の根幹が揺ら
いでいる。
・ こうした中、プロフェッショナリズムに基づく、安定した外交・安全保
障政策を展開する。「法の⽀配」に基づく、「⾃由で開かれた国際秩序」
の維持・強化を基調に据えて、分断する世界をつなぐ国際協調の努⼒も
尽くしながら、したたかに国益を追求していく。⼒による現状変更に反
対し、紛争の平和的解決の重要性を訴えていく。
・ その上で、地域の経済的繁栄の確保や紛争の未然防⽌・理性的解決のた
め、様々な分野において国際的なルール・メーキングに果敢に取り組ん
でいく。
・ ⽇⽶同盟を基軸とするこれまでの外交・安全保障政策(経済安全保障を
含む)の基本を踏襲しつつ、基本的な価値を共有する国々との連携を強
化し、平和創造外交の展開によって地球規模の課題解決に貢献する。近
隣諸国との困難な課題についても、毅然とした対応を旨としていく。外
国で抑圧されている⼈々の救済に向けた⼈権外交も⼒強く展開する。
・ ⽇本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、平和国家として専守
防衛に徹し、我が国固有の領⼟・領海・領空は断固として守り抜く。国
境の離島管理を適正に⾏うとともに、「領域警備・海上保安体制強化法
案」を成⽴させ、尖閣等の警備にも万全を期していく。外国資本による
⼤量の遊休地等の買い占めといった事態が⽣じないよう、国内の⼟地管
理も強化していく。
・ ⾃⺠党政権下で急増した防衛予算の使途は精査し、防衛増税は⾏わない。
・ 沖縄の⺠意を尊重して、⽇⽶地位協定の⾒直しや沖縄の基地のあり⽅に
ついて、地元と対話しつつ、⽶国との協議を⾏う。
・ 安全保障分野における新領域(サイバー、宇宙、電磁波、無⼈機等)や
継戦能⼒向上、⾃衛隊員の処遇などの分野を早急に強化する。

6. 「政」と「官」の健全な関係の確⽴
・ ⾏政改⾰、⾏政刷新には、不断の取組を⾏っていく。予備費の恣意的な
使⽤や基⾦事業の濫⽤など、税⾦のムダ遣いは徹底的に削減する。
・ ⺠主主義を⽀える重要な資源である公⽂書の作成・管理の適正化をはか
るため、必要な法改正を⾏っていく。
・ こうした取組を前提にした上で、政治家にとって、責任ある変⾰の実⾏
パートナーであるべき官僚たちの専⾨的知⾒を最⼤限に活⽤する環境を
整備する。
・ 特に、政治家や官邸への過度な忖度といった事態が⽣じることのないよ
う、内閣⼈事局のあり⽅も含めた公務員制度の在り⽅について再検証を
⾏う。働き⽅改⾰、待遇や職務環境の改善を進めるとともに、官僚が政
治家と共に「国を背負って⽴つのは⾃分たちである」との⾃負を持ち、
国⺠が「⽇本に⽣まれて良かった」と誇りを持てる国づくりに邁進でき
るよう、新たな「政」と「官」の関係を確⽴していく。
( 了)

 

 

枝野VISION 2024

ヒューマンエコノミクス
「人間中心の経済」を実現する
8つの政策
わたしは、徹底的に「人」に着目して「人」を支え、すべての「人」の能力を最大限に引き出す経済をつくる。

誰もが存分に力を発揮することができ、ゆとりある暮らしを営み、人生における選択の自由がある。そんな社会であってこそ、全体が発展できる。
知識集約型産業が基軸となる経済システムが前提となったいま、人間の多様で多面的な能力の開発・育成が、持続可能な成長のための必須条件だ。
あわせて、社会保障・生活保障や社会制度、コミュニティのつながりを丹念に強化する「安心の立て直し」が、力強い経済の基盤である。

こうした視点から、わたしは、「人間中心の経済」に関連する8つの柱を設定して、政策の全体的な進捗を図る。これらの政策を実現することで“すべての国民が個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができる社会”をつくる。
それこそが、新時代の日本の青写真だ。

1.人の可能性を拓く投資
2.地域経済を活かす投資
3.国民所得の底上げ
4.支えあう社会制度の拡充
5.個人の選択肢の拡大
6.現実的な外交・安全保障
7.災害・危機に機能する政府
8.民主主義のアップデート
01
人の可能性を拓く投資
教育投資・研究開発

これからの日本において最も重要なイシューは、「人」の可能性に対する惜しみない投資だ。人口減少の中では、高い付加価値を持つ商品やサービスを生み出していかなければならない。日本の成長は、一人ひとりの可能性や能力を最大限に引き出す環境を、どれだけつくれるかにかかっている。
多様な教育の機会を幅広く開いていく。社会人の学び直しに対する支援を抜本的に拡充する。イノベーションのための基礎研究へ大胆に投資する。大学や研究機関における研究者個々の取り組みを手厚く支える。AIなどの先端技術開発や、芸術文化、世界で競争力を持つコンテンツ産業などで、人材育成に予算を重点配分する。

・国公立大学の授業料を段階的に無償化し、私立大学生や専門学校生についても同程度の負担軽減を進める。
・学び直し休暇制度や公的職業訓練の拡充、リスキリングの徹底支援に加えて、成長分野への人材移動への支援などを含め、多様で柔軟な職業選択を支えるセーフティーネットを強化する。
・科研費を拡充して、大学の基礎研究にかかる助成や、民間を含む研究開発費を大幅に引き上げる。
・AI関連の競争力強化のため、利用促進やリスク対応、生成AI開発力強化などを重点支援する。
・文化予算を大幅拡大し、文化芸術の創造と伝承・保存機能を強化するとともに、映画・アニメ・エンターテイメントなどのコンテンツ産業を強化して世界に発信する。
02
地域経済を活かす投資
地域経済・一次産業・エネルギー

「人間中心の経済」を支える基盤は、それぞれの地域だ。日本列島全域をフィールドに、水平的かつ分散型の自律的経済圏を創出する。
知識集約型産業の拠点となるパイロット事業を各地域で展開する。輸入額が年間30兆円規模にも及ぶエネルギーと食料の国内自給を飛躍的に高める。原子力エネルギーに依存しない社会を目指すとともに、気候危機対策の観点を含めGXを強力に推進して、省エネ・再エネへの大規模投資を進める。観光環境を変革して、観光立国の基盤を確かなものとする。

・「自然エネルギー立国」を目指し、広域連係系統の強化や、住宅用太陽光発電設備と蓄電池の大幅導入をはじめとした省エネ・再エネに対する大規模投資を進めて、250万人規模の雇用創出と、年間50兆円の経済効果を実現する。
・農業者戸別所得補償制度をバージョンアップし、食料安全保障の確立に資する直接支払制度を構築する。
・観光人材の育成や、観光資源の高付加価値化・ブランド化など、観光環境の基盤をさらに強化する。
03
国民所得の底上げ
雇用・賃金

手取り収入の伸び悩みが、国内需要を低迷させ、市場全体を縮こませている。賃金の低迷と雇用の不安定性こそが、経済低迷の最大要因だ。
賃上げ税政を含め既存政策をフル活用した上で、さらに、最低賃金や介護・保育・医療の現場の賃金など、政府が決定権を持つ分野を突破口として、幅広く持続的な賃上げを政府がけん引する。非正規雇用の処遇を引き上げるとともに、人手不足社会への対応という観点からも、雇用全体の正規化に道筋をつける。

・公定価格の引き上げによって、保育・学童・介護・医療分野の職員給与を大幅に改善する。
・同一価値労働同一賃金や、非正規の処遇格差是正、雇用の正規化に向けた取り組みを強力に推進する。
・残業代の支払い厳格化や、長時間労働の是正など、働き方改革をさらに抜本的に強化して推進する。
・中小零細企業を中心とした公的支援を実施しつつ、最低賃金を当面少なくとも1,500円にまで段階的に引き上げる。
04
支えあう社会制度の拡充
社会保障・税

老後や子育てなど暮らしの不安は、手取り収入の伸び悩みとならぶ経済低迷の主要因だ。思わぬ事故や病気、失業、家族の介護や妊娠出産、子育て、老後など、誰もが人生のどこかで支え合いの社会制度を頼るタイミングがある。
大きな不安を抱えていては、チャレンジすることもできない。支え合いによって不安を小さくすることが、すべての「人」の能力を引き出し、「人間中心の経済」をつくるあげる基礎になる。
いざというときを支えるベーシックサービスを拡充する。その財源として、税の累進性を強化する。消費税の逆進性対策として、無収入層から中間層まで幅広く負担を軽減する還付制度(給付付き税額控除)を導入する。

・医療・介護や、障がい福祉、保育.教育.放課後児童クラブ等の子育て支援といったベーシックサービスの質と量を拡充するため、関連分野の賃金・処遇を底上げして雇用を拡大する。
・公立小中学校の給食を無償化する。
・若年カップルや子育て世代も利用できる新たな家賃補助制度を創設する。
・金融所得課税、所得税、相続税、贈与税などの累進性を強化する。
・消費税5%分の戻し減税策として、無収入層から中間層までの幅広い国民を対象に、給付と控除を組み合わせた還付制度(給付付き税額控除)を創設する。
05
個人の選択肢の拡大
ジェンダー・多様性

特定の価値観や選択を押し付けられることなく、誰もが生きやすい社会をつくる。一人ひとりの可能性や、人生の選択を、可能な限り支える。それが、より多彩な成長の幅広い基盤にもなる。
選択的夫婦別姓については、もう結論は出ている。人生の選択肢を作ることは当然のことだ。同性パートナーが望めば結婚できるようにする。ジェンダー平等実現のために、あらゆる政策分野での改革を進める。性と生殖の健康・権利(SRHR)を実現する。障がいや国籍などで差別されない社会をつくる。

・選択的夫婦別姓を可能とする民法改正をすみやかに実現する。
・同性婚を法制上可能とする。
・DV被害を防ぐ見地から離婚後共同親権について見直しを進める。
・緊急避妊薬のOTC化や不妊治療の保険適用拡大、包括的性教育の推進など、性と生殖の健康・権利(SRHR)を実現する。
・包括的差別禁止法を制定し独立した人権救済機関を創設する。
06
現実的な外交・安全保障
外交・安保

一人ひとりの国民の命とくらしを守り抜くため、外交と安全保障は車の両輪だ。
外交政策を通じて、戦争を未然に防ぐという政治の最大の役割を果たすとともに、グローバル化の進む国際社会で、経済的・社会的パートナー関係を地球の隅々まで張り巡らせる。日米同盟を基軸に置きながら、日本を取り巻く国々との対話外交を試みる。特に、関係が悪化している場合にこそ外交チャンネルを粘り強く模索し、国益の最大化を図る。
日米安全保障体制を基盤としつつ、「自分の国は自分で守る」という専守防衛の基本に立ち返り日米で連携しつつ、島国である我が国の特性と周辺地域の国際環境を踏まえ、地に足を着けて防衛力の実効性を高める。
警察官、消防士そして自衛官など国民の命を守る最後の砦は「人」だ。特に自衛官は定員割れが常態化し志願者も急減している。その処遇・待遇を底上げして現実的な防衛力の強化を目指す。

・自由、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重という普遍的価値に基づいた開かれた国際秩序の維持・強化を目指し、国際法の諸原則を基礎として国際的なルールづくりを主導するなど、積極的な平和創造外交を展開する。
・健全な日米同盟の一層の強化を進めるとともに、自衛隊員の処遇向上や、施設の改善、十分な装備の給付など、基礎的部分の環境を改善して、我が国自身の防衛力を強化する。
・沖縄県民の民意を踏まえ、辺野古新基地建設を含めた沖縄における基地のあり方や日米地位協定を見直すため、米国との交渉を開始する。
・核兵器禁止条約締結国会合へのオブザーバー参加を目指す。
07
災害・危機に機能する政府
災害対応・危機管理

日本は、島国・地震の頻発という特性に加えて気候危機の影響もあり、毎年のように大規模な災害と被害に見舞われている。能登半島地震への対応に顕著なように、一人ひとりの国民の命とくらしを守る上で、政府による防災・災害対策の強化は急務である。「災害に強い国づくり」を国政の最重要課題に位置付け、被害を最小化するため、発災時に直ちに対応できる常設の即応体制の整備、専門人材の育成など、政府自身による恒常的な備えを抜本的に強化する。
官房長官直轄の「危機管理・防災局」を設置し、恒常的な防災・災害対応の点検強化を進めるとともに、地方自治体や関係省庁などとの日常的な連携体制を確かなものとする。東日本大震災時に官房長官として対応にあたった知見を活かし、これまでの被災体験の分析や、諸外国における取り組みなど新たな知見の習熟などを通じて、防災・災害対策モデルを常に更新していく。

・官房長官直轄の強力な「危機管理・防災局」を設置し、戦略的で効果的な対策を推進するとともに、特に発災直後の初動についての国の責任を明確化する。
・初動・危機管理段階において必要な備蓄について、自治体の主体性を尊重しつつ、国の責任で充実を図る。
・病院船や洋上仮設住宅など、病院の被災や道路の寸断などに備えた初動体制を抜本的に拡充する。
・国際的なNGO等で策定された「スフィア基準」や女性の視点を踏まえて、避難所の質を大幅に向上させる。
08
民主主義のアップデート
選挙・政治改革・行政改革

選挙制度や政治資金の取扱いという政治分野から、行政分野にいたるまで、閉ざされた「永田町の論理」や「霞ヶ関の論理」を超えて、国民・納税者の視点に立った改革を進める。「情報公開」という哲学を柱にすえて政治と行政の透明化を徹底し、国民が「知って評価できる」仕組みを確立する。
多様化する民意を幅広く反映させるため、投票率を引き上げ、死票を少なくする方向で選挙制度についての検討を進める。
表現の自由や学問の自由を確保することで、多様で活力ある市民社会と公共空間を創造する。

・政治資金に関する透明性を徹底し国民による監視機能を強化するため、まずは少なくとも、国会議員関係政治団体における企業・団体献金と政治資金パーティーに関して、一円単位での公開を実現する。
・さらに、政治資金収支報告に関る罰則の強化を含めた適正の確保と公開性の拡大、「政策活動費」や調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明化、政治資金に関する第三者機関の設置、さらには企業・団体による資金提供の禁止を視野に、他の政党や国民世論に向けた働きかけを粘り強く進める。
・民主主義の根幹をなす情報公開を一層推進するため、情報公開法とその前提となる公文書管理法を抜本的に強化して、透明な政治・行政を実現する。
・任命拒否された6名を日本学術会議会員に任命するとともに、学問の自由を守る見地から、学術会議の独立性と自律性を高めるための取り組みを進める。

 

 

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5 コメント

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Unknown (怒りの日)
2024-09-06 12:41:58
枝野氏の後退には、やはり連合の芳野ネトウヨ会長がいつまで経っても失脚しないことが関係しているでしょう。
荒れ狂う反共ネトウヨ芳野、それでも連合傘下の労組に頼らないと当選が絶望的になる議員が、まだまだ立民にもいるのではないかと思います。
そうなると、露骨に反自民党みたいなことは言えなくなります。自民党に逆らうようなことを言うとネトウヨ芳野が直ぐに感情的にバカなことを言い始めますから。
返信する
消費税関連以外の政策は非常にまともな枝野氏 (ロハスな人)
2024-09-06 17:12:10
野田氏が問題外で、枝野氏の方が1000倍マシ…という点には完全に同意します。

しかし、消費税はいろいろ問題が多すぎるので、枝野氏の手法では『中途半端』ということはしっかり強調しておきます。

まず、日本の“消費税”と海外の“付加価値税”が『似て非なるもの』であることを政府やメディアは隠蔽して、『日本の消費税率は低い』とか『デタラメ』を主張しています。

海外の『付加価値税』は『新たに生じた価値』に課税するため、例えば付加価値税が10%なら一つの商品を通して『すべてを合計して10%かかる』ことになります。

しかし、日本の『消費税』は『消費するごと』にかかるため、何度も取引することで『付加価値税より結果的に高い税率になる』ことは踏まえておく必要があります。

日本が安倍政権下で消費税を2回上げるごとに、景気も『劇的に悪化』したのはこの『欠陥税制』のせいですね。

なお、『大企業が値上げを嫌って“下請け企業に消費税の差額を押し付け”た』のもこの『欠陥』によるものが大きい…と推測され、導入した“竹下政権”はもちろん、その後の自民党政府も軒並み『経済音痴』だったことが『失われた30年の大きな理由』と推察されます。

『消費』≒『生産活動』(資本主義の心臓とも言える)に足かせをする消費税は少なくとも『景気が悪いときは停止』するくらいでないといけないでしょう。

https://study-z.net/100250652
☆消費税:消費という行為に税金を払う
消費税は消費という行為に対して払う税金のことです。日本は消費税を導入しており、海外向けには「JCT(Japanese Consumption Tax)」という表記で説明されています。例えば飲食店で税抜き1000円の食事をすると10%の消費税がかかり、1100円になるという考えはお馴染みでしょう。

付加価値税:生み出される価値に対して税金を払う
付加価値税とは事業にて生み出される付加価値に対して払う税金です。世界のほとんどの国で導入されています。飲食店で1つの商品を売るまでには、食材や人件費、家賃、水道光熱費などの必要経費がかかりますよね。

例えば1000円の食事のうち、700円が経費相当だとします。すると飲食店の事業として生み出された価値は300円ですね。この300円に対してかかる税金が付加価値税です。

https://digi-joho.com/ja/kaigai-business/147-vat-value-added-tax.html
☆海外の消費税 | 付加価値税VAT (Value Added Tax)
海外において日本でいう消費税に相当する主な税は、英語でVAT (Value Added Tax)とよばれる付加価値税です。海外で買い物をした際にもらうレシートでよく見かける「VAT ○○%」や「TVA ○○%」がそれに該当します。(使用言語によってVATの表記が変わります。)付加価値税はヨーロッパ諸国をはじめ、アジア諸国でも適用されています。
返信する
消費税と教育にかんして (津木野宇佐儀)
2024-09-07 02:01:01
消費税は軽減税率を見直すべきだと思います。
公共料金、医療、福祉、教育(進学塾は対象外(後述))、公共交通機関等は非課税にすべきでしょう。
一方、非正規雇用にかかる消費税は増税すべき(「非正規」の正規化等、「消費税」とは別に雇用政策が必要)、それ以上に不労所得に対する課税強化が必須ですね。

教育にかんしてですが、長年保留していた自由人権規約「高等教育の無償化」を批准したんだから、学力とやる気があれば誰でも高等教育を受けられる(学位取得は別問題)よいうにすべきです。
公教育の寄生虫(本当の寄生虫さん、ゴメンナサイm(_ _)m)「受験産業」「進学塾」を経済の場から退場させ、その分これまでの家計の「教育」出費を他に回せるようにすれば、実のある・よりマシな経済を進めていくことができるのではないでしょうか。

「あしなが育英会」の募金活動に接するにつけ、先行世代として本当に申し訳ない、と忸怩たる思いになります。
返信する
宣伝失礼します (suterakuso)
2024-09-07 10:26:47
今日、次の記事を書いてブログにあげました。

今こそ財政の所得再分配機能と自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)の修復・強化の議論を
https://suterakuso.hatenablog.com/entry/2024/09/07/095642

実は、付記の野田の部分は、この記事を見て、なぬ!と思って、申し訳程度に付け加えたものです。情勢が変化する中で、遅筆なのは、難儀ですね。

いや、そんな当然のことを素人レベルで、豊富な情報のまとめすらなく、わざわざ言う必要あるのと思われる記事かもしれませんが、あえて、シンプルに、「常識」の範囲で書くことを意図しました。

枝野の介護・保育・医療の賃金の引き上げという政策も「市場の失敗」という基本用語と関連付けて取り上げようかとも思いましたが、いや、長く散漫になってはいけないと思い、書くなら別記事にしようと思っています。
返信する
Unknown (ロハスな人)
2024-09-07 12:07:03
☆消費税の食料品への非課税などで一致したとして、候補者を一本化 >

“消費税の食料品への非課税”は貧困対策としても“景気刺激”策としても有効ですから、とても歓迎できますね。

最終的に『自民党の“弱肉強食”資本主義政策』を継続しそうな野田氏は問題外として、この政策だけでも枝野氏より吉田氏を応援したいですね。

※野党をまとめて“(一時的な)進次郎フィーバー”で調子に乗るだろう自民党を追い落とすために枝野氏は党首になったら最低でも『消費税の食料品への非課税』を採用すべきです。

> 津木野宇佐儀 さんコメントのいろいろな面での“軽減税率見直し”は“大人の事情(苦笑)”で消費税減税に踏み切れないなら必須だと思います。

『利権の言うがまま』の自民党は論外として、枝野氏にはもう少し頑張ってほしいですよね。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240907/k10014574451000.html
☆ 代表選 吉田晴美氏が立候補へ 江田氏と候補者一本化で合意
2024年9月7日 NHK

立憲民主党の代表選挙に、衆議院当選1回の吉田晴美氏が立候補することになりました。

立憲民主党の代表選挙は、7日告示、今月23日投開票の日程で行われます。

江田・元代表代行と衆議院当選1回の吉田晴美氏はともに立候補に意欲を示し、両陣営は6日夜から一本化を含めた協議を続けてきました。

そして、7日午前、江田氏と吉田氏が再び議員会館で会談した結果、消費税の食料品への非課税などで一致したとして、候補者を一本化することで合意し、吉田氏が立候補することになりました。
返信する

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